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 高プロ、金融ディーラー業務11人を5月に適用 2カ月で計12人に 厚労省発表

https://mainichi.jp/articles/20190625/k00/00m/040/196000c

毎日新聞2019年6月25日 19時31分(最終更新 6月25日 19時31分)

 

 厚生労働省は、高収入の一部専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」(高プロ)について、5月は11人に適用されたと発表した。1社から、金融商品のディーラー業務に携わる11人に適用したと届け出があった。4月の届け出は1人で、制度開始から2カ月で計12人となった。

 高プロは4月施行の働き方改革関連法に盛り込まれた新制度。研究開発など5業種で、年収1075万円以上の労働者が対象となる。厚労省は「制度導入から間もないので、今後も注視していきたい」としている。【矢澤秀範】

 

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不適切営業を郵政認める 70歳以上被害多数 ノルマ課すメールなお

2019/6/25 6:00 西日本新聞 一面
 
〔写真〕九州のある地区の統括郵便局長が各郵便局宛てに送ったメール。「実績ゼロで定時退庁ですか?」などと記している(写真の一部を加工しています)
 
 保険内容を理解できない高齢者に不十分な説明で契約を結ばせる‐。西日本新聞が繰り返し報じてきた郵便局員による不正営業問題は、日本郵政の長門正貢社長が陳謝する事態に発展した。再発防止のためには、営業ノルマを重視する「体質」の改善が急務となる。
 
 本紙が独自に入手した内部資料によると、全国の郵便局では2015年度以降、顧客に契約内容を説明しないなど保険業法違反に当たる営業行為が約70件、内規違反の不適正な営業は15〜17年度に約440件、勧誘に関する苦情も昨年までの約3年半で1万4千件超に上っていた。
 
 取材に対し、多くの郵便局員は「現実離れした重い営業ノルマが背景にある」と口をそろえる。
 
 保険を一度解約させ、同じ種類の保険を再契約させているとして今回問題になった保険の「乗り換え」も同様だ。郵便局内では「顧客の不利益につながるため、ニーズがない場合には勧めてはならない」と注意喚起していたが、実態は違った。内部では「転換類似」と呼ばれ、内部資料によると18年上半期には11万8千件に上り、前年同期比で約4万6千件も増えていた。
 
 中国地方の局員は「新規の顧客を開拓するのは難しい。ノルマをこなすには付き合いのある高齢者宅を訪問し、過去に結んだ契約を解約して新しい保険に乗り換えてもらうしかない」と打ち明ける。
 
 長門氏は24日の会見で、ノルマ廃止も含めた再発防止策を検討することにも言及した。昨年以降、年賀状や暑中・残暑見舞い用はがき「かもめ〜る」についても販売ノルマの廃止を打ち出したが、複数の局員からは「相変わらず無理な枚数を販売するよう求められている」との証言が多数寄せられている。
 
 数日前、九州のある地区内の郵便局には「(保険の)実績ゼロで定時退庁ですか? ありえません!(中略)全社員超勤3H(時間)で取組んで結果を出すこと!」というメールが送られていた。この地区の局員は「問題が起きるたびに改善のポーズをするだけで、体質が変わるとは思えない」と話す。
 
 
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サムスン、海外工場初の民主労組をわずか40日で破壊

ハンギョレ日本 登録:2019-06-24 23:40 修正:2019-06-25 10:38
 
グローバル・サムスン持続不可能報告書(3)無労組 
 
インドネシアのサムスン電子元労組委員長、ズルハーマン
脅迫・暴行・買収・分裂工作・雇われ暴力団の暴行
グローバル標準に合わないグローバル企業の“悪習”
 
〔写真〕インドネシア・サムスン電子のズルハーマン元労組委員長が5月13日、金属労働者連盟ブカシ支部事務室でハンギョレのインタビューに応じている。労組破壊事件から6年が過ぎたが、彼は今もサムスンの報復を恐れていた=ブカシ/キム・トソン<ハンギョレTV>PD//ハンギョレ新聞社
 
 グローバル超一流企業として君臨するサムスン電子は、今や韓国だけの企業ではない。超国籍企業サムスン電子は、世界の人々にどんな姿に映っているのだろうか。サムスン電子で働く労働者は、サムスンに対してどう思っているのだろうか。特にサムスン電子の主要生産基地に浮上したアジア地域の労働者の暮らしと労働の現実はどうなっているのだろうか。この質問の答えを得るために、ハンギョレはベトナム、インド、インドネシアのアジア3カ国9都市を訪ねた。2万キロ余り、地球半周分を巡って136人のサムスン電子労働者に直接会って質問調査した。国際労働団体がサムスン電子の労働条件に関する報告書を発刊したことはあるが、報道機関としては韓国内外をあわせて最初の試みだ。10人の労働者に深層インタビューし、20人余りの国際経営・労働専門家にも会った。70日にわたるグローバル・サムスン追跡記は、私たちが漠然とは察しながらも、しっかり見ようとしなかった不都合な真実を暴く。真実に向き合うことは、そのときは苦痛かもしれないが、グローバル企業としてサムスンがブランド価値を高めるためには避けられない過程だと判断する。5回に分けてグローバル超一流企業サムスン電子の持続可能性を尋ねる。
 
グローバル・サムスン持続不可能報告書//ハンギョレ新聞社
 
 “無労組”は、世界中のサムスン工場を一つにまとめるキーワードだ。創業者の故イ・ビョンチョル会長が「私の目に土が入ろうとも労組は許さない」として無労組原則を明らかにして以来、3代にかけて守っている経営方針だ。しかし、グローバル基準に合わないこの時代錯誤的な経営方針は、すでに世界的企業に成長したサムスンの現在と絶えず不協和音を起こしている。世界中のサムスン工場の中で、最初に合法的な民主労組を結成したインドネシアの事例を通じて、その実態を伝える。
 
