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情報資料室 - 情報資料室カテゴリのエントリ

 ILO新刊:ビジネスと管理職における女性

ILO新刊−女性リーダーの存在は企業成績の向上をもたらす
記者発表 | 2019/05/22
 
(動画)報告書の内容を1分で図解(英語)
 
 とりわけ上級レベルでジェンダー(性差)の多様性が実際に達成された企業では、大幅な利潤増を含む企業成績の向上が見られることが2019年5月22日に発表されたILOの報告書から判明しました。世界70カ国約1万3,000社の調査結果をまとめた報告書『Women in business and management: The business case for change(ビジネスと管理職における女性:変化すべき事業上の根拠・英語) 』は、ジェンダーの多様性を促進する取り組みが事業結果を改善するとの考えに同意する企業が回答企業全体の57%を超えることを示しています。管理職におけるジェンダーの多様性を追跡している企業の約4分の3が5〜20%、うち大半が10〜15%の利潤増を報告しています。これによって才能ある社員を引きつけ定着させるのが容易になったと答える企業は約57%を占め、創造性や事業革新、開けた考えの点での改善を報告する企業あるいは実効的なジェンダーの包摂性が企業の評判を高めたと回答する企業はそれぞれ54%を超え、包摂性ポリシーによって顧客の感情をより効果的に測定できるようになったと感じる企業は約37%に達しています。
 
 報告書はまた、186カ国の1991〜2017年のデータを分析し、国家レベルでは女性の就業率の上昇と国内総生産(GDP)の伸びが正の相関関係を示していることを見出しました。
 
 報告書をまとめたILO使用者活動局 のデボラ・フランス=マッサン局長は、「ジェンダーの多様性と企業の成功との間には正の相関関係が存在するだろうと期待はしていましたが、得られた結果には正に目を見開かされました。企業が利潤をわずか2〜3%上げるために他の分野で行っている努力を考えると、この重要性は明白です。企業は男女のバランスを単に人材の問題だけでなく、損得勘定の点からも検討すべきです」と説いています。
 
 一般労働力同様、上級管理職におけるジェンダー・バランスとは、男女の割合が4:6または6:4の範囲内に収まることを意味します。報告書は女性が上級管理職及び主導的地位の3割を占めるようになると、ジェンダーの多様性が有益な効果を発揮し始めると記しています。しかしながら、この目標を達成できていない全体の約6割の企業では、この報償を得るのに苦労していることを意味します。加えて、調査企業のほぼ半分で新人管理職に占める女性は3人に1人にも満たず、これは上級管理職に向かう道に、必要な人材が存在しないかもしれないことを意味します。
 
 約4分の3の調査企業が機会均等あるいは多様性・包摂ポリシーを備えていましたが、女性の視認性が高まり、戦略的な事業分野への昇進が確保されるには、より具体的な行動が必要と報告書は記しています。
 
 報告書は女性が意思決定に関係する地位に到達するのを妨げる重要な要素を幾つか特定しています。「どこでもいつでも」働けることを求める企業文化は、家庭責任に関連して女性に不均等に大きな影響を与えています。一方で、労働時間の柔軟性や父親休暇などの男女双方のワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)や包摂性を支えるポリシーは改善が必要です。管理職のレベルが上がるにつれて女性の割合が低下するという「穴の開いたパイプライン」、女性管理職が人事や財務、総務といった、それほど戦略的でなく、最高執行責任者(CEO)や役員に結びつく可能性が低いと考えられている分野に見られるという「ガラスの天井」要素も存在します。女性取締役の割合が意味のある3分の1のレベルに達しているのは、調査企業の3分の1にも達していません。約8社に1社は取締役は男性のみと回答しています。CEOが男性である企業は78%を超え、一方で女性CEOのいる企業は規模が小さくなる傾向があります。
 
 「管理職に女性を増やす強力な事業上の根拠があります。技能不足の時代においては、女性は企業が十分に活用していない才能ある人々の豊かな集合を代表しています。グローバル経済での成功を望む賢明な企業は、真のジェンダーの多様性を企業戦略の重要な要素にすべきです。企業団体や使用者団体は率先して効果的なポリシーとその真の実行の両方を促進すべきです」とフランス=マッサン局長は説いています。
 
 4章構成の本書は、第1章「性に関して多様な人員構成とすることの事業上・経済的な根拠」で女性の雇用が経済成長に寄与し、女性の雇用を支える企業の取り組みが企業成績を向上させる証拠を示した後、第2章「ビジネスと管理職におけるジェンダーの多様性」で管理職に占める女性の割合を分析し、第3章「取締役会及び企業統治の場におけるジェンダーの多様性」で女性役員の状況を示し、第4章「より幅広いビジネス環境の変化」でジェンダーの多様性向上を支えるために何ができるかを具体的に示しています。「前途」と題する終章では、労働市場における男女の役割についての偏見や男女賃金格差の克服、理系の学問や産業における女性の支援、成果主義の採用・昇進制度の見直しとジェンダー・バイアスの制御など、ジェンダーの多様性による利益の確保に向けた具体的な提案を行っています。付録として調査企業における女性管理職比率などのデータが図表で示されています。別冊で、中国や南アフリカ、ブラジルなど、29カ国について調査結果をまとめた国別スナップショット 、企業調査の内容をより詳しく紹介した報告書 も発表されています。
 
 以上はジュネーブ発英文記者発表 の抄訳です。
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 全国センター通信No.240 (通巻250号) 2019年6月1日

「人権・女性・非正規労働」の視点から深める

九州セミナー課題別セミナー・「感情労働と健康権」
 
 5月18〜19日に開催された九州セミナーの第5回課題別セミナーは、「感情労働と健康権」をテーマに北九州市で開催されました。開会あいさつとして、田村昭彦代表世話人は「感情労働に従事している労働者の増加に対して、日本における感情労働の理解は不十分で、組織的対応が遅れている」と指摘しました。今回は、韓国における感情労働の取り組みのリーダー的存在であるグリーン病院・労働環境健康研究所のイム・サンヒョク医師など韓国から4人を招待しお話を聞くことになりました。
 
韓国で感情労働が問題になる理由
 
 イム医師は「感情労働の実態と課題」をテーマに講演しました。イム医師は韓国で感情労働が問題になる理由の第lに「企業の経営戦略が消費者の行き過ぎた権利意識を誘発したこと」をあげました。また、感情労働者の多くが女性や非正規労働者であり、保護されない労働が強いられていることが大きな要因としました。労働環境健康研究所では2010年から継続的に感情労働に関する調査を実施。2013年にはナッツリターン事件に象徴される労働者が企業経営者に暴行、暴言を受ける事件が社会問題化していきました。
 韓国の産業構造も製造業から感情労働の多いサービス業に大きく変化し、顧客対面労働者は推計700万人と言われています。
 
