• カテゴリ 情報資料室 の最新配信
  • RSS
  • RDF
  • ATOM

情報資料室 - 情報資料室カテゴリのエントリ

経団連、この恐るべき同質集団  編集委員 西條都夫

日本経済新聞 電子版2018/6/21

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31995500Q8A620C1X12000/

 日本経済新聞の朝刊コラム「経営の視点」で経団連の正副会長について分析したところ、かなりの反響があったので、その続きを書いてみよう。

 経団連といえば経済界の司令塔であり、正副会長は会社でいえば取締役に相当する存在だ。5月末に就任した中西宏明会長(日立製作所会長)と、それを支える18人の副会長の経歴を調べることで、日本経済を引っ張るパワーエリートの横顔を浮き彫りにしたい。

前回の記事では、正副会長の出身母体の企業は平成元年に比べると、ずいぶん裾野が広がり、30年前の製造業一辺倒から金融や運輸、商社などに多様化した、と評価した。

 会長に就任し記者会見する経団連の中西会長(5月31日、東京・大手町)

ところがそれとは対照的に、人の属性の多様化は全く進まず、(1)全員男性で女性ゼロ(2)全員日本人で外国人ゼロ(3)一番若い杉森務副会長(JXTGエネルギー社長)でも62歳。30代、40代はおろか50代もいない――という「超同質集団」であると指摘した。

加えて経営者としてのカテゴリーでも、全員がいわゆるサラリーマン経営者。かつて副会長に名を連ねたソニーの盛田昭夫氏やダイエーの中内功氏のようなアントレプレナー(起業家)が姿を消し、いわゆるプロ経営者もいないのは物足りない、とも書いた。

その後、いろいろ調べると、さらに同質性を補強するような材料を見つけた。19人の正副会長全員のだれ一人として転職経験がないのだ。別の言い方をすれば、全員が大学を出て今の会社の門をたたき、細かくみれば曲折があったにせよ、ほぼ順調に出世の階段を上ってきた人物であるということだ。

年功序列や終身雇用、生え抜き主義といった日本の大企業システムの中にどっぷりとつかり、そこで成功してきた人たちが、はたして雇用制度改革や人事制度改革、あるいは「転職が当たり前の社会」の実現といった目標に本気で取り組めるものなのだろうか。

19人の出身大学も調べてみたが、やはりというべきか、圧倒的な1位は東大で、中西会長以下12人が東大卒。次いで一橋大が3人、京大、横浜国大、慶応大、早稲田大が各1人だった。

地方創生が叫ばれるなかで、首都圏以外の大学を出たのは山西健一郎・三菱電機取締役相談役ただ1人(京大工卒)というのも、どうか。

誤解のないよう急いで付け加えると、「東大卒がダメ」とか「転職経験がないからダメ」と言いたいわけではない。むろん「男性はダメ」「60歳を超えているとダメ」というのでもない。

問題は正副会長が19人もいて、似たような経歴の人しかおらず、ダイバーシティー(多様性)に欠けることだ。「老壮青」や「老若男女」といった姿からは大きく乖離(かいり)している。

日本企業がかつて躍進したのは社員の同質性が高く、それがチームワークの良さにつながり、品質の改良などに威力を発揮したからだ。だが、近年は同質性より異質性が重要になった。異なるモノの見方や経験がぶつかり合うことで、そこにイノベーションが生まれる。

移民や外国人の活躍する米シリコンバレーの繁栄がその証しであり、逆に同質性を色濃く引きずる日本企業は失速した。

中西会長自身が3年前の筆者とのインタビューで多様性の重要性を強調し、「どれほど優秀な外国人に日立に来てもらえるかが経営の勝負どころ」「女性の起用に数値目標を導入するのは賛成。多少無理をしてでも女性の役職を引き上げることで、組織に新風が吹き込まれ、よりイノベーティブな企業風土に生まれ変わるだろう」と述べている。

日立の再生で発揮した剛腕を経団連でも振るうことを新会長には期待したい。

  • トラックバック (0)
  • 閲覧 (2821)

NPO法人働き方ASU-NET10年のあゆみ

ここを開くと全文が読めます。

  • トラックバック (0)
  • 閲覧 (353)

朝日DIGITAL 2018年5月30日
https://digital.asahi.com/articles/ASL5Y5FWPL5YULFA01R.html

写真・図版;高度プロフェッショナル制度(高プロ)に反対の声を上げる(右から)連合の神津里季生会長、立憲民主党の枝野幸男代表、国民民主党の玉木雄一郎共同代表=2018年5月29日午後5時20分、東京都港区、池田良撮影(省略)

写真・図版:高度プロフェッショナル制度(高プロ)に反対の声を上げる連合の神津里季生会長=2018年5月29日午後5時19分、東京都港区、池田良撮影(省略)

