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 毎日新聞2017年7月14日 東京朝刊

https://mainichi.jp/articles/20170714/ddm/005/070/129000c

過重労働に対して厳しさを増す社会の目を、裁判所が強く意識したのだろう。

広告最大手・電通の新入社員だった高橋まつりさん(当時24歳)が過労自殺した事件について、東京簡裁が、労働基準法違反(長時間労働)で電通を略式起訴した検察の処分を「不相当」とした。

略式手続きの場合、公開の裁判は開かれない。だが、今回の判断を受け、法人としての電通は正式起訴され、裁判は公開の法廷で行われる。

公判では、検察側の証拠が明らかになるうえ、電通側代表者の被告人質問も行われる。労務管理の実態や違法残業の背景が、つまびらかにされる可能性がある。裁判所の判断は妥当と考える。

高橋さんの残業時間は過労死ライン(月80時間)を大きく超える105時間だったと、労働基準監督署は認定した。捜査は本社だけでなく、大阪などの支社にも及び、電通の違法残業の全容解明が望まれた。

電通では1991年にも入社2年目の社員が過労自殺した。2010、14、15年には労基署から長時間労働の是正勧告を受けた。

だが、労働環境は一向に改善されなかった。だからこそ、改まらない企業体質や、幹部らの旧態依然とした意識について、公判で原因解明する必要がある。

検察は、高橋さんの当時の上司らについて、残業の強制などは確認されず、悪質性はないと判断し、起訴猶予とした。一方、法人としての電通については、会社側が違法な残業を防ぐための体制の不備を認めたため、刑事責任を問えると判断した。

事件を略式で済まそうとしたのは、同じような過去の労働事件の例にならったからだ。 だが、過重労働の問題をこれ以上放置できないという世の中の流れが強まり、裁判所も姿勢を変えてきた。今年に入って裁判所は、厚生労働省の過重労働撲滅特別対策班が捜査した別の事件でも、検察の略式起訴を「不相当」と判断した。

違法な長時間労働の慣行は、今も多くの企業に残っている。企業に違法行為をやめさせ、法令順守を徹底させる必要がある。今回の裁判を、企業に根強い「常識」を根底から変える契機としなければならない。

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朝日DIGITAL(耕論) 2017年7月14日


寺西笑子さん(全国過労死を考える家族の会代表)

飲食店チェーンの店長だった夫は1996年に、49歳で過労自殺しました。店は年中無休で、朝に出勤したら、ほぼ毎日が午前様。月2回の休日すらつぶれがちで、亡くなる前1年間の労働時間は、約4千時間に上っていました。さらに叱責(しっせき)され、心身とも疲れきり、うつ病になった末の出来事でした。労働災害に認定され会社は謝罪しました。

 過労自殺には、「自ら死を選んだ」という無理解があります。私自身、最初は「家族のことは考えなかったんか」と夫に怒りをぶつけました。でも、違うんです。疲労困憊(こんぱい)になると、ダメージは心臓や脳だけでなく、精神を襲うこともある。あんなに家族思いだったのに、正常な判断力を奪われ、選ぶ余地なく死に追い込まれた夫に、今はねぎらいの言葉しかありません。長時間労働は心も壊すのです。

 人は、何のために働くのでしょうか。まず睡眠時間や自分の時間、家族との時間があり、そのために労働があるはず。だから労働基準法は、労働時間を原則、週40時間と定めるのではないでしょうか。

 なのに、これまでは労使が協定を結べば事実上、青天井に残業できました。そこで政府と連合と経済界は今春、協定を結んでも超えられない罰則つきの上限を作ろうとし、極めて忙しい月の残業上限を「100時間未満」とすることで合意してしまいました。

 天井ができるから前進だ、という人もいます。でも、私にとっては後退です。今まで国が認めてきた残業時間は、労使協定があっても「原則45時間」で、それ以上は例外でしかなかった。なのに、わざわざ倍以上の時間数を法律に書いて、容認してしまうのです。しかも、100時間は過労死認定の基準ラインです。

 せっかく長時間労働はいけないという風潮が広がってきたのに、これでは「100時間までOK」という「過労死合法化」になりかねない。法案化の前に、今からでも見直してほしい。理想は残業ゼロですが、せめて月45時間以下にすべきです。経済のため、100時間までは仕方ない、という逆算は本末転倒です。

 もちろん、やるべき仕事をこなしたり仕事を覚えたりするため、時間を気にせずに働くという日本人の美徳もあると思います。ただ、働き手がそうであればこそ、会社が正しい労働時間管理をして「帰らなあかん」というブレーキは踏まないといけない。本当に国際競争力や労働力確保を考えるなら、過労死ラインまで残業させる国が、外国にどう映るかも考えるべきです。

