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ASU-NET10周年へのメッセージ

ASU-NET第24回つどい記録

 

 

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 基礎力を身につける!入社前後はこうして見分けろ!ブラック企業対処法

2014年3月23日(日)に、学生・若手社会人講座「.Org(ドット・オルグ)」が開催されました。今回のイベントは、4月以降の連続講座開講にむけたプレ企画で、ブラック企業対処法を事例から学ぶという実践的な講座でした。スタッフを含めて27名の参加者に恵まれました。中には、朝日新聞の宣伝を見て参加したという人も。

講座は中嶌聡さん(NPOはたらぼ代表)の流暢な司会から始まった。最初に参加者全員でワークルールクイズについて議論。問題点を全員で共有し、谷真介弁護士(北大阪総合法律事務所)の<知っておきたいワークルール10選>(法律解説)を聞きました。フロアからの難解な(?)質問にも的確に答えてくれました。

次に、川村遼平さん(POSSE事務局長)から、POSSEの労働相談の経験に裏打ちされたブラック企業の見分け方と対処法について語ってもらいました。適切な相談機関を使えば、大企業にも対抗できると述べていたのが印象的でした。

フロアからは、「ブラック企業ではない企業ってあるんですか?」など、核心を突く質問も飛び出しました。また「今後もぜひ参加したい」という声も多くいただきました。これからの企画に向けて、スタッフ一同ガンバるぞと決意を新たにしました。


(ドット・オルグのヒトコマ。最後まで真剣かつ笑いっぱなしの2時間半でした。)


 

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5月21日(火)のゼミは20名の参加でテーブルがうまり、まあまあ盛況でした。ご参考までに当日の資料をPDFファイルにして貼り付けておきます。配付資料にあった連続講座の安倍関係のエッセイ(195回、197回、217回、220回、223回の5本)は割愛します。
 
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2010年10月21日 働き方ネット大阪 第13回つどい 
 
ジェームズ・ハインツ教授の講演 パワーポイント資料(対訳)
 
1. Labor Situation in America
       lack of a coherent
employment policy
 
James Heintz,  PERI
Osaka Network for Decent Work
October 21, 2010
 
1.    アメリカの労働事情――まともな雇用政策の欠如
 
ジェームズ・ハインツ教授 
PERI(マサチューセッツ大学政治経済学研究所)
働き方ネット大阪
20101021
 
2. Outline
The employment crisis
   U.S. and global picture
Structural employment problems
Neoliberal policies
Structural changes in the global employment situation
Consequences
Policy responses
Is stimulus enough?
The challenge of financialization
A new paradigm for employment policy
Role of labor and community organizations
 
2.アウトライン
雇用の危機
  アメリカと世界の状況
構造的雇用問題
  新自由主義政策
  世界の雇用情勢の構造的変化
  帰結
政策的対応
  刺激策は十分か
  経済の金融化という難問
  雇用政策の新しいパラダイム
労働団体と地域団体の役割
 
3. Employment Situation: U.S.
Unemployment
September 2007: 4.6% (7.1 million)
September 2010: 9.6% (14.8 million)
Average duration of unemployment: 33 weeks (as of
September 2010).
New jobs: in temporary & part-time employment
Employed part-time for economic reasons: 9.5 million
(September 2010). Increase of 600,000 from August.
Poverty rate: 14.3% (2009). 43.6 million. The largest
number of people in poverty ever recorded (51 years of
data).
 
3.アメリカの雇用情勢
失業
20079月 4.6%(710万人)
20109月 9.6%(1480万人)
平均失業期間 33週(20109月現在)
新しい雇用:派遣労働およびパートタイム雇用
経済的理由によるパートタイム雇用 950万人(20109月)。8月から60万人増加
貧困率 2009年 14.3% 4360万人。過去51年間で最大の貧困者数
 
4. Global employment
The International Labor Organization estimates that in
2011, there will still be a global shortfall of 22 million jobs
compared to the pre-crisis situation.
In many countries, employment growth has been
concentrated in the informal sector and in part-time
employment.
Unemployment among young people is particularly
high around the world. It may take more than a decade
for youth employment to recover to the pre-crisis
situation.
 