 連合は29日、働き方改革関連法案に盛り込まれた高所得の専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」に反対する初の全国一斉行動を各地で実施した。昨夏、一時的に「容認」に傾いて反発を招き、これまで活動は抑えめだったが、ここにきて「高プロ反対」を浸透させようと懸命だ。

 「高プロという、とんでもない内容をもぐり込ませるから、だめだと言っている」。連合の神津里季生(りきお)会長は29日夕、東京・新橋駅前で200人ほどを前に訴えた。高プロの削除を求める立憲民主党の枝野幸男代表、国民民主党の玉木雄一郎・共同代表も参加。野党との連携もアピールした形だが、この日予定されていた法案の衆院通過に事後的に抗議するため、やっと設定された全国行動だった。

 連合は昨夏、働き過ぎ対策を見直す条件つきで高プロを容認する動きを見せ、組織内外から強い反発を浴びた。結局、高プロ反対に立場を戻したが大きな顔はできず、これまでは国会内などで小規模集会を数回開くにとどまっていた。幹部は「昨夏の騒動で傷を負った。あれがなければもう少し動けていた」と話す。

 法案にセットで盛り込まれた残業時間の罰則付き上限規制などが、連合の望みであることも立場を難しくしている。神津会長は、野党が審議を拒否していた4月の会見で「重要な法案の審議すらできないのは極めて問題」と不満を述べた。ある副会長は「残業規制は連合の悲願。徹底反対で法案がつぶれるのが最悪のシナリオ」と、法案全体への対決姿勢には野党と足並みをそろえられない事情を説く。

 今月17日には神津会長が菅義偉官房長官を訪ね、残業規制などの早期実現を要請。これを菅長官が会見で「国会で議論を深掘りすることが重要と意見が一致した」と法案審議を後押しする要請と紹介する場面もあった。神津会長は29日の演説で、残業規制などは「早くスタートしなきゃいけない」としつつも「高プロなんかだめだと、私たち連合はこだわりを持って訴えたい」と強調した。(土屋

  • トラックバック (0)
  • 閲覧 (480)

 日本共産党の山下芳生副委員長・働かせ方大改悪阻止闘争本部責任者は11日、国会内で記者会見し、「『働かせ方』大改悪をやめさせ、まともな働き方改革を実現するために」と題した「労働基準法等改正大綱」を発表しました。笠井亮政策委員長、高橋千鶴子衆院議員が同席しました。

山下氏は、政府が審議入りを強行した「働き方改革」一括法案は「長時間労働を増大させ、過労死を促進するなど財界の要求に沿った“働かせ方大改悪”といわざるをえない」と指摘。「労働時間データをねつ造し、野村不動産の過労自殺を隠してきた安倍内閣に、

『働き方』改革を語る資格はない。野党や労働組合など諸団体、広範な市民と力をあわせて、法案阻止に全力を尽くす」と表明しました。

党として「8時間働けばふつうに暮らせる社会」の実現へブラック企業規制法案などを提案してきたことを紹介し、今回の大綱は政府の一括法案への対案だと説明しました。

大綱では、政府案の「高度プロフェッショナル制度」(残業代ゼロ制度)は労働時間規制を適用除外し、過労死を促進・合法化するとして削除します。

裁量労働制についても、何時間働こうが事前に決めた時間を労働時間とみなすため、長時間労働の温床になっていると指摘。違法な適用が広がる企画業務型は廃止し、要件と運用を厳格化します。

残業時間の上限は、政府案では「月100時間未満」など過労死水準を法的に容認しているとして現行告示の週15時間、月45時間、年360時間を労基法に明記。終業から始業まで休息を確保する11時間の「インターバル規制」を明記します。

使用者に実労働時間の正確な把握・記録を義務付け、「サービス残業」は残業代を2倍にします。

パワハラ規制では、企業に対し厚労省が助言、指導、勧告、企業名公表を実施。セクハラについても規制を強化し、「被害者の人権とプライバシーを守る企業の責務」などを定めます。

山下氏は、「大綱を各党や労組、市民にも届け、共同を広げて、一括法案を必ず阻止する力にしていきたい」と語りました。

共産党案のポイント

○高度プロフェッショナル制度の削除。企画業務型の廃止など裁量労働制を見直す

○残業時間上限を月45時間、年360時間とし、連続11時間の休息時間を確保

○実労働時間を正確に把握・記録させ、サービス残業代は2倍にする

○パワハラ・セクハラへの規制強化

○同一労働同一賃金と均等待遇を明記し、正規と非正規、男女の格差をなくす

○雇用対策法改定案から「生産性の向上」「多様な就業形態の普及」を削除し、雇用対策法を変質させない

「働かせ方」大改悪をやめさせ、まともな働き方改革を実現するために 日本共産党の労働基準法等改正大綱

2018年5月11日 日本共産党国会議員団

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-05-12/2018051204_07_1.html

 11日、発表された「『働かせ方』大改悪をやめさせ、まともな働き方改革を実現するために……日本共産党の労働基準法等改正大綱」は次の通りです。

 政府は、「残業代ゼロ」法案と「残業時間の上限規制」法案を「一本化」した労働基準法改定案など8本の法律を一括改定する「働き方改革」一括法案を国会に提出し、野党と広範な団体・市民の反対を押し切って、審議入りを強行しています。労働時間規制を完全