 インドネシア・チカランのサムスン電子工場のエンジニアだったズルハーマン(39)は、2012年10月21日を今も鮮明に覚えていた。この日は、サムスン電子の海外生産法人に初めて合法的な民主労組が設立された日だ。「労組設立証を会社に直接手渡しました。管理者の表情がひどくゆがみました。大いに驚いたようでした」。その時はまだ、ズルハーマンは彼と同僚を襲う試練をまったく予想できなかった。
 
 サムスンは、韓国国内で行ったのと同じく、脅迫、懐柔、尾行、暴行で対応した。組合員は、工場内では監視され、工場外では尾行された。「非正規職に対する差別なのい工場を作ろう」という目標で結成された労組は、長くは続かなかった。サムスンの相次ぐ脅迫に、不安に震えた組合員は一人二人と会社を去って行った。サムスンが労組を完全に破壊するまでにかかった時間は、わずか40日だった。
 
 インドネシア金属労働者連盟(FSPMI)所属サムスン電子労組の委員長だったズルハーマンは、ハンギョレのインタビュー要請を何度も断った。彼は「韓国のマスコミに良くない記憶を話したくない」と言い訳したが、拒絶の本当の理由はインタビューが終わる頃になって聞くことができた。
 
 紆余曲折の末にインタビューが実現したのは、現地の市民団体と労組の粘り強い説得のおかげだった。彼が外国の報道機関のインタビューに応じたのは今回が初めてだ。サムスンのチカラン工場労組破壊は、国際労働団体の報告書に事例として簡略に言及されていた。5月13日と17日、金属労働者連盟ブカシ支部の事務所と近隣のあるモスクで彼に会い、長時間隠されていた労組破壊の顛末を聞いた。
 
正規職-契約職-派遣職 “差別のピラミッド”
 
 ズルハーマンは、1999年に入社して生産ラインのエンジニアとして仕事をした。正規職であり主要な人材だった。生産職労働者の行動を分析し、生産効率を上げるための戦略を立てる業務もした。ズルハーマンがサムスンに入社した理由は、家族のためにお金をたくさん稼ぎたかったからだ。彼にとってサムスンの第一印象は、「安全な労働環境と高い賃金をくれる最高のグローバル企業」「長く働きたい一生の職場」だった。
 
 幻想は時間とともにどんどん壊れていった。奴隷のように酷使される自身と同僚の現実を気づき始め、彼はいわゆる“問題社員”(MJ、サムスンが労組結成の可能性がある社員を指す表現)になっていった。一緒に働いた派遣職(アウトソーシング)の同僚は、一日で突然切り捨てられるのが常であり、目標生産量を満たせずに毎日超過勤務をしても手当は支給されなかった。「親しい同僚に派遣職が大勢いました。派遣職の同僚たちと多くの話を交わし、労組が必要だと考えました。彼らは正規職と同じように働いているのに、賃金や給食補助で差別を受けていました。熱心に働いても、突然クビになるケースも多くありました」
 
“ハーモニー”という名の御用労組
 
 当時、チカラン工場の全労働者2800人余りのうち、契約職と派遣職が約800人ずついた。世界人口4位のインドネシアの内需用家電製品を生産するこの工場は、事実上非正規職労働者の血と汗で成り立っていた。だがサムスンは、一つのラインで働く労働者を正規職-契約職-派遣職に分けて、賃金と処遇で差別した。物量が多い7〜12月の繁忙期に生産人材を集中的に活用するための労働柔軟化戦略だった。管理者に対し差別問題で抗議したが「お前には関係ない」という叱責が返ってきた。ますます労組が必要だと考えるようになった。インドネシアの労働法上、派遣労働者を正規職と共に生産ラインに投じることは違法だ。
 
 労組の結成は秘密裏に進められた。ズルハーマンは、金属労働者連盟を訪ね、サムスン工場の状況を説明し労組を作りたいという意向を明らかにした。当時、金属労働者連盟は非正規職問題に声を上げ、周辺事業場の労組結成を助けていた。2カ月後、サムスンの正規職10人と派遣職300人が労組の設立に賛同した。労働部に対し正式登録の手続きを踏んだ後、合法労組になった。ズルハーマンは「非正規職も堂々と声を上げられる工場を作ろうということが最大の目標だった」と話した。
 
 その時、会社には“ハーモニー”という労組があったが、御用労組なので労働者の声を代弁することはできなかった。サムスンの管理者は「会社にはハーモニーが存在するので、他の労組は必要ない」という論理を労働者に教育した。ハンギョレが会ったハーモニーの元幹部でさえ、ハーモニーを「非正規職を増やし、超過勤務時間を拡大するなど、会社側の要求に同意するために存在する団体」と表現した。
 
〔写真〕インドネシアのサムスン電子の元労組員たちが5月13日、金属労働者連盟ブカシ支部の事務室で、2012年末に起きたサムスンの労組破壊の顛末を証言している=ブカシ/キム・トソン<ハンギョレTV>ディレクター//ハンギョレ新聞社
 
脅迫、尾行、監視、分裂工作
 
 労組結成の事実を知ったサムスンの対応は素早かった。ズルハーマンと組合員を次々と呼びだし、懐柔工作に入った。「『正規職なのにどうして労組を作ったのか』『会社の(無労組)方針を知らないのか』『いったい何が望みなのか』と言って、労組からの脱退を強要しました。会社の弁護士まで出てきて、組合員を小さな部屋に閉じ込めて『不利益を受けてもいいのか』と脅迫しました。ある程度は予想していたことでした。初めはこう言っていても、時間が過ぎれば労組を認めるだろうと思っていました」。インドネシアは、国際労働機関(ILO)の核心協約を批准した国で、一つの事業場にも多様な利害関係を持つ複数労組が共存していた。労働法上、職員の50%以上が同意すれば交渉団体を構成できるため、ズルハーマンの労組は大きな影響力を行使することはできずにいた。
 
