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「無期雇用はお勧めできません」――ある派遣社員が法改正に翻弄された現実

6/21(金) 6:44配信 ITmedia ビジネスオンライン
 
 派遣という雇用形態で働く人を取り巻く環境が大きく変わりつつある。きっかけは2015年9月30日に施行された改正労働者派遣法(以後、改正派遣法)。同じ職場で働ける期間の限度が、原則3年間と定められた。
 
【画像】雇用者全体に占める派遣社員の割合は?
 
 同時に派遣会社には、働く人の雇用の安定と、キャリアアップを図るための措置が義務付けられている。派遣会社は働く人が同じ職場での勤務を希望した場合、派遣先の企業に直接雇用を依頼するか、派遣会社自体が無期雇用するなどの対応をしなければならない。
 
 施行から3年以上が経過し期間制限が適用されるなか、働く人の「雇用の安定化」と、「キャリアアップを図る」という法律の趣旨の通りに対応がなされているのか、その実態は不明だ。
 
 今回、長年派遣で働き、19年で3年の期限を迎えた30代の女性に話を聞くことができた。彼女の話から、派遣で働く人が、今回の法改正によって翻弄されている実態が浮かび上がってきた。
 
無期雇用に消極的な担当者
 「無期雇用をご希望されているということですが、無期雇用はあまりお勧めできませんね」
 
 改正派遣法の施行から3年が経過しようとしていた18年夏、派遣で働く30代女性のAさんは、大手派遣会社の担当者からこう告げられた。
 
 Aさんは12年にこの派遣会社から外資系の企業に派遣された。産休と育休を取得し、15年に復職後も引き続き同じ企業に勤務している。企業からは直接雇用の話も出ていたが、社内の事情で頓挫したため、Aさんは派遣会社に無期雇用されることで、同じ企業で引き続き働きたいと希望していた。
 
 ところが、派遣会社の担当者は無期雇用を勧めようとしない。担当者はAさんに対し、勧めない理由を次のように説明した。
 
 「無期雇用になっても、いまの会社で働けるとは限りませんよ」
 
 「違う会社で働くことになった場合、通勤時間が片道2時間以内の範囲であれば、その会社で働くことを拒否できません」
 
 担当者の説明はさらに続く。その内容はAさんにとっては不利益なものばかりだった。
 
 「無期雇用に転換して、やっぱり嫌だと思ってやめる場合は、退職になります。退職になると、1年間は有期雇用として別の派遣先を紹介することはできません。これは“決まり”です」
 
 退職という形になってしまうと、これまで加入してきた雇用保険もリセットされてしまう。あえて不利益な内容を説明するのは、担当者が無期雇用にしたくないからだろうとAさんは感じた。
 
 話し合いが終わった後、Aさんは担当者の説明が正しいのかどうかを確認しようと、派遣会社のWebサイトを見た。ログインして自分専用のページを確認しても、無期雇用に関する説明はなかなか見つからない。派遣会社に電話で問い合わせながら、画面下にスクロールしていくと、ようやく一番下の方に改正派遣法のことがほんの少し書いてあるだけだった。登録している派遣会社が無期雇用に消極的な姿勢であるのだと受け取らざるを得なかった。
 
 それでもAさんは、現在勤めている派遣先の企業は働きやすいので、職場を変わりたくなかった。状況を企業の上司に相談すると、「私たちもAさんに残ってほしいので、派遣会社が無期雇用にして引き続き働けるようにお願いする」と言い、すぐに派遣会社に連絡してくれた。これでいままで通りに働けるのではとAさんは希望を持った。
 
10年も働いているのに時給ダウン?
 すると10月になって派遣会社の担当者の態度は一変した。担当者は前回の説明がなかったかのような態度で「無期雇用スタッフになりましょう」と言ってきた。手のひらを返すような態度に、Aさんは不信感を抱いた。
 
 その不信感は、契約の条件を聞いた時にさらに膨らんでいく。担当者はAさんに、時給のダウンを提示してきたのだ。現在の時給よりも70円減額し、その代わりにこれまではなかった交通費を支給するので、総額ではいまの手取りとほとんど変わらない、と担当者は説明した。
 
 ただ、交通費は日割り計算なので、有給休暇を取った時には支払われない。保育園と小学校に通う子どもがいるAさんは、子どもの病気や保護者会などで確実に有休を取るので、手取りは実質的にダウンになる。
 
 Aさんがいまの時給になったのは、派遣先の企業が3年前の育休復帰後に、最初の時給よりも約1割上げてくれたからだった。その時は派遣会社の当時の担当者も喜んでくれた。それなのにこのタイミングで70円減らされることには違和感があった。
 
 しかもAさんは、現在の企業と以前派遣されていた企業をあわせると、ほぼ10年にわたってこの派遣会社に所属している。派遣先とトラブルを起こすこともなく、人間関係も良好だった。それだけに担当者の態度にはショックを受けた。
 
 「10年働いてきたのに、こんな扱いをされるのだなあと、残念な気持ちになりました。この派遣会社は、派遣社員を大事にしていないのだと感じましたね」
 
 派遣会社に不満を持つものの、いまから派遣会社を変えると、現在20日ある有休がなくなってしまう。時給が下がるのは納得できないが、従うしかない――。そう考えてAさんは条件を飲み、無期雇用に切り替えることを決めた。
 
 すると年末、Aさんと同じ派遣会社から同じ職場に派遣されている2人が、別の派遣会社に移籍することを知った。Aさんと同様の不信感を派遣会社に持ったからだった。Aさんは次の契約からは無期雇用となることを予定していたが、2人に紹介されて別の派遣会社の説明会に参加した。
 
派遣会社で全く違う条件
 同僚2人は条件面などを鑑みた結果、人財サービス会社のアデコに移籍した。Aさんもアデコに相談すると、現在の時給はそのままで、その上で交通費が支給されるという。しかも、本来であれば有休はゼロからスタートするが、最初から年間10日の有休を取ることができるといった条件を聞いて、Aさんは移籍を決意した。
 
 派遣会社の移籍を派遣先の企業に相談すると、快く応じてくれた。さらに時給が当初の金額よりもアップすることが決まった。企業とアデコの双方が、Aさんが長年働いてきたことを評価したからだった。
 
 Aさんはこれまで所属していた派遣会社と4月から無期雇用の契約にすることに決めていたが、派遣先の企業が契約期間を19年3月までに短縮してくれて、契約を4月から切り替える手続きを進めてくれた。Aさんに無期雇用を勧めなかった先述の担当者は、年末で派遣会社を退職していた。新しい担当者に移籍を申し出たところ、すんなりと受け入れられ、「他の派遣会社の方が条件がいいですよね」と言われただけ。特にトラブルもなく円満に派遣会社を移ることができた。Aさんは4月以降も同じ職場で引き続き働いている。
 