になくしてしまう「高度プロフェッショナル制度」(「残業代ゼロ」制度)を導入し、過労死水準の残業を合法化するなど、「働かせ方」大改悪法案です。

日本共産党はこの間、8時間働けばふつうに暮らせる社会を実現するために、ブラック企業規制法案や派遣労働者保護法案、パート・有期労働者均等待遇法案、長時間労働解消緊急提案などさまざまな立法・政策提案をおこなってきました。政府一括法案の国会提

出にあたり、これに焦点をあてて労働基準法等改正大綱を発表します。

(1)「高度プロフェッショナル制度」を削除し、企画業務型裁量労働制の廃止をはじめ裁量労働制を抜本的に見直します

 政府の「働き方改革」一括法案に盛り込まれている「高度プロフェッショナル制度」(「残業代ゼロ」制度)は、労働時間規制を全面的に適用除外にする制度です。週休2日にあたる年間104日さえ休めば、24時間労働を48日間連続させても違法にならず、過労死を促進・合法化する制度です。8時間労働制を根底からくつがえすこの制度を法案から削除します。

実際に働いた時間と関係なく事前に定めた時間を働いたものとみなす「みなし労働時間制」は、世界にほとんど例をみない異常な制度です。この制度を認める国際労働機関(ILO)条約は存在しません。

裁量労働制は、「みなし労働時間制」を採用しているために、実労働時間の把握が事実上不可能であり、長時間労働の温床になっています。とりわけ企画業務型裁量労働制は、事実上、違法な営業職や一般職にも広がっています。野村不動産では違法に企画業務型裁

量労働制が適用されていた営業職の労働者が過労自殺しています。こうしたなか、三菱電機はことし3月、「長時間労働の抑制・健康確保等の観点から労働時間をより厳正に管理する」ために企画業務型裁量労働制を廃止しました。

ホワイトカラーを際限のない長時間労働に追いやる企画業務型裁量労働制は廃止します。専門業務型裁量労働制については、真に専門的な業務に限定し、その要件と運用を厳格化します。事業場外みなし労働時間制についても、その要件と運用を厳格化します。

(労働基準法第38条の2、3、4関係)

(2)残業時間の上限を月45時間、年360時間とし、連続11時間の休息時間(勤務間インターバル)を確保します。

 政府案は、「月100時間未満」「2〜6カ月平均で月80時間」という過労死水準の残業時間を法的に容認しています。過労死促進・合法化法案です。

残業時間の上限基準としては、週15時間、月45時間、年360時間が定められています(労働省告示154号)。これに法的拘束力をもたせます。この上限時間を労働基準法に明記し、例外なくすべての労働者に適用します。残業時間の青天井を容認する三六協定の特別条項を廃止します。

割増賃金が残業抑制という本来の役割を発揮できるように、1日2時間、週8時間を超える残業の割増率を50%にします。また、3日連続で残業させたら4日目からの割増率を0%にします。

法定休日について、労働基準法は、4週間をとおして4日の休日をあたえる4週・4休制を認めています。最大48日連続勤務を可能にしています。このために休日を与えない違法な連続出勤が表面化しにくい状態を生んでいます。連続出勤を規制し、毎週休めるようにするために、7日ごとに1日の法定休日を保障します。

(労働基準法第35条、第36条、第37条関係)

 EU(ヨーロッパ連合)は、一日の労働が終わり、次の労働がはじまるまでのあいだに連続11時間の休息時間(勤務間インターバル)を確保することを法制化しています。勤務間インターバル規制は、一日の労働時間規制にもつながる重要な制度です。労働基準法に連続11時間の勤務間インターバルを明記します。例外は、必要最小限にとどめます。

(労働基準法に第34条の2を新設)

(3)ただ働き残業(サービス残業)をなくすために、実労働時間を正確に把握・記録し、「サービス残業」が発覚したら残業代を2倍にします

 長時間労働是正の土台は、実労働時間の正確な把握と記録です。各事業場ごとに労働時間管理台帳を作成し、管理職をふくめた全労働者の実労働時間を正確に把握・記録することを使用者に義務づけます。職場から労働時間をチェックすることによって、長時間・ただ働き残業をなくし、「追いつめられている」労働者を救済することができるように、本人はもとより、本人の同意があれば職場の労働者や家族・友人も、労働時間管理台帳と賃金台帳を閲覧できるようにします。