4.世界の雇用
♦ ILOの予測によれば2011年に恐慌前に比べ依然として
2200万人の世界的な雇用の不足。
多くの国では、雇用の増加はインフォーマルセクターとパートタイム雇用に集中。
世界中で特に若年者の失業が高い。若年雇用が恐慌前の水準に回復するには10年以上必要。
 
5. Before the crisis ……
♦ Employment problems are not simply an outcome of the crisis.
♦ Three decades of neoliberal policies damaged employment outcomes.
♦ How?
Slow rates of investment and job creation.
Emphasize productivity over living standards (‘job poor
growth’ ――output expands, but not employment)
Competitiveness ? lower labor costs by reducing the quality
of employment (‘non-regular employment’, fewer union members).
Financial interests promoted ? ‘bubble economies’ in Japan, the U.S.
 
5.恐慌前
雇用問題は恐慌の結果だけではない
♦ 30年間の新自由主義政策が雇用を破壊
いかにしてか
伸び悩む投資と雇用創出
生活水準よりも生産性を強調(「雇用の低成長」、産出量は拡大しても雇用は拡大せず)
競争力雇用の質を落として労働コストを引き下げる(「非正規雇用」、組合員の減少)
金融的利益の増進日本とアメリカにおける「バブル経済」
 
6. Structural changes in the global labor market
♦ Global integration of labor forces
Labor supply is global, not limited to one country.
More competitive labor markets
♦ Women’s labor force participation
New opportunities for women.
But also: because of pressures on household income.
♦ Urbanization
Job creation in cities slower than urban population growth
 
6.グローバルな労働市場における構造変化
労働力の世界的一体化
労働供給はグローバルで、国内に限定されない
より競争的な労働市場に
女性の高い就業率
女性のとっての新しい機会
そのうえ、家計所得の圧力から
都市化
都市人口の増加に比して緩慢な雇用の増加
 
7. Global employment imbalances
♦ The number of jobs is growing slower than the supply of labor.
♦ Outcome?
Higher levels of unemployment
Growth in non-regular forms of employment
More informal employment
Quality of employment suffers
Increases in poverty and inequality
♦ The current crisis accelerated these problems.
 
7.世界的な雇用不均衡
労働供給より緩慢な雇用の増加
その結果?
高い失業水準
非正規雇用の増大
インフォーマル*雇用の増加 *インフォーマルセクター=統計や監督がない部門
雇用の質の悪化
貧困と不平等の拡大
現在の危機はこれらの問題に拍車をかけている
 
8. Policy responses
♦ Neoliberal approach to employment policy
Remove labor market regulations. Limit unions.
Reduce labor costs
Employment problems = wages are too high
♦ Reality: source of employment problems often outside the labor market
Not enough investment
Consumer demand insufficient
Loss of public sector jobs
 
8.政策的対応
雇用政策への新自由主義的アプローチ
労働市場の規制撤廃 労働組合規制
労働コストの削減
雇用問題=賃金が高すぎる論
現実:雇用問題の根源は労働市場の外にあることが多い
  不十分な投資
  消費需要の不足
  公共部門の雇用の喪失
 
9. Employment policy in the U.S.
♦ Before the crisis: employment problems ignored.
Labor market ‘flexibility’.
♦ Response to crisis
Fiscal stimulus ? tax cuts and government spending
Monetary policy ? low interest rates, easy credit
♦ The outcomes of these policies have fallen short of expectations. Why?
 
