情報資料室 - 川崎隆司さん「社員を個人事業主化したタニタの真意 揺れ動く、働き方改革」 (10/16)

川崎隆司さん「社員を個人事業主化したタニタの真意 揺れ動く、働き方改革」 (10/16)

2019/10/27 8:49

川崎隆司さん「社員を個人事業主化したタニタの真意 揺れ動く、働き方改革」
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川崎隆司 (Wedge編集部員) Wedge REPORT 2019年10月16日

 残業時間の上限規制や有給休暇の取得義務化など、働き方改革は一段と加速する。しかし、改革の先頭を走っている企業では、改革の揺り戻しともいえる新たな動きも出てきている。働き方改革先進企業の「今」を追った。

 時短に加え、社員が勤務時間外を有効活用できるよう模索するのが日本マイクロソフトだ。同社はこの10年で総労働時間を13%削減し、今年8月には週休3日制を試験的に導入した。さらに休暇中に、社員が資格取得やセミナー参加といった自己啓発やボランティア活動に関わる経費、さらには国内旅行の交通費・宿泊代などに使える最大11万円相当の補助を行った。

 「顧客の多様なニーズを満たす新たなアイデアや付加価値を生み出すためには、社員にさまざまな経験を積み重ねてもらう必要がある」。コーポレートコミュニケーション本部長の岡部一志氏は自己研鑽を促す理由をこう語る。

育休社員のキャリアをつなぐ

 育児休職者に対し「休みながら働く」というハイブリッドな制度を導入したのが三井住友海上火災保険だ。「保育園に子供を預けられず、やむを得ず育休期間を延長すると、職場復帰への不安や焦りも膨らむ。そんな女性たちの要望で、休職中に働くことも選べる制度創設に至った」と人事部働き方改革推進チーム課長の荒木裕也氏は語る。

 18年4月、育児休職期限の1年間延長に合わせ、育児休職者の「在宅勤務」を開始した。集計作業やデータの加工のような定型業務や人事イベントの企画などの事務業務を切り出しクラウド上に上げ、育児休職者はその中から、自身の経験が生かせるような仕事を自由に選んで自宅で作業を行う。

 報酬については業務ごとに「1100円」「2万円」など事前に金額が設定されている。利用者はのべ約20人、月20〜30時間働く社員が多いという。

 利用している社員からは「仕事復帰にむけて意識が向上できた」「育児に対するメリハリもつけられる」など、好意的な意見が多く寄せられており、労働時間削減で猫の手も借りたい職場からも好評だという。

波紋を呼んだタニタの真意

 働き方改革に一石を投じ、波紋を呼ぶ企業も出てきた。体重計測機器大手のタニタは社員の「個人事業主化」を推進する。希望する社員はタニタを退職し、個人事業主となる。タニタは退職前に従事していた業務を基本的な業務として個人事業主となった元社員へ委託する。対価として、従来メンバーに対して会社が負担していた社会保険料、通勤交通費、福利厚生費といった諸経費を上乗せした形で、報酬を支払う仕組みだ。

 タニタと元社員の間の雇用契約は消滅するため、タニタが社員の労働時間や健康を管理する「義務」はなくなる。同社は17年1月より制度を開始し、個人事業主となった社員は全社員210人のうちの、26人と1割を超える。この制度を発案した社長の谷田千里氏は、働き方改革に対して次のような疑念を投げかける。

 「労働時間にキャップをはめ、労働基準法を守らない企業を淘汰(とうた)することは必要だ。しかし、われわれは同時にその先の未来についても考えなければならない。今ある仕事は効率化できるが、新しいことを生み出すには必ず時間がかかる。一律の労働時間削減によってイノベーションが生まれず、日本企業の生産性が下がっていくのでは、と不安を感じている」

 個人事業主となりフレキシブルな働き方ができるようになった反面、使用者と労働者の関係を解消し、対等な立場として業務委託契約を結べているのだろうか。タニタと個人事業主との間に、実質的な労使の関係が残ってしまうのではないか。タニタの個人事業主制度については、今後も議論を呼びそうだ。

 働き方の自由度が増す中で、長時間労働を防ぎ、社員の健康管理の強化を課題として掲げるのがユニリーバ・ジャパンだ。同社は16年7月より人事制度「WAA(Work from Anywhere & Anytime)」を開始。自宅、カフェ、図書館など、働く場所の制限もなく、5時〜22時の間であれば勤務時間や休憩時間を社員が自由に選択できる「いつでもどこでも働ける」を先んじて始めた企業だ。

 人事総務本部長の島田由香氏は「WAAのような働き方では、社員が自由に働くスタイルを選べる反面、労働時間管理や健康管理は社員の自己申告という”性善説”に依存する面もある。もちろん、企業には社員の心身健康を守る義務があるが、企業が全ての責任を負うのは難しい。社員が自身の体調や精神状態の変化に気づけるヒントや場を提供することも必要だ」と語る。

 こうした課題は、自身の経営戦略として働き方改革にチャレンジしてきたからこそ見えてくるものだ。立教大学経営学部の中原淳教授は、「働き方改革を進める理由を政府や労基署のせいにしている企業はうまくいかない。労働者を取り巻く環境の変化を経営課題として捉え、その解決策としての『働き方改革』をどうやって実現していくか。そのことを企業や経営者が真剣に考えなければならない」と指摘する。

 働き方改革に取り組んでいること自体に満足せず、その改革が本当に会社の成長につながっているか、再考が必要だ。

 

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