労働時間管理台帳を作成・記録・保存をしない事業主に対する罰則を設けます。

(労働基準法に第107条の2および第108条の2を新設、第120条関係)

 労働基準法に違反するただ働き残業(「サービス残業」)が後を絶ちません。企業に罰則を科すとともに、「サービス残業」が発覚したら、労働者に支払う残業代を2倍にします。「サービス残業」が企業にとって「割に合わない」ものにすることで、長時間労働の抑止力とします。

(労働時間等の設定の改善に関する特別措置法に第15条を新設)

(4)パワハラ・セクハラへの規制を強化します

 達成できないノルマを課して精神疾患や過労死・過労自殺に追い込んだり、「追い出し部屋」に隔離し、繰り返しの面談で退職を強要するようなパワハラをやめさせます。また、退職を希望する労働者に「違約金」を請求して辞めさせないようにする違法行為をきびしく取り締まります。さらに、お客が店員に土下座を強要するなど、第三者からの過大なクレームも規制の対象とします。

パワハラ行為を防止するために、厚生労働省は企業にたいして助言、指導、勧告をおこないます。勧告に従わない企業名を公表します。パワハラの是正指導を労働局に求めた労働者に対する不利益とりあつかいを禁止します。

職場でのセクハラをなくすために、企業への助言、指導、勧告と勧告に従わない企業名の公表などを定めた男女雇用機会均等法の現行のセクハラ規制を強化し、被害者の人権とプライバシーを守る企業の責務などを定めます。

(労働安全衛生法に第71条5、6、7、8を新設、第97条関係、男女雇用機会均等法第11条関係など)

(5)同一労働同一賃金と均等待遇を法律に明記し、正規と非正規、男女の格差をなくします

 政府は同一労働同一賃金を実現するといいます。しかし、政府案には同一労働同一賃金が明記されていないばかりか、能力、業績、企業への貢献、「人材活用の仕組み」などによる賃金格差を法的に容認するものとなっています。

同一労働同一賃金と均等待遇を実現するために両原則を労働基準法や労働契約法、パート労働法、労働者派遣法などに明記します。

また、福利厚生施設の利用などについても、正規と非正規の格差をなくします。

(労働基準法第4条関係など)

(6)雇用対策法改定案から「生産性の向上」と「多様な就業形態の普及」を削除するなど、雇用対策法を変質させません

 政府案は、雇用対策の「目的」に「労働生産性の向上」を持ち込んでいます。これは、憲法27条が保障する労働権を実現するという雇用政策の役割を変質させるものです。政府案からこの文言を削除します。また、政府案の「国の施策」に明記された「多様な就業形態の普及」は、労働者保護法の適用を受けない労働者を大量につくろうとするものです。政府案からこの文言を削除します。また、政府案は、法律の名称から「雇用対策」の文言をなくし、第一条の「目的」に明記されていた「雇用」を「労働」という文言に置き換えています。法律の名称および目的に雇用対策を明記するようにします。

 

  • トラックバック (0)
  • 閲覧 (695)

 業務上の過労やストレスで発病し、死亡したり重度の障害を負ったりした場合の労災補償について、無料で相談に乗る「過労死110番」が今春、30周年を迎えた。昭和63年4月、全国に先駆けて大阪で始まった取り組み。最初の相談者となった平岡チエ子さん

(75)=大阪府藤井寺市=は、偶然目にした新聞記事で110番の開設を知り、2カ月前に亡くなった夫のことを聞いてほしいとスタートの日を指折り待って、受話器を握った。「電話口の相手に分かってもらえた」。110番で安心感を得た平岡さんはその後、労災認定を得て、勤務先を相手取った訴訟で和解を勝ち取り、その活動は海外で「karoshi」と取り上げられる契機にもなった。

働き盛りの夫の死

 「夫が救急車で運ばれたときはもう遅くて、心不全といわれたが、そうじゃない。会社に殺された」

今年4月12日夜、大阪過労死問題連絡会が大阪市内で開いた過労死110番の開設3W0周年記念シンポジウム。登壇した平岡さんはこう切り出し、かけがえのない夫を失った日のことを語り始めた。

昭和63年2月23日。夫の悟さん=当時(48)=は午後9時半ごろに仕事から帰宅。その後、急性心不全で亡くなった。晩酌をしながら夕食を取り、長男とプロ野球の話などをし、家族それぞれが自分の用事をしていた、わずかな時間のことだった。

