論説−私論・公論 - (試訳)イ・ナムシン韓国非正規労働センター所長「文在寅政府に尋ねる」「経済社会労働委員会1期はなぜ失敗したのか」

(試訳)イ・ナムシン韓国非正規労働センター所長「文在寅政府に尋ねる」「経済社会労働委員会1期はなぜ失敗したのか」

2019/8/23 20:00

(W) 韓国非正規労働センター所長のイ・ナムシン(李南信)さんが、毎日労働ニュースにコラムを書かれています。イ・ナムシンさんは、韓国政府の「経済社会労働委員会」と「最低賃金委員会」の二つの委員会において、非正規労働者を代表する立場で委員を務めておられました。3年目を迎えた文在寅政権の労働政策をめぐる現状について鋭い分析をされています。きわめて興味深い内容です。そこで、この二つのコラムを試訳してみました。
◆ 文在寅政府に尋ねる(2019.07.25)
◆ 経済社会労働委員会1期はなぜ失敗したのか(2019.8.22)

 イ・ナムシンさんの文章は格調が高く、辞書に載っていない語句・諺も少なくありません。私の語学力では十分にニュアンスを踏まえた翻訳をすることができていないと思います。幸い、二つのコラムはインターネットに掲載されています。韓国語ができる方は原文も参照していただけると幸いです。(試訳・文責 脇田滋)


毎日労働ニュースコラム
文在寅政府に尋ねる

 イ・ナムシン韓国非正規労働センター常任活動家
イ・ナムシン承認2019.07.25 08:00

 政府労働政策が方向を失って労・政関係が悪化の一路である。文在寅大統領と政府閣僚が所得主導成長と労働尊重社会という公約青写真を記憶しているのか疑問心が生ずる程である。非正規職正規職化混線に社会的対話異常な進行、最低賃金1万ウォン公約廃棄に至るまで労働公約パスがいつのまにか政府政策の幹になってしまった。文在寅政府自ら省察して中間評価によって活路を見出すことができないならば最悪の労政葛藤が避けられない状況である。ロウソクのあかり政府やロウソクのあかり精神うんぬんは既に色褪せて意味がない。政府と組織労働(者)皆が気をしっかり引き締めなければならない時である。

 2020年最低賃金を2.87%上げることにした最低賃金委員会票決過程に参加して複雑で息苦しかった。現実的制約と不利な条件を熟慮して労働者委員が6.3%単一最終案を苦肉の策で出した。労組外側の大多数低賃金労働者たちの境遇を優先した勇断だった。筆者は予断しにくい条件で最小限薄氷の結果を予想したが惨敗した。文在寅大統領の公約である2020年最低賃金時給1万ウォンを達成するには19.8%上がらなければならなかった。大統領が公約不履行について謝ったが、不可能だという現実認識は当然だった。だが、任期内である2022年まで1万ウォン公約履行は最低賃金1万ウォンが所得主導成長の呼び水として注目されただけに放棄してはならないマジノ線だった。そのマジノ線が6.2%であり、それを念頭に置いた労働者委員の苦肉の策は厳しい霜に当たった。最低賃金法が定めた4大基準である勤労者生計費、類似勤労者賃金、労働生産性及び所得分配率は跡形もなかった。これでもロウソクのあかり政府だと(言うのか)?

 文在寅大統領と政府に尋ねる。大統領府に労働政策コントロールタワー機能があるのか。経済部署の下位附属機構に転落した雇用労働部境遇のように労働公約も冷遇を越えて過小評価受けているのではないか。最低賃金1万ウォンでも公共部門非正規職正規職化でも社会的対話でも労働懸案と直結した多様な政策課題が有機的に連動されてシナジーが出なくては成果を出すことができないのにもかかわらず、誰も責任を負わない昨今の現実は、ロウソクのあかり政府を自認した大統領の初心まで決定的に疑わさせる。問い質す。公共部門非正規職ゼロを宣言しても規模が最も大きく、力に余るほかはなかった学校非正規職正規職化を一番最初に推進して惨めな失敗を自ら招来した背景と理由が何か。企画財政部が率先して非民主的な方式で最低賃金委決定構造を変えようと強圧的に押し切って30年余りの最低賃金委の歴史で初めてもたらした惨事である公益委員全員辞退という汚名を残した理由が何か。本当に3%にも至らない最低賃金引上げが穏当だと判断するのか。公共部門非正規職の正規職化3段階である民間委託と関連して特別な意志と対策もなく、宣言的に言明した理由は何か。民間部門に(対して)青信号とならなければならない公共部門の良い雇用作りの趣旨を傷つけてしまった結果に対してどのように責任を負うのか。

 新しい社会的対話機構を標榜した経済社会労働委員会は、また、どうなのか。労働界階層別代表3人が異常な進行の主原因だと(言うのか)? 本質と現象をこのように糊塗するのであれば真実は遮られて強者の既得権主張の中で社会的対話は迷宮に入り込まなければならない。大統領と政権与党が弾力勤労制拡大を経社労委の議題に上げる瞬間、経社労委の運命は急な坂道に立ったのである。韓国労総と韓国経総が中心となった弾力勤労制拡大合意は、社会的対話を崖っぷちへ推し進めた。労使階層別代表を拡充して合意機構でない協議機構に再確立して難しい状況でスタートした経社労委を過去の労使政府委員会より劣った水準に引き下ろした。場外で参加もできないまま、経社労委の正常化にとって障害物になってしまった民主労総の責任も軽くない。内外の悪材料が重なって経社労委は傾いて行ったし、今再起不能の危機にまで追いやられた。その責任が無力な女性・青年・非正規職階層別代表にあるとは呆れ返る。6人代表者会議を通じて社会的対話が再開され得るという発想自体が経社労委法の趣旨に合わず、問題の原因を逆に診断する誤った発想に過ぎない。今でも民主的運営構造を作って階層別代表らと公益委員の穏当な役割を保障して活性化する方式で代案を用意しなければならない。それが望ましい経社労委の活路である。