 命より大切な仕事はありません。ご本人も家族も、長時間労働に注意して、最後は命を守ってほしい。たとえその働き方が合法でも、過労死ラインは超えてはいけない。死んでからでは、遅いのです。(聞き手・吉川啓一郎)
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しんぶん赤旗 2017年6月22日、23日 ▽写真(省略)

時間規制ないも同然に


政府は「働き方改革実行計画」で、時間外労働(残業)の上限設定を打ち出し、労働政策審議会が塩崎泰久厚労相に建議しました。この水準や内容をどう見るか。過労死問題に取り組む関西大学名誉教授の森岡孝二さんに聞きました。(行沢寛史)

 ―働き方改革実行計画による上限規制をどう見ていますか。

労働時間の規制は労働者の安全や健康、人間らしい生活を守る一番の要です。それがいっそう弱まることになると危惧されます。

実行計画は、残業の上限を2〜6カ月平均で80時間、1カ月で100時間未満としています。年間の上限は休日労働を含めると960時間になります。

これは残業の上限を労災認定において過労死とされる時間より高いところに置くもので、文字通り死ぬほど働かせることを法認=放任するものです。

実際、過労死は100時間未満の残業でも多発しています。

厚労省「過労死等の労災補償状況」によると、100時間未満の脳・心臓疾患の労災認定は、2014年度で125件あり、このうち60件が死亡事案です。15年度も117件が認定され、うち54件が死亡です。

建設事業や自動車運転業務は上限規制が適用除外になっていて過労死が多発していますが、実行計画では、その見直しは5年後に先送りされました。過労自殺が多い看護や介護など深夜交替制勤務も特別の措置がありません。月100時間など論外というほかありません。

“働きすぎ”とは本来、労働基準法が定めた「週40時間、1日8時間」を超えて働く.働かされることです。ところが政府は過労死するかどうかを働きすぎの基準にしています。それでは「週40時間、1日8時間」の規制はないも同然です。(以上紂以下隋

特例のない限度基準を


―現状でも長時間労働が問題になっていますね。


日本で異常な長時間労働が続いているのは、労基法がザル法で、労働時間の規制に抜け道があるからです。いわゆる三六(さぶろく)協定では、労使で協定を結べば時間外・休日に上限なく残業をさせることができます。


よく日本の労働時間は短くなっているかのようにいわれます。しかし、これはパートタイム労働者などの労働時間が比較的短い非正規労働者の増加によるもので、フルタイム男性労働者の実労働時間は、この間ほとんどかわっていません。

総務省の最近の「社会生活基本調査」では、フルタイム男性労働者は週53時間、年間ベースでは2700時間台です。これは総務省「労働力調査」の1950年代半ばの労働時間と同じ水準です。

そのうえ、この30年あまり、情報化で業務量が増加し、労働密度が高まり、精神的疲労が強まりました。

1987年には労基法が改定され、週48時間制から40時間制に移行しました。しかし、結果は平日の労働時間が長くなり、実際は週50時間制が常態化しています。過労死職場では、1日14〜15時間という戦前並みの長時間労働が問題になっています。

ところが実行計画は、残業の限度を原則として「月45時間、年360時間」とし、さらに特例的な延長を認めています。ここには1日や1週間の上限はありません。これでは、1日24時間働かせることも可能です。終業と始業の間に一定の休息を保障する「インターバル規制」も努力義務にとどまっています。最低連続11時間の休息を義務づけているEUとは大違いです。

 ―秋の臨時国会では、過労死ラインの残業容認法案と上程済みの「残業代ゼロ」法案が合体されて審議されそうな雲行きです。

政府は、後者に関して、一定の賃金の正社員から残業概念をなくす「高度プロフェッショナル制」を創設するとともに、裁量労働制を営業職にも拡大し、いくら働いても一定時間しか労働時間とみなさない労働者を一挙に増やそうとしています。

これは「過労死促進法」とも呼ぶべきもので、労働時間規制の形骸化どころか、解体といっていいでしょう。

安倍内閣は、「共謀罪」によって民主主義を窒息させ、戦争法=安保関連法の強行や9条改憲表明で平和を破壊しようとしていますが、雇用と労働の分野でも時代逆行的な流れが進んでいます。

しかし、過労死家族の会や過労死弁護団の長年の運動が実って過労死防止法が制定されるなど、「過労死ゼロ」の流れを押しとどめることはできません。

出発点は現行の労働時間の延長の限度基準(週15時間、月45時間、年360時間など)を特例なしに労基法に明記することです。そして近い将来、国際水準並みに、残業込みで1日最大10時間、1週最大48時間を実現させることが必要です。残業はあくまで臨時的な仕事の増加に限るべきです。1日8時間、1週40時間の労基法の原則を理想に終わらせてはなりません。(了)

 

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 毎日新聞 2017年6月13日 東京朝刊 オピニオン

https://mainichi.jp/articles/20170613/ddm/005/070/198000c

 