悟さんは大手企業の工場に勤め、ベアリングの生産ラインの現場で約30人の部下をまとめる班長をしていた。定員を割り込む人手不足の状態の中、自らも生産ラインに立った。亡くなるまでの51日間は休みがなく、連続勤務だった。「フル操業で機械さえ故障するのに、人間が健康に生きられるはずがありません」

指折り数えた開設日

 悲しみに暮れる日々だったが、約2カ月後の4月、新聞記事が目に留まった。その日の夜に大阪市内で開催される「過労死シンポジウム」の告知。働き盛りのサラリーマンが脳出血や狭心症で急死したと伝えていた。

「『過労死』の3文字が夫の死と重なり、衝撃を受けた。このときから生活が一変した」。これが転機となった。

最寄り駅を降りてたどり着いた会場には、大勢の人が集まっていた。後方の席に座って話に耳を傾けた。そこで4月23日に「過労死110番」が初めて開設されるのを知った。偶然にも開始日の4月23日は、悟さんの2度目の月命日。開始時刻の午前10時ちょうどに電話をかけた。

「今となっては内容は覚えていない。だが、きっと長い時間だったと思う」

誰にも話せず、胸の内にとどめていた感情を打ち明けることができ、受話器の向こうには受け止めてくれる人がいた。「わかってもらえたことは、たとえようのない安心感だった」。

この日に寄せられた相談は18件で、うち16件が過労死関連だった。ほとんどが、平岡さんと同じ妻からの電話だった。

米紙が「karoshi」と掲載

 110番での相談で勧められたこともあり、平岡さんは同年7月、労働基準監督署に労働災害を申請。悟さんの勤務実態を理解してもらうために、子供2人と手書きで作成したグラフも提出した。こうした活動は反響を呼び、同年11月、米紙シカゴ・トリビューンが「karoshi」の言葉とともに、悟さんのことを報じた。

労基署は翌年5月、悟さんについて労災認定した。過労死110番が関係した事案の初めての労災認定でもあった。「やっと夫も休める」。胸のつかえが取れたように感じたが、会社は「本人が自発的に働いた。会社が指示したのではない」と責任を認めなかった。

こうした会社の姿勢に、平岡さんは企業の責任を追及する民事訴訟に踏み切ることを決意。平成2年5月に大阪地裁に提訴した。

その甲斐あってか、裁判では、労務部長が「青天井の三六協定を労働組合と結んでいた」と証言するなど、長時間労働や休日労働が常態化していた実態が明らかになった。そして6年11月、和解が成立した。和解にあたり会社の謝罪は勝ち取ったが、「最後まで労働組合や職場の人の協力がなく、職場が見えてこなかった」と悔しさも味わった。

「話せない気持ち分かってもらえる」

 「開設当時、過労死という言葉は定着していなかったが、(過労死110番の)反響は大きく、全国に呼び掛けた」

はじめて過労死110番を実施した大阪過労死問題連絡会の初代事務局長を務めた松丸正弁護士(大阪弁護士会)はこう振り返る。

過労死110番の取り組みはやがて全国に広がっていった。毎年6月に無料電話相談を行っているが、昨年は32都道府県で実施された。常設で相談を受け付ける窓口もでき、これまでに寄せられた相談は約1万2千件にのぼる。

一方、厚生労働省によると、平成28年度に過労死で労災認定されたのは107人、未遂を含む過労自殺は84人だった。過労死や過労をめぐる問題が相次ぐ中、過労死110番は大きな役割を果たしている。平岡さんは、過労死110番について「誰にも話せないような気持ちを分かってくれる場所。これからも駆け込み寺として頑張ってほしい」と期待している。

                   ◇

 大阪過労死問題連絡会は平日(午前9時半〜午後5時半)と奇数週の土曜日(午前9時半〜午後0時半)に「常設過労死・過労自殺

110番」((電)06・6364・7272)を行っている。
  • トラックバック (0)
  • 閲覧 (302)
朝日DIGITAL 2018年5月4日

https://digital.asahi.com/articles/ASL4F552YL4FOHGB00T.html

写真・図版:食事を前に内定者の家族の前で話をする桜井宏・JAぎふ組合長(省略)

 親向けに会社説明会を開いたり、親が入社式に同伴したりと、就職活動への親の関わりが話題になって久しい。そんな中、今度は「内定者の保護者」に注目する企業が出ている。売り手市場で人材確保が厳しさを増す中で、家族ぐるみで仕事への理解を深めてもらい、長く働いてもらいたいとの思いがある。

 2月上旬、岐阜市の老舗旅館「十八楼」。厳かな雰囲気の広間に、JAぎふへの就職を控えた内定者の家族約50人が集まった。若手職員がJAについて説明し、各職場を職員自らが紹介する手作りのVTRが上映された。