9.アメリカの雇用政策
今回の恐慌以前:雇用政策は無視されていた。労働市場の「弾力性」を重視
危機への対応
  財政刺激策減税と政府支出
  金融政策低利子率、金融緩和
これらの政策の結果は期待はずれであった。なぜか
 
10. Failure of U.S. employment policy
♦ Fiscal policy - $787 billion stimulus.
Tax cuts – not effective in creating jobs
Direct spending – very slowly implemented
Assistance to state governments: effective, but focused on
keeping jobs, not creating new jobs.
♦ Monetary policy
Primary concern: the financial sector, not jobs.
Injected money into banking & financial system →
resources remain in banking sector.
Example: reserves of commercial banking sector in 2010
were $890 billion compared to about $18 billion 2007.
 
10. アメリカの雇用政策の失敗
財政政策―7870億ドルの景気刺激
減税雇用創出の効果はない
直接支出(法律で義務づけられた支出)非常に遅い履行
州政府への補助:効果的だが、雇用の創出ではなく、雇用の維持に主眼
金融政策
  一番の関心:雇用ではなく金融部門
  銀行や金融システムへの資本注入資金は銀行部門に滞留
  例:商業銀行部門の準備金は2007180億ドル、20108900億ドル
 
11. Political economy of employment policy
Financialization of the economy: financial interests dominate.
Bailout of sector with little accountability
Not expected to participate in job creation.
Neoliberal policies are still alive
Fiscal policy emphasized tax cuts
New austerity: budget cuts to reduce debt
Financial and corporate sector have begun their
recovery. Little change in employment situation.
Will the crisis labor market become permanent?
Possibility: crisis can cause structural changes (Japan, Korea and
non-regular employment)
 
11. 雇用政策の政治経済学
経済の金融化:金融的利益の支配
説明責任を欠いた部門の企業救済
雇用創出への参加は期待できない
新自由主義政策は依然として存続
財政政策は減税を強調
新たな緊縮財政:赤字削減のための予算カット
金融部門と企業部門は回復しはじめている。雇用情勢はほとんど変わっていない。
労働市場危機は永続化するか
可能性:経済危機が構造改革をもたらす可能性がある(日本、韓国と非正規雇用)。
 
12.Action needed …
♦ Too early to cut government spending
Stimulus was a 2-year policy (2009 & 2010). Possible danger in 2011?
Restore government instead of cutting taxes
♦ Financial sector must be held accountable
Direct financial resources to support employment creation
Prevent the return to a ‘bubble economy’  limit financialization
U.S. financial reform law (passed in 2010) not enough
♦ Workers not responsible for employment problems. Solution will not be found in labor costs.
♦ Remove incentives to transfer economic risks to working people.
Stop employers benefiting from a move towards ‘non-regular’ employment.
 
12.必要な行動
政府支出の削減は早すぎる
景気対策は2年間の(2009 & 2010)の政策。2011年は危ない(二番底?)かも
減税ではなく、政府本来の役割の再建
金融部門は説明責任を果たすべきである
雇用創出を支えるための直接的金融資金
バブル経済への回帰の回避 金融化の規制
2010年金融改革法は不十分
労働者には雇用問題に対する責任はない。解決策は労働コストではない。
勤労者への経済的リスクの転嫁の誘因を取り除く
雇用主が「非正規」雇用への移行から利益を得ることを止めさせる
 
13. Role of Labor and Community Organizations
♦ Policy is not enough  need to put pressure on the
government
♦ Labor and community organizations joining together. Two major events:
U.S. Social Forum – Detroit, Michigan. July 2010.
‘One Nation’ March for Jobs, Justice, and Peace. Washington, DC, October 2nd, 2010
♦ Little impact on Obama administration…. Why?
November elections in the U.S.
♦ More pressure is needed if the jobs crisis is to be solved.
The struggle continues …
 
 
13. 労働団体および地域団体の役割
政策は不十分 政府に圧力をかける必要がある
労働団体と地域団体が共同
 二つの大きな催し
  アメリカ社会フォーラム――デトロイト、ミシガン 20107
  雇用、公正、平和のための国民統一行進――ワシントンDC 2010102日 
オバマ政権への影響はほとんどない なぜか?
アメリカの11月中間選挙
雇用危機を解決するにはもっと強い圧力が必要。闘いは続く……
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働き方ネット大阪第12回つどい
「なんで私たち有期なん?」―パート・非常勤の働き方を考える―