 「サムスンでも労組はできる」という考えは、純真な錯覚だった。労組瓦解の速度が進まないと、サムスンはさらに露骨に組合員を弾圧した。「工場内で一挙手一投足を監視されました。管理者が仕事を疎かにしていないか、ミスはないかを監視しました。物量をさらに増やして、トイレにも行けないようにしました。『カネが目当てで労組を作った』『労組のために工場が門を閉めることになりかねない』といううわさが広がり、非組合員が組合員をののしり始めました。工場内に駐車していた私のバイクのサドルを誰かが刃物で切ったこともありました。朝起きて工場に出て行くのがとても怖くなりました」
 
雇われ暴力団に頭を割られた組合員
 
 工場の外でも圧迫は続いた。サムスンの管理者が、中核の組合員の自宅周辺を監視するやり方だった。「ある日は、一人の組合員が具合が悪く有給休暇を使ったが、管理者が自宅に訪ねてきて、本当に具合が悪いか確認して行ったりもしました。息子の卒業式に参加した組合員に、家族と一緒に撮った写真を提出させたりもしました。非組合員にはまったくしなかったことです。私だけでなく家族全員が監視されている感じでした」。労組活動に対する希望は恐怖に変わっていた。
 
 威嚇と暴行の強度はさらに強まった。労組破壊に抗議するため11月19日にチカラン工場前で開かれた集会で、組合員は集会を妨害するために動員された雇われ暴力団から威嚇と暴行を受けた。集会に参加した組合員の話を総合すれば、集会開始の数時間も前から、雇われ暴力団と警察官数百人が工場周辺を取り囲んでいた。衝突が発生して、頭が割れ手が裂ける傷を負った集会参加者もいた。警察が連れてきた犬に咬まれた組合員もいるという。ズルハーマンは「労組が結成された後、毎日組合員たちは不安におびえていた」と話した。インドネシアで労組結成とその活動を妨害する行為は明白な不法行為だ。
 
〔写真〕サムスンの労組破壊に抗議するために、2012年11月インドネシア・チカラン工場前で大規模デモが行われた。雇われ暴力団との衝突で、頭が割れる傷を負った集会参加者もいた=インドネシア金属労働者連盟提供//ハンギョレ新聞社
 
派遣職から始まった買収作戦
 
 サムスンは、弱い部分から攻略に出た。雇用が不安定な派遣労働者を懐柔する方法だった。管理者たちは、派遣労働者に「直ちに契約を解約してもいいんだぞ」と脅迫し「退職金を受け取って辞職すること」を提案した。インドネシアの労働法上、派遣職は契約が解約される時に元請から退職金を受け取ることはできない。「派遣労働者は困り果てました。『どうせ切られるなら退職金でも受け取って出て行きたい』という同僚もいました。派遣職組合員が、一人二人と会社を去って行き、労組活動が難しくなりました。工場の人々全体が敵のように見えました。最後まで残っていた私と幹部も、それ以上は持ちこたえられませんでした」。
 
 ズルハーマンは12月初めに退職願いを出した。海外工場初の合法民主労組が完全になくなった瞬間だ。労組が作られてからわずか40日後のことだった。彼は「こんなに早く労組が破壊されて、会社を去ることになるとは思わなかった」と話した。多くの組合員は、サムスンを退職した後に行方をくらました。彼らにとってサムスン労組での活動履歴は、就職を遮る汚点であり、一生消えない心の傷として残った。労組設立内紛を体験した後、チカラン工場の労務チームの主要幹部が、韓国本社に召喚されたと伝えられた。ズルハーマンは「労組設立を阻めなかったための問責の召喚」と解釈した。
 
〔写真〕インドネシア・サムスン電子のズルハーマン元労組委員長が5月17日、ブカシのあるモスクでハンギョレのインタビューに応じている=ブカシ/オク・キウォン記者//ハンギョレ新聞社
 
「サムスンは恐ろしい企業です」
 
 ズルハーマンはサムスンを辞めた後、ブカシ地域で小さな商店を営んでいる。彼は「労組が瓦解した後、再び他の工場で働きたいとは思わなかったし、今後も働くことはできないだろう」と話した。「サムスンは恐ろしい企業です。多くの組合員が今でもサムスンを恐れています。サムスンが再び報復するかもしれないと言って、韓国の報道機関のインタビューは受けないように薦めた同僚もいました」。それが、彼がインタビューを断った本当の理由だ。店をあまりに長く空けてしまったと言って、足を速めるズルハーマンに「また戻ったとしたら労組を作るつもりがあるか」と最後の質問を投げた。彼は躊躇なく「またあの時に戻っても労組を作ると思う。労働者を困らせるサムスンには、労組が絶対に必要だ」と答えた。
 
 ズルハーマンと別れた帰り道、高速道路の中央分離帯にそびえるギャラクシーS10の広告看板が明るく光っていた。サムスン電子は、高い市場占有率でインドネシアで2年連続(2017〜2018年)ブランド評価1位を獲得した最高企業だ。合法労組を蹂躙し、非正規職を絞り取って立てられた栄光の塔は、どれほど光り続けることができるだろうか。
 
 サムスン電子本社は、インドネシアでの労組瓦解に対する質問に対し「相互信頼を基に共生する労使関係を維持するために、現地法が定める役職員の結社の自由を尊重している」と答えた。
 
ブカシ/オク・キウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2019-06-24 20:20
訳J.S
 