感情労働者と消費者の望むもの
 
 感情労働をめぐって、労働者とサービスをうける消費者からの調査により、双方の要望が共通していることがわかりました。それは商品の正確な情報提供であり、クレーム処理の専門的体系でした。消費者も決して安っぽい過剰なサービスを望んでいるわけではありませんでした。正確な情報提供をできるよう教育を受けた労働者によるサービスが望まれていたのです。また、労働者にとって、教育や必要な人員確保、労働条件の改善を通じて、組織(企業)に大切されていることを理解することが、消費者への満足なサービス提供につながることが、明確になってきたのです。
 10年を超える取り組みのなかで、それまで「お客様は神様」といいなりになってきたことに対して、悪質な場合は告訴を含む毅然とした態度をとる企業も生まれてきています。
 
ソウル市の感情労働センターの取り組み
〔写真〕イ・ジョンフン所長(右)と通訳の大塚大輔さん
 
 2日目は、ソウル市感情労働センターのイ・ジョンフン所長のから講演がありました。感情労働者は産業や業種で区分することが難しく、「業務時間において顧客・乗客、学生、患者など職場の同僚以外の人々と直接関わる時間が1日にどれだけ占めるか」「業務時間において、感情的な顧客や患者をなだめる時間が1日にどれだけを占めるか」の2つの質問に対して、勤務時間の1/4〜1/2に対応した労働者を感情労働従事者とし、ソウル地域の労働者510万人のうち260万人が該当することがわかりました。感情労働者と消費者はかなりオーバーラップしているということです。感情労働センターでは、研究、広報、相談、教育を柱に活動を進めているとのことでした。
 ソウル市では、2016年に「感情労働従事者の権利保護などに関する条例」を制定されました。それは、被害発生後の事後管理よりも予防を重視し、企業内の取り組みとともに「感情労働保護のためのソウル市民が実践する約束」も示されています。
 ソウルの運動が全国にも波及し、昨年12月に制定された「産業安全保健法」にも、感情労働保護に関する内容が位置づけられました。
 学習会では、感情労働全国ネットワークのイ・ソンジョン執行委員長や日本の医療・介護・公務・生協の職場の実態、過労死問題などの報告もされました。「感情労働を考えるキーワードは、人権・女性・非正規労働」と田村代表世話人は閉会あいさつでまとめの発言を行ないました。
 日本での感情労働の課題を考える大きな契機となる取り組みとなりました。
             (全国センター岡村やよい)
 〔参考情報〕「感情労働者保護」(20190327)学習会の記録 http://hatarakikata.net/modules/column/details.php?bid=442
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「月28日勤務」「危険な環境」 東京五輪の建設現場に根付く“恐怖の文化”

https://news.nicovideo.jp/watch/nw5346801

2019/05/24 08:00ITmedia ビジネスオンライン

恐怖の文化建設現場危険な環境月28日勤務人

時間外労働競技場過労自殺JS

選手村組織委員会

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 「The Dark Side of the Tokyo 2020 Summer Olympics (2020年東京オリンピック“闇の側面”)」

 

【その他の画像】

 

 これは、国際建設林業労働組合連盟(BWI)がまとめた報告書のタイトルです。この報告書では、「2020年東京五輪・パラリンピックの競技会場などの建設現場で、作業員が過酷な労働環境に置かれている」として、大会組織委員会や日本スポーツ振興センター(JSC)に改善を求めています。

 

 BWIは約130の国・地域の労働組合が加盟する組織です。06年から五輪やサッカーワールドカップなど大規模イベントの建設現場の労働環境を調べ、提言書をまとめてきました。

 

 それで、今回。18年9月に複数の競技会場の建設現場を視察し、今年2月にはJSCを事業主体として整備中の新国立競技場と、都が建設中の選手村で働く作業員計40人から聞き取り調査を実施したところ、「頭上をコンクリートがプラプラしている状態で怖い」「月に28日間連続で働いている例がある」など、危険な建設現場の状況を訴える声が相次いだのです。

 

 具体的には、

 

・作業員の半数が雇用契約でなく、請負契約のため(一人親方が請負う)、法的な保護が手薄

 

・選手村で月28日間、新国立競技場で月26日間、勤務した作業員がいた

 

・作業員の中には安全器具を自腹で購入した者がいた

 

・薄暗い中での作業の改善を求める労組からの通報をJSCが受理しなかった

 

・外国人技能実習生の人権が守られていない、資材運搬など単純作業ばかりを強いる

 

・作業員が失職などを恐れて労働環境の改善を訴えにくい雰囲気がある

 

 といった内容が記されていたのです。

 

●日本の労働者たちを取り巻く「恐怖の文化」

 

 さらに、2人の死亡が確認されたことや、慢性的な人手不足に加えて時間的制約に追われていることも指摘。「karoshi(過労死)」という単語が報告書では何度も使われ、 日本の労働者たちには「culture of fear(恐怖の文化)」があるとし、

 

 「Wages remain low, dangerous overwork is common, and workers have limited access to recourse to address their issues(賃金は安く、危険な環境での長時間労働が常態化しており、一方で、働く人たちが満足に仕事を行うための機会を提供されていない<河合訳>)」

 

 と、BWIの書記長のA.ユソン氏は警告しています。

 

 「組織を変えたきゃ、若者、よそ者、ばか者の視点を生かせ!」というように、日本人の多くが「仕方がない」「今までもそうだったから」と、諦めたり見逃したりしていたことが、外国人のまなざしにはクリアに見える。

 

 日本の「働かせ方」、日本人の「働き方」は、非人間的以外の何ものでありません。

 

 「心は習慣で動かされる」とは、米国の教育心理学者ジェローム・セイモア・ブルナー博士の言葉ですが、「恐怖の文化」という表現が象徴するように、日本人は日本的“当たり前”に五感が縛られ、「ニッポン人はオカシイ。ニッポンの当たり前はセカイの非常識」になってしまっているのです。

 

 新国立競技場の工事現場では、17年に現場監督をしていた23歳の男性が「過労自殺」したことを覚えている方は多いと思います。

 

●時間外労働は月200時間超

 

 男性は、16年3月に大学を卒業し、地盤改良工事などを得意とする建設会社に入社。約10件の現場で経験を積み、16年12月から、東京五輪などに向けて建設中の新国立競技場の現場に配属となりました。