長時間の勤務で健康を害し、死亡する勤務医が後を絶たない。命を守る現場の疲弊を何とか食い止めなければならない。残業時間を規制するなどして改善を図るべきだ。

 新潟市民病院の女性研修医(当時37歳)が2016年、自宅近くの公園で死亡しているのが見つかった。研修医として同病院で勤務していたが、救急患者対応の呼び出しが多く、心身の不調を訴えていた。月平均の残業は過労死ライン(80時間)の2倍を超える約187時間。251時間の月もあったといい、過労死として労災認定された。

 医師の自殺率は一般より高い。その多くは長時間の勤務が絡んでおり、過労による病死を含めると毎年100人を超える医師が命を落としていることになる。一つの医科大学の卒業生数に匹敵する数である。

 特に若い勤務医や研修医の多くは長時間労働が常態化している。仕事で緊張を強いられ、患者やその家族からの苦情でストレスを感じている医師も多い。研修医の4割近くが抑うつ状態との調査結果もある。

 一方、宿直勤務をしても患者に対応していない時間は労働時間に含まれないため、労災認定されることは少ない。研修医は「労働」とみなされない場合さえある。同病院は「医師としての学習が目的で、労働時間に当たらない」と主張していた。

 開業医に比べて勤務医の仕事量が多すぎる上に、救急や麻酔科など特定の診療科に突発的な仕事が集中していることにも原因がある。

 政府の「働き方改革実行計画」では残業時間を原則45時間(月)と定めたが、医師は規制の対象外とされ、5年間の猶予が認められた。

 医師には原則として診療を拒めない「応招義務」が課せられており、一律に残業時間規制をすると患者の診療に支障を来す恐れがあると医師会などは主張する。

 ただ、若い勤務医や研修医の過酷な長時間労働を前提にした勤務体制のままでは、今後も過労死は続出するだろう。診療に支障を来すどころではない。

 厚生労働省は勤務医の残業時間規制に関する検討会を設置する予定だ。多忙な診療科の医師の増員、開業医との連携も含めて、実態に即した対策を打ち出すべきである
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 休みが半年で4日だけ。連続勤務は最大で91日――。そんな働き方をしていた女性が心臓疾患の疑いで急死し、労災(過労死)認定された。 時間外労働は月平均70時間余り。国の過労死認定基準(過労死ライン=月100時間か2〜6カ月の平均80時間)未満だったが、休日の少なさによる疲労の蓄積が考慮された。

 2015年11月に亡くなったのは山口県の弁当販売会社員・斎藤友己さん(当時50)。タイムカードから見える典型的な1日はこうだ。午前7時過ぎに出勤し、車で弁当を配送して午後1時前に休憩。15分程度で昼食をかきこみ、午後4時過ぎに退勤――。土日も同じように働いた。

 労働基準法上の法定労働時間は1日8時間(週40時間)で、雇い主は「毎週1日か4週で4日」の法定休日を必ずとらせる義務がある。ただ、労使が協定(36〈サブロク〉協定)を結んでいれば時間外や法定休日にも働かせることができ、現在は事実上の「青天井」。斎藤さんの会社の36協定でも法定休日労働は上限なしだった。

 3月末、政府は「働き方改革」の柱として、時間外労働に罰則付きの上限を新設する「実行計画」を決めた。年間の上限は休日労働を含まず年間720時間。月あたりの上限は休日労働を含むものの、繁忙期は過労死ラインぎりぎりの数字にとどめられた。そして、休日労働への上限規制は計画に盛り込まれなかった。

 なぜ休日労働は別扱いなのか。

 法定休日に働かせる場合の賃金割増率は35%以上と、時間外労働(25%以上)より高く設定され、経営者側に強く抑制が働く▽36協定は労使が合意しないと締結できず、法定休日労働に関しても労働組合のチェック機能が働く――という複数の「歯止め」がある、と国側は説明する。

 だが厚生労働省の13年度調査では、法定休日の36協定がある企業などのうち2割強で、1カ月(4週)のうち4日とも働かせることを可能とする内容に労使が合意していた。

久々の休みでも、斎藤さんは会社から「人手が足りない」と電話があれば家を出た。家計を少しでも助けようと無理を重ねていたという。会社もそんな斎藤さんに集中的に休日出勤を頼んだ。勤務先の社長は取材に「36協定の範囲内。皆に休まれたら小さな会社は回らない」と話す。

 厚労相の諮問機関・労働政策審議会は今月5日に出した建議の中で、休日労働の抑制を努力義務とする規定を労基法の指針に盛り込むことも求めた。しかし、罰則はない。「休みをちゃんととれる」会社になることが働き手確保などの面で利益となり、仕事の見直しにもつながる――。そんな先々を見据えた「改革」が経営者や働く現場に浸透しない限り、効果は期待できない。今後法整備に取り組む政府はもちろん、企業も労働組合も重い宿題を背負った。 (さかもとてるあき 大阪社会部)
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                                2017年4月19日
                                                                   過労死防止全国センター代表
                                                                   森岡 孝二

