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副業はAIの教師 急増する「ゴーストワーカー」 働き方改革 経済 コラム(ビジネス)(9/11)

2019/9/11 10:14

副業はAIの教師 急増する「ゴーストワーカー」 働き方改革 経済 コラム(ビジネス)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49627340Q9A910C1SHA000/?n_cid=NMAIL007
2019/9/11 2:07日本経済新聞 電子版

AIの機械学習を影で支えるゴーストワーカーが世界で増えている
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AIの機械学習を影で支えるゴーストワーカーが世界で増えている
ネットサービスの急成長を支え、日々進化する人工知能(AI)。人間の仕事を奪うとの懸念も強いが、実はそのAIを機能させるために驚くほどの手間と労力がかかっている。そんなAIを裏で支えるのが「ゴーストワーカー」だ。

「AIの仕事って、こんなところに落ちてるんや。面白そう」。

関西に住む佐藤かおりさん(仮名、28)が、インターネットで副業を始めたのは2017年のこと。正社員としての年収は250万円で、なかなか上がらない。一人っ子で親の将来を考えると不安にもなる。家でできる副業をしようとクラウドソーシングのランサーズ(東京・渋谷)に登録した。そこで見つけたのがAIの機械学習を手伝う仕事だった。

AIは大量のデータから学ぶ機械学習が核。データを与えるだけでなく、物事の判断を教える必要がある。赤ちゃんに「この写真は犬」「この写真は猫」と教えるような作業で、タグ付けやラベリングといわれる。単純だが人間の見識がいる。

佐藤さんはそんな「教師役」のひとり。アニメのキャラクター画像を見ながら一つ一つ性別を仕分けたり、企業が使うAIチャット用に質問と答えを準備したりしている。例えば、「このワンピースに合うジャケットある?」との問いにいくつかの答えを用意する。

佐藤さんは平日の帰宅後に1〜4時間、土日に4〜6時間働き、月数万円の収入を得る。他のワーカーとチャットで雑談し、仕事を分け合うことも。「見えない会社に勤めているよう」と話す。

「最先端のAIを障がい者が支えていることを知ってほしい」。ミンナのシゴト(栃木県鹿沼市)の兼子文晴社長はこう話す。AI開発などの作業を企業から請け負い、AIスピーカーに入力された音声から固有名詞だけ拾うといった仕事を障がい者に委託する。時給は約1300円。依頼は急増中だという。

企業がこぞってAIの活用に乗り出す中で、こうした単純作業が膨大な量となっている。ランサーズによると「企業の発注が急激に伸びたのはこの2〜3年」。企業からするとアウトソーシングによりコストカットができるため、大手企業も積極的に利用する。


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世界でも注目されている。米マッキンゼー・アンド・カンパニーは18年のリポートでAIの課題を5つ指摘した。その1番目に置いたのが「ラベリング」。情報収集の方法や、判断の偏りの是正などはその後に続く課題と位置づけている。

AIでは人の介在が不要な「教師なし学習」の技術開発も進むが、野村総合研究所の上田恵陶奈・上級コンサルタントは「教師ありも教師なしもそれぞれ強みがある。人による作業がなくなることは当面ない」とみる。

米国では今春、米マイクロソフトの研究者らが「GHOST WORK」と題する本を出版し、話題を呼んだ。この本では様々なゴーストワーカーが紹介されている。

例えば、ウーバーが手がける配車サービス。米国で暮らす客と運転手の間に、実は見えない第三者がいるという。インドに暮らしながら、ネットで運転手を本人か確認し、事前登録した顔と一致すれば、運転手にゴーサインを出す人だ。

世界にゴーストワーカーがどのくらいいるかは不明だが、企業と単純労働の働き手を結ぶサイトは各国にある。世界銀行は15年、約580万人が登録していると報告した。

有名なサイトのひとつに「アマゾン・メカニカルターク」がある。機械仕掛けのトルコ人という意味だが、1700年代、自動チェス機が開発されたが、実はその中にはトルコ人のチェス名人が入っていたことに由来する。

米国人のほか、インド人など英語を使える外国人がサイトを利用し、様々な単純作業の依頼が飛び交う。見えないところで人が働く姿は今のゴーストワークに似通う。

配車アプリや自動運転を円滑に動かすためにも「影の労働者」が必要とされている
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配車アプリや自動運転を円滑に動かすためにも「影の労働者」が必要とされている
その他にも、最近では経済が破綻状態にあるベネズエラで自動運転のための情報が入力されているとの報道もあった。新たな雇用を生んでいるものの、必ずしも処遇がいいとはいえない。低賃金、孤独、スキルアップの機会がない。ゴーストワーカーが挙げる悩みだ。

佐藤さんも「企業はネットの向こうにスーパーマンがいると勘違いしていると思うことがある」と話す。1カ月で1万件の画像処理といった過剰発注を見かけたり、明らかに事実と異なる情報の入力を求められたりしたことがあるという。「私たちはただ作業する機械じゃないのに」。

企業は、AIの開発やコストカットを急ぐあまり、見えない働き手に無理を強いていないだろうか。ネットサービスを含め、その質の向上のためにも、開発過程で働き手に十分な配慮がなされているか点検が必要だ。

(福山絵里子) 

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