 

 男性が自殺する直前1カ月の時間外労働は200時間超。しかしながら、当初、会社側は「男性の時間外労働は80時間以内」と説明。遺族側が再調査を要求したところ、男性の時間外労働は1月が116時間、2月には193時間まで達していたと訂正したのです。

 

 男性が使用していたPCの電源の記録などから遺族らが割り出した労働時間はこれをさらに上回り、深夜までの労働が常態化しており、17年2月中に3回の徹夜勤務があったことも明らかになっています。

 

 男性は亡くなるひと月前の17年3月、「今日は欠勤する」と会社に連絡した後、突然失踪。4月に長野県内で遺体が発見されたときには、「突然このような形をとってしまい、もうしわけございません。身も心も限界の私はこのような結果しか思い浮かびませんでした」と記されたメモも見つかりました。

 

 いったいなぜ、心も体も悲鳴をあげ、生きる力がなえるまで働き続けてしまったのか。

 

 とてもとても悲しいことではあるけど、男性が“culture of fear(恐怖の文化)”に蝕まれ、悪いのは非人間的な働き方を“当たり前”にした企業なのに、自分を責めた。そう思えてなりません。

 

●労働コストが下がり続けるのは日本だけ

 

 かつての日本の企業には、「働く人を大切にする」という経営哲学が存在し、人の摂理に合ったさまざまな制度が存在していました。特に1970年代後半に、政府が「日本型福祉社会」にかじを切ってからは、日本の企業は「社会福祉の担い手」とし、新卒一括採用、入社後の教育、年功賃金、福利厚生を充実させ、会社員を家族のように大切にしました。

 

 心理学者のマズローが提唱した「ユーサイキアン・マネジメント(働く人々が精神的に健康であり得るためのマネジメント)」が実践されていたのです。

 

 しかしながら「会社組織」は、平成30年間で大きく変わりました。会社員は「人」ではなく、「コスト」になり、会社を守るために人がリストラされ、賃金カットの目的で成果主義が取り入れられ、業績の上がらない部署は切り捨てられ、非正規という「低賃金でいつでも切れる社員」を増やし、過労死や過労自殺、うつ病を生む“恐怖の文化”がまん延しています。

 

 その変貌ぶりは、データからも明確です。1999年を基準にした、2012年までの労働コストの推移(OECD調べ)を見ると、日本は右肩下がりになっています。世界の国々の労働コストが一貫して上昇傾向にあるのに対して、唯一、日本だけ労働コストが下がり続けているのです。

 

 企業側が「人」ではなく、「カネ」だけを見た結果、何人もの命が奪われ、危険な環境で「今」も働かされている人たちがいる。「恐怖の文化」を断ち切る努力を企業にしていただきたい。

 

 そして、どうかご安全に、これ以上誰も傷つくことがないよう、組織委員会には現状に真摯(しんし)に向き合い、早急に改善に努めてほしいです。

 

(河合薫)

〔関連記事〕

東京五輪、建設現場は「危険な状況」労組国際組織が指摘 (5/16)

http://hatarakikata.net/modules/hotnews/details.php?bid=726

 

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 産労総合研究所 2019年 研修時の日当、時間外・休日労働の取り扱いに関する実態調査

 
人事 研修時の日当、時間外・休日労働の取り扱いに関する実態調査
2019.05.16 更新 掲載している雑誌:企業と人材
 
時短の取り組みが人材育成の足かせに? 働き方改革によって、「研修運営に影響が出ている」とする企業が約5割
 
 人事労務分野の情報機関である産労総合研究所(代表・平盛之)は、このたび「2019年 研修時の日当、時間外・休日労働の取り扱いに関する実態調査 」を実施しました。2005年以来、14年ぶりの調査となります。
 前回調査時に比べ、「時間外に行う研修も一部ある」とする企業が増えているなか、およそ2社に1社は、働き方改革の取り組みによって、研修日程やプログラム内容などに影響が出ているという結果となった。
 
 調査は、大企業を中心に、312社の人材開発部門の担当者に聞いたもの。本リリースでは、調査結果のうち「社内研修が時間外、もしくは休日に及ぶことがあるかどうか」、そして「働き方改革の取り組みが進むなか、そうした研修の運営・実施に影響が出ているかどうか」について紹介します。
 
印刷用PDFのダウンロード
2019年 研修時の日当、時間外・休日労働の取り扱いに関する実態調査
 
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 日本生産性本部 同一労働同一賃金への対応、300人以上企業の約3割「まだ検討段階で着手せず」/民間調査

 
情報詳細
種 別 調査研究
タイトル 第16回 日本的雇用・人事の変容に関する調査
発表日 2019/05/16
発表元
内 容 調査研究や提言、実践活動により生産性向上をめざす(公財)日本生産性本部(東京都千代田区、会長:茂木友三郎)は、日本的な雇用・人事の潮流を把握し、企業・組織の制度見直しや働き方改革推進の一助とすることを目的に、1997年より、全上場企業を対象に「日本的雇用・人事の変容に関する調査」を不定期で実施しています。
今回の調査は第16回にあたり、2019年1月下旬から3月下旬にかけて実施しました。結果のポイントは以下の通りです。
 
○在宅勤務制度(37.3%)、テレワーク制度(21.6%)の導入率が高まる
 働き方の見直しにつながると思われる施策の導入率については、「ノー残業デー(ウィーク)設定」が最も高く67.6%。次いで、「フレックスタイム制度」(53.9%)となっている。また、「在宅勤務制度」の導入率は37.3%と前回調査時(2016年)の18.8%から約2倍に伸びている。また、在宅勤務制度以外のテレワーク制度を採り入れている企業も21.6%(前回調査8.3%)と増加している。
 
○自社の正社員(ホワイトカラー層)の労働生産性、向上しているという企業は46.1%
 働き方改革が閣議決定された2016年に比べて、自社の正社員(ホワイトカラー層)の労働生産性(人時生産性)が「どちらかというと向上している」という企業は44.1%と最も多く、次いで「ほとんどかわらない」が40.2%となっている。「かなり向上している」(2.0%)と併せると5割近く(46.1%)が向上していると回答している。
 
○役割・職務給導入が進む、管理職層で78.5%、非管理職層で57.8%
 本調査では経年的に賃金体系の内訳を調査しているが、仕事や役割の重さを反映した給与(役割・職務給)の導入が進んでおり、管理職層で78.5%、非管理職層で57.8%とそれぞれ前回調査を上回っている。
 