去る3月28日に政府の第10回「働き方改革実現会議」が開催され、「政労使合意」にもとづく時間外労働(残業)の上限設定を中心とする「実行計画」が発表された。これは過労死の防止と過重労働の解消を求める観点から見過ごせない危険を含んでいる。

 1 特例温存の制度設計

 「実行計画」は、時間外労働の限度を「原則として、月45時間、かつ、年360時間」とするとしているものの、特別条項付き36協定を温存し、「臨時的な特別の事情がある場合」は、特例として年720時間以内、単月100時間未満、2〜6か月平均80時間以内の時間外労働を可とする制度設計になっている。

 2 年間最大960時間を許容

 「実行計画」は月100時間や複数月平均80時間は休日労働を含むとしながら、月45時間、年360時間、および年720時間は法定休日労働を別枠にしている。その結果、年間最大960時間(80時間×12か月)も可とされる。また、月45時間の基準も、1日9時間の法定休日労働が月4回あれば、容易に月80時間超となる。

 3 過労死は月100時間未満の残業でも多発

 「実行計画」は残業を「月100時間未満」に抑えれば、過労死が防止できるかのような発想に立っている。しかし、現実には過労死は100時間未満の残業でも多発している。厚生労働省「過労死等の労災補償状況」によれば、100時間未満の残業での脳・心臓疾患の労災支給決定件数は、2014年度が125(うち死亡60)件、2015年度が117(54)件あり、死亡事案にかぎっても全体の半数近くを占めている。精神障害においては突然の出来事やパワハラなどによる極度の精神的負荷がある場合は、月40時間未満あるいは20時間未満の残業でも過労自殺が起きている。

4 深夜交替制勤務の過重性を無視

 「実行計画」では深夜交替制勤務の過重性がまったく考慮されていない。看護・介護などの時間外労働は、月45時間でも相当にきつく、本来ゼロにすべきで、特段の事情ある場合にも、1日1時間以内、月20時間以内の範囲で認めることが望ましい。厚生労働書は深夜交替制勤務に関する統計調査を定期的に実施すべきである。

5 法定労働時間のいっそうの空洞化

「実行計画」は1日8時間・1週40時間を超える延長の上限を定めていないので、1日10時間の残業(実働18時間)を10日続けてさせることも法的には許容する。法定労働時間の基準が、残業代の支払基準を別とすれば、ベースの「1週40時間・1日8時間」に縛られない「月45時間・年360時間」に置き換えられ、さらに繁忙や納期を理由として「単月100時間、複数月80時間、年720時間」に多層化されるので、1日と1週の基準をこれまで以上に形骸化し、男性正社員が平均1日10時間、1週50時間働く現状を法認する(=放任)するものとなっている。

6 36協定の実態を無視して延長時間の引き上げを誘発

 厚生労働省「平成25年度労働時間等総合実態調査結果」および「過労死等に関する実態把握のための社会面の調査研究事業報告書(みずほ情報総研、2015年度調査)」によれば、特別条項付き36協定の9割は延長の上限を月100時間未満にしている(延長の月平均は両調査とも78時間)。それだけに、「100時間未満」の上限設定は、特別条項付き36協定を締結している企業の大部分において延長時間の引き上げを誘発する危険が大きい。

7 残業限度基準に関する適用除外制度の見直しを先送り

これまで建設事業や運転業務や研究開発業務は、時間外労働の延長の限度基準の適用が除外されてきたために特別に労働時間が長く、過労死が多発してきた。そのために適用除外制度の見直しが求められてきたが、「実行計画」では、新たに加えられた医師の業務とともに、少なくとも向こう5年間は適用除外制度の見直しが先送りされた。

8 罰則強化、割増率引き上げ、監督官の大幅増員を回避

今回の「実行計画」では、長時間労働の解消のための懸案の課題であった違法な時間外労働に対する罰則の強化も、時間外労働の割増賃金率の引き上げも、労働基準監督官の大幅な増員も回避されている。

9 過労死防止法に逆行

 同法の規定では、厚生労働大臣は大綱の作成・変更や法の見直しに際して、「過労死等防止対策推進協議会」の意見を聴くことになっている。協議会では大綱策定にあたって36協定の見直しや勤務間インターバル休息規制の導入についても議論した。しかし、今回の「実行計画」にしたがえば、今後は労働時間制度のそうした見直しを議論することさえ封じられる恐れがある。

 10 私たちの要求

 私たちは、労働者のいのちと健康および家族生活を守る立場から、今回打ち出された「実行計画」に反対し、政府・厚生労働省に対して以下の5点の実現を強く求める。
 

1日8時間、1週40時間の法定労働時間を基本として、現行の36協定による時間外労働の限度に関する基準(週15時間、月45時間、年間360時間)を労基法に明記し、追加的延長のための特別条項を廃止する。