「偶然」に委ねられたキャリア
 Aさんは昨年夏の派遣会社とのやりとりから、移籍できるまでの経過を振り返って、幸い同じ職場で働けるようになったものの、法改正に振り回されたと感じる部分も少なくない。
 
 「円満に移籍できたのは、同僚2人の移籍を知って説明会に参加したことや、派遣先の企業も快く応じてくれるなど、いろいろな幸運が重なったからです。自分にとっていい形で契約できたのはたまたまではないでしょうか。思い通りにいかず、大変な思いをしている人も多いと思います」
 
 アデコは昨年9月、全国の企業や団体で派遣社員として働いている500人に、無期雇用などに対する関心などをインターネットで調査した。
 
 「今後、無期雇用の派遣社員として働きたいと思いますか」という質問に対して、「思う」と答えた人が18.4%、「どちらかといえば思う」が39.0%。つまり約6割の派遣社員が将来的に無期雇用の派遣社員として働くことを希望しているのが分かる。
 
 一方で、「改正派遣法について、どれくらい知っていますか」との問いには、「まったく知らない」と答えた人が43.0%もいた。
 
 Aさんのように、派遣会社によって無期雇用への対応や時給などで異なる条件を提示された背景には、改正派遣法が、働く人だけでなく派遣会社にも正しく理解されていないことが考えられる。時給のダウンは、キャリアアップ措置を義務化した法律の趣旨に反する可能性もあるからだ。
 
 派遣会社の関係者に話を聞くと、改正派遣法に対する対応は、会社によってそれぞれ異なっているという。派遣先の企業に直接雇用するように交渉して紹介料を得るところもあれば、働く人に有期雇用を勧め、その代わりに派遣先企業を増やすことに力を入れている会社もある。つまり、必ずしもAさんのように働く人の希望が通るとは限らないのが実態なのだ。
 
働く人のメリットを考えた「法改正」なのか
 非正規で働く人の無期雇用化を促す法律には、13年4月に施行された改正労働契約法もある。5年以上同じ職場で勤務した場合、無期雇用への転換を申し込める。しかし、施行から5年を迎えた18年4月の前後には、無期雇用化を阻止する目的での雇い止めが特に大学などで問題視された。
 
 改正労働契約法と同じく、派遣社員の無期雇用化を大きな目的とする改正派遣法は、施行から3年半が経過したが、法の趣旨通りに派遣社員の待遇改善が行われているのかどうか、現状では企業の実態はよく分かっておらず、そうした報道もあまり見かけない。
 
 Aさんは派遣社員として長年にわたって働いてきた。そのAさんからみても、改正派遣法が派遣で働く人のためになり、多くの人の希望をかなえる形になっているのかについては疑問を感じている。
 
 「派遣法の改正がなかったら、何事もなく以前のまま働いていたと思います。私が感じている派遣で働くことのメリットは、定時で帰れることと、子どもの病気や保護者会などで仕事を休むために有休が使えることです。仕事と家庭が両立できるメリットと、契約期間があるデメリットを天びんにかけた上で、派遣を選んでいるのです。
 
 仮に派遣先の企業に直接雇用された場合、私が働いているのは外資系の企業ですから、夜中にも海外社員とのビデオ会議があるなど、勤務時間も変わってくるかもしれません。まわりの社員がいままで通りでいいよと言ってくれても、私自身が精神的に辛くなってくることも考えられます。直接雇用は、子育てをしながらといった私のような働き方がしたい人にはとてもハードルが高いのです。
 
 法律を作る人たちは、みんなが正社員で、ボーナスをもらうことがハッピーになることだと考えているのかもしれません。でも実際はそうではなく、派遣で働きたい人がいることを知った上で、派遣法を働く人のための法律にしてもらいたいと思います」
 
「雇い止め社会」を回避するために
 一般社団法人日本人材派遣協会によると、17年1月から3月までの平均の派遣社員数は約129万人だった。雇用者全体に占める派遣社員の割合は2.4%だ。パート社員や契約社員が激増したことで、非正規で働く有期雇用者の割合は現在雇用者全体の37.3%を占めている。一方で派遣社員の割合はここ10年間は大きな変化はない。Aさんのように、派遣社員として長期にわたって働いている人が多いとみられる。
 
 改正派遣法は雇用の安定とキャリアアップを義務化している点で、派遣社員の待遇改善が目的のはずだ。しかしAさんの事例では一歩間違えば不利益を被る可能性があったように、実際には法改正の趣旨とは異なる事態が起きている場合も考えられる。
 
 その原因はいくつか考えられる。1つには先述の調査にもあったように、改正派遣法の周知が十分ではないこと。働く人だけでなく、派遣先の企業、派遣会社の三者が正しく理解して話し合わなければ、円満な契約に至るのは難しいだろう。
 
 もう1つは、派遣先企業と派遣会社の態度によっては、必ずしも働く人が守られない点だ。改正派遣法は、派遣会社と派遣先企業が取り組むべき内容を定めている。しかし、その二者の交渉次第で、働く人が望んでいないのに派遣先の変更や雇い止めが起きる可能性があるのだ。
 
 非正規で働く人の環境を改善することは、18年に成立した働き方改革関連法でも重要なポイントとなっている。特に、雇用形態に関わらず公正な待遇の確保を目的とした「同一労働同一賃金」は、大企業で20年4月から、中小企業で21年4月から導入される予定だ。。
 
 ただ「同一労働同一賃金」が導入される際に、非正規で働く人の雇い止めなどが起きる可能性も否定できない。雇い止めを防ぐためには、雇用の安定がまず確保される必要がある。そのためにも改正派遣法や改正労働契約法の趣旨が守られているのかどうか、実態把握と検証をする必要があるのではないだろうか。働く人を守るはずの法律が、真逆の事態を起こさないために、対策は急務だ。
(ジャーナリスト 田中圭太郎)
 
ITmedia ビジネスオンライン
 
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ロスジェネは「人手不足の穴埋め」 救済策に透ける打算

編集委員・真鍋弘樹 2019年6月17日17時30分
 
写真・図版
2000年代、インターネットで求人を検索する若者たち=東京・渋谷のハローワーク
 
写真・図版
 
 「ロストジェネレーション」という呼び名を、これほど長期にわたって使い続けるとは思ってもみなかった。
 
心身ぼろぼろロスジェネ、迫られる再挑戦 日本の命運は
 1993年から2004年ごろまで新卒の求人倍率が極めて低かった時期に社会に出た世代。第2次ベビーブームの団塊ジュニアを含む約2千万人である。朝日新聞が07年1月に同名の企画を連載し、この名が広まった。就職氷河期世代と呼ばれることも多い。
 
 就職活動の時期にずれもあるため、現在は33歳から48歳ぐらいだ。社会の屋台骨として活躍する年頃だが、少なからぬ人が不安定雇用や低賃金にあえいでいる。今も「ロスト=失われた」世代という名が当てはまってしまう。それが、この世代の現実なのである。
 