○同一労働同一賃金、300人以上企業では約3割の企業が「まだ検討段階で着手していない」
 同一労働同一賃金への対応として、特に基本給に関しては、約3割の企業が「まだ検討段階で着手していない」と回答している。特に対応が遅れているのは、「会社業績等への貢献に応じて支給する賞与」(37.5%)となっている。
 
○65歳定年延長企業が徐々に増加して10.8%(2016年調査では5.3%)
 60歳以降の雇用確保措置としては、「再雇用制度のみで対応(定年は60歳)」という企業が75.5%と大多数を占めている。その一方で、65歳以上に定年年齢を引き上げたという企業は、前回調査では5.3%だったのに対して、今回の調査では10.8%と増加している。
 また、再雇用制度導入企業のうち、「定年延長はしない予定」という企業は前回調査では41.9%だったが、今回調査では17.1%に下がり、「定年延長する」という企業は、前回調査では0.8%だったのが2.4%に、「定年延長する方向で検討中」という企業は同じく5.6%から13.4%にそれぞれ増加している。
 
【本件に関するお問い合わせ先】
≪内容に関して≫
コンサルティング部 雇用システム研究センター
担当:東狐(とうこ) 03-3511-4040、k.toko@jpc-net.jp
≪取材等お申込み≫
統括本部(広報) 担当:渡邉(裕) 03-5511-2030、yuko.watanabe@jpc-net.jp
添付ファイル 第16回「日本的雇用・人事の変容に関する調査」結果.pdf https://activity.jpc-net.jp/detail/esr/activity001561/attached.pdf
 
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 賃金債権放棄認められず 労組と合意交わすも 最高裁4/25判決

2019.05.21 【労働新聞】
 
経営悪化による不払い分
 
 運送会社が労働組合と合意した賃金債権放棄に基づき、経営悪化で一時的に減額した賃金を支払わなかったことを不服として労働者が訴えた裁判で、最高裁判所第一小法廷(山口厚裁判長)は、労組と会社の間の合意は組合員である労働者に効果が及ばないと判断した。賃金債権を消滅させるためには、労組が労働者の代理をしたなど「合意の効果が労働者に帰属することを基礎付ける事情を要する」としている。会社に元本分の220万円の支払いを命じ、遅延損害金の算定のため高裁に差し戻した。…
 
□最高裁判所第一小法廷2019年4月25日判決
事件番号  平成29(受)1889
事件名  未払賃金等,地位確認等請求事件
裁判年月日  平成31年4月25日
法廷名  最高裁判所第一小法廷
裁判種別  判決
結果  その他
判例集等巻・号・頁  
原審裁判所名  大阪高等裁判所
原審事件番号  平成28(ネ)1731
原審裁判年月日  平成29年7月14日
判示事項  使用者と労働組合との間の合意により当該労働組合に所属する労働者の未払賃金に係る債権が放棄されたということはできないとされた事例
第一審 神戸地方裁平成28年5月10日判決/平成26年(ワ)2481号
(W:以下、pdfをテキスト化してみました)
 
- 1 -
平成29年(受)第1889号 未払賃金等,地位確認等請求事件
平成31年4月25日 第一小法廷判決
 
主 文
 1 原判決中,平成25年8月から同26年11月までの支給分の賃金及びこれに対する遅延損害金の請求に関する部分を破棄する。
 2(1) 前項の賃金の請求に関する部分に係る第1審判決を取り消す。
 (2) 被上告人は,上告人に対し,221万2720円を支払え。
 3 第1項の遅延損害金の請求に関する部分につき,本件を大阪高等裁判所に差し戻す。
 4 上告人のその余の上告を棄却する。
 5 第2項に関する訴訟の総費用は被上告人の負担とし,第4項に関する上告費用は上告人の負担とする。
 理 由
 上告代理人折田泰宏,同小林久子の上告受理申立て理由第1について1 本件は,被上告人に雇用されていた上告人が,被上告人に対し,労働協約により減額して支払うものとされていた賃金につき,当該減額分の賃金(平成25年8月から同26年11月までの支給分のもの)及びこれに対する遅延損害金の支払等を求める事案である。
 