EU(欧州連合)並の勤務間インターバル休息規制を導入する。

建設事業、運転業務、研究開発業務などに関する残業の上限規制の適用除外制度を速やかに廃止する。医師の業務の適用除外扱いはしない。

上限規制の実効性を確保するために、使用者に正確な労働時間の把握・記録・保存を義務づける。

違法な時間外労働に対する罰則の強化、時間外労働の割増賃金率の引き上げ、および労働基準監督官の大幅な増員を実施する。

深夜交替制勤務についての統計調査を定期的に実施する。

「高度プロフェッショナル(残業代ゼロ)制度の創設」と「企画型業務裁量労働制の拡大」を撤回する。また、現行の裁量労働制が労働時間管理を弱め長時間労働を助長する機能を果たしていることから、その廃止を含め、抜本的な改革を実施する。 
 

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 「労働憲法」といわれる労働基準法が今月、公布から七十年を迎えました。同法の生い立ちを振り返り日本の長時間労働問題を考えてみたいと思います。
 
 「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」
 
 一九四七年四月に公布された労働基準法(労基法)第一条は、こううたっています。当時の最低労働条件の国際水準を取り入れ、男女の別なく全産業を対象とし労働時間を一日八時間、一週四十八時間と定めた画期的な法律でした。
 
◆民主主義の根底培う
 第二次世界大戦が終わると、米軍の占領下で一連の民主化が始まります。四六年には新憲法が公布され、第二五条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と規定します。この条文が、冒頭に引用した労基法一条に反映されます。加えて憲法二七条は、賃金、就業時間、休息などの労働条件の基準は法律で定めるとしました。

公布から一年後に出版された「労働基準法解説」で、当時の労働省労働基準局課長の寺本廣作氏は次のように記しています。
 
 <民主主義を支えるものは究極において国民一人一人の教養である。国民の大多数を占める労働者に余暇を保障し、必要な物質生活の基礎を保障することは、その教養を高めるための前提要件である。労働基準法は労働者に最低限度の文化生活を営むために必要な労働条件を保障することによってこうした要件を充たし、我が国における民主主義の根底を培わんとするところにその政治的な制定理由を持つ>
 
 しかし、労基法には大きな欠陥がありました。三六条です。労働組合またはそれにかわる過半数代表と時間外労働に関する労使協定を結べば、無制限に長時間労働をさせることが可能になるというものでした。
 
◆生まれながらザル法
 森岡孝二関西大名誉教授は「労基法は生まれながらにしてザル法だった」と指摘します。そして、欧州諸国にはないこの規定が、今日、世界で最悪レベルにある日本の長時間労働の根源にあります。
 
 森岡氏が総務省の「社会生活基本調査」と経済協力開発機構(OECD)の統計から分析したところ、日本の男性正社員の総労働時間は年二千七百六十時間(二〇一一年)で、ドイツ、フランスより実に六百時間超多いのです。六百時間といえば、一日八時間労働として七十五日分、多く働いている計算です。
 
 日本は本当に先進国と言えるのでしょうか。しかも、この水準は一九五〇年代半ばから変わっていないそうです。
 
 労基法は八七年、大きな転換点を迎えます。一週四十時間制の導入です。政府は「働き方を他の先進国並みに変える歴史的なもの」としていましたがこれも労働時間の短縮に結び付きません。平日の残業が増えただけだったのです。
 
 それどころか同時に、労使で定めたみなし労働時間を超えても残業代が払われない「裁量労働制」や「事業場外みなし労働制」が法律上、導入されます。両制度は実際に何時間働いたかを問わないためサービス残業を生みやすく、過重労働を招くと批判されています。

八〇年代後半から過労死が社会問題化してきます。全国各地に「過労死を考える家族の会」が結成され、海外のメディアでも日本語がそのまま「karoshi」として紹介されるようになりました。過労死・過労自殺者数は近年、年間二百人前後で推移しています。国際社会においても、恥ずかしい限りです。
 
 「日本の働き方を変える歴史的な一歩である」
 
 安倍晋三首相は先月末、働き方改革実行計画を取りまとめた会議の席上、こう胸をはりました。
 
 これまで“青天井”だった残業時間に、罰則付きの上限を設け法定化する。長時間労働の是正に向け大きく前進すると期待していましたが、政労使の合意には失望しました。

残業の上限を年間七百二十時間(休日労働を含まず)の枠内で、「一カ月百時間未満」「二〜六カ月平均八十時間以内」としたのです。これはまさに、過労死の労災認定基準です。過労死するようなレベルの長時間労働に、政府がお墨付きを与えるようなものです。
 
◆生活・仕事の両立疑問
 法定の労働時間が週三十五時間のフランスでは、残業の上限を年間二百二十時間と定めています。日本の三分の一以下なのです。
 
 政府は、当初「欧州並み」に労働時間を抑え、育児や介護など家庭生活と仕事の両立を容易にするという目標を掲げていました。
 
 速やかに残業の上限引き下げに向けた次の議論を始めることを、政府に求めます。
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            スコット・ノース(大阪大学人間科学研究科教授) 