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 これ以上、わたし頑張れません

NHK news up 2019年6月24日 19時09分
 
「これ以上、わたし頑張れませんーー」
 
ことばにつまりながらそう話したのは、就職氷河期に大学を卒業して以来、「非正規公務員」として働き続ける女性です。
 
「突然、給与が減らされる」「この先、働き続けられるか分からない」「抜け出したいけど抜け出せない」
取材班に寄せられた非正規公務員の声です。(「非正規公務員」取材班・ネットワーク報道部記者 國仲真一郎 水戸放送局記者 齋藤怜)
 
非正規の「学校司書」として
声を寄せたのは非正規公務員として働く30代の女性。
 
ある自治体で「学校司書」という仕事についています。本の貸し出しや返却、児童への読み聞かせ授業、新たに購入する本の選定など、小学校の図書室の業務を担っています。
見せてくれたのが15年近くつけ続けているという「読書ノート」。年間約500冊の児童書を読んで記録してきました。ノートには本の内容だけでなく、年齢や性格などに合わせて、どの本をどのような子どもに勧めればいいか、読み聞かせに向くかどうかなど、事細かに記してあります。
勤務時間は午前8時半から午後2時半までと決められています。そして勤務時間中はほとんどの時間を子どもたちへの読み聞かせの授業にあてます。このため授業の準備は家に帰ってから行っているといいます。
「大変ですけれど、子どもたちに本と向き合ってほしいと思いながらやっています。自分が選んであげた本を子どもが真剣な表情で読んでいるのを見るとやりがいを感じます」
 
就職氷河期世代 仕事に就けた達成感
大学を卒業したのはいまから約15年前。就職氷河期の終わりごろでした。「どこへいってもうまくいきませんでした」と振り返るように、就職先は見つからず、実家に戻ることになりました。
「その後1年間はほとんどニートのような生活でした。たまに街を歩いても『ここにいるみんな働いてるのに、自分は』と思うばかり。大学まで出してもらったのに何をしているんだろうと、申し訳なく、情けない毎日でした」
そんな中で見つけたのが「学校司書」の仕事でした。一念発起して猛勉強を始め、司書の資格を10か月ほどで取得し、なんとか就職することができました。
臨時職員としての採用で1か月の給与は約16万円。ボーナスを合わせて年収は230万円ほどでした。決して楽な生活ではありませんでしたが、ようやく仕事に就けたという達成感と、日々の業務にやりがいを感じながら、図書室での仕事を続けてきたといいます。
ある日突然 給与が半分に
ところが、働き始めてから10年ほどたったある日、思ってもみなかったことが起きたといいます。
「給与がそれまでの半分に減らされたんです。有給休暇もボーナスもなくなりました。自治体からは『事業が変わったため』との説明を受けましたが、仕事の内容は何も変わることなくただ一方的に、待遇を下げられただけでした」
「仕事を続けてきて、やっと『ちゃんとできてるかも』と思い始めたばかりのことだったので、『今まで10年間頑張ってきたことは何だったんだろう』という思いでした」
年収は110万円余りと以前の半分に。1か月当たりでは10万円を切ることもあるといいます。昇給はなく、この金額から年金や交通費の差額(実額の半分ほどしか支給されない)などを支払わなければならないといいます。
 
しかも、学校の夏休みにあたる8月は契約が切れることになっているため、給与はゼロになります。同じ自治体で「学校司書」として働いていたメンバーの半数以上が辞めたといいます。
「非正規化」の波の中で
女性は休みの日などを使って、司書の正規職員としての仕事を探し続けています。地元だけではなく、遠く離れた場所でも受験を繰り返していますが、採用には至っていません。自治体の財政難などを背景に、司書の正規職員は減り続けているのです。
文部科学省の「社会教育調査」によると、全国の図書館(企業やNPOが運営する「指定管理」を除く)で働く非常勤の司書は、平成2年度には513人、司書全体の8%にすぎませんでした。
 
しかし、平成27年度には9593人と司書全体の63%に。
非正規化が急速に進んでいる職種の1つなのです。
 
自分の働きを正当に評価してほしいだけ
契約が切れる8月になると精神的に不安定になり、親とケンカをしたり、過呼吸になったりするといいます。
突然、街中で泣き出してしまったこともあるといいます。
 
就職氷河期の中、非正規公務員として就職。
そしていま、公務員の非正規化がさらに急速に進む中、そこから抜け出そうにも抜け出せない。
「いやなら辞めろということなのでしょう。非正規公務員は都合のいい捨て駒なんだと日々実感しています。いつ切られるかも分からない、自分がどうしようもないところで、自分のことが決められてしまう。
自分の働きを正当に評価してほしいだけなのに、どうしてこんな不安や恐怖を感じ続けないといけないのでしょうか。一生懸命、頑張って仕事をしてきました。これ以上、わたし、頑張れません」
 
きっかけは“就職氷河期”
就職氷河期 求人募集票の前に集まる学生(1995年)
「就職氷河期で非正規公務員になった」という声は、ほかにも寄せられています。
 
別の自治体で働く40代の女性もその1人です。
電話で話を聞くことにしました。女性が就職活動を行っていた1990年代後半は「就職氷河期」のまっただ中。地元の短大を卒業後は事務の仕事に就きたいと希望し、金融機関や地元の中小企業などおよそ20社を受験したといいます。しかし、氷河期の厳しさに直面しました。
「資料請求をしても、その年は新卒採用を見送るという会社もありました。面接にまでたどりついても、なかなか内定をもらえませんでした」
 
“非正規”から抜け出せない
唯一内定をもらった生命保険会社で正社員として働き始めましたが、職場環境が合わず1年余りで退社。
 
その後、地元の自治体がアルバイトを募集していることを知り応募しました。当初は書類のコピーやファイリングなどの仕事を2年間担当。その後、公募に合格して「非正規公務員」となりました。
 