 来年4月の総選挙を控えて、文在寅政府の労働政策右傾化が全方向で加速化していきつつある。最低賃金が罪人になる過程で明確になったように政策の効能性を向上させる合理的な代案用意に注力しないで、犠牲の羊を探す方式が克服されなくては百薬が無効になるほかはない。任期内最低賃金1万ウォンも達成できずに他の労働公約の真正性を信じてくれと言ってみても公信力だけ低くなる。参加政府の轍を踏まないという保障がない現状で、こんがらかった主要労働政策と公約をどのように進展させて実現していくのか、いまこそ大統領と政府が積極的に答えなければならない。これ以上待つ時間がない。

 韓国非正規労働センター常任活動家(namsin1964@daum.net)
イ・ナムシンlabortoday
http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=159605

 


毎日労働ニュースコラム
経済社会労働委員会1期はなぜ失敗したのか

 イ・ナムシン韓国非正規労働センター常任活動家
イ・ナムシン承認2019.08.22 08:00

 新たな社会的対話機構を標榜して出発した経済社会労働委員会1期は何故失敗したのか。皆に過失があるが弁解の種も多く、他人のせいにするのに丁度良い。責任所在を明確に追及しても曖昧である。省察するだけでは代案を出すこともできず、さらに苦しい。ムン・ソンヒョン経社労委委員長の任期が満了する8月末までが経社労委1期という計算だが、2期を控えて客観的な中間評価と実効性のある代案の用意が必要である。女性・青年・非正規職階層別代表を無力化し、追い出すことを正常化だと固執するのは浅くて誤った認識である。そうするほど経社労委の正常化は迷宮に陥って、社会的対話本来の目的を喪失したまま再起不能状態に駆け上がるだろう。
簡明に整理してみる。経社労委1期が失敗した理由は、第一に、経社労委を苦情処理付属機構と考えた大統領と政権与党の哲学と戦略の不在、二番目に、直接選挙で当選した委員長の公約も履行できない民主労総の無能と無責任、三番目に、経社労委の核心機構を意のままにした韓国労総と経済人総連の独断と覇権、四番目に、階層別代表らと公益委員を挙手機〔=機械的に賛成する人〕と認識した経社労委委員長の振る舞い、五番目に、労使階層別代表らと公益委員の力不足などのためである。
汗を流さず収穫の結実を望む農夫のように、経社労委1期も信頼基盤をしっかり確かめ力を蓄える過程を省略したまま、すぐに目に見える成果に埋没したせいで失敗を自ら招いた。韓国労総と経済人総連が弾力勤労制拡大を非民主的方式で合意しておいて強者労委本委員会の合意として無理強いしようとしたが問題が生じた。事態をこのようにした当事者は何の反省もせず、穏当な改善と経社労委運営機構の民主化を要求した三階層別代表だけが責任を追及された。紆余曲折の末、弾力勤労制拡大合意案件は、三階層別代表の議決権を尊重することにし、既に進められ合意及び議題別・業種別委員会期限延長、両極化解消と雇用プラス委員会新設など、すべての事案を議決して経社労委を正常化しようとムン・ソンヒョン委員長と約束した。しかし、本来の約束を守ることができなかったのはムン委員長である。
巷間に階層別代表を民主労総アバターであるかのように売り渡すことに呆れ返る。民主労総に対して無責任だと批判しながら、民主労総が参加しない悪条件でも経社労委参加を決めて一つの舟に乗った三労働界階層別代表の苦心をとがめて真正性をけなすことは行き過ぎである。民主労総に対する考慮は、三階層別代表が本委員会に参加しない様々な要因中の一つに過ぎない。そのように詰(なじ)るのであれば、大統領と韓国労総、経社労委執行部に対する考慮(の方)がはるかに大きかった。参加を渇望した三階層別代表の思いが毎回ずれて深刻な感情労働に耐えた。かなり努力したが、結局、徒労に終わった。過ぎた過程をよく知らないまま、いい加減な解釈をして判断する人々を見ると社会的対話について苦悩したことがあるのかと問い返したい。
経社労委はよみがえることができるのか。このままならば難しい。2.87%引上げに終わった2020年最低賃金が投げた赤信号のように社会的対話も坂道から転がり落ちてしまうだろう。女性・青年・非正規職の階層別代表は(その)席に恋々としたことはない。参加して直接目撃した誤った経社労委の運営構造と短期合意にしがみついて社会的対話本来の意味と目的を傷つけてきた、これまでの過程に対する反省と是正、再発防止を求めたに過ぎない。三階層別代表は弾力勤労制拡大をめぐる消耗的論議を克服して、両極化解消と社会安全網拡充議論が進展することを渇望したが、力不足だった。
経社労委の核心(的)独自性は、労使階層別代表を拡充した協議機構という点にある。熟考民主主義方式のとおり、基本と原則を守るときに回復し得る。ムン・ソンヒョン委員長から経済社会労働委員会法の趣旨に似合わない問題意識を克服できないならば、再任されても爲人設官(=特定の人のために官職を設ること)という批判から自由になれない。階層別代表拡充に決定的役割を果たした文在寅大統領も、社会的対話機構本来の役割ができるように経社労委を正しく生き返らせる方案について決断しなければならない。正常化という口実で、労働界階層別代表を解職するならば、経社労委に表象される社会的対話は終末を迎えるだろう。最悪(の状況)にならないよう願うだけである。

 韓国非正規労働センター常任活動家(namsin1964@daum.net)
イ・ナムシンlabortoday
http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=160082
 

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