 2 原審の確定した事実関係等の概要は,次のとおりである。
(1) 被上告人は,貨物自動車運送等を業とする株式会社である。
 上告人は,平成15年2月1日,被上告人に雇用され,生コンクリート運送業務を行う営業所において,生コンクリートを運送する自動車の運転手として勤務していた。
 上告人と被上告人との間の労働契約においては,月例賃金は毎月20日締めの末日払いとされ,毎年7月と12月に賞与を支払うとされていた。同契約における上告人の成25年8月から同26年11月までの支給分の月例賃金(家族手当,食事手当及び通費を除く。以下同じ。)は月額59万5850円であり,同25年12月及び同26年7月支給分の賞与は各76万5000円であった。
(2) 上告人は,全日本建設交運一般労働組合関西支部(以下「建交労組」という。)に所属している。
(3) 被上告人は,経営状態が悪化していたことから,建交労組及びその神戸中央合同分会(以下「建交労組等」という。)との間で,平成25年8月28日,以下の内容の労働協約(以下「第1協約」という。)を書面により締結した。
 ア 建交労組等は,被上告人が提案した年間一時金を含む賃金カットに応じる。カット率は,家族手当,食事手当及び交通費を除く総額から20%とする。
 イ 上記アの期間は,平成25年8月支給分の賃金から12か月とし,その後の取扱いについては労使双方協議の上,合意をもって決定する。
 ウ 被上告人は,前記アによるカット分賃金の全てを労働債権として確認する。カットした金額は賃金明細に記載する。
 エ 経営改善に関する協議は,労使協議会を設置し,被上告人,被上告人に対して生コンクリート運送業務を委託している株式会社KYC及び建交労組等の3者で3か月ごとを原則として必要に応じて行う。
 オ 本協定に定めのない事項は,被上告人は,建交労組等と事前に協議し,合意をもって行う。
(4) 被上告人は,上告人に対し,平成25年8月から同26年7月までの支給分の月例賃金については月額11万9170円の合計143万0040円を,同25年12月及び同26年7月の支給分の賞与については各15万3000円の合計30万6000円をそれぞれ減額して支給した(以下,この減額による未払賃金を「本件未払賃金1」という。)。
(5) 被上告人は,経営状態が改善しなかったことから,建交労組等との間で,平成26年9月3日,前記(3)イの期間を同年8月支給分の賃金から12か月とするほかは,第1協約と同旨の労働協約(以下「第2協約」という。)を書面により締結した。
(6) 被上告人は,上告人に対し,平成26年8月から同年11月までの支給分の月例賃金につき月額11万9170円の合計47万6680円を減額して支給した(以下,この減額による未払賃金を「本件未払賃金2」といい,本件未払賃金1と併せて「本件各未払賃金」という。)。
(7) 上告人は,平成26年12月14日,本件訴訟のうち,本件各未払賃金及びこれに対する遅延損害金の支払を求める請求に係る部分の訴えを提起した。
(8) 上告人は,平成27年3月20日,定年退職した。
(9) 被上告人は,経営状態が改善しなかったことから,建交労組等との間で,平成27年8月10日,前記(3)イの期間を同月支給分の賃金から12か月とするほかは,第1協約と同旨の労働協約(以下「第3協約」という。)を書面により締結した。
(10) 被上告人の生コンクリート運送業務を行う部門は,平成28年12月31日をもって閉鎖され,上告人が所属していた営業所に勤務していた建交労組に所属する組合員2名が被上告人を退職した。被上告人と建交労組は,第1協約及び第2協約によって賃金カットの対象とされた賃金債権の取扱いについて協議し,これを放棄する旨の合意をした(以下,この合意を「本件合意」という。)。
3 原審は,上記事実関係等の下において,要旨次のとおり判断して,上告人の本件各未払賃金に係る請求を棄却すべきものとした。
(1) 第1協約にいう賃金カットとは賃金の支払の猶予を意味し,本件未払賃金1については,これにより支払が猶予された。そして,平成26年7月末日が経過した後,支払が猶予された賃金のその後の取扱いについて協議をするのに通常必要な期間を超えて協議が行われず何の決定もされない場合は,当該賃金について弁済期が到来すると解すべきところ,第1協約により支払が猶予された本件未払賃金1は,同月末日から1か月余り経過した同年9月3日に締結された第2協約により更に支払が猶予された。
(2) 第2協約にいう賃金カットも賃金の支払の猶予を意味し,本件未払賃金2については,これにより支払が猶予された。そして,平成27年7月末日が経過した後,支払が猶予された賃金のその後の取扱いについて協議をするのに通常必要な期間を超えて協議が行われず何の決定もされない場合は,当該賃金について弁済期が到来すると解すべきところ,第2協約により支払が猶予された本件未払賃金2は,本件未払賃金1と併せて,同年8月10日に締結された第3協約により更に支払が猶予された。
(3) 第3協約の締結後にされた本件合意は,支払が猶予されていた賃金債権を放棄するものであり,これにより,上告人の本件各未払賃金に係る債権も消滅したというべきである。
4 しかしながら,原審の上記判断のうち,本件未払賃金1のうち第1協約によりその締結日である平成25年8月28日以前に具体的に発生したものの支払が猶予されたとした部分及び本件未払賃金2のうち第2協約によりその締結日である同26年9月3日以前に具体的に発生したものの支払が猶予されたとした部分,並びに本件合意により上告人の本件各未払賃金に係る債権が消滅したとした部分は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
(1) 前記事実関係等によれば,本件合意は被上告人と建交労組との間でされたものであるから,本件合意により上告人の賃金債権が放棄されたというためには,本件合意の効果が上告人に帰属することを基礎付ける事情を要するところ,本件においては,この点について何ら主張立証はなく,建交労組が上告人を代理して具体的に発生した賃金債権を放棄する旨の本件合意をしたなど,本件合意の効果が上告人に帰属することを基礎付ける事情はうかがわれない。
 そうすると,本件合意によって上告人の本件各未払賃金に係る債権が放棄されたものということはできない。
(2) そこで,上告人の本件各未払賃金の弁済期について検討する。
 具体的に発生した賃金請求権を事後に締結された労働協約の遡及適用により処分又は変更することは許されない(最高裁昭和60年(オ)第728号平成元年9月7日第一小法廷判決・裁判集民事157号433頁,最高裁平成5年(オ)第650号同8年3月26日第三小法廷判決・民集50巻4号1008頁参照)ところ,上告人の本件未払賃金1に係る賃金請求権のうち第1協約の締結前及び本件未払賃金2に係る賃金請求権のうち第2協約の締結前にそれぞれ具体的に発生していたものについては,上告人による特別の授権がない限り,労働協約により支払を猶予することはできない。そうすると,上告人による特別の授権がない限り,本件未払賃金1に係る賃金請求権のうち第1協約の締結日である平成25年8月28日以前に具体的に発生したものについては,これにより支払が猶予されたということはできないし,本件未払賃金2に係る賃金請求権のうち第2協約の締結日である同26年9月3日以前に具体的に発生したものについて,これにより支払が猶予されたということもできないというべきである。
 そして,本件各未払賃金のうち,第1協約により支払が猶予されたものについては第2協約及び第3協約が締結されたことにより,第2協約により支払が猶予されたものについては第3協約が締結されたことにより,その後も弁済期が到来しなかったものであり,これらについては,第3協約の対象とされた最後の支給分(平成28年7月支給分)の月例賃金の弁済期であった同月末日の経過後,支払が猶予された賃金のその後の取扱いについて,協議をするのに通常必要な期間を超えて協議が行われなかったとき,又はその期間内に協議が開始されても合理的期間内に合意に至らなかったときには,弁済期が到来するものと解される。
 この点につき,原審は,本件未払賃金1に係る賃金請求権のうち第1協約の締結前及び本件未払賃金2に係る賃金請求権のうち第2協約の締結前にそれぞれ具体的に発生していた賃金請求権の額,第1協約及び第2協約が締結された際の上告人による上記特別の授権の有無,平成28年7月末日以降,被上告人と建交労組等との間で支払が猶予されていた賃金についての協議の有無等を認定しておらず,原審が確定した事実関係の下においては,本件各未払賃金の弁済期を確定することはできない。
 もっとも,第1協約,第2協約及び第3協約は,被上告人の経営状態が悪化していたことから締結されたものであり,被上告人の経営を改善するために締結されたものというべきであるところ,平成28年12月31日に被上告人の生コンクリート運送業務を行う部門が閉鎖された以上,その経営を改善するために同部門に勤務していた従業員の賃金の支払を猶予する理由は失われたのであるから,遅くとも同日には第3協約が締結されたことにより弁済期が到来していなかった上告人の賃金についても弁済期が到来したというべきであり,原審口頭弁論終結時において,本件各未払賃金の元本221万2720円の弁済期が到来していたことは明らかである。
5 以上と異なる原審の前記判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨はこの趣旨をいうものとして理由があり,原判決中,本件各未払賃金に係る請求及びこれに対する遅延損害金の請求に関する部分は破棄を免れない。そして,以上に説示したところによれば,上告人の請求のうち,本件各未払賃金の元本221万2720円を請求する部分は認容すべきである。また,上告人の請求のうち,本件各未払賃金に対する遅延損害金を請求する部分については,その遅延損害金の起算日について更に審理を尽くさせるため,同部分につき本件を原審に差し戻すこととする。
 なお,その余の請求に関する上告については,上告受理申立て理由が上告受理の決定において排除されたので,棄却することとする。
 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 山口 厚 裁判官 池上政幸 裁判官 小池 裕 裁判官木澤克之 裁判官 深山卓也)
 
