20代の勤務医は週平均55時間勤務し、これに当直や緊急時に備えた待機が12時間以上加わる――。厚生労働省研究班(研究代表者=井元清哉・東大医科学研究所教授)が、6日発表した初の大規模調査で、多くの医師が長時間働いている実態が浮かんだ。同省の検討会は同日、偏在対策や他職種との業務分担を盛り込んだ働き方を提言する報告書を塩崎恭久厚労相に提出した。

 全国約1万2千の施設に勤める10万人の医師に調査票を送付。昨年12月の1週間に、何時間働いたかの記入を依頼し、1万5677人が郵送で回答した。

 常勤の20代男性の平均勤務時間は、週に57・3。同女性は53・5。年代が上がるにつれ、勤務時間は減少の傾向だった。週60時間以上勤務していたのは男性の27・7%、女性の17・3%。診療科別では、救急科が最長の55・9。精神科は43・6と差がみられた。

 医師の地域偏在の解消が課題となる中、地方勤務の意思を問うと、20代の60%、全体の44%が「ある」と答えた。「ない」と答えた人にその理由を聞くと、「労働環境への不安」が各年代で上位だった。厚労省の担当者は「休みを確保できるなど環境を整えれば偏在は解消できる」と話す。

 調査は、文書作成や予約業務などは他職種と分担が可能で、実現すれば医師の労働時間を1日に約47分軽減できると分析する。

 これらの結果を踏まえ、有識者らでつくる検討会は、看護師や事務職との業務の分担や同じ薬であれば診察なしで薬を処方できる仕組み、情報通信技術(ICT)の活用による効率化を提言。医師を増やさなくても、高齢化がさらに進む社会のニーズに応えられるよう、工程表をつくって実現するよう求めている。

 検討会座長の渋谷健司・東大教授は「現場が疲弊しないシステム作りは待ったなしだ。世の中全体で働き方を見直している時期でもあり、医療にもメスを入れる」と話した。

 厚労省は、介護職員の勤務実態についても、大規模な全国調査を始める。2025年までに約38万人足りなくなると見込まれる介護職の働き方を把握し、人材確保策に生かしたい考えだ。(野中良祐)