情報資料室 - 関西大学の労基署申告への報復的解雇裁判関連資料(3)訴訟関連

関西大学の労基署申告への報復的解雇裁判関連資料(3)訴訟関連

2019/9/15 20:15

関西大学の労基署申告への報復的解雇裁判関連資料(3)訴訟関連

□関西大学を報復的解雇で提訴
http://www.minpokyo.org/journal/2018/06/6116/
民主法律時報 (ニュース) 2018年06月15日

弁護士 須井 康雄

1 裁判の概要

2018年5月17日、関西大学併設校の教員のAさんは、関西大学に対し、地位確認、未払賃金、慰謝料の支払いを求める裁判を起こした。主張の骨子は、次のとおりである。)楫鏖鮓曚蓮∋超搬緻なГ量簑蠅砲弔労基署申告、団交での追及、府労委への不当労働行為救済申立をしたことに対する報復的解雇であり、労基法104条2項、労組法7条1号、4号に該当し、公序良俗違反で無効である。客観的合理性、社会的相当性がなく、労働契約法16条により無効である。

2 事実の経過

関西大学は、労働時間を適正に把握せず、本俸の8%にあたる教育職員調整手当を払っていることなどを理由に、残業代を払ってこなかった。労基署は、2016年3月8日、法定の休憩時間の付与、労働時間の適切把握、未払残業代の支払などを指導した。Aさんは、組合役員として、団交でこれらの問題を追及する中心的役割を担っていた。

そのようなさなか、関西大学は、2017年10月24日、Aさんに対し自宅待機命令を出し、懲戒手続が開始した。Aさんと組合は、2017年1 2月25日、自宅待機の撤回等を求め、府労委に不当労働行為救済申立を行った。

Aさんや当職らは、関西大学に対し、調査対象となる具体的事実関係の告知を再三にわたり求めた。しかし、関西大学は、たとえば「Dに対する指導」と言った程度の箇条書きからなる11項目しか示さず、あとは、懲戒手続におけるヒアリングでの質問内容から分かるだろうという回答に終始した。

2018年2月22日、関西大学併設校の懲戒委員会は、11項目のうち4項目を懲戒事由にあたると判断したが、懲戒処分の選択につき意見が分かれ、議決できないまま、関西大学の理事会に判断がゆだねられた。

2018年3月23日、労基署は、再度の是正勧告を関西大学に行い、主要5紙により大きく報じられた。

2018年4月に入っても自宅待機命令は解除されず、関西大学が説明する自宅待機の根拠も変遷し、自宅待機命令を継続する合理的理由は全くないと考えられた。府労委も、2018年4月17日の調査期日で、期限を切って、それまでに懲戒処分が出ないのであれば自宅待機命令を解くという和解案を双方に打診するに至った。

そのような状況で、関西大学は、2018年4月26日、Aさんを解雇した。解雇の通知には、解雇の根拠となる就業規則の条項しか示されず、その条項に該当する具体的事実関係は一切書かれていなかった。Aさんの要求により交付された解雇理由通知書にも、「Dに対する指導(2016年度及び2017年度)」という程度の記載しかなく、どのような事実認定をもって本件解雇の根拠とされたのかが全く不明であった。

3 本件の裁判の意義

教員の長時間労働が社会問題になっている。その是正を求める活動を行ったことを理由とする報復的解雇は、長時間労働の抑制により労働者の生命、健康を守るため奮闘しているすべての労働者・労働組合の取組に大きな萎縮的効果を与える。

また、関西大学が、懲戒手続における調査対象や解雇を基礎づける具体的事実関係の告知を、一貫して拒み続けてきたことも重大な問題である。関西大学は、提訴後の取材に対し、解雇理由を裁判で明らかにしていきたいと述べたと報道されている。不当な解雇に泣き寝入りする労働者も非常に多い。裁判を起こさなければ、具体的な解雇理由を説明しないというやり方が広がると、とりあえず解雇して、裁判を起こされなければラッキーだという社会になってしまう。

さらに、関西大学は、当該学年の全生徒にアンケートまで実施して、Aさんの問題点を掘り起こそうとした。当初示された11項目の中には、すでに解決済みの案件や、いったいなぜAさんの責任になるのかが不明なものも含まれていた。解雇理由として残された案件のうち、事実関係がある程度分かるものについても、教師として指導の必要性があった案件である。一定の文脈においては、時に強く生徒を指導することも必要であり、生徒に対する指導を理由とする解雇は、慎重になされなければならない。にもかかわらず、関西大学は、Aさんを自宅待機にしたまま、Aさんの指導のありかたについてAさんと話し合うこともなく、Aさんを解雇した。

本件は、報復的解雇か否かが主要な争点となるが、教員の働き方、生徒指導のあり方、解雇における理由明示のあり方も問われる裁判である。

(弁護団は中西基弁護士、鶴見泰之弁護士と私である。)
 

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