弁護士 楠 晋一

2010年6月16日、エルおおさか708号室において、61名の参加者を得て、働き方ネット大阪第12回つどい、「なんで私たち有期なん?」―パート・非常勤の働き方を考える―が行われました。

毎月民法協の有期・パート・非常勤問題研究会に私も参加しているのですが、今回のつどいでは、河村学弁護士の報告や根本到大阪市立大学教授からの基調講演、パート・非常勤問題に携わる3名の方からのお話しを聞き、改めて有期(解雇付)雇用という働かせ方の問題点と有期労働研究会の中間とりまとめに対する幅広い視点からの分析を知ることができました。

河村弁護士も報告しておられましたが、解雇付雇用の問題は、単に解雇が予定されているだけにとどまりません(不安定雇用であるだけでも大いに問題ですが)。いつ解雇されるか分からないという漠然とした不安に怯える労働者に対して、使用者が「雇い止め」というこれ以上ない凶器をちらつかせることで、労働条件(例えば時給)の切り下げを行ったり、不更新条項付き契約へのサインを強要したり、労働者の権利行使(例えば有休取得)を抑圧したりするのです。解雇付雇用の推進派から、このような解雇を脅しに使うやり方に対しての考え方を私は未だに聞いたことがありません。

根本教授の講演からは、中間とりまとめが、解雇付雇用の削減に関心がなく、予測可能な紛争についてだけ解決基準を設け、あとはパート法同様に「均衡待遇」の名の下で行政に委ねるという問題点の多い内容であることが明らかになりました。また、諸外国の法令や日本の債権法改正案も引きながらあるべき規制の姿を示していただきました。

後半のリレートークでは、ハイリスクの金融商品について高めに設定されたノルマが達成できないと契約が更新されない日本郵政グループの事例、ベテラン学童保育員が業者作成の一般教養のペーパーテストで次々と契約を打ち切られた茨木市の学童保育員の事例、経費節減のために新卒を採用せずに契約社員で欠員を補い続けたために一般職の3分の1以上が契約社員で占められるようになったニッセイ同和損保の事例が紹介されました。
 これらの話を聞きながら、今回紹介されなかったけれども、労働条件の悪い中で働き続けている解雇付雇用労働者はもっとたくさんいるはずで、運動を盛り上げる必要性と事案を掘り起こしていく必要性があると改めて感じました。

今年の夏には有期労働研究会の最終報告が出て、続いて労政審、国会へと議論の場は移っていきます。解雇付雇用をなくし、労働者が安心して働ける社会を実現するためには、これからの時期が非常に大切です。私も民法協の皆さんと共に頑張って参ります。

毎月第3金曜日には、民法協事務所で有期・パート・非常勤問題研究会を行っております。こちらにもたくさんの方の参加をお待ちしております。

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働き方ネット大阪第11回つどい
なくせ!官製ワーキングプア

関西大学院生 中 野 裕 史

2010年4月2日に開催された働き方ネット大阪の11回目となるつどいは「なくせ! 官製ワーキングプア」と題し、都留文科大学教授の後藤道夫先生と、大阪自治労連公務公共一般の川西玲子さんを講師にお迎えし、さらにリレートークを通じて現場で働く労働者の方々に、公務労働の実態について語っていただいた。

後藤先生からは、「貧困拡大と非正規雇用」というテーマで、官製ワーキングプアを含めた日本の労働・生活問題についてご報告いただいた。現在、日本の総世帯の二割強が貧困世帯となっており、子育て世帯の平均年収が1996年から2007年までに約90万円近く低下するなど、低所得世帯が1990年代後半以降において急速に増加している。後藤先生は、このような貧困急増の直接的背景として、雇用保険給付を伴わない失業者層の拡大と、自立生活型と呼ばれるフルタイム非正規労働者の増加を挙げられ、さらに定期昇給かボーナスのない低処遇の男性正規労働者が増え、ここに自営業者が加わることで分厚い貧困層が形成されていると説明された。

