論説−私論・公論 - 声明: 労働時間規制の根幹を覆す「プロフェッショナル労働制」に反対します

声明: 労働時間規制の根幹を覆す「プロフェッショナル労働制」に反対します

2015/2/7 8:52
       労働時間規制の根幹を覆す「プロフェッショナル労働制」に反対します

                                                      過労死等防止対策推進全国センター
                                                      代表幹事 森岡孝二、寺西笑子、川人 博

1 「高度プロフェッショナル労働制」とは
 厚生労働省に設置された労働政策審議会の労働条件分科会は、本年1月16日、‘き過ぎ防止のための法制度の整備、▲侫譽奪スタイム制の見直し、裁量労働制の見直し、て団蟾眦拈賁膓般魁成果型労働制(高度プロフェッショナル労働制)の創設等を盛り込んだ報告書骨子案を示しました。
 このうちい蓮◆峪間外・休日・深夜の割増賃金の支払義務等の適用を除外した新たな労働時間制度」(骨子案)とされ、一定範囲の正社員を対象に、労働基準法の時間規制を外し、時間外・休日・深夜を含め残業という概念自体をなくすものです。これが導入されると、使用者は36協定を締結して時間外・休日労働を命じることなく、労働者を無制限に働かせることができるようになります。これは第一次安倍内閣のとき「残業代ゼロ法案」として強い社会的批判を受け国会提出が見送られたホワイトカラー・エグゼンプション法案の焼き直しにほかなりません。

2 成果賃金制度ではなく固定賃金制度であること
 時間ではなく成果で支払うといわれていますが、今回導入されようとしているのは、成果主義賃金とは別物の固定賃金制です。基準となる労働時間が決まっていて超過時間数に応じて一定の割増率で残業代を支払う現在の時間賃金制を否定して、あらかじめ決められた額しか支給しない固定賃金制に変えるものです。

3 対象業務の拡大の危険
 対象業務にはディーラー、アナリスト、コンサルタントなどが例示されていますが、実際は専門業務や企画業務が広く対象とされ、現在過労死等が多発しているIT産業のSEなども対象になる可能性があります。

4 年収要件の切り下げの危険
 年収1075万円以上という要件は「一部の高所得者だけが対象」との印象を与えますが、いったん導入されると政令でどんどん下げていくことが可能です。日本経団連は以前のホワイトカラー・エグゼンプションの提言では、年収400万円以上の労働者を対象にすると想定していました。今回の新制度についても、経団連の榊原会長は昨年6月時点で、「全労働者の10パーセントぐらいは適用される制度」にするよう要求しています。いったん制定されれば、年収要件が引き下げられていくことは必定です。

5 長時間労働・健康悪化の歯止めがないこと
 政府は「本制度の適用労働者については、割増賃金支払の基礎としての労働時間を把握する必要はない」としながら、新制度がいっそうの長時間労働を招く心配を否定できないために、新たに「健康管理時間」や「休息時間」などの長時間労働の防止措置を講ずると言っています。しかし、これらは実効性が疑わしいうえ、具体的な時間数については法案成立後に「審議会で検討して省令で規定する」とされ、過労死防止の歯止めになる保障はまったくありません。

6 働き盛りの30代、40代に過労死激増の恐れ
 高度専門業務に携わる労働者は、専門的・管理的職業従事者が多いと考えられますが、厚労省の過労死等の労災補償状況に関する資料によれば、専門的・管理的職業従事者のあいだでは、過労死・過労自殺が多発しています。2013年度の過労自殺(精神障害)に係わる労災請求では、専門・管理職が全体の26%(1409件中365件)を占めています。また、年収が1075万円以上の労働者の多くは30代後半から40代と考えられますが、この年齢層のホワイトカラーのあいだでは過労死と過労自殺が多発しています。

 7 「プロフェッショナル労働制」導入に断固反対する
 私たちは、過労死をなくしたいという願いから過労死防止法の制定に取り組み、法制定後は過労死防止対策の推進に全力を尽くしていますが、この「プロフェッショナル労働制」は過労死防止法に逆行して過労死を広げるものであり、断固として反対するものです。

                                                                                                          2015年2月5日

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