情報資料室 - 欧米の経済学者たちが恐れる自国の「日本化」─キーワードは「ジャパニフィケーション」 (11/4)

欧米の経済学者たちが恐れる自国の「日本化」─キーワードは「ジャパニフィケーション」 (11/4)

2019/11/4 16:13

欧米の経済学者たちが恐れる自国の「日本化」─キーワードは「ジャパニフィケーション」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191104-00000001-courrier-int&p=1
2019/11/4(月) 8:00配信

(写真:クーリエジャポン)

あんな風にはなりたくない──今年になって再び「ジャパニフィケーション(Japanification 日本化)」という言葉が、欧米の経済学者たちの間でキーワードになっている。

「東洋の奇跡」からの「ジャパニフィケーション」
1971年にノーベル経済学賞を受賞したサイモン・クズネッツは60年代にこんな冗談を口にしたと言われている。

「世界には4種の国しかない。先進国、途上国、日本、そしてアルゼンチンだ」

第一次世界大戦の前はアメリカと並ぶ大国だったが先進国から途上国へと凋落したアルゼンチン。一方で、前代未聞の経済成長で途上国から先進国へと発展を遂げた日本。60年代当時、両国がいかに特殊であったかを表している。

戦後、日本は焼け野原となりゼロの復興、そして高度経済成長により世界第2位の経済大国まで上り詰めた。当時はその世界的にみても前例のない驚異的な成長から「東洋の奇跡」と羨望を集めたこともあった。

バブル崩壊前は「経済学者の中には、日本は2010年までに米国を追い越して世界最大の経済規模になると予測する者もいた」と、ニューヨーク・タイムズ紙は述べている。

だが、バブル崩壊後の実際の2010年の日本はどうだったか。「日本経済の規模は停滞。一方で米国経済はその間に2倍に成長。中国経済が日本を追い越して世界2位となった」。

日本はその「特殊さ」を維持しているが、その様子をみつめる他の先進国の眼差しは羨望ではなく「ああはなりたくない」である。

近年の欧米経済の先行きについて、特に懸念点について議論する際のキーワードになっているのが「ジャパニフィケーション(Japanification 日本化)」という言葉。文化的な意味と経済的な意味の2つがあるが、近年もっぱら話題になっているのは後者だ。

長い経済停滞、少子高齢化、デフレ脱却の展望がいっこうに開けない国──。同じ道を、米国やヨーロッパ諸国など他の先進国が進む意味でのジャパニフィケーションが懸念されている。

きっかけは2010年の記事
エコノミストや海外投資家の間だけでなく、一般的にこの言葉が注目され始めたきっかけは2010年10月のニューヨーク・タイムス紙の記事だと言われることが多い。

2010年時といえば、その2年前に起きたリーマンショック不況の真っ只中。多くの人々が職を失い、モノも売れなくなっていた時期だ。記事は当時の米国の、しいては世界的な大不況の様子を分析するもので、その中で「ジャパニフィケーション」という言葉が出てくる。

「ジャパニフィケーション──それは、消費者は消費せず、企業は投資を控え、銀行は現金を留保することで需要が崩壊し、日本と同じ出口の見えないデフレに陥ること」。

バブル崩壊後、日本の経済は停滞、人々は消費や投資に警戒的になり、経済は停滞し、デフレ、物価の下落、低金利……。将来への悲壮感が漂う。これは欧米の先進国にとっても「他人事ではない」。

同記事では、日本と同じ道を歩む「ジャパニフィケーションの可能性は否定できない」と指摘する専門家の見解を報じつつも、多数派はそれを否定、つまり米国なら立て直せる、日本の二の舞にはならないという声は少なくないと述べている。

「日本の政治や経済のリーダーたちは、問題の大きさ、また起きていること自体をまず否定した。それにより政策が遅れ、状況が悪化し金融政策の有効性を損なった」と。

論者によって意見がわかれるところもあるが、ジャパニフィケーションが示す大枠は、景気拡大の局面でインフレ率、政策金利を充分に引き上げられないまま 次回の不況を迎えるようになること。

たとえば、大手金融グループINGの経済学者インガ・フェヒナーはワールド・ファイナンス誌にこう語っている。

「日本は『ホームメイドの金融危機』を全く改善せぬまま、また日本政府の債務残高は(対GDP比で200%を超え)世界でも類を見ない規模の財政赤字を抱えたままに、97年のアジア通貨危機、インターネット・バブル、08年の世界金融危機を迎えてきた」

世界経済フォーラムが今年4月に発行した記事の中でも「日本の長期にわたる経済停滞は政策の失敗によるもので、避けられない運命ではなかった」と、政策の不充分さを指摘。

特に問題だったのは「金融政策を行うことに固執し、その有効性を損なったこと」。具体的には「日銀がゼロ金利政策を固定化させたこと」で、消費者、企業、投資家などがゼロ金利環境に対応した行動を強め、その結果、ゼロインフレ予想が強化され、自然利子率も低下する。

このスパイラルにはまることで、金融緩和効果はますます小さくなり「金融政策の有効性を損なった」。これは広義の意味でのジャパニフィケーションの本質でもある。 

ジャパニフィケーションは国境を超えて感染する?
ジャパニフィケーションへの懸念は、リーマンショック後の2010年前後に先進国の間で話題になったが、その後13年頃を境に若干終息。その理由は、米国を中心にデジタル革命によるイノベーションで新たな成長の時代が訪れるという認識が広まったことなどが大きいと言われている。

それが今年になって再び議論されるようになったわけだが、今年3月にパシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO)が「ユーロ圏市場が、ジャパニフィケーションに向かっている」と指摘するリポートを発表したのがきっかけだとブルームバーグ誌は報じている。

このリポートを機にアナリスト調査が活発化。その中でユーロ圏経済の苦境を言い表す言葉としてジャパニフィケーションが頻繁に使用されている。

多くの議論の焦点は、日本の二の舞、つまり30年にわたる出口の見えない経済停滞を避けられるか否か──。

避けるための金融政策が活発に論じられているが、「ユーロ圏の投資家や専門家が気を揉んでいる一方で一般市民が心配する要因はひょっとするとそれほどないのかもしれない」とワールド・ファイナンス誌は述べる。

ジャパニフィケーションの先陣を切る日本では「経済状況は回復しない一方で、その割に社会は安定している。失業率も決して高くはなく、収入、教育レベルなどもOECD平均を上回っている」とし「経済成長がすべてではない」と締めくくる。

一方、ファイナンシャル・タイムズは「多くの経済学者はジャパニフィケーションは避けられると信じているようだが」、憂うべきは低インフレ改善のための金融政策よりも「人口動態の変化ではないか」と語る。

ユーロ圏の労働人口は2009年頃から減少。奇しくもバブル崩壊後の90年代の日本の状況に酷似している。

もし、労働人口の減少が、経済停滞の大きな要因だとすれば、ユーロ圏の、しいては先進国のジャパニフィケーションは「はじまったばかり」と同誌は述べる。

労働人口については、世界経済フォーラムの記事でもこう記されている。「振り返ってみると、高齢化が進み移民の受け入れに消極的な社会、つまり、労働人口が減っている社会がジャパニフィケーションに陥っている」
COURRiER Japon 

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