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 規制改革推進会議「ジョブ型正社員(勤務地限定正社員、職務限定正社員等)の雇用ルールの明確化に関する意見」(2019年5月20日)

 
(出所)「規制改革推進会議」ホームページ
ジョブ型正社員(勤務地限定正社員、職務限定正社員等)の雇用ルールの明確化に関する意見
 
令和元年5月20日
規制改革推進会議
 
 「多様な働き方を実現するため、正社員と非正規社員といった両極端な働き方のモデルを見直し、職種や労働時間等を限定した「多様な正社員」のモデルを確立するための施策を具体化すること」という総理指示(平成25年4月2日 日本経済再生本部)を受け、前身の規制改革会議において、ジョブ型社員1の雇用ルールについての議論を開始した。
 その後、厚労省が事例集とともに「雇用管理上の留意事項」2をまとめており、4社に1社の割合で、ジョブ型雇用の仕組みを採用している3。しかし、就業規則や人事管理上、整備すべき課題がいまだ残されている。当会議の第1次答申(平成29年5月)においては、「関係法令の整備を含む更に必要となる方策について検討を行い、必要な措置を講ずる」ことを提言した。
 ここで、主要な課題となるのは労働契約のあり方である。
 
(中略)
 
【改革の方向性】
 (1)国は、「勤務地限定正社員」、「職務限定正社員」等を導入する企業に対し、勤務地(転勤の有無を含む。)、職務、勤務時間等の労働条件について予測可能性を高められるよう、個々の労働者と事業者との間の書面(電子書面を含む)による確認を義務付け、現行の労働条件明示に関する規定について必要な法令の見直しを行うべきである。
 また、多様な正社員が、使用者と合意した労働条件によって安心して働ける様、「勤務地限定正社員」、「職務限定正社員」の雇用形態の周知と積極的な導入を促し、また、労働条件を確認する手段として、以下の検討を行うべきである。
 
  労働契約の内容を書面で確認できるよう、労働契約法第4条18第2項を改正し、「勤務地限定正社員」、「職務限定正社員」等については、労働契約の締結時や変更の際に、限定の内容について、労使当事者間の書面による確認を義務化する。
  労働条件に勤務地変更(転勤)の有無、転勤の場合の条件が明示されるよう、労働契約の締結に際して、労働者に書面で明示しなければならないとする労働条件の記載事項(労働基準法第15条、労働基準法施行規則第5条1項)に、「勤務地変更(転勤)の有無」、「転勤の場合の条件」を追加するとともに、労働条件の変更の際も労働者に書面で明示する。
  勤務地の変更(転勤)を行うことが予定される場合は、就業規則にその旨が示されるよう、就業規則の記載事項(労働基準法第89条)に、労働者の勤務地の変更(転勤)を行うことを予定する場合には、当該事項を、また、労働者の勤務する地域を限定して使用する場合には、その限定に関する事項を、追加する。
 
 (2)無期転換ルールが周知されるよう、無期転換申込権を保有する労働者に対し、有期労働契約が更新されて5年を超える労働者を直接雇用する企業が無期転換ルールを通知することの義務化を含め、労働者に対する制度周知の在り方を検討し、必要な措置を講ずるべきである。あわせて、無期転換ルールがどの程度適用されたかを労働者や企業等へ調査するなどして、当該制度の導入効果を検証すべきである。

【参考情報】注目のニュース - 「限定型正社員」労働条件の書面確認を義務化 政府の規制改革推進会議、答申骨子を公表 (5/18)  http://hatarakikata.net/modules/hotnews/details.php?bid=738

 

 

 

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 平成30年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)を公表します

               令和元年5月17日(金)
               労働基準局 安全衛生部 労働衛生課
               課長:神ノ田 昌博
               主任中央労働衛生専門官:搆 健一
               (代表電話) 03 (5253) 1111(内線5491)
               (直通電話) 03 (3502) 6755
報道関係者 各位
 
平成30年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)を公表します
〜死亡者数、死傷者数ともに前年の倍に〜
 
 厚生労働省では、平成30年の「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)を取りまとめましたので、公表します(別添1参照)。
 
 平成30年における職場での熱中症*1による死亡者数は28人と、平成29年と比べて2倍となりました。死傷者数(死亡者数と休業4日以上の業務上疾病者数を加えた数)は、1,178人と前年の2倍を超えました。熱中症による年間の死傷者数は、近年400〜500人台でしたが、1,000人を超えたのは、過去10年間で最多となっています。
 
 死亡者数を業種別にみると、建設業が10人と前年同様最も多いのですが、前年死亡者のいなかった製造業で5人、運送業で4人発生しています。特に屋内作業での増加が目立っています。死傷者数では、警備業が前年のほぼ3倍、製造業、運送業が前年のほぼ2倍となっています。
 
 熱中症で死亡した28人の状況をみると、WBGT値*2(暑さ指数)が、基準値を超えて熱中症の発生リスクが高まっていたと推測されます。中でも、作業環境の正確な把握や作業計画の変更を行わなかったと考えられる事例や、重篤な熱中症の兆候が見られた労働者の救急搬送が遅れた事例、日ごろから健康診断や体調把握などの事業場における健康管理を適切に実施していない事例などが見られます。
 
 これから、夏にかけて気温や湿度が上昇し、WBGT値も大きく上昇が見込まれます。それぞれの事業場において、熱中症のリスクを過小評価することなく、WBGT値の測定などにより客観的な指標を用いて作業環境を把握したり、労働者の身体に大きな負担をかけないような作業計画、作業指示を行ってください。
 
*1 熱中症とは
高温多湿な環境下において、体内の水分と塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破綻するなどして、発症する障害の総称。めまい・失神、筋肉痛・筋肉の硬直、大量の発汗、頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐(おうと)・倦怠(けんたい)感・虚脱感、意識障害・痙攣(けいれん)・手足の運動障害、高体温などの症状が現れる。
 