 シンクタンクの日本総研がロスジェネ世代の苦境を詳細に浮かび上がらせた。男性では非正規雇用や、無業で求職もしていない非労働力人口の割合が年長世代よりも高く、中高年引きこもりの増加とも関連しているとみられる。賃金面でも、正規雇用を含めて他世代より低い。
 
【特集ページ】ロスジェネはいま
就職氷河期に世に出た世代を放置して、日本社会は大きなリスクを負った同様の世代を再び生まないためにも、日本の雇用システムは刷新が必要だ自己責任と突き放さず、個人の状況に即した多様性のある支援策を講じたい
 
 今この世代に注目が集まるのはなぜか。巨大な人口の塊を不安定な状況に置き、日本社会はボディーブローのようにダメージを受けているからだ。
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 <モノ運びの陰で>(上) 続く長時間労働

「これからも家族4人、幸せでいよう」とつづられた息子への手紙
中日新聞 2019年6月17日
 
〔写真〕 真新しい中学校の制服に初めて袖を通したのは、父親の葬儀の日だった。
 
 愛知県内の小学校卒業を翌月に控えた昨年二月末。インフルエンザにかかった少女が一人休んでいると、父親が部屋に来て添い寝をしてくれた。職場の運送会社を抜け出してきたのだという。家にいたのは二、三時間だったか。午後十時ごろ、職場へ戻っていった。
 
 翌朝、父親は会社で倒れているのが見つかった。死因は致死性不整脈。三十七歳だった。妻と娘、息子の三人が残された。
 
 運送会社で働いて四年。毎日のようにハンドルを握って県内の契約先を回る傍ら、事業所の所長代理として労務の仕事も任された。会社に泊まり、ソファで寝るのが習慣になった。夜中も荷物を運ぶ自社便の運行管理のためだ。家に帰るのは二、三日に一度。それも「シャワーを浴びるだけだった」と妻は言う。
 
 労働基準監督署は、男性が亡くなって八カ月後の十月、労災と認定した。亡くなる直前六カ月の平均時間外労働時間は、「過労死ライン」とされる月八十時間が常態化していた。
 
写真
 トラック運転手の過労死数は、突出している。全国自動車交通労働組合総連合会が、厚生労働省による二〇一七年度の過労死の労災認定件数、総務省の労働力調査のデータを基に分析したところ、労災と認められた過労死は十万人当たり四・六四人。全産業の過労死〇・四七人の九・八倍に上る。一六年度も一〇・一倍と傾向に変わりはない。
 
 背景には、仮眠の時間なども含めた乗務開始から終業までの「拘束時間」が長いことがある。拘束時間や、終業から次の運行までの休息期間について厚労省が定めた「改善基準の告示」では、一日の拘束時間を十三時間以内、最大でも十六時間以内などとしている。ただ、同省などが一五年、全国のトラック事業者約千二百五十社、運転手約五千人について調べたところ、36・6%が十三時間を超える結果に。中でも五百キロ超の長距離運行では、43%が十六時間を超えていた。
 
 拘束時間が長くなる要因の一つは、運転時間以外にも荷物の積みおろしがあったり、荷主の都合で待ち時間が生じたりすることだ。国土交通省は一七年七月から、常に荷待ち時間が発生するなど悪質な荷主については名前を公表するなどの対策を始めたが、効果が出るかどうかはこれからだ。
 
 四月に施行された働き方改革関連法には、残業時間の上限付き罰則規制が盛り込まれた。だが、運送業への適用は二四年四月まで先送りに。東京五輪に向け物流が活発化し、さらなる人手不足が見込まれるためだ。適用される上限も「年九百六十時間未満」だけで、他業種の「月百時間未満」「年七百二十時間未満」などに比べて緩い。業界団体は独自のアクションプランを策定。施行までの目標達成を目指し取り組んでいる。
 
 亡くなる少し前、男性が息子に宛てて書いた手紙がある。そこには、家族への思いがつづられていた。
 
 「これからも家族四人、幸せでいよう」
 
      ◇
 
 長時間労働と低賃金に苦しむトラック運転手たち。モノづくりで発展してきた日本で、作ったモノを運べなくなる−。深刻な人手不足を背景に、物流危機が叫ばれている。国を挙げた働き方改革の流れからも取り残された感のある現場を見た。
 
 (三浦耕喜)
 
 =次回は二十四日
 
 
 
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 子育て支援策 新レポート 「家族にやさしい政策」で先進国を順位付け

上位はスウェーデン、ノルウェー、アイスランド
日本は父親の育児休業制度1位、取得率は低い
 
日本ユニセフ協会 【2019年6月13日  ニューヨーク発】
 
ユニセフ(国連児童機関)は本日発表した報告書の中で、データが入手可能な31の先進国のうち、最善の「家族にやさしい政策(family-friendly policies)」を有している国として、スウェーデン、ノルウェー、アイスランド、エストニアおよびポルトガルを、逆に政策が最も不十分である国としてスイス、ギリシャ、キプロス、英国、アイルランドを挙げています。
 
「家族にやさしい政策」で先進国を順位付け
『先進国における家族にやさしい政策(原題:Are the world’s richest countries family-friendly? Policy in the OECD and EU)』
 
ユニセフのイノチェンティ研究所が作成した報告書『先進国における家族にやさしい政策(原題:Are the world’s richest countries family-friendly? Policy in the OECD and EU)』は、経済協力開発機構(OECD)または 欧州連合(EU)に加盟する国を、「家族にやさしい政策」を基準に順位付けしています。家族にやさしい政策には、両親の有給育児休業期間や、0歳から6歳までの子どものための就学前教育・保育サービスなどが含まれます。
 
報告書は、ユニセフによる乳幼児期の子どもの発達に関する政策およびプログラムの一部として、また、幼い子どもを持つ家族が子どもの健康な脳の発達に必要な養育環境と、良い刺激となる経験を子どもに提供できるよう支援することを目的とし、今年で3年目に入ったキャンペーン「すべての子どもにとって"はじめ"が肝心(Early Moments Matter)」の一環として作成されました。
 
「子どもたちの脳の発達にとって、ひいては彼らの将来にとって、人生の最初の時期より重要な時期はありません」とユニセフ事務局長ヘンリエッタ・フォアは述べました。「各国政府は、親が幼い子どもたちのための養育環境を整えるのに必要な支援を提供しなければなりません。そして、それを実現するためには民間セクターの協力と影響力が必要なのです」
 