 

36協定の交渉は、対等ではない」。24年間ほど前に、同志社大学の辻村一郎教授が教えってくれた。当時、私は、過労死問題を研究するため、大学院交換留学性として日本に来ていた。「労働者の代表の立場は弱い。経営側の相手は、目上の管理監督者だから。専務や常務、取締役など、ステータスの高い人物が企業の生産目標を達成するために必要な時間外労働を説明する。これに対して労働側はノーと言えない。これで過労死を生み出す労働環境が可能になる。」と先生がおっしゃった。

 

今回の「政労使」の合意案においては、時間外労働の計算基盤は、現行法の1日と1週間の代わりに、1ヶ月間と1年間になっている。別枠扱いの休日労働を含めれば、年間960時間の時間外労働が可能になる。月に100時間「未満」、数ヶ月にわたって月に80時間「以内」の残業が許される。言うまでもないが、このような長時間労働は労働者の心身を滅ぼす点で、過労死認定の労災基準を満たす。

 

合意案が法律になると、36協定の意味も変わってくる。現行の制度では、交渉とはいえない交渉だが、とにかく労働基準法に適合するように「事業所ごとに」36協定が結ばれている。しかし、「働き方改革実現会議」の検討結果を受けて、時間外労働の上限が設定されると、従来、多くの企業の特別条項付き36協定(業務の繁忙などを理由に特別な延長を認める協定)に盛り込まれていた「延長の上限」と大差のないかそれ以上の長時間残業が、法律で認められることになる。ある意味では企業単位の特別延長時間が「全国一律の法定時間」に一般化されるとも言いうる。

 

合意案によっても、36協定や特別条項付き36協定の締結の必要性がなくなるわけではない。合意案によって、上限が規制されて延長に歯止めがかかるかのような報道もあるが、その見方は甘い。現行制度では、特別条項付き36協定を結んでいる企業の平均延長時間は月77.5時間(2013年厚労省調べ)で、月100時間はもちろん80時間をも下回っているが、「月100時間未満」が可とされれば、たとえばこれまで上限を月70時間としていた企業は、80時間、90時間、さらには99時間に引き上げる可能性がある。

 

「働き方改革実会議」の議論について読んでいたら、かつて辻村先生がおっしゃっていたシーンが浮かび上がった。今回の合意案にいたるプロセスと各企業で行う36協定の交渉は似ている。批判する声、例えば過労死の遺家族を排除し、労働者の唯一の「代表」は、ノーと言えない連合の神津氏にした。肩書きの偉い管理監督者を演じたのは、安倍総理と閣僚のメンバー。そして、自分の手を汚さない財界の黒幕として経団連の榊原会長がいる。

 

「働き方改革実現会議」における時間外労働の交渉から「初めて上限規制が設けられた」ことが成果として報じられているが、「労働者代表」とされている連合は、加盟組合員数では、全国の労働者総数の1割程度しか代表していない。全国レベルでは「労働者の過半数を組織する労働組合」に当たらない。しかも、「事業所別」の合意ではなく、圧倒的に財界優位の政府内での一方的な交渉結果だったので、現在日本の本当の権力関係が露出。今回の芝居によってできた「政労使」の合意案が法律化されれば、労働者の生活と健康をも守ろうとする強い労組の事業所でも、労働者の自治権はさらに侵害される恐れが生じるではないだろうか。

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          兵庫県立大学客員研究員

              大阪損保革新懇世話人 松浦 章

 

322日の参議院・厚生労働委員会で小池晃議員(日本共産党書記局長)が損保ジャパン日本興亜の違法な労働時間制度を取り上げました。同社では、4年目以上の総合系、専門系、技術調査系職員6,000人以上に「企画業務型裁量労働制を導入しています。その規模もさることながら、問題は職種です。本来「企画業務型裁量労働制」の対象外であるはずの、営業や保険金サービス(自動車保険などの損害調査・保険金支払い)の職員に対しても、この制度が広く適用されているのです。

 

厚生労働委員会での質疑は概ね以下のとおりです。

〈小池晃・参議院議員〉

「損保ジャパン日本興亜の人事部資料を見ますと、企画業務型裁量労働制の対象として「営業」とはっきり書かれております。これは明らかに対象外だと思います。実際、労働者へ聞いたところ、支店とか20人から30人程度の支社の一般の営業職にまで企画業務型が導入されている。指針では、これ、対象要件は、支店、支社の場合も、本社の具体的な指示を受けることなく独自に事業の運営に大きな影響を及ぼす事業計画や営業を計画する。もうとてもそんなことできない職場だと思いますよ、この今の支店、支社。これ直ちに調査すべきじゃないですか」

