論説−私論・公論 - 中島恒夫さん「過労死2回分!? 異常すぎる「医師の労働時間」が放置されるワケ」 (10/7)

中島恒夫さん「過労死2回分!? 異常すぎる「医師の労働時間」が放置されるワケ」 (10/7)

2019/10/7 11:14

過労死2回分!? 異常すぎる「医師の労働時間」が放置されるワケ
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191007-00023315-gonline-bus_all&p=1
2019/10/7(月) 11:00配信幻冬舎ゴールドオンライン

今年1月、厚生労働省は、医師の残業時間の上限を年1900時間〜2000時間とする新制度の導入を提案しました。医師の過重労働が問題視されているなか、この措置は「働き方改革」ではなく「現状の合法化」であると、一般社団法人全国医師連盟・代表理事の中島恒夫氏は伝えます。

過労死2回分!? 異常すぎる「医師の労働時間」が放置されるワケ
過重労働によって心身を蝕まれる医師が後を絶たない
「自分の病院が潰れると困る」という管理者からの声
私たち全国医師連盟は、2008年の設立以後、診療環境改善のために様々な提言をし、活動してきました。「医師の働き方改革に関する検討会」(以下、検討会)を通して、勤務医の過酷な労働環境を国もようやく見直してくれるのかと期待しましたが、残念ながら勤務医の期待を裏切る会が22回も開催されました。

検討会でのこれまでの議論を要約すると、

(1) 国の方針で働き方改革を推進する、

(2) 「自分の病院が潰れると困るので、今の働き方は最低ライン」という病院管理者団体や厚生労働省からの意見がある、

(3) 応召義務(※)があるので、医師の労働時間を減らすのは公共の福祉に反する、

(※ 医師法第19条「診療に従事する医師は、診察治療の求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」という記載事項のこと。しかし、(3)のような考え方が誤りであることは、再三指摘されている)

(4) とはいえ、何もしないのは問題なので、15年先まで問題を先送りにしよう、

(5) そして、現状は「働き方改革的に問題」なので、現状を合法化させよう、

という話でした。

全国医師連盟を設立してから、この11年間に、過重労働によって心身を蝕まれ、休職を余儀なくされたり、また最悪の場合、病死や自死してしまう勤務医を何人も見聞きしてきました。

検討会でも触れていますが、約1割(約2万人)の勤務医が年1860時間以上の残業を強いられています。特に、現在の日本の急性期医療は、「2度過労死できる過重労働」を強いられている勤務医によって維持されています。それを今後5年間も放置し、その後の10年間で改善する、というのが検討会の基本方針です。流石に呆れます。

勤務医の過重労働問題が長らく表面化されなかった理由は、勤務医が「労働者」であり、また「国民」であるという当たり前のことを、すべての国民が認識してこなかったことにあります。

「医師の健康をしっかりと確保すること」と「地域医療の提供体制を確保すること」を両立させなければならないと、様々な構成員が検討会内で何度も発言していました。ところが、「医師の健康をしっかりと確保すること」と「地域医療の提供体制を確保すること」は、相反します。これらを両立できれば、非常に素晴らしいことです。

残念ながら、現在の医師不足の状況では、「医師の健康をしっかりと確保すること」と「地域医療の提供体制を確保すること」は両立できません。1983年に吉村仁厚生省保険局長(当時)が発表した、「医療費の増大は国を滅ぼす」という医療費亡国論を根拠に行った医師削減政策を始め、厚労省が人材育成を疎かにしてきたことが医療崩壊の原因であることは、もはや常識です。

医療提供体制の構築が厚労省や行政の担当である以上、その提供体制に関する責任を第一に負うべきであるのは、厚労省やその担当官僚、行政です。また、医師削減政策を追認してきた病院管理者団体の責任も重大です。検討会の構成員がこのような問題の本質に関して発言しない理由がわかりません。

検討会構成員である病院管理者団体の代弁者の本音は、ハッキリいえば、「労働基準法違反を前提にしなければ病院を経営できない」ということでしょう。であれば、そのツケを自分の病院の勤務医ではなく、行政に対してぶつけるのが「筋」です。法律違反を前提とした労務体制でしか医療を提供できないのであれば、病院管理者団体が最初にすべきことは、厚労省にこれまでの失政を認めさせ、国民に謝罪させることでしょう。

「現状は致し方ない」という結論から離れられない病院管理者は、病院経営の資質が欠落していると自白しています。一般的な会社経営者であれば、「法律違反を前提としなければ経営ができない」という状態になる前に手を打ちます。現状を容認する発言しかしない病院管理者団体の代表者が検討会に居並ぶことは、非常におかしなことです。

厚労省がこれまでの非を認めず、法を捻じ曲げ、同じ失敗を何度も繰り返し、その失敗のツケを勤務医に払わせることは、責任のない人に責任を押し付けるイジメです。厚労省が失敗を認めなければ、話を進めることはできません。

 

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