家族にやさしい政策は、親子の絆を強め、家族や社会の結びつきを強めます。ユニセフは、両親が少なくとも6カ月間の有給育児休業(全額支給ベースに換算した期間。本信および報告書ではすべて同様)が取得できること、生まれた時から小学校にあがるまでのすべての子どもが通うことが可能な、質の高い、安価な就学前教育・保育サービスを提唱しています。ユニセフは「すべての子どもにとって"はじめ"が肝心キャンペーン」と合わせて、各国政府、市民社会、学識者、および政策に重要な影響力をもつ民間セクターと協力して、家族に対するより多くの投資を奨励しています。
 
有給育児休業取得の厳しい現状
Young family with their first-born child (2 y.o). The father is engaging in reading and playing activities; baby is very responsive and intrigued. The family is supported with counseling, practical pieces of advice and emotional support by a visiting nurse from the UNICEF-supported Center for Maternal and Child Health in Sliven.
© UNICEF/UN039273/Popov
 
看護師が定期的に自宅訪問し、子育てのアドバイスを受けるブルガリアの家族。
 
報告書は、先進国41カ国における両親の育児休業制度について分析し、母親が少なくとも6カ月間の有給育児休業期間を取得できる国は全体の半数にとどまっていると指摘しています。
 
母親に最も長い有給育児休業期間を提供しているのはエストニアで85週間、次いでハンガリーが72週間、ブルガリアが61週間となっています。米国は、本調査に含まれる国の中で唯一、母親・父親への有給育児休業に関する政策がない国です。
 
日本は父親の育児休業制度1位、取得率は低い
報告書はまた、父親も対象となる有給育児休業制度があるにも関わらず、多くの父親が取得できていない実情もあきらかにしています。
 
日本は父親に6カ月以上の(全額支給換算)有給育児休業期間を設けた制度を整備している唯一の国ですが、2017年に取得した父親は20人に1人にとどまっています。2番目に長い父親の育児休業制度を有する韓国でも、実際に取得した父親は育児休業を取得した親全体の6人に1人に過ぎません。
 
父親の育児休業制度は、父親と赤ちゃんとの絆を深め、乳児・子どもの健やかな成長、母親の産後うつ症状の軽減、ジェンダー平等の促進に貢献すると報告書は述べています。
 
職場復帰を控えて保育園・幼稚園を探す親の中には、その費用が最大の障害になることがあります。29カ国のデータによれば、3歳未満の子どもを持つ親が、保育園・幼稚園などに入れない理由として費用を挙げた割合が最も高いのは英国でした。一方、チェコ、デンマーク、スウェーデンでは、費用を理由とした人は100人に1人にも満ちませんでした。
 
家族にやさしい政策改善のために
ECD(乳幼児期の子どもの発達)のプログラムを受ける2歳のセルバちゃん。
© UNICEF/UN0312687/Sokol
 
ECD(乳幼児期の子どもの発達)のプログラムを受ける2歳のセルバちゃん。
 
報告書は、各国政府が家族にやさしい政策を改善するための指針を示しています。
 
両親を対象とした少なくとも6カ月間(全額支給換算)の、国全体をカバーする有給育児休業制度を法律で定めること。
家族の置かれた環境に関わらず、すべての子どもが、質の高い、年齢に適した、安価で、アクセスが可能な保育園・幼稚園に通えるようにすること。
育児休業の終了時期と幼稚園・保育所に通い始める時期の間が開かないようにし、子どもたちが中断なく成長していけるようにすること。
母親が職場復帰する前も後も母乳育児ができるように、十分な有給育児休業期間、職場での休憩時間の保証、授乳あるいは搾乳が安全かつ適切に行える場所を確保すること。
各国の家族にやさしい政策に関するより多くのより良いデータを収集し、プログラムや政策をモニターし、各国比較をできるようにすること。
 
 
* * *
 
■データソース
 
本報告書の母親・父親の有給育児休業制度および3歳未満および3歳から小学校就学年齢までの保育園・幼稚園等への参加率に関する分析は、2016年の経済協力開発機構(OECD)および EU統計局(Eurostat)のデータを基にしています。日本における男性の育児休業取得状況に関しては三菱UFJリサーチ&コンサルティング「平成29年度仕事と育児の両立に関する実態把握のための調査」を基にしています。
 
■日本について
 
日本については、比較可能なデータが足りないため、総合順位はついていません。母親のための育児休業制度については16位、父親のための育児休業制度については1位(いずれも41ヵ国中)となっています。
 
■ユニセフ・イノチェンティ研究所
 
イノチェンティ研究所は、世界の子どもたちの権利を推進するユニセフのアドボカシーを支えるために設立されました。子どもの権利と開発に関する諸問題について調査し、ユニセフおよびパートナーのアドボカシー活動の戦略的方向性、政策およびプログラムの形成を支え、特に最も弱い立場にある世界のすべての子どもたちに必要な世界的な調査および政策課題を提供しています。
 
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最低賃金引上げ 労働者より経済界? 政府「骨太方針」年率明記せず 

東京新聞2019年6月13日

政府が11日に公表した経済財政運営の指針「骨太方針」の原案は、就職氷河期世代への支援など労働関連施策が売りだ。ところが、最低賃金(最賃)は、過去3年続いていた「年率3%程度」の引き上げが明記されず、取り沙汰された「全国一律化」も盛り込まれなかった。経済界の意向に沿った形で、政府の本気度を疑う声が上がっている。( 中沢佳子)
 
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つりあいとれません・・・仕事と育児

NHK News Web Easy 2019年6月13日
 
育児をする男性に対する職場などからの嫌がらせ、パタニティ・ハラスメント(パタハラ)が最近ネット上で話題になっています。
どのような行為がパタハラにあたるのかは、それぞれのケースによると思いますが、このサイトには、仕事と育児との兼ね合いに悩む声がとても多く寄せられています。
 
「実家は地方で両親は仕事があり日常的なヘルプは望めません。夫は産後3週間休みを取り、その後も授乳にあわせて朝早く出勤したり仕事のやり方を見直したりして夜の残業を減らし早く帰宅して家事育児ができるよう努力してくれています。が、先日上司から「早く帰れるようなら仕事を増やす」と言われたそうです。男性の育休取得義務化や働き方改革、保育無償化など様々な話題がのぼりますが全て遠い世界のことに思えてなりません」
 
「夫婦共働きで子ども3人を育てています。夫はシフト勤務で土日はほとんど家にいません。平日も夜中に帰宅する日が多いため、夕方帰宅してから寝るまでの一番忙しい時間は私1人で家事育児をこなしています。正直1人で3人を育てる日々はしんどさばかりが感じられ、余裕をなくしがちです。子どもに反抗的な態度を取られると思わず怒鳴ってしまったりすることもあります。どこかに相談したいと思っても、大体が仕事をしている平日日中しかやっていない窓口ばかりで、忙しさに追われて後回しにしてしまいます…」
 