〈山越敬一・労働基準局長〉

「個別の事案に関することについてのお答えは差し控えさせていただきたいと思います。一般論といたしまして、企画業務型裁量労働制の対象業務外に従事されている方の場合には通常の労働時間管理の下で行っていただく必要があるわけでございます。労働基準監督署といたしましては、いずれにいたしましても、法に違反するような事実が確認された場合にはその是正について指導を行ってまいりたいというふうに思います」

〈小池晃・参議院議員〉

「個別企業の問題は答えられないといつも出てくるんですけれども、大臣、 

これ実は、政府は昨年12月に、損保ジャパン日本興亜を『女性が輝く先進

企業』として総理大臣表彰を行っているんですよ。個別企業を表彰しておい

て、問題があると指摘すると個別企業のことは言えないというのは御都合主

義だと私思います」

〈塩崎恭久・厚生労働大臣〉

「個社の問題についてはコメントは差し控えたいと思いますけれども、実際、

企画業務型裁量労働制と銘打っていながら必ずしもその法律の趣旨並びにそ

の定めに合っていないというものについては、当然、不適切な運用でありま

すから、これは労働基準法違反ということを確認された場合には当然しっか

りと指導して、厳しく指導していかなきゃいけないというふうに思います」

 

塩崎厚労大臣はまた、現行労働基準法における「企画業務型裁量労働制」の規定は「(営業は)自社の経営そのものに影響を与えるような先であったり、あるいは事業場でも全体に影響を与えるようなものに限られる」と答弁しました。

そのとおり、厚生労働省労働基準局監督課の通達(厚労省ホームページ「裁量労働制の概要」)を整理すると、次の3要件をすべて満たす業務と言えます。

   会社運営の企画、立案、調査分析の業務

   仕事の進め方を大幅に従業員に任せる業務

   時間配分について上司が具体的な指示をしない業務

したがって、会社をあげて行う企画の内容を考える主体となったり、新しく参入する事業を検討したりするなど、会社の「舵取り」にかかわる仕事がこれに該当すると考えられます。指示を受けて行う単純な事務仕事等は対象とはなりえません。また上司に勤務時間を管理されているような仕事に対しては適用できないことになります。だから、あの「電通」ですら、現行の労働基準法ではハードルが高いと、「営業」職への「企画業務型裁量労働制」導入を断念せざるをえなかったわけです。

 

損保ジャパン日本興亜も規定上は「事業運営上の重要な決定を行う事業場において企画・立案・調査および分析の業務を行う者が、業務遂行において、自らの裁量により手段や時間配分などの決定を行う制度」としています。労働時間管理についても「成果達成に向けて自己の裁量で自由に勤務。・・・自己の裁量により正午までの間で出社時間を自由に決めることが可能」と「自己の裁量」を強調しています。

しかし6,000人もの労働者すべてが「事業運営上の重要な決定を行う事業場において企画・立案・調査および分析の業務」に携わっているのでしょうか。およそ考えられません。また入社4年目の社員と言えば、2627歳です。これらの若い社員が「自己の裁量で自由に勤務」できるものでしょうか。これも少し考えただけでわかることだと思います。

 

問題にすべきは「企画業務型裁量労働制」だけではありません。同社では、裁量労働制の対象にならない入社4年未満などの営業・保険金サービス部門2,000人に「事業場外労働制」を適用しています。この制度は「事業場外で業務に従事した場合、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものと」(労基法第38条の2みなすものです。しかし損保の営業や保険金サービスの仕事は、けっして労働時間の把握が困難なものではありません。営業であれば代理店を訪問することが中心業務です。行き先ははっきりしており連絡も簡単に取れる状況にあります。制度導入自体、労基法違反と言わなければなりません。この制度により、外出する日は、どれだけ働いても1日の労働時間は「みなし労働時間」の8時間しかカウントされないのです。結果、多くの労働者がサービス残業を余儀なくされています。

 

また同社の場合、「管理監督者」の多さも指摘しなければなりません。労働基準法第41条は、いわゆる「管理監督者」について、労働時間、休憩および休日に関する規定の適用の除外を認めています。しかし2008年の厚生労働省の通達で、管理監督者とは「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者」を言い、役職名で判断するものではないとされています。つまり課長だから「管理監督者」というわけではないのです。しかし同社は、「経営者と一体的な立場」とは到底考えられない多くの課長クラスをも「管理監督者」とし、一切の残業料を支払っていないのです。

 

これら「管理監督者」「企画業務型裁量労働制」「事業場外労働制」を合計すれば、約18,000人の同社職員のうち、実に6割の労働者が残業料支払いの対象外となっています。もはや相対的に高賃金の労働者には「残業」という概念はないということです。

これこそ、「労働時間概念」を捨て去ろうとする政府・財界の労働法制「改正」を先取りするものだと言わなければなりません。

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兵庫県立大学客員研究員

         大阪損保革新懇世話人  松浦 章

 