 その後は役員を交えた食事会に。桜井宏組合長もテーブルに加わり、「ご家庭で農協改革は話題になっていますか」と内定者の家族に話しかけた。

 JAの担当者によると、内定者の家族向けの説明会は昨年スタートした。桜井組合長は「今は少子化の時代。親御さんも、お子さんがどんな職場で働くのか心配されていると思う。少しでも不安を取り除くことができれば」と話す。

 長女が就職するという各務原市の男性(47)は「親も不安だったので、こうした場を作ってくれてありがたい。どんな仕事をするのか理解できたので、アドバイスできる場面もあると思う」と話した。

 愛知や岐阜でジュエリー・リサイクルショップを展開しているティアラ(本社・愛知県)も、3年前から内定者の保護者を招いて店舗見学のバスツアーや懇親会を開いている。その後の内定式では、強制ではないものの、ほとんどの内定者が親への感謝のメッセージを伝えるという。

 岩瀬智芳社長は「自分をさらけ出して、会社のすべてをお伝えしている。親御さんとも連絡し合える関係を築きたい」と話す。

 早期退職の防止も目的の一つだと言い、「この壁を乗り越えればすごく成長できるのに、そこで辞めてしまう若い人たちがいて残念に思っていた。会社の理念をご家族にも共有してもらえていれば、壁に当たった時に前向きな助言をしてもらえるはず」と期待している。(山野拓郎)
  • トラックバック (0)
  • 閲覧 (249)
 朝日DIGITAL 2018年5月1日

https://digital.asahi.com/articles/ASL4M6X62L4MUTFL00R.html

裁量とは、自分の考えで判断し、処理すること。「裁量労働」は、政権が対象の拡大をめざしたが、データのずさんさが露呈し、先送りになった。働く人の裁量は、どこまであるのか。

低賃金・ノルマ…働かせ放題(今野晴貴さん NPO法人POSSE代表)

裁量労働の基本給は、いくらくらいなのか。明記が義務づけられている求人票で、表示されている低い方の額を調べてみました。求人の9割は月給25万円未満で、7割は20万円未満でした。

 これまで、裁量労働は比較的高給、かつクリエーティブな職種が対象で、好きな時間に働けるようになるとされてきました。ところが、現実には低賃金が大半なのです。

 なぜでしょう。裁量労働は、働いた時間と賃金の関係を切り離すものです。あいまいな法律で、どの職種があてはまるのかもわからない。ブラック企業に悪用されて、想定とは違い、残業代を削るために使われてきたのです。

 私たちのNPOが受けた相談で、「裁量労働でよかった」という人はいます。過大なノルマさえなければ、実際に働く時間を選べますから。しかし、ある日いきなりノルマがふってきて断れず、耐えられなくなって相談にくる。仕事量には歯止めも裁量もないので、労働環境が悪くなるのは簡単です。

 法律や制度の想定と、実際の運用がずれることはあります。現実を見ず、イメージだけで話を進めるのは、もうやめるべきです。仕事を増やしても賃金は同じなのだから、雇う側からすれば、定額で働かせ放題になるだけです。

 「効率的な働き方になる」というのも、イメージにすぎません。以前、裁量権がないのに残業代が払われない「偽装管理職」が、コンビニや外食産業の店長で問題になりました。客がいなくても店長1人で深夜まで営業させた。これ以上働いたところで成果はないかもしれないけど、定額だからやらせてみよう、と経営側は考え、効率は無視されるのです。

 働くことへの評価が成果主義に変わるという受けとめもあるようですが、これも違います。残業代を出す、出さないと、どう評価するかは別の話です。

 働いた時間での評価が中心だったから、長時間労働が蔓延(まんえん)してきた面はあるのかもしれません。問題というなら、いまでも評価の権限を持つ経営側が、短時間で成果をあげた人を昇進、昇給させればいいだけのことです。

 裁量労働の対象拡大は今回は先送りされましたが、同じような話は繰り返し出てくるでしょう。私たちは、ブラック企業や非正規で働く人たちの声を受け止め、権利を守っていく運動を、地道に続けていきたいと思っています。

 就職ではなく「就社」文化の日本では、自分の会社や、自身の働き方を疑うことは難しいでしょう。我慢すれば報われるという、高度成長期の成功の記憶も残っているように感じます。現実に厳しい環境で働く人たちが立ち上がって声をあげられる社会にならないと、何も変わりません。

     ◇

 今野晴貴(こんの・はるき) 1983年生まれ。年間2千件以上、若者の労働相談にかかわっている。著書に「ブラック企業」など。

     ◇

美辞麗句で「ぼったくり」(平川克美さん 文筆家・立教大学客員教授)