「夫が激務で、平日早朝に出て夜遅く帰ってきます。休日も出勤しているため、家族の時間がもてないです。ゴールデンウィークもほぼワンオペでした。支援センターで、休日何するのー?とか、家族で出かけたという話を耳にすると落ち込みます。夫に子どもを預けて息抜きーなんて夢のまた夢。子どもは可愛いですが、いつもギリギリの綱渡りのような気持ちで毎日を過ごしています」
 
男性が育児に参加したいと思ってもできない状況は、データからもうかがえます。
おととし(平成29年)、厚生労働省の委託を受けて行われたWEB上のモニター調査では、回答を寄せた1歳以上3歳未満の子どもがいる男性正社員(20代〜40代)およそ2000人のうち、全体の3分の1以上(35.3%)が、「育児休業の制度を利用したかったが、利用しなかった」「利用したかったが制度がなかった」と回答しました。
このうち、制度があったのに利用しなかった人たちにその理由を挙げてもらったところ、「業務が繁忙で職場の人手が不足していた」という回答が38.5%と最も多く、次いで「職場が育児休業を取得しづらい雰囲気だった」が33.7%となっています。
 
(「パタハラ」については、こちらの記事もご覧ください)
 
また、職場だけでなく、社会全体に「育児=母親の役目」という昔からの考え方が根強く残っていることが女性を追い詰めているという声も連日寄せられています。
 
「わたしは働く母ですが、昭和の価値観がまだまだ育児を支配しているし、家事、育児を自分の仕事じゃないと思っている人(男性)が多すぎます。うちは第二子出産の際、(夫が)2か月間の育休を取りましたが、アウトドア用品を購入したり、DIYを始めたりと、自分の趣味に時間を使って子供の世話は片手間でした。仕事面では男女平等が進んでいますが、育児ではまだまだ、母親の仕事と思って、責任感のない夫が多いと思います。そういう構造の中にいることに絶望感を感じ、産後うつになったのです」
 
「社会は今まで女性を母親の大義名分で搾取していたといっても過言ではないと痛感しています。新しい時代でこれらは終わりにすべきだと確信しています。産後の死因第1位の自殺、今ではすぐそこまで足音が聞こえます」
 
孤独な子育てになってしまう背景にはさまざまな理由があると思いますが、夫婦の働き方(働かされ方?)が大きな原因の1つになっていることがうかがえます。
先週、1人の女性が産む子どもの数の指標となる「合計特殊出生率」が去年は1.42となり、前年を下回ったことがニュースになりました。人口の減少は加速しています。
 
どうしたら安心して出産することができるのか?
どうしたら安定した気持ちで子どもと向き合うことができるのか?
 
寄せられた切実なご意見は、ひとつひとつ、取材スタッフ(記者とデスク)で大切に読ませていただいています。そのひとつひとつが、取材の糧となり、指針となっています。
仕事や育休をめぐる問題も取材していきたいと思っています。ご意見やご自身の体験をお寄せください。
 
「Nらじ」でもお伝えします
先週、このサイトに載せた記事(「誰も頼れないママへ」)を、「Nらじ」(ラジオ第一 毎週月曜〜金曜 午後6時から)という番組で、きょう(13日)、取材した記者本人が出演して、改めてお伝えします。番組の後半の「Nらじセレクト」(午後7時40分ごろから)というコーナーです。番組のHPでは(https://www4.nhk.or.jp/nradi/)みなさんからのお便りも募集しています。ぜひお聞きください。
 
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 2019年05月14日 東京都産業局 産業労働局

 
平成30年度中小企業労働条件実態調査
派遣労働に関する実態調査2018
 
労働者派遣法の制定から30年余りとなり、これまで派遣労働に関する関連法規は、労働者派遣法も含め幾度にも渡り改正が行われてきました。
これまで東京都は派遣労働に関する実態を把握するため、派遣元・派遣先・派遣労働者の3者に対し4年に一度調査を行ってきました。このたび、平成30年度の調査結果がまとまりましたので、お知らせします。
 
調査結果のポイント
平成27年の派遣法改正について、対応に係る影響が大きかったものは?
派遣元
【1位】キャリアアップ措置(教育訓練等)の義務化(40.8%)
【2位】新たな許可要件等を満たす必要があったこと(30.5%)
派遣先
【1位】すべての業務に対する労働者派遣の期間制限(58.4%)
【2位】とくになし(31.4%)
派遣元では「キャリアアップのための措置(教育訓練等)が義務化」との回答が最多。一方、派遣先では「労働者派遣の期間制限」との回答が最多となり、「とくになし」との回答も多い。平成27年派遣法改正の影響が大きかったものは、派遣元と派遣先とで異なる結果となった。
 
現在の仕事を選んだ理由は?
労働者
【1位】自分の都合(勤務時間等)に合わせられる(35.8%)
【2位】正社員の仕事がなかった(17.9%)
「自分の都合(勤務時間等)に合わせられる」との回答は、平成26年度調査から2倍以上増加しトップとなった。一方、平成26年度調査ではトップであった「正社員の仕事がなかった」との回答は、約15ポイント減少し2位となった。
 
個人単位の派遣期間制限に達する場合はどうするか?
労働者(派遣元に何を希望する?)
【1位】派遣元で無期雇用契約を結び、同じ派遣先で働く(33.3%)
派遣元(労働者にどう対応する?)
【1位】無期雇用の契約を行う(26.5%)
派遣労働者の希望は、「派遣元で無期雇用契約を結び、同じ派遣先で働く」との回答が最多。また、派遣元の対応方針として最も多いものは「無期雇用の契約を行う」であり、派遣労働者の希望と一致している。
 
調査詳細はホームページをご確認ください。
 
※別紙 調査結果の概要(PDF:716KB)
※参考 平成27年労働者派遣法改正の概要(PDF:548KB)
 
問い合わせ先
労働相談情報センター相談調査課
電話 03-3265-6110
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日本労働研究・研修機構
資料シリーズ No.216
職場のパワーハラスメントに関するヒアリング調査結果
2019年6月7日
 
■概要
□研究の目的
 現在、社会問題化しているパワーハラスメント、カスタマーハラスメントにおいて、企業は業種、規模、業務内容等により、企業内で知識と経験を蓄積し、独自の対策を講じている。中小企業では、マンパワーの不足等のため、十分な対応ができていない。また、ハラスメント体質が残っている業種がある。顧客や取引先からの著しい迷惑行為については、消費者の権利保護という考え方が誤解されており、十分な対応ができていない。このような状況下で、JILPTでは厚生労働省の要請を受け、職場のパワーハラスメントの具体例の収集・分析を行った。
 