 

安倍内閣は、女性の活躍を打ち出しています。「一億総活躍社会」の実現、特に女性が活躍する社会の創出は、政府の経済政策、いわゆる“アベノミクス”が掲げる重要なテーマのひとつです。

 

損保各社でも、「ダイバーシティ」(雇用の多様性)を掲げ、女性が働きやすい諸制度が完備されていることをうたい文句にしています。しかし現実はどうでしょうか。

損保大手3社の従業員構成を見てみます。

  東京海上日動

グローバル、エリア、その他:サポート社員(有期・時給制、2018

に無期化予定)

  損保ジャパン日本興亜

総合系グローバル、総合系エリア、アソシエイト

  三井住友海上

全域社員、地域社員、アソシエイト社員  

その他:スタッフ社員(有期・時給制)

 

その名称は多少異なるものの、ほぼ共通した区分となっています。特徴は、いわゆる「一般職」を「エリア」とか「地域社員」といった名称で、〈転居を伴う転勤のない総合職〉に「格上げ」し、従来の「総合職」の仕事を肩代わりさせていることです。同様に、パート社員については、無期化する、有期であっても処遇を若干引き上げるなどによって従来の「一般職」の仕事を担わせようとしています。もちろんこれは女性だけの問題ではありません。これまでのように正社員だからと長時間・高密度労働を求めるだけでなく、男性が中心の全国型グローバル社員には、「あなたはグローバルだから」とより一層ハードな働き方を要求する事態が生まれているからです。

 

問題は、「エリア」や「アソシエイト」と呼ばれる社員の大半が女性だということです。女性が転居を伴う転勤が困難なことを前提に「エリア」という制度を設け、賃金格差を「合理化」しているのだとすれば、「女性活躍」ではなく低賃金での「女性活用」制度だと言わざるをえません。

 

 損保業界のリーディングカンパニーと言われる東京海上日動の状況を見てみましょう。同社のCSRレポートでは、女性の活躍推進の取り組みとして「短時間勤務制度」や「勤務時間自由選択制度」を設け、育児との両立支援を行っていることを誇らしく語っています。現実に制度そのものは素晴らしいでしょう。では、その制度は本当に生かされているでしょうか。

同社では、「育児をしながら仕事をすることを選んだ皆さんに」と、人事企画部が『ママパパ☆キャリアアップ応援制度ハンドブック』なるものをつくっています。この「ハンドブック」は、「おめでとうございます!体調はいかがでしょうか?」で始まりますが、次のページではいきなり、「育児をしながら働く環境を整備する努力をまずは自ら行いましょう」ときます。そして、「例えば、当社の所定労働時間は9001700であることから、出産休暇・育児休業からの復帰時には、まずは様々な工夫をして9001700の勤務ができないかどうか努力してみる等の取り組みをお願いします」と書かれています。

「すばらしい」同社の「育児時間制度」はいったいどこへ行ったのでしょうか。その前に、労働基準法第67条で定められた11時間の「育児時間の取得」はどうなっているのでしょうか。 

憲法学者の木村草太さん(首都大学東京教授)は、次のように述べています。

「法以外の規範の特徴は、『普遍性を持たない』ことにある。つまり、特殊

集団のための規範だ。・・内部ルールはいくらでも自由に定めてよい、とい

うものではない。あくまでも法に違反しない範囲で定めなければならない。

たとえば、ある会社で、残業手当を払わないという規則があったとしても、

それは労働基準法違反で許されない」(『現代ビジネス』2016116日)

まさに、東京海上日動の現実の姿を指摘した言葉です。

 

さらにこのパンフでは、次のように「職場メンバーへの感謝の気持ちを行動で表す」ことを求めています。

「皆さんを頑張って支えてくれているメンバーの存在を意識してください。

支えてくれているメンバーに感謝の気持ちを持ち、自分ができることは最

大限自分で行いましょう。また、フォローしてくれたメンバーに対して、

困っている時には積極的に手助けするようにしましょう」

しかしそんなことを言われなくても、多くの女性は、「権利だから育児時間を取ります」ではなく、「周りがみんな忙しくしているのに申し訳ない」といった思いで育児時間を使い(帰れる場合は)早く帰っているのです。そこに「感謝の気持ちを行動で」と追い打ちをかける東京海上日動のやり方に女性への思いやりやリスペクトの姿勢を感じることはできません。

 

同社では、産休前に上司との面談が必須で、「保育所のほかにも緊急時に備えて病児保育などの利用を申し込みましたか」、「身内や知り合いで育児を手伝ってもらえる人はいませんか」、などの質問に対しての回答を面接シートへ記入しなければならないそうです。

これこそ、「個人の尊重」をないがしろにし、かつ、自民党改憲草案24条の「家族は、互いに助け合わなければならない」という条文を先取りして、女性に一方的な自助努力を押し付けるものと言わなければなりません。

 

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