働き方改革は安倍晋三政権の目玉の一つですが、だれが言い出したかが重要です。

 経営側から出てきたとすれば、経営者に都合がいい働かせ方をめざす、「働かせ方改革」にすぎません。裁量労働も、本来の意味で労働者に裁量があるわけではなく、残業代を払わないという「ぼったくり」です。

 なにか良いことがありそうな美辞麗句でごまかす。積極的平和主義などもそうですが、第2次安倍内閣の発足以来、口あたりのいい言葉でオブラートに包み、ごまかすことが続いてきました。この詐術をもう終わりにしなければ、この国の倫理やモラルはずたずたになります。美しい言葉の裏に何が隠されているのか、暴いていくメディアの責任は重大です。

 残業代を払わない裁量労働は悪辣(あくらつ)だし、働く環境が壊れてしまえば、最終的には経営者たちの首を絞めることにもなるはずですが、気持ちはわからないでもありません。私は現役の経営者でもあります。1985年の労働者派遣法の成立のころは、人件費を固定費ではなく変動費にできるかが、私にとっても重要な問題でした。景気や経営状態の変化に柔軟に対応する必要があったからです。

 一方で、労働者が団結して経営側と拮抗(きっこう)していくというかたちが、なし崩しになっています。一人ひとりが孤立し、「公共バスの運転手の給料が高すぎる」という主張のように、労働者の敵は労働者という状況すら、つくられています。

 最も裁量がある労働といえば、自分で会社をつくることでしょう。でも私は、自由を求める言葉がいろいろと使われますが、自由を本当に求めているのかと疑っています。自由であるためには自分の頭で考えなければならず、周囲と摩擦も起こします。日本社会には権威主義が色濃く残っており、権威に身を任せた方が安全と思っているのかもしれませんが、多くの人が自由から逃げ始めているとすれば、とても危険なことです。

 もう一つ重要なことは、経済成長が難しくなったことをどう考えるか、です。「まずは富めるものを富まそう」という政策のもと、大企業は空前の利益をあげ、内部留保をためこむ。少しでも利益を得るため、労働者から「ぼったくり」までしようとする。

 成長をあきらめろ、とはいいません。できるなら成長した方がいい。多くの問題を解決してくれ、競争の原理も有効に働きます。でも、右肩下がりの時代に競争を強いれば犠牲しか出ません。借金も返せないような中小零細は見捨てられつつあり、守ろうという勢力すら、ほとんど存在しません。成長が難しいとき、どういう社会をつくるのか。政治には、そのシナリオも描く責任があるはずです。

     ◇

 平川克美(ひらかわ・かつみ) 1950年生まれ。隣町珈琲(カフェ)店主。著書に「21世紀の楕円(だえん)幻想論」など。

     ◇

男女分業ありきの「選択」(山根純佳さん 実践女子大学准教授)

これまで、職場の求めに応じて働く時間を提供してきたのは、男性でした。このような男性の働き方にあわせるために、家庭で必要とされる役割を担ってきたのは、女性でした。

 女性は家事や育児、介護と仕事を両立させるため、パートや短時間勤務を「選んでいる」とされてきました。そして、自分で選択したのだから、低賃金でも仕方ない、と考えられてきました。

 しかし、これは「選択」とは言えません。夫の勤務が長時間であるほど、短時間勤務を望む女性が多いというデータもあります。家庭での役割が多いから、低賃金で福利厚生も乏しい、あるいは出世が難しくなるといったペナルティーのつく働き方を受け入れざるをえないのです。

 裁量労働も、仕事の量を決めるのが職場であるかぎり、「選択」を装いながら不利な労働条件を押しつける意味で同じです。やはり男性は長く働くことになり、女性が時間を調節するという分業はかわりません。男性側が長時間働くという前提のもとで、短時間勤務など女性側の選択肢を増やしても、「女性活躍」にはつながらないでしょう。

 今後、「時間や空間に縛られない働き方」になり、仕事と介護や子育てとの両立が実現するように語られますが、実際そうなるでしょうか。

 厚生労働省は、将来のあり方として「何をやるか」まで自分で決める働き方を示しています。会社のような組織ではなく、プロジェクトごとにやりたい人が集まり、終わったら解散、というものです。

 このような働き方で、育児や介護の休業はだれが保証するのか。失敗したとき、参加した人の生活を支える責任はだれがとるのか。自分で選んだのだから、結果の不利益もすべて受け入れろ、となれば生きづらいはずです。

 時間や場所に縛られるサービス業は女性の労働に支えられています。働く時間や場所の裁量を与えるなら、たとえばスーパーで早朝や夜間の営業をやめるなど、仕事のかたちそのものを変える必要もあります。ドイツのような営業時間の規制にまで、政府は踏みこめるでしょうか。