□研究の方法
 ヒアリング調査、書面調査
 
□主な事実発見
 パワーハラスメントについて、企業活動に対する阻害要因、経営に対する重大なリスク要因と認識されており、多くの企業で取り組みが進められている。
多くの企業では、パワーハラスメントを禁止行為として就業規則等の社内規定に明記している。
 社内のコミュニケーションの円滑化、ストレスチェックの活用により、パワーハラスメントの発生要因を解消しようという試みが行われている。
 企業内の相談窓口等では、パワーハラスメントに特化せず、セクシュアルハラスメント、公益通報などと一体化して窓口を設けている例が多くみられた。また、セクシュアルハラスメントや公益通報者保護法に則した体制整備を行っている企業もみられた。
パワーハラスメントの事象が生じたときに、事実関係の確認等は、本社人事部などの第三者が行っている例が多くみられた。
 通報者のプライバシー保護、不利益取扱いの禁止等は、多くの企業が社内規定や広報で周知し、配慮されている。二次被害の防止についても、事案の調査を行っていることを周囲に知られないように調査範囲を限定するなど、配慮がみられている。一方で、匿名通報については、多くの企業で受け付けているものの、事実関係を確認する上で障害となることから、本人の同意を得た上で、顕名としている例が多くみられた。
 パワーハラスメントの6類型では、以下のような特徴があった。
  身体的攻撃の事例は少なく、問題行為と認識されている。
  精神的な攻撃の事例が多く、暴言を吐く、大勢の前で叱責する、執拗に叱責を繰り返すなどの事例がみられた。
  人間関係からの切り離しは、懇親会や打ち合わせに呼ばない、外国籍の人にとって気になるような発言をするといった事例がみられた。
  過大な要求は、目標達成のために過度な要求をする、休日出勤を強いられるほどの業務を与えるといった事例がみられた。
  過小な要求は、プロジェクトに参加できない、役職に見合った仕事を与えないという事例もみられた。
  個の侵害は、プライベートを詮索する、悪気なく飲み会に誘う、自宅に呼んで私用をさせるなどの事例がみられた。パワーハラスメントととられないよう、平日の飲み会への誘いを禁止している事例もみられた。
 これらの事例は一般化して分類しているものも多く、実際には、暴力行為と暴言、個の侵害とセクシュアルハラスメントなど複合的に発生している例がみられた。
 多くの企業では、被害者の希望を聞いて、納得が得られるように対処していた。
加害者が業務上の指導の範囲内と認識していても、被害者はパワーハラスメントと認識するなど、被害者と加害者の言い分の相違がみられるという意見が多く聞かれた。
 中小企業では事例の蓄積やマンパワーが十分でなく、経営者自身がパワーハラスメントの対応に当たっている。また、社員が休業することによる経営上のリスクも大きく、大企業のように、被害者と加害者を引き離すといった対応を取ることが難しい。
 パワーハラスメントかどうか判断に迷うような事案について、前例を参照するとともに、顧問弁護士や社会保険労務士に世間相場を確認するという意見が多くみられた。
顧客や取引先からの著しい迷惑行為については、業態により、有無、対応に大きな違いがみられた。ひたすら消費者の理解を求めるしかないなど、抜本的な解決策となっていない事例もみられた。
 顧客や取引先からの著しい迷惑行為について、社員が一人で抱え込まないようにし、まずは上司に相談し、組織的に対応するようにしているという企業が多かった。
 顧客や取引先からの著しい迷惑行為について、小売業を中心に顧客第一主義のあり方の見直し、迷惑行為への対応に当たって根拠となるようなものや業界指針を求める意見があった。また、顧客や取引先からの著しい迷惑行為が問題となっていることを世の中に周知すべきという意見があった。
□政策的インプリケーション
 企業は、すでに立法化されているセクシュアルハラスメント、公益通報者保護制度などと一体的にパワーハラスメントについて対応を取っており、今後、立法化に際してはこのような制度との整合性が求められる。相談者にとっても、相談内容によって窓口が変わるよりも、自分が相談したい窓口を選び、包括的に悩みの相談をできるというメリットがある。
 企業によって社内の事例の蓄積に差がみられることから、国からの積極的な情報提供が求められる。とりわけ、中小企業では経営者の考え方によってパワーハラスメントへの対応が異なってくる可能性があり、経営者がパワーハラスメントの対応を重視していなければ問題が放置される可能性もある。このため、中小企業経営者への情報提供や支援が必要である。
 厚生労働省「あかるい職場応援団」のHPを参照している窓口担当者が多く、事例の充実などにより、より情報提供することができる。
 顧客や取引先からの著しい迷惑行為は態様が様々であり、業法による規制や業界ごとの自主的な取り組みが有効な場合もある。また、消費者教育など、労働政策にとどまらない連携的な政策が必要である。
□政策への貢献
 第6回労働政策審議会雇用環境・均等分科会(平成30年9月25日)及び第8回労働政策審議会雇用環境・均等分科会(平成30年10月17日)資料への引用。
 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案」の検討に活用。
■本文 資料シリーズNo.216全文(PDF:1.3MB)
□研究の区分
 緊急調査「職場のパワーハラスメントの具体例の収集・分析について」
□研究期間 平成30年度
□執筆担当者
 望月 知子労働政策研究・研修機構 統括研究員
 藤本 隆史労働政策研究・研修機構 アシスタントフェロー
 酒井 計史労働政策研究・研修機構 アシスタントフェロー
※所属・肩書きは、調査実施時点。
□関連の研究成果
 資料シリーズNo.154『職場のいじめ・嫌がらせ、パワーハラスメントの実態─個別労働 紛争解決制度における2011年度のあっせん事案を対象に─』(2015年)
 資料シリーズNo.100『職場のいじめ・嫌がらせ、パワーハラスメント対策に関する労使ヒアリング調査─予防・解決に向けた労使の取組み─』(2012年)
□お問合せ先
内容について研究調整部 研究調整課 電話:03-5991-5104
 
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 コンビニ経営は地獄だった、元オーナーの回顧

岡田 悟,大矢博之2019.6.3 13:00ダイヤモンド・オンライン
 
〔写真〕元オーナーが振り返るコンビニ経営の“理想と現実”(GettyImages ※写真は本文とは関係ありません)
〔写真〕24時間営業の見直しを求めた加盟店に、「要望に応じる事は出来ません」とセブン-イレブン・ジャパンは回答した(Photo:DW)
 
●24時間営業で疲弊するオーナー
 
「人手不足が深刻な状態が全く改善されません。(中略)午前7時から午後11時までの営業時間への見直しの早期改善を要求します」――。
 
 2017年、西日本のセブン−イレブンの加盟店オーナーだった新山敏朗さん(仮名)は、一縷の望みを懸けてフランチャイズ契約先のセブン−イレブン・ジャパン(SEJ)の本部に、1通の文書を送った。
 
「改善提案書」と題されたその文書では、「心身共に限界を超え、このままでは(働く家族)3人のうち誰かが、過労死か過労自殺するかもしれません」と、悲惨な現状が訴えられている。
 
 ところが、本部の回答はそっけないものだった。「貴殿の要望に応じる事は出来ません」とし、24時間営業が必要だとする本部の言い分を列挙。時短営業は「社会の要請に背くことになります」とまで記されていた(写真)。
 
