論説−私論・公論 - 京都新聞 社説:副業推進 働く人のための制度に (6/12)

京都新聞 社説:副業推進 働く人のための制度に (6/12)

2019/6/13 8:11

社説:副業推進 働く人のための制度に

2019/6/12 13:42 (JST)
©株式会社京都新聞社
 
 政府の規制改革推進会議が働き方改革を促す答申を出した。副業・兼業の普及に向け、複数の企業で働いた場合の労働時間の管理ルールを見直すといった内容だ。
 
 人手不足が深刻化する中、働き方の選択肢を増やし、離職などを防ぐのが改革の目的という。
 
 副業は、第二の人生の準備として中高年が経験を広げる機会となったり、企業の成長促進につながったりすると期待されている。
 
 だが、本業との両立に伴う長時間労働をどう抑制するかといった課題がある。多様な働き方の実現が長時間労働や非正規社員の増加を招くようでは本末転倒だ。
 
 本当に働く人のための制度になることが大前提である。丁寧な条件整備が欠かせない。
 
 厚生労働省が副業の容認を打ち出したのは2017年12月のことだ。国の「モデル就業規則」では、それまで副業や兼業は原則禁止とされてきた。
 
 一つの仕事にとらわれず、多様な働き方を求める人が増えている現状を踏まえて方針転換した。モデル規則を改定したが、企業の導入は一部にとどまっている。
 
 労働者の長時間労働を助長し、体調不良やパフォーマンスの低下につながりかねないためで、経団連も現状では慎重な立場だ。
 
 答申は、労働時間の管理ルールの見直しを提言している。
 
 現行の労働基準法では、労働時間は合算して算定し、時間外労働が発生すれば、副業先が残業代を支払う義務を負うことになっている。企業がこれらの負担を嫌い、副業や兼業に消極的になっている恐れがあると指摘する。
 
 しかし、現行制度を変えるのは容易ではない。労働時間の管理方法について厚労省は有識者会議で検討を進めているが、社員の健康管理の実効性が問われる。
 
 副業を求める労働者側の事情はいろいろであり、下手に緩和すると際限がなくなる恐れもある。政府は実態を把握した上で、明確な指針を示す必要がある。
 
 答申はほかにも、介護休暇の柔軟化などの提言が盛り込まれた。安倍晋三首相は「スピードこそ最も重要な要素」との認識で改革を進めるとしている。
 
 月内にも規制改革実施計画を閣議決定する方針というが、拙速は避けるべきだ。
 
 副業の容認は働く人のキャリア形成や自己実現はもちろん、企業文化や風土も大きく変えることになる。現場の声を十分踏まえた議論が欠かせない。
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