「これまでよりは安定した生活ができる」
 
しかし、その期待は長くは続きませんでした。非正規公務員として3年働いたあと、契約の更新はかなわず、再び同じ自治体のアルバイトとして働くことになったのです。
 
女性はその後、公益財団法人に転職し非常勤職員として6年働きましたが、再び自治体の非常勤公務員に戻り、いま10年目だということです。
 
同じ仕事 同じ責任、違う待遇
女性は最近、担当する仕事が正規の職員と差がなくなってきたと感じています。自治体間の“橋渡し”業務に加え、業者との契約に携わるなど、責任の重い業務も任されるようになったといいます。
「それでも、正規職員に与えられるボーナスや住宅手当はありません。同じような仕事をして、同じような責任を担っているのに」
この「非正規公務員」の問題。
これまでも多くの声をお寄せいただき、ありがとうございます。
 
私たちはこれからも取材を続けていきたいと考えています。読んでいただいた皆様からの情報提供をお待ちしています。
 
 
投稿には「非正規公務員問題」とお書きください。ご協力よろしくお願いします。
 
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 最賃1500円 全国一律必ず 東京 労組などがシンポ 小池氏あいさつ

しんぶん赤旗 2019年6月23日(日)
 
(写真)最賃を全国一律に、時給1500円を実現しようと議論する人たち=22日、東京都内
 
 全国一律最低賃金制の確立で格差と貧困からの転換をめざすシンポジウムが22日、東京都内で開かれました。全労連加盟労組や中立労組の東京の地域組織が実行委員会をつくり、東京地評・東京春闘共闘会議、自由法曹団東京支部が協賛しました。
 
 あいさつした松森陽一東京地評事務局長は、「最賃は、いまが旬。8時間働けば生活できる社会にするため、最賃を参院選の争点にしていこう」と呼びかけました。
 
 萩原伸次郎横浜国立大名誉教授が米国の最賃闘争を講演し、連邦最賃時給15ドル(1600円)が公的医療保険とともに大統領選の焦点になっていると述べました。
 
 中村和雄弁護士は、「韓国では最賃引き上げで中小企業の社会保険料減免をしている」と日弁連の海外調査を紹介。「日本では正社員でも基本時給がほぼ最賃になっている場合も多い」と指摘しました。
 
 斉藤寛生全労連最賃・公契約運動局長は、全国どこでも1500円以上が必要だと分かった最低生計費調査を紹介し、「毎年の大幅引き上げ運動と、全国一律制を求める法改正運動の両方が重要だ」と強調しました。
 
 高野香都教組養護教員部長は、保健室からみえる子どもの貧困の実態を告発。梶哲宏全労連・全国一般東京地本副委員長は、「東京の地場中小企業は、最賃の低い地方に仕事をとられることをおそれて、下請け単価の引き上げができない」と地域格差が取引をゆがめていることを訴えました。 
 
 日本共産党の小池晃書記局長があいさつし、「日本経済を再生する決定打」として、最賃を全国どこでも1000円に引き上げ、すみやかに1500円をめざす、全国一律制度を創設することを提案。「かぎは中小企業支援だ。安倍政権の賃上げ支援策は、中小企業に回っていない。中小企業を支援するなら社会保険料の減免こそ有効で、今の予算規模を1000倍に引き上げる」と強調しました。
 
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<韓国>文在寅政権が有力支持労組とついに決裂 委員長逮捕でゼネストを予告

2019/6/23(日) 4:30配信 アジアプレス・ネットワーク
 
<韓国>文在寅政権が有力支持労組とついに決裂 委員長逮捕でゼネストを予告
文政権は有力労組との対決局面に入った。写真は昨年9月に平壌を訪れた際の文大統領(韓国大統領府)
2016年に始まった朴槿恵(パク・クネ)大統領退陣要求の「ろうそくデモ」で動員の主力を担い、文在寅(ムン・ジェイン)政権誕生に大きな役割を果たした全国民主労働組合総連盟(民主労総)のキム・ミョンファン委員長が、6月21日に拘束された。
 
容疑は特殊公務員執行妨害、共同建造物侵入、示威に関する法律違反など。民主労総が昨年5月と、今年3、4月に国会前で大規模集会を開いた際に、組合員が警察の阻止を突破して国会構内に進入、計70余名の警官が負傷。警察の装備も壊されたという。同容疑で5月に民労総の幹部3人が拘束されている。
 
民主労総は、韓国労総と並ぶ労組のナショナルセンターで組合員数は約100万人。その組織動員力は群を抜いている。文政権は民主労総が掲げる最低賃金の大幅引き上げ、非正規職撤廃などの主張を政策に取り入れた。
 
だが、民主労総の要求はエスカレート。公共部門の解職者の復職や、経営側を排除して政府と直接対話することを要求したりして、文政権との葛藤が深まっていた。昨年11月には、大統領府の秘書室長だったイム・ジョンソク氏が「民主労総はもはや弱者ではない」と公言していた。
 
■反文政権でゼネスト予告
民主労総側は、キム委員長の拘束に「文政権による労働弾圧だ」と強く反発している。HP上で「文政府は朴槿恵政府と同じで財閥尊重、財閥特恵社会に向かおうとしている」と批判し、7月18日にゼネラルストライキを行うと予告した。(石丸次郎)
 
【関連情報】
論説−私論・公論 - ノ・グァンピョ「逆走する労働尊重社会」
 
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<働き方改革の死角>高齢ワーキングプア誘発 定年後の再雇用「ザル法」