 新山さんが家業の新聞販売店をやめて、コンビニ経営の世界に飛び込んだのは04年のこと。最大手チェーンならば、未来があると考えたからだ。
 
 現実は違った。セブンの日販(1日当たりの売上高)の全店平均は60万円超。しかし新山さんの店は、月平均で50万円に達することすら珍しかった。
 
 それでも2000年代はアルバイト従業員を十分に雇い、何とか回していくことができた。だが、人手不足の波は、じわじわと新山さんの店の経営を脅かしていく。
 
「ここ7、8年は時給を上げて従業員を募集しても、最低賃金がどんどん上がっていき、追い付かなかった」
 
 次第に、新山さん自身が深夜のシフトに入る日が増えていった。夜間帯の納品は妻が手伝ってくれたが、疲労は蓄積する。仕事中に目まいがするようになり、帰宅途中に自動車事故を起こしたこともあった。思い詰めた末にしたためた改善提案書だったのだ。
 
 こうした状況に本部が解決策として提案したのは、勤務時間を応募者が選べるようにすることや、店頭で募集のチラシ配り、店の奥の事務所の整理、従業員に仕事を分担してやりがいを持たせる──といった、根本的な解決策には程遠いものだった。
 
 仕方なく新山さんは店に立ち続けたが、とうとう今年1月、本部に閉店と契約の解消を要望した。時短をしてでも営業を続ける気力は、もう残っていなかった。
 
 それでも本部はなかなか取り合わなかった。しかし、新山さんが「経緯を全部マスコミに話す」と告げたところ、本部の態度は急変。3月末に閉店にこぎ着け、コンビニ経営から“解放”された。
 
 閉店時に在籍していた従業員数は、家族を除くと6人。通常ならば、1店当たり25〜30人は必要とされている。
 
「休むこともやめることもできない。最後の3、4年は本当に地獄だった」と新山さんは振り返る。
 
(ダイヤモンド編集部 岡田 悟:記者、大矢博之:副編集長)
 
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(W:テキストのみ転載。原文には豊富な図表あり。なお、添付pdfファイル https://www.atpress.ne.jp/releases/185004/att_185004_1.pdf

連合調べ  「勤め先で36協定が締結されている」59%、 2017年調査より13ポイント上昇
〜「36協定」「日本の社会」に関する調査2019〜
2019.05.29 16:30 日本労働組合総連合会(連合)
 
 
日本労働組合総連合会(略称:連合、所在地:東京都千代田区、会長:神津 里季生)は、36協定の実態と、働く人が持つ日本の社会に関する意識を把握するため、標記調査を2019年4月11日〜4月15日の5日間でインターネットリサーチにより実施しました。全国の15歳以上の働く男女(自営業・フリーランスを除く)1,000名の有効サンプルを集計しました。(調査協力機関:ネットエイジア株式会社)
 
【「36協定」について 調査結果】
≪労働環境の改善と36協定≫
 
◆「会社が残業を命じるためには、36協定の締結が必要」認知率は55%、改正労基法4月施行後も課題残る
 
2019年4月より、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(働き方改革関連法)」が順次施行されています。また、働き方改革の一環として、多くの事業所で長時間労働の是正が進められていますが、労働環境の実態はどのようになっているのでしょうか。
 
はじめに、正社員・正職員、契約・嘱託・派遣社員の人(658名)に、勤め先に労働組合があるか聞いたところ、「労働組合があり、加入している」(28.9%)、「労働組合があるが、加入していない」(6.4%)、「労働組合があるが、加入する権利がない」(5.2%)を合計した『労働組合がある(計)』は40.4%となりました。他方、「労働組合はないが、社員会のような従業員組織はある」(8.8%)、「労働組合も従業員組織もない」(32.5%)を合計した『労働組合はない(計)』は41.3%、「労働組合があるかどうかわからない」は18.2%となりました。
 
次に、正社員・正職員、契約・嘱託・派遣社員の人(658名)に、会社が残業を命じるには、労働者の過半数を組織する労働組合(ない場合は、労働者の過半数を代表する者)との間で労使協定(いわゆる36協定)を結んでおくことが必要であることを知っているか聞いたところ、「知っている」は55.3%となりました。
 
「知っている」の割合(認知率)を男女別にみると、男性は61.4%で、女性(46.2%)と比べて15.2ポイント高くなりました。
 
また、労働組合の有無別にみると、勤め先に労働組合がある人では74.8%、ない人では50.7%、あるかどうかわからない人では22.5%となりました。勤め先に労働組合がある人の認知率が高い傾向がみられました。
 
◆「勤め先で36協定が締結されている」59%、2017年調査より13ポイント上昇
 
◆36協定の周知方法は「イントラネットで閲覧」が最多
 
続いて、正社員・正職員、契約・嘱託・派遣社員の人(658名)に、自身の勤め先で36協定が締結されているか聞いたところ、「締結されている」が59.1%、「締結されていない」が10.8%となりました。また、「締結されているかどうかわからない」(30.1%)が3割と、36協定の情報が共有されていないケースが少なくないようです。
 
「締結されている」の割合(締結率)を労働組合の有無別にみると、勤め先に労働組合がある人では82.0%と8割を超えました。他方、ない人では48.9%、あるかどうかわからない人では31.7%となりました。労働組合の有無によって、締結率に大きな差があることが明らかになりました。
 
締結率を過去の調査結果と比較すると、2017年45.8%→2019年59.1%と、2年前と比べて13.3ポイント上昇しました。
 
勤め先が36協定を締結している人(389名)に、勤め先で36協定がどのような方法で周知されているか聞いたところ、「イントラネットで閲覧できるようになっている」(31.9%)が最多、次いで「社内に掲示されている」(29.0%)、「担当部署(総務課など)に行けば閲覧できる」(21.3%)となりました。また、「わからない」(18.5%)や「周知されていない」(16.2%)との回答もみられました。36協定は労働者に周知しなければならないと定められていますが、周知が十分に行われていないケースがあるようです。
 
勤め先が36協定を締結している人(389名)に、36協定で残業時間が1ヶ月あたり何時間とされているか聞いたところ、「45時間未満」(48.8%)が約半数となりました。次いで「45〜60時間未満」(18.5%)、「60〜80時間未満」(8.0%)、「80〜100時間未満」(2.8%)、「100時間以上」(1.3%)となりました。
 
時間外労働の上限は1ヶ月あたり45時間と定められています。また、2019年4月より、36協定で定める時間外労働時間に罰則付きの上限が設けられました。臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合も、時間外労働の上限は複数月平均80時間以内、1ヶ月あたり100時間未満(休日労働を含む)とされています(月45時間を超えることができるのは年間6ヶ月まで)。
 