 私は介護施設で働く人の調査を続けています。AIやロボットを活用しても、「夜はお年寄りだけで寝てください」とはならないでしょう。時間と場所を拘束される労働はどうしても残るのです。

 シフト勤務で、多くの人がどこかの時間を集中して選べば、だれかが超長時間労働で穴埋めすることになる。防ぐには、スタッフの配置や報酬など、いまのしくみを大きく変える必要があります。

 こうした職場を具体的にどのように変えていくのか。この社会が本気で考えているとは、とても思えません。(聞き手・いずれも山田史比古)
  • トラックバック (0)
  • 閲覧 (231)

大阪日日新聞 2018年5月2日

http://www.nnn.co.jp/dainichi/news/180502/20180502032.html

連合大阪の第89回大阪地方メーデーが1日、大阪市中央区の大阪城公園太陽の広場で開かれた。約3万2千人(主催者発表)が参加し、連合大阪会長の山崎弦一実行委員長が政府が重要法案と位置付ける働き方改革関連法案に触れ、「過重労働による過労死や過労自死が繰り返されないよう、『働く者のための働き方改革』実現に取り組む」とアピールし、決意を述べた。

 「安心社会の実現に向け頑張ろう」と気勢を上げる参加者ら=1日、大阪市中央区の大阪城公園太陽の広場

山崎委員長は働き方改革関連法案について、高収入の一部専門職を労働時間規制の対象から外す「高度プロフェッショナル制度」に関し、「(同制度の)創設を含めた形で閣議決定されたことは極めて遺憾だ」と語った。

一方、同法案について「罰則付きの時間外労働の上限規制導入や、同一労働同一賃金は連合が求めてきたことだ」と早期実現を訴えた。

参加した民進党大阪府連代表の平野博文衆院議員は「皆さんの立場に立ち、労働環境を守る法整備にしないといけない」と主張し、立憲民主党大阪府連代表の森山浩行衆院議員は「おかしな政治や、だめな行政を変えていこう」と呼び掛けた。

  • トラックバック (0)
  • 閲覧 (146)

朝日DIGITAL 2018年4月28日

https://digital.asahi.com/articles/ASL4W4VHXL4WUTFK016.html

介護現場で働く人のうち約3割が利用者やその家族からセクハラを受けた経験がある――。介護職員らの労働組合「日本介護クラフトユニオン」が27日、こうした調査を発表した。組合は「セクハラは以前から言われており、組合員から悲鳴のような声が寄せられた」と訴えた。

組合は今月10日にハラスメント全般に関するアンケートを組合員約7万8千人に送付。20日までに回答した1054人(女性908人、男性146人)のうち29%にあたる304人(女性286人、男性18人)が「セクハラを受けた」と答えた。前財務事務次官による女性記者へのセクハラ発言を受け、セクハラ部分のみ中間報告として公表した。

複数回答で、最多は「不必要に個人的な接触をはかる」で51%。「性的冗談を繰り返したり、しつこく言う」が47%、「胸や腰などをじっと見る」が26%、「食事やデートへの執拗(しつよう)な誘い」が10%で続いた。自由記述欄には「胸などを触られた」「下半身を見せてきた」「キスをされた」などと書かれていた。239人(79%)は周囲に相談したが、その約半数はその後も状況は「変わらない」とした。また、「このままでは人材確保は困難」といった記載もあったという。(船崎桜)

  • トラックバック (0)
  • 閲覧 (350)
関西テレビ 2018年4月25日(水)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180425-19123904-kantelev-l27

指導教員から「アカデミック・ハラスメント」を受けたなどとして関西大学大学院の元学生が大学側を訴えた裁判で、大阪地方裁判所は訴えの一部を認めました。

訴えによると関西大学大学院に通っていた泉翔さん(31)は指導教員から「信頼関係の喪失」を理由に一方的に研究を中止され指導も打ち切られました。

泉さんは教員の行為がアカデミック・ハラスメントにあたり、大学側の相談窓口にも問題を放置されたとしておよそ600万円の損害賠償を求めていました。

判決で大阪地裁は「研究方法や教員の変更は大学院生に重大な影響を及ぼすため、双方が納得したうえで進められるべき」と認定。

さらに「大学のハラスメント相談室はおよそ2か月間、対応を怠った」として、大学側におよそ92万円の支払いを命じました。

【原告 泉翔さんの会見】

「僕は悪くなかったんだと思えたので、裁判したこと自体がよかったです」

大学側は「内容を精査し今後の対応を検討したい」としています。
  • トラックバック (0)
  • 閲覧 (197)
コンテンツ
サイドメニュー1
サイドメニュー2

> ご入会申込フォーム

> わかもの労働相談

訪問者記録
今日 : 48
今月 : 11264
総計 : 2506679

ページトップ