*2 WBGT値とは気温に加え、湿度、風速、輻射(放射)熱を考慮した暑熱環境によるストレスの評価を行う暑さの指数。
 
厚生労働省では、「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施中です(5月1日から9月30日まで)
 別添1 「平成30年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)」[PDF形式:513KB]
 別添2 令和元年「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」実施要綱[PDF形式:542KB]
 参考1 通達「平成21年6月19日付け基発0619001号『職場における熱中症の予防について』」[PDF形式:754KB]
 参考2 リーフレット「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」[PDF形式:1.5MB]
 参考3 特設サイト
 
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 事例紹介 太田労基署

スバル群馬製作所員の自死太田労基署が労災認定
 月100時間超の時間外労働と上司のバワハラ
 労災認定により3421人の残業代未払いも発覚 
  働くものの健康(社会医学センター)2019年5月10日第464号6頁
 
 2018(平成30)年8月3日、群馬県の太田労働基準監督署は、2016(平成28)年12月に自死したスバル男性社員Aさん(当時46歳)の死亡は、上司からの激しい叱責や長時間労働によって発症したうつ病が
原因であると、労災認定しました。
     ○−○−○
 Aさんは1994(平成6)年にスバル(当時は富士重工業)群馬製作所に入社し、2013(平成25)年2月から、水質や土壌などの公害防止や苦情の未然防止にかかわる担当となりました。
     ○−○−○
 2016(平成28)年の春頃から、Aさんは、昇進試験の準備や日常業務について、上司の課長から繰り返し指導を受けるようになりました。
 Aさんが亡くなった翌月の2017年1月、遺族のもとへ群馬製作所に勤める従業員の”匿名有志“からの手紙が届きました。
 その手紙には、「日頃から課長席の前に立たされ、業務関係で幾度も大声で叱られ、7階の同僚皆の目の前で課長からパワハラと呼ばれるような説教を受けていた」という記載をはじめ、長時間労働が常態化していたことなどが書かれていました。
 昇進試験のための指導という大義名分があっても、指導の範疇を超えるパワハラがあり、それを目撃した複数の社員は、「部屋の外に聞こえる大声で叱られていた」「上司の前で立たされていた」などと証言しています。
     ○−○−○
 Aさんは、2016(平成28)年7月から新工場建設に向けて、業者とのやり取りなどで多忙を極めました。
 勤務記録上は「残業ゼロ」になっていましたが、帰宅前に家族に送ったメールの時刻などから推定された死亡前の時間外労働時間数は、1ヶ月前が124時間31分、2カ月前が100時間39分にも及びました。労基署の認定した時間外労働時間数は、遺族の推定時間数とは差はあるものの、死亡前のlか月間は105時間程度あったものとされました。
 ”匿名有志“からの手紙には、残業を隠蔽するため、午後5時になると一旦退社手続きをし、そのうえで「席に戻り遅くまで仕事をするのが当たり前のようになっている」という記載がありました。
     ○−○−○
 2016(平成28)年12月、Aさんは「現状を克服する方法が見つかりません。すべて終わりにするしか、できることがなくなってしまった。」という遺書を残し、群馬製作所の建物7階屋上から飛び降り、亡くなりました。
 労災認定を発表する記者会見では、Aさんの長男(13歳)の「パパがいなくなって、さみしくて、いまは何も考えられない。会社はパパがいなくなった原因を認めて、二度とこういうことが起こらないようにしてほしい」、長女(11歳)の「パパが上司にいじめられている様子を想像すると悲しくて、胸が苦しくなる。会社や上司はこの状況から早く脱したいと思っているのだろうが、私は、このような気持ちから死ぬまで一生逃れることができない」というコメントが、代読されました。
     ○−○−○
 スバルはAさんの労災認定後に未払い残業代を認め、2015(平成27)年7月から1年5カ月間の400万円余の追加支給を行っています。
 またスバルは社員の残業代を把握していなかったことがわかり、2015(平成27)年から2017(平成29)年にかけて調査を行い、社員3421人に計7億7000万円の残業代を支払っていなかったことが判明しました。
 調査の中の過少申告の理由については、社員の約6割が「(部署で決めた残業時間の)上限を超えないようにした」と回答していました。
 検査不正を含めてスバルの企業体質が厳しく問われています。 

【関連記事】
□スバル男性社員を労災認定=長時間労働などで自殺−労基署
時事通信 2019年01月24日17時26分
 
 富士重工業(現SUBARU=スバル)群馬製作所(群馬県太田市)の男性社員=当時(46)=が2016年12月、同製作所内の建物屋上から飛び降りて自殺したのは、長時間労働や上司の叱責などでうつ病を発症していたのが原因だったとして、太田労働基準監督署が昨年8月、労災認定していたことが分かった。遺族の代理人弁護士が24日、東京都内で記者会見して明らかにした。
 弁護士によると、男性は1994年入社。12年から公害防止などの業務を担当していた。労基署は、死亡前6カ月で月約35〜96時間、16年11月14日からの30日間では約105時間の残業をしていたと認定した。
 また労基署は、男性が上司の課長から繰り返し厳しい指導や叱責を受け、「(同僚らは)その状態は他の者と比べ特に厳しく、高圧的でパワハラと感じていた」と判断したという。
 
□スバル社員投身自殺 過労と「上司トラブル」で労災認定
産経新聞 2019.1.24 16:07
 
〔写真〕記者会見する玉木一成弁護士=24日午後、東京都千代田区
 
 SUBARU(スバル)の男性社員=当時(46)=が、上司の厳しい叱責(しっせき)や長時間労働を苦に鬱(うつ)病を発症して自殺し、太田労働基準監督署(群馬県)が男性の自殺を労災認定していたことが24日、分かった。認定は平成30年8月3日付。
 記者会見した遺族側弁護士によると、男性は6年にスバル(当時は富士重工業)群馬製作所に入社し、25年2月から水質や土壌などの公害防止にかかわる担当になった。28年12月に「自分の力ではどうすることもできない」との遺書を残し、同所の屋上から飛び降り自殺した。
 労基署は自殺の原因に上司とのトラブルを認めた。男性は28年春ごろから、昇進試験の準備や日常業務について、上司の課長から繰り返し指導などを受けるようになった。目撃した複数の社員によると、「部屋の外に聞こえる大声で叱られた」「上司の前で立たされていた」という。
 同年7月からは、新工場建設に向けて業者とのやり取りなどで忙しく、死亡前の1カ月は残業が124時間に及んだ。勤務記録上は「残業ゼロ」にしていたが、スバル側は労災認定後に未払い残業代を認め、27年7月から1年5カ月間の約408万円の追加支給をしている。
 弁護士を通じて、男性の長男(13)は「さみしくて何も考えられない」、長女(11)は「私の心の傷は一生消えない」とのコメントを寄せた。スバルは「心よりお悔やみ申し上げたい。大変遺憾に思い、従業員の健康確保に一層の配慮をする」とコメントした。
 同社は24日、全社的に労働時間を調べた結果、約3400人に総額約7億7千万円の未払い残業代があったと明らかにした。
 
 
 
 

 

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 ドキュメント 「働き方改革」(旬報社)

 平成最後の大「改革」の内幕を暴く!
 