東京新聞 2019年6月22日 朝刊
 
会社がAさんに示した労働条件通知書、業務内容として「簡単な事務作業」と記してあった
 
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 政府の成長戦略で柱とされる高齢者の雇用機会確保。企業に「70歳までの雇用延長」を努力義務として課すが、現状でさえ不安にさらされる高齢者雇用の断面を見た。
 
 「Aさんは明日から契約社員になり、営業の仕事からは離れます」
 
 神奈川県内にある投資コンサルタント会社に勤めるAさん(60)。定年日当日の今月中旬、会社は突然、社員を集めて発表した。「こんな強引なやり方が許されるのか」。Aさんはショックを受けた。
 
 外資系銀行での資金運用経験など金融知識を買われ、転職してきて以来十年間、営業最前線で成果を上げてきた。会社は「定年後も営業をやってもらう。給料も従前どおり」と言っていたが、定年が間近に迫った今月初め、態度をひょう変させた。
 
 定年後再雇用に際し、会社が労働条件通知書に記した給料は、定年前の六割減。仕事内容は「簡単な事務作業」。頭の中が真っ白になったAさん。以来、定年後の条件を巡って会社と押し問答を続けてきた。
 
 大学に入学したばかりの子どもがいる。給料も仕事内容も受け入れがたいが、「(辞めるのは)悔しい」と子どもに言われ、Aさんはとりあえず働き続けることにした。
 
 ◇  ◇ 
 
 高齢者雇用の根幹となる高年齢者雇用安定法(高年法)。「六十五歳までの安定した雇用を確保する」と謳(うた)い、企業に(1)定年の引き上げ(2)継続雇用(再雇用)(3)定年制廃止−のいずれかを義務付けている。
 
 だが、実際には厚生労働省調査では企業の八割が(2)の再雇用を選んでいる。「雇用契約をいったん切ると、待遇切り下げが可能になるから」。労働問題に詳しい安元隆治弁護士が言う。
 
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 問題は高年法が再雇用後の賃金水準も示さず、正規・非正規の雇用形態の縛りもない「抜け穴だらけのザル法」(笠置裕亮弁護士)という点。会社が意のままに待遇を引き下げる事態を招いており、転職も難しい高齢者が不安定なワーキングプア状態に追い込まれ、会社を訴える例も相次ぐ。
 
 福岡県の食品会社は、定年前に三十三万円だった女性社員の月給を四分の一以下の八万円に下げると提示した。「不当な扱い」と女性は会社を提訴。裁判所は「高年法の趣旨に違反する」と女性の主張を認めたものの、慰謝料百万円を手にしただけだった。「正社員と同じ仕事なのに基本給が八割に下げられた」と横浜市の運送会社の運転手らが訴えた裁判では処遇差は大半が違法とされなかった。
 
 政府は高年法を改正し七十歳までの雇用支援措置を義務付ける方針だが、このままでは長い職業人生に低賃金でやりがいのない十年間の付属品がつくだけになりかねない。
 
 「経験豊富で体力もある高齢者の労働力が安価に搾取されている。労働条件を規制する要件を高年法に入れるべきだ」。笠置弁護士は言う。
 
 年齢だけで一律の雇用システムを押し付ける政府の姿勢を疑問視する声も。政府が昨年まとめた「高齢社会対策大綱」は年齢による画一化を見直しエイジレス社会を目指すとしたが、それと矛盾する。高齢者雇用に詳しい名城大の柳澤武教授は「年齢に関係なく、労働者自身が就労や引退を決められるような法規制が求められる」と主張する。
 
 (編集委員・久原穏)
 
<高年齢者雇用安定法> 高年齢者の安定した雇用確保のため、希望する社員を全員65歳まで雇うことを企業に義務付けた(2013年4月改正法施行)。厚生年金の支給開始年齢の引き上げに対応し、定年後の「年金空白」を防ぐのが目的だった。
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追手門学院、外部講師が発言 「腐ったミカン」「よどんでいる」「負のオーラ」「要らない」(萬井コメント) (6/23)

朝日新聞デジタル 2019年6月23日05時00分
 
 大阪府内で大学などを運営する学校法人追手門学院が2016年に開いた職員研修で、外部の講師が「腐ったミカンは置いておけない」などの厳しい言葉を各受講者にかけていたことがわかった。学院側は、研修中やその後、受講者に退職を勧めており、翌年度にかけて少なくとも数人が退職したり休職したりした。
 
 複数の受講者の証言などによると、学院は16年8月22〜26日、追手門学院大学(大阪府茨木市)などの事務職員18人を大阪市内のビルに集め、「自律的キャリア形成研修」を開催。講師は東京都内のコンサルタント会社が担い、学院幹部らが入れ替わり立ち会った。
 
 研修の中で学院側は、内容を講師と事前に精査し、「全権委任している」と説明。講師は「自己改革」などをテーマに1人ずつ、受講者全員の前で発表させ、その場で講評した。
 
 その際、受講者の一人に「腐ったミカンを置いておくわけにはいかない。まだ少しは可能性があって頑張ろうとしているミカンも腐ってしまう」と発言。ほかの受講者にもそれぞれ「あなたが一番、参加する意欲、姿勢が曇っている。よどんでいる」「負のオーラばっかりだ」「あなたは要らない」などと言った。
 
 研修で講師は、受講者を選んだ理由について「28歳以上59歳未満」「前年度評価で降格」など5条件のどれかか複数に該当すると説明。(1)退職(2)年俸制など(3)関連会社への出向転籍(4)関連会社への転籍後に退職(5)再生・現状維持、の選択肢から選ぶよう求めた。
 
 受講者の一人は取材に「全員の前で人格否定されるのを聞かされ、心を閉ざさないと精神をやられると思った。辞めさせるための研修だと感じた」。別の受講者は「要らないと繰り返し言われ、ショックで寝られなくなって通院した」と話した。
 