また、「36協定を締結しているが内容は知らない」(20.6%)が5人に1人の割合となりました。周知が不十分であるため、36協定の内容が労働者に伝わっていないケースが少なくないようです。
 
◆会社との間で36協定を締結した当事者 最多は「労働組合」
 
◆過半数代表者の選出方法 適切な方法である「挙手または投票」は28%
 
勤め先が36協定を締結している人(389名)に、誰が36協定を使用者(会社)との間で締結したか聞いたところ、「(労働者の)過半数で組織されている労働組合」が37.5%、「労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)」が29.0%、「わからない」が33.4%となりました。
 
次に、労働者側の協定締結当事者が過半数代表者であると回答した人(113名)に、勤め先で過半数代表者をどのように選出しているか聞いたところ、適切な選出方法である「挙手または投票により選出している」は28.3%となりました。他方、「会社からの指名により選出している」は28.3%、「一定の役職者が自動的に就任している」は17.7%、「社員会・親睦会などの代表が自動的に就任している」は9.7%となりました。
 
過半数代表者は、管理監督者※を除く労働者のなかから、投票や挙手などの方法によって民主的に選ぶ必要があります。不適切な方法による選出は法的に無効となります。過半数代表者の選出方法に問題がある事業所が多いようです。
 
※管理監督者とは、工場長や部長など、労働条件の決定やその他労務管理について、経営者と一体的な立場にある人をいう。
 
【「日本の社会」について 調査結果】
 
≪働く人の生活満足度と将来不安≫
 
◆働く人の生活満足度 40・50代では「生活に不満」が「生活に満足」を上回る
 
15歳以上の働く男女(自営業・フリーランスを除く)1,000名(全回答者)に、現在の生活に満足しているか聞いたところ、『満足(計)』(「とても満足」「やや満足」の合計)は55.6%、『不満(計)』(「やや不満」「不満」の合計)は44.4%となりました。現在の生活に満足している人が多数派であることがわかりました。
 
世代別にみると、40代では『満足(計)』が47.2%、『不満(計)』が52.8%、50代では『満足(計)』が47.1%、『不満(計)』が52.9%となり、いずれも『不満(計)』が『満足(計)』を上回りました。他方、60代では『満足(計)』が70.0%、70代では71.1%と、働くシニアの大半が現在の生活に満足していることが明らかになりました。
 
◆「将来が不安」が働く人の7割強、50代では約8割に
 
◆働く人が抱える不安の原因は「老後の生活」「預貯金の状況」「家計のやりくり」
 
次に、全回答者(1,000名)に、将来について不安を感じることがあるか聞いたところ、『不安を感じる(計)』(「非常に感じる」「やや感じる」の合計)は73.0%となりました。
 
『不安を感じる(計)』の割合を男女別にみると、女性は77.2%で、男性(68.8%)と比べて8.4ポイント高くなりました。
 
世代別にみると、50代では78.8%と、他の世代と比べて高くなりました。
 
将来について不安を感じることがある人(730名)に、自身を不安にさせているものを聞いたところ、1位は「老後の生活」(61.8%)、2位は「預貯金など資産の状況」(50.4%)、3位は「家計のやりくり」(48.8%)となりました。働く人にとって、老後の生活や家計の厳しさなどが不安の原因となっていることがわかりました。
 
≪働く人が考える理想の社会≫
 
◆理想の社会は? 働く人の61%が「低負担・低福祉社会」より「高負担・高福祉社会」を理想像と回答
 
◆働く人の63%が「自己独立型社会」より「人と人がつながる・支え合う社会」を選択
 
働く人は、どのような社会が実現することを願っているのでしょうか。
 
全回答者(1,000名)に、社会システムについて、相対する2つの選択肢を示し、どちらが自身の理想に近いか聞きました。
 
「格差はあっても力強く成長する社会」と「緩やかな成長でも格差の小さい社会」のどちらが理想に近いか聞いたところ、「緩やかな成長でも格差の小さい社会」(73.0%)が高くなりました。
 
「税金などの負担は小さいが、自己責任型の社会」と「税金などの負担は大きいが、社会保障が充実した社会」のどちらが理想に近いか聞いたところ、「税金などの負担は大きいが、社会保障が充実した社会」(60.8%)が高くなりました。
 
また、「住民同士のつながりが強い、地域で支え合う社会」と「住民同士のつながりが弱い、自己独立型の社会」では、「住民同士のつながりが強い、地域で支え合う社会」(62.9%)が高くなりました。
 
競争原理によって成長を促す社会よりも、社会保障が手厚く格差が少ない社会を望む人が多数派のようです。また、個々が独立した社会よりも、人と人が地域で助け合い、支え合う社会を理想と考えている人が多いことが明らかになりました。
 
◆働く人の70%が「生涯現役社会」より「引退しても老後が安心な社会」を理想像と回答
 
◆働く人の60%が「転職が活発にできる社会」より「定年まで同じ会社で働ける社会」を選択
 
◆働く人の80%が「高収入・仕事中心社会」より「ほどほどの収入・ワークライフバランス社会」を選択
 
続いて、「生涯現役で活躍できる社会」と「引退しても老後が安心な社会」のどちらが理想に近いか聞いたところ、「引退しても老後が安心な社会」(69.5%)が高くなりました。
 
「定年まで同じ会社で働ける社会」と「転職が活発にできる社会」では、「定年まで同じ会社で働ける社会」(59.7%)がやや高くなりました。
 
「収入は多いが、生活より仕事中心の社会」と「収入はほどほどでも、仕事と生活が両立できる社会」では、「収入はほどほどでも、仕事と生活が両立できる社会」(80.4%)が高くなりました。
 
働く人の大半が、引退しても老後の生活が安心な社会や、ワークライフバランスを保ちながら働ける社会を望んでいるようです。
 
≪将来の日本に対するイメージ≫
 
◆「将来の日本は今より良くなっていると思う」29%
 
◆日本の成長や発展のために重要だと思うこと TOP2は「安定雇用」と「労働環境の改善」
 
全回答者(1,000名)に、将来の日本は今より良くなっていると思うか聞いたところ、『良くなっている(計)』(「非常に良くなっている」「ある程度良くなっている」の合計)は28.7%、『良くなっていない(計)』(「あまり良くなっていない」「全く良くなっていない」の合計)は71.3%となりました。日本の将来に対して悲観的な考えを持っている人が多数派となりました。
 
将来、日本が安定的に成長や発展をしていくために重要であると思うものを聞いたところ、1位は「安定した雇用」(63.8%)、2位は「労働環境の改善」(46.6%)、3位は「医療や介護制度の充実」(43.4%)、4位は「子育てや教育に対する支援」(39.5%)、5位は「失敗してもやり直しがきく環境」(36.7%)となりました。
 
働く人の多くが、安定雇用や労働環境の改善を日本の重要課題だと位置付けているようです。
 
添付ファイル:
 
 

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