著者 澤路毅彦 著 千葉卓朗 著 贄川俊 著
ジャンル 単行本
出版年月日 2019/06/01
ISBN 9784845115952
Cコード 0036
判型・ページ数 4-6・280ページ
定価 本体1,500円+税
 
目次
プロローグ 2015年12月
【第1章】 将軍
【第2章】 首相裁定
【第3章】 電通事件
【第4章】 苦悩する連合
【第5章】 国会審議
あとがき
エピローグ
 
順次施行が始まった“働き方改革関連法”、朝日新聞記者が紙面に書けなかった“法案可決”の舞台裏。
 
8つもの法案を抱き合わせにして、可決・成立した法律は、どうやって成立したのか。
 
2018年、8つもの法案を“抱き合わせ”にした、
働き方改革関連法案(「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」)の成立の過程では、政府・経団連・連合との間でのやりとりや「データ改ざん問題」などさまざまな展開がみられた。
本書は、法律成立までの政策決定の舞台裏を取材した朝日新聞記者によるドキュメント!
 実現会議を取り仕切ったのが、内閣官房の働き方改革実現推進室の事実上のトップとなった新原である。
 実現推進室のスタッフは、常駐、非常駐合わせて約四〇人体制。このうち厚生労働省が一五人ほどを占めたが、経済産業省、文部科学省、内閣府、法務省、財務省、総務省と霞が関の様々な省庁が人を出した。
 新原は、実現室の職員に恐れられていた。
 有無を言わせない部下への命令と厳しい叱責は日常茶飯事。新原に意見を言おうものなら、「ボロカスにおとしめられる」(経験者)。すべての情報が新原に集まり、そのほかのメンバーには一部の情報しか伝えられないという、「分断統治」が敷かれた。
 こうした状況で働くメンバーの一人が、あるとき「新原さんに従わないと銃殺されますから」と周囲に漏らすと、「笑えない話」として霞が関に瞬く間に広がった。
 新原は次第にこう呼ばれるようになった。
 
 「将軍」
 
 当時、多くの官僚が新原のことを「将軍」と呼び、取材でも「将軍」と言えば通じた。「新原さんがいないとき、新原さんのことを『将軍』というのは自然になっていた」(実現室スタッフ)という。
 新原は、東京大学経済学部卒。一九八四年、旧通商産業省(現経済産業省)入省。途中、米国ミシガン大学大学院への留学をへて、情報経済課長や紙業生活文化用品課長などを歴任。二〇〇三年には、『日本の優秀企業研究』(日本経済新聞社)を出版している。同書によると、専門分野は「組織の経済学、企業論」。二〇〇六年、米国ハーバード大学経済学部客員研究員を一年した後、産業組織課長などを務め、二〇一〇年には、民主党の菅直人首相の首相秘書官。ただこれは、七か月という短期間で交代となっている。
 その後、資源エネルギー庁エネルギー・新エネルギー部長時代に、「再生可能エネルギー固定価格買い取り制度」(FIT)を手がける。この制度はその後、買い取り価格などを巡って業者を混乱に巻き込んだ。
 新原はその後、厚生労働省に出向し、健康医療戦略と職業能力開発を担当する大臣官房審議官に就任。経産省内では「もう経産省には戻ってこない」と思われた。
 二〇一四年には内閣府に移り、経済財政の審議官などを務め、局長級の政策統括官に昇進。内閣官房の一億総活躍推進室次長の兼任となり、二〇一六年九月に働き方改革実現推進室長代候補の兼任もついた。
 新原と仕事をした官僚や有識者、政治家らの「新原評」は真二つに分かれる。
 「あんなパワハラ体質の人物が、働き方改革を担当していること自体が、ブラックジョーク」(実現室スタッフ)「全ての行動原理は、自分のポイントが稼げるかどうか。他人を自分のポイント稼ぎのための『駒』としてかみていない」(経産省官僚)など、多くは新原の強引な手法を批判する。
 反対に「官僚では珍しく、自分の意見を主張する。議論をしたいと思わせるタイプ」(経済学者)「あの交渉力なくして経済界との話はまとめられなかった」(厚労省官僚)などの評価もある。
 恩讐が入り交じったこんな声もあった。
 「たしかに厳しく叱責されるのだが、時折、ねぎらいの言葉をかけられる。そういう『人心掌握術』にも実はたけている」
 働き方改革実現会議は毎回約一時間。メンバーの発言時間は事前に約二分と決められ、発言も事前に用意した内容を読み上げるケースが多い。メンバー同士のやりとりや議論は皆無。安倍首相ら居並ぶ閣僚を前に、各メンバーは自分の発言時間以外は黙って、他人の発言を聞くだけだった。さらに、会議当日の席順も「新原が決めていた」(経済省庁の官僚)。
 政府が開くこうした会議を官僚が事前に調整するのは、霞が関の常識ではある。しかし、メンバー同士の議論も封じて、あらゆることを事前に決める新原の手法は際立っていた。次第に実現会議は「御前会議」と揶揄されるようになった。
 報道対応も新原が仕切った。会議の前は事後に毎回開かれる記者向けのブリーフは、基本的に新原が一人で行った。記者ブリーフィングには、実現会議に関わる各省庁の官僚がずらりと出席しているが、新原が自分以外の官僚に発言させることはめったになかった。
 会議後には毎回、働き方改革担当相である加藤も記者会見を開くが、内容は手元の資料を読み上げるだけ。その後に新原のブリーフィングがあるため、記者も加藤にはほとんど質問をしない。
 ある官僚は、実現会議の状況をこう皮肉った。
 
 「新原による、新原のための、新原絶賛劇場」
(本文「将軍と呼ばれた男」より抜粋)
 
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