情報資料室 - 「過労事故死」で遺族と会社和解 裁判長が異例の言及

「過労事故死」で遺族と会社和解 裁判長が異例の言及

2018/2/9 12:51
 「過労事故死」で遺族と会社和解 裁判長が異例の言及


写真・図版(省略)

渡辺航太さんの遺影とともに記者会見する母淳子さん(右)=8日、東京・霞が関の厚生労働省

 深夜勤務後の帰宅中にバイク事故で死亡した会社員の男性(当時24)の遺族が会社に損害賠償を求めた訴訟の和解が8日、横浜地裁川崎支部で成立した。会社が遺族に謝罪し、約7600万円を支払う内容。遺族側代理人の川岸卓哉弁護士によると、帰宅中の事故死で企業に安全配慮義務があると裁判所が認めた例は極めて珍しいという。

「過労死のある社会、恥ずかしい」亡き息子の思いつなぐ

亡くなったのは、観葉植物などの装飾を手がける会社、グリーンディスプレイ(本社・東京)に勤めていた渡辺航太さん。長時間の深夜勤務を終え、横浜市の職場から都内の自宅にバイクで戻る途中の2014年4月24日午前9時過ぎ、電柱にぶつかる単独事故を起こして死亡した。母淳子さんらが翌年、長時間労働が事故の原因だとして約1億円の損害賠償を求めて提訴していた。

 同支部の橋本英史裁判長は和解勧告で、通勤中の事故にも企業に安全配慮義務があると認めた。事故の原因は居眠りだったとし、過労状態を認識していた会社側が公共交通機関を使うよう指示するなどして事故を避けるべきだったと指摘。和解金の支払いに加え、従業員の負担軽減▽終業から次の始業までの休息(11時間)の確保▽深夜のタクシー利用を促す――など、事故後に講じた再発防止策に引き続き取り組むことを和解条件とした。

 過労による事故死が多数発生している可能性にも言及し、「本件を契機に『過労事故死』の労働災害の事故の類型が公になり、今後、過労死、過労自殺とともに社会全体として防止に向けた対策が十分に推進されていくことが期待される」とも述べた。

 橋本裁判長は「過労死のない社会は社会全体の悲願である。(企業は)長時間労働の削減と労働環境の整備に努めることが求められている」と和解勧告の書面を読み上げ、事故死を含めた過労死の防止を訴える異例の言及もした。

 正社員として働き始めた翌月に亡くなった渡辺さんについて、「希望にあふれていたのに未来を絶たれた被害者の無念さ、遺族の悲痛な心情と喪失感に思いを致す」とも述べた。

 龍谷大の脇田滋名誉教授(労働法)は「会社の指揮命令下から外れる通勤中は、事故が起きても会社に責任はないとされるのが一般的。直前までの過重業務を裁判長が重視し、帰宅中の事故でも会社に安全配慮義務があるとしたのは画期的で、他企業にも警鐘となるケースだ」と指摘する。

 淳子さんは8日に都内で記者会見し、「息子の無念な気持ちをくみ、過労事故死についても企業が十分な予防対策を講じることを期待します」と話した。(牧内昇平)
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