 研修後も講師や学院幹部に数回呼ばれ、「現状維持」を訴えても「退職勧告書」を渡された人もいた。
 
 学院は取材に、「腐ったミカン」などの発言を認めた上で、「消極的な受講姿勢を指導した発言。改善後、講師は称賛のフォローをしている」と回答。研修後のリポートで「多くの学びが得られ、参加してよかった」との感想が述べられたとしている。今回の研修について「違法性はない」との見解を示し、「教職員本位から学生・生徒等学習者本位へといち早く転換し、教職員挙げて教育の質の向上、質保証にまい進している。本研修はその一環で実施した」と回答した。コンサルタント会社は取材に「クライアントの情報は一切開示しない」としている。
 
 同僚の前での叱責(しっせき)や侮辱は厚生労働省の有識者会議がまとめたパワーハラスメント類型の一つに含まれるとされる。過去の裁判ではパワハラを伴った執拗(しつよう)な退職勧奨の違法性が問われ、不法行為と認められたケースもある。(小若理恵、石川智也)
 
 ■外部の人使った、学院のパワハラ
 
 労働問題に詳しい萬井隆令(よろいたかよし)・龍谷大名誉教授の話 「腐ったミカン」などの発言は人格否定で侮辱、パワハラにあたる。それを伴った退職勧奨ならば民法上の不法行為だ。学院が内容を講師と精査したと断っている点から、外部の人を使った学院のパワハラだと言えるのではないか。
 
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職務や勤務地条件を書面で明示 規制改革実施計画決定

NHK News 2019年6月21日 20時35分
 
政府は21日の臨時閣議で新たな「規制改革実施計画」を決定し、子育てや介護をしながら働ける環境を整備するため、企業が労働契約を結ぶ際、職務や勤務地などの条件を書面で明示することを義務づける制度改正を検討することなどを明記しました。
 
決定された新たな「規制改革実施計画」には、およそ70項目の具体策が盛り込まれています。
 
それによりますと、「介護離職ゼロ」の達成を目指し、法律で年間5日まで取得できる「介護休暇」について、時間単位で取得できるように制度を見直すとしています。
 
また、子育てや介護をしながら働ける環境を整備するため、企業が労働契約を結ぶ際、職務や勤務地などの条件を書面で明示することを義務づける制度改正を検討するとしています。
 
また、副業や兼業の推進に向け、複数の職場で働く人が法定労働時間を上回った場合、「副業」側の事業者が時間外の割り増し賃金を支払うことになっている今の制度を改めるとしています。
 
このほか、中小企業の事業承継を支援するため、銀行の出資割合の上限を原則5%から最大5年間100%まで可能にすることや、国際競争にさらされている畜産農家などの負担を減らすため、家畜を飼育する「畜舎」を建築基準法の対象から外すことも盛り込みました。
 
政府は各府省庁で検討を進め、これらの規制改革の実現を目指すことにしています。
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労基法違反の武田薬品、遠いメガファーマの道 (6/23)

急速なグローバル化の陰で社内にきしみ
大西 富士男 : 東洋経済 記者  東洋経済オンライン 2019/06/23 5:10
 
〔写真〕武田薬品工業のクリストフ・ウエバー社長のもとに、現場の声は届いているのだろうか(撮影:今井康一)
 
6兆円強の大金を投じて欧州製薬大手のシャイアーを買収し、売上高3兆円を超える世界9位のメガファーマに躍り出た武田薬品工業の足もとで、お粗末な労働基準法違反が発覚した。
 
2018年9月から今年5月までの9カ月間で、労働基準監督署から合計5件の労働基準法違反(是正勧告4件、指導1件)を指摘されていたのだ。
 
具体的には、東京・日本橋のグローバル本社において、労使間で結ぶ三六(サブロク)協定で定めた時間外労働の上限(月70時間)を超過したケースが2件あった(昨年11月と今年4月)。さらに、昨年9月には同じグローバル本社で、就業前後の時間外に勤務の実態がありながら賃金不払いとなっていた案件も1件発生し、東京の中央労働基準監督署から是正勧告を受けている。
 
労基法違反を繰り返したのに「ホワイト企業」
労基署の是正勧告を受けると、期日までに指摘された違反内容を改善したうえで、防止策などを記した是正報告書を提出することが義務づけられる。是正勧告は行政指導の一種で、罰金などの処分はない。ただ、改善がみられなかったり、違反を繰り返した場合などは、まれではあるが、検察庁に送検されるケースもある重い処分だ。
 
さらに問題なのは、とくに優良な健康経営を実践している企業に経済産業省がお墨付きを与える「健康経営優良法人」の認定を武田が受けていたことだ。
 
武田は、2019年2月に認定された2019年の大規模法人部門(ホワイト500)に選ばれた。これは大企業なら「取ってないとおかしい」というほどポピュラーな存在で、製薬関連企業で33社が取得している。大塚製薬や第一三共、エーザイ、塩野義製薬などが2018年にも認定されているが、武田は2019年からと遅かった。
 
しかし、労基法違反が発覚し、ホワイト500の認定を自主返上せざるをえなくなった。「労基法などの同一条項で複数回違反しないこと」という認定基準に抵触したからだ。武田の説明によると、4月末に2度目の是正勧告を受けたことを受けて5月のゴールデンウイーク明けに経産省に報告し、経産省との協議のうえ、6月5日に自主返上の手続きを開始したという。
 
従業員に子育てがしやすい労働環境などが整った企業を厚生労働省が認定する「プラチナくるみん」も取得済みだったが、ホワイト500と同様、こちらも自主返上の手続に入っている。
 
