論説−私論・公論 - 加谷珪一さん「コンビニが24時間営業をやめられないホントの理由」 (2/3)

加谷珪一さん「コンビニが24時間営業をやめられないホントの理由」 (2/3)

2020/2/3 17:29

コンビニが24時間営業をやめられないホントの理由
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200203-00021783-mimollet-life&p=1
加谷珪一 2020/02/3(月) 13:45配信 webマガジン mi-mollet

コンビニが24時間営業をやめられないホントの理由
写真:松尾/アフロ

経済産業省がコンビニの24時間営業について柔軟な対応を求める提言を行ったり、ファミレスのすかいらーくグループが24時間営業の全店廃止を表明するなど、営業時間短縮の動きが活発になっています。顧客の利便性と労働者の雇用環境についてはどう考えればよいのでしょうか。

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コンビニ業界ではこれまでほぼ画一的に24時間営業を行ってきましたが、最大手のセブン-イレブンの加盟店が、深夜営業をめぐって本部と対立したことをきっかけに、24時間営業の是非が国民的な議論となりました。

意外に思うかもしれませんが、コンビニが24時間営業を行ってきた理由は、深夜の売上高が欲しいのではなく、かき入れ時である昼間の時間帯の売上高を伸ばしたいからです。

24時間営業を行ったケースとそうでないケースを比較すると、24時間営業を実施した方が昼間の売上げが大きく伸びることが分かっています。はっきりとした理由は不明ですが、いつでも開いているという安心感が利用者の中に生まれ、来店頻度が上がることが原因のようです。これに加えて、深夜のうちに弁当などを準備しておかないと、朝の売上げが大きく落ち込むことも24時間営業を続けていた理由です。

朝、会社に行く前にコンビニに寄って、サンドイッチなどの朝食を購入する人も多いと思いますが、朝はコンビニにとっても重要な時間帯です。ところが、朝の時点で新鮮な食品が少なかったり、棚に商品が揃っていないと、朝の売上げが大幅に減ってしまうのです。仮に深夜営業をやめ、午前6時に店を開けるにしても、午前3時頃には商品を配送し、棚に並べる作業を開始しなければ、開店の段階で新鮮な食品を揃えておくことは不可能です。

繁華街の一部を除き、深夜のコンビニに来店する客は極めて少なく、午前2時を回ると店員さんの仕事は、ほとんどが商品棚の整理や食品の受け入れ、陳列といった朝の準備に費やされます。どうせ人を雇って作業をするなら、店を開けておいた方が、ごくわずかですが来店もありますし、昼の売上にもつながることから、24時間営業が継続されてきたのです。

人間の心理というのは非常にわがままで、24時間営業についてどう思うかと聞くと、ほとんどの人が「無理して店を開ける必要はない」と答えます。しかし現実の行動はまったく正反対で、朝の段階でフレッシュな商品が少なかったり、商品に欠品があったりすると、その店には二度と来てくれなくなるのです。

しかしながら、人手不足が深刻になり、人件費が高騰していることなどから、一部の加盟店では深夜営業を行うことが難しくなり、本部と加盟店の対立が激しくなってきました。コンビニ・チェーンにとっても加盟店がいなければ商売になりませんから、これまで頑なだった本部も加盟店の柔軟な対応を認めるようになっています。

日本は今後、本格的な人口減少時代を迎えますから、人手不足が今まで以上に深刻になるのはほぼ確実です。

コンビニが24時間営業をやめられないホントの理由
写真:Natsuki Sakai/アフロ

人手が足りない状況で、過重労働を繰り返しながら無理に営業を続けることには弊害しかありませんから、状況に応じて営業時間を短縮するのは妥当な判断だと筆者は考えます。世論も、労働者の環境を最優先し、無理な働き方はやめようという流れになっていることについては素直に評価してよいでしょう。

しかしながら、本格的な人手不足社会を乗り切るためには、私たちはもっと意識改革を徹底する必要があります。

多くの人は漠然と「顧客は過度に便利さを追求してはいけない」と考えていると思いますが、朝のコンビニの売上げ減少の例からも分かるように、無意識的に事業者に対して過度な要求を行っているケースはたくさんあります。

政府が進めているキャッシュレス化の動きに対して、現金の維持を求めるのも同じ心理といってよいでしょう。

確かに現金は便利ですが、現金社会を維持するためには、飲食店や小売店は、釣り銭用に常に大量の現金を用意しておく必要があります。この作業に費やされる労働力はかなりの水準となっており、一部の業種では店員さんの過重労働につながっています。銀行も常に現金を確保しておくため、多くの行員を支店に配置しているのが現実です。

このところ、一部の通販事業者は置き配(玄関やメーターボックスなどに荷物を置いて配送終了にすること)を進めていますが、手渡しして欲しいという要望はかなり強いようです。確かに手渡しの方が安心ですが、置き配にすれば、再配達が劇的に減り、配送要員の負荷が減るのは間違いありません。本当に配送要員のことを考えるのであれば、置き配を推進した方がよいのは明らかです。

筆者はどちらかというと、消費者は我慢する必要はなく、高度なサービスが欲しい人は追加で料金を払うシステムにすればよいとの立場です。サービスのあり方には様々な考え方がありますが、労働者の環境を第一に考え、消費者のわがままは抑制した方がよいということであれば、労働量の削減につながる措置については例外なく対応すべきでしょう。

加谷 珪一

 

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