労基法違反が明るみに出たのは、法令違反事案の存在を認めた社内資料を基にした内部告発があったためだ。
 
経産省への内部告発は、会社が認めた前述の5件以外にも違法行為があると示唆したうえで、ホワイト500に申請する際に会社は「重大な労働基準関係法令の同一条項に複数回違反しているにもかかわらず、虚偽の内容で申請し、認定を受けました」と指摘している。
 
武田は内部告発のいう「虚偽」を完全否定
しかし、武田は「人事が社内調査を行ったうえで、ほかに重大な法令違反の隠ぺいや虚偽申請などの事実はないことを確認した」と内部告発を完全否定する。昨年11月の経産省への申請時点で労基署からの是正勧告はあったが、「同一条項で複数回違反」ではなかったため申請したという。その後、今年4月に2回目の是正勧告を受けたため、規程に従って認定の自主返上手続に入ったと説明する。
 
もし告発どおりだと、ホワイト500の申請は虚偽となり、自主返上では済まずに認定が剥奪され、最大4年間申請もできないペナルティーも課される。経産省は現時点では虚偽申請だと考えておらず、会社が言う通りの自主返上の手続きに入っているという立場だ。
 
それにしても、先進的なグローバル経営を標榜する企業の足もとで、なぜこのような事態が起きているのだろうか。
 
武田の広報担当者は「昔の武田では(労基法違反は)あったが、ここしばらくは減ってきていた」という。近年は違反をしないように社員にも厳しく指導がいくようになったことが違反減少につながった、というのが武田関係者の解説だ。武田の内部事情に通じた複数の業界関係者からも同じような声が聞かれる。
 
是正勧告を受けた社員やその上司らに聞き取りをした結果、武田の人事部門は「上司と部下のコミュニケーションの問題が主因」と判断しているようだ。上司は部下の仕事ぶりをみて、過重だと思えば、部下と話し合って上限を超えないように解決策を出す必要がある。一方、部下は早めの相談が求められるが、今回は両者間のコミュニケーションに問題があったというのだ。
 
ただ、この説明にはやや無理がある。複数の武田OBは、昨年春以降のシャイアーとの買収に絡むタフな交渉が社員の仕事量を増加させたのではないかと指摘する。労基法違反5件のうち3件がグローバル本社で起きていることも、その疑いを強める。
 
フレックスタイム制や「中抜け勤務」も柔軟に
2018年8月には生産性を向上させるために、これまで以上に働き方の柔軟性を増す制度を導入した。1日の標準勤務時間のうち最低でも2分の1以上は働かないといけなかったという設定をなくし、半日休暇を取得した場合でも残り半日にフレックスタイム制を利用できるようにした。
 
勤務時間中に病院や銀行に行くなどのプライベートな用事のために、勤務を短時間中断する働き方(中抜け勤務)も、上司の了解を得れば可能になった。在宅勤務に限らず、一定要件を満たせば、自宅以外でも勤務できるテレワーク制度も取り入れた。
 
ただこれは、従業員には使い勝手のよい制度だが、労働時間を管理する立場からいうと逆に難しい面を伴うものだ。
 
そこに武田をグローバル企業として脱皮させる、シャイアー買収という過去にない大型案件が重なった。グローバル本社に集う広報や経理、財務、法務、事業開発などの部門は、イギリスに株式を上場し、事業の本拠を置くシャイアーとの折衝が重なる。関係者が「季節労働」と口をそろえるように、時期ごとに訪れる仕事量の多い山がさらに高くなったうえに、柔軟な働き方導入により、労働管理やコミュニケーションの高度化が要求されるようになった。
 
5月24日にはグローバルHR日本人事室名の「【至急・緊急】時間管理におけるコンプライアンス順守の再徹底」、6月7日には「時間管理におけるコンプライアンス順守徹底に向けた私たちのコミットメント」と題した文書が日本国内の全従業員に送付された。
 
〔写真〕武田の国内部署のトップ18人が法令順守を訴えた(編集部撮影)
 
ともに法令順守の徹底を訴える内容で、「法令違反に抵触する事案が複数の事業場で再三発生しています。(中略)きわめて深刻な状況です」などと危機感をあらわにしている。
 
とくに後者は、国内部署のトップ18人が宣誓・署名する形をとっている。CFO(最高財務責任者)のコスタ・サルウコス、日本ビジネス部門トップの岩真人の各氏ら、武田の最高執行機関であるタケダ・エグゼクティブチーム(TET)メンバー数名を含む上位管理職が名を連ねている。
 
主要部門トップの連名で危機感を共有?
国内主要部門のトップが連名で従業員に法令順守などを訴えるのは武田では初めてのこと。危機感の醸成と共有が狙いだろうが、内部告発は「これはあくまでも労働基準監督署に向けたポーズであり、(中略)労基法違反について真剣に受け止めている、と見せかけるために送信されたメールである」と手厳しく批判している。
 
そして、最大の疑問はトップのクリストフ・ウェバー社長のこの件への肉声が武田の社内外に伝わってこないことだ。一連の問題について、トップがどのように考え、どのように解決していくかを聞きたいところだが、今のところウェバー氏は音なしの構えだ。
 
6月27日の株主総会では、議決権行使助言機関のISSが、ROE(自己資本比率)が低いことを理由にウエバー社長の取締役選任への反対推奨を突きつけている。
 
武田OB株主や創業家の一部からなる有志団体「武田薬品の将来を考える会」も、昨年のシャイアー合併反対に続き、今年の株主総会でも損失発生時に経営陣に役員報酬の返還などを請求できる「クローバック条項の定款への採用」「全取締役の個別報酬も開示」を株主提案している。
 
株主総会でウェバー社長はどんな説明をするのだろうか。
 
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