その上で、後藤先生は労働条件の良い仕事を希望しても転職・追加就業できない「半失業」状態の労働者に注目され、失業・潜在的失業・半失業者を合計すれば139万人が該当するという試算を述べられた。しかも、それが戦後日本の雇用慣行の下で維持されてきた、正規/男性・主婦パート/女性という身分的な差別を内包したまま、労働市場全体を下方に押し下げる圧力となっているというお話を聞き、日本における貧困と非正規問題の解消には、ジェンダー視点が必要不可欠であることを改めて痛感した。

これらの諸論点と関連して、後藤先生は官製ワーキングプアについて、他の非正規と比べて「半失業」の性格がやや薄いが、それは職務の専門性と特殊性から仕事を続けていきたいと考えている人が多いからだと説明された。専門職比率や職業訓練の実施比率を踏まえれば、公務部門は労働運動が展開可能な条件が揃っており、労働者が団結できれば「流れ」は大きく変わるだろうと述べられたことが、大変印象的であった。

次に、川西玲子さんからは「官製ワーキングプアと自治体の役割」というテーマで、現場に根ざした組合活動の経験をもとに、公共部門における非正規職員の実態についてご報告いただいた。川西さんは、地方自治体では女性で非正規の臨時・非常勤が増加しているが、その任用形態が「任期付き短時間職員」という、雇用期限(多くの事例は3年)が明確にされた区分に置き換えられつつあると指摘された。大阪市では09年12月に制度として条例化され、しかもこれを全職種に適用するという方針が出されており、恒常的な業務でありながら昇給もなく、3年で労働者を使い捨てにできるような施策が採用されているという。

さらに、川西さんはこういった直接任用だけでなく、指定管理者制度や業務の民間委託が推進される中で、委託料金の値下げが働くものの労働条件を浸食しており、自治体が民間へ管理責任等を丸投げしている実態も批判された。その上、コストを優先する業者が選定されることで公務の職場から専門性が失われ、公共サービスそのものが低下しているというお話は、自治体の財政再建策がいかに本末転倒なものになっているかを物語るものであった。

しかし、そのような中で、非常勤職員や委託先の派遣会社で働く労働者が組合を結成し、労働条件の不利益変更を撤回・直雇用化を自治体に認めさせる事例も増え、千葉県野田市で日本初の公契約条例が成立するなどの動きも現れている。川西さんは講演の最後に、非正規をめぐる情勢は明らかに転機を迎えており、最賃・公契約・均等待遇の三つをセットに、みんなで団結して底辺に向かう競争から抜け出そうと訴えられた。

後半のリレートークでは、3人の方にそれぞれの立場から生々しい現在の労働・生活状況について語っていただいた。国土交通省から建設関連の社団法人に違法派遣させられ、しかも期間満了を理由に雇止めされた千谷さん。学童保育の指導員として17年間働いてきたにもかかわらず、勤務先から突然解雇を言い渡された長谷さん。小学校の校務員(用務員)で正職として働いてきたが、市から非正規化の方針を告げられ、労働委員会に訴えた川渕さん。報告者の方が行っているいずれの仕事も、専門性と継続性が問われるものであって、しかも恒常的に存在する業務である。自治体がいかに不合理な理由で労働者を解雇しているか、その常軌を逸した施策方針が改めて浮き彫りにされた。

現在、メディアを賑わせている「事業仕分け」なるものは、公務員バッシングを助長する最たるものと言える。もちろん、不必要な公共事業などはカットすべきである。しかし、執拗すぎる公務員叩きの陰で、我々の仲間である公務労働者たちが貧困の淵に追いやられ、その結果として生じる市民サービスの劣化が、巡り巡って私たち住民の首をも絞めることになるという事実に、もう気づいてもいいはずである。

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働き方ネット大阪第9回つどい
働き方をどう変えるか―民主党政権に注文する

全損保大阪地方協議会副議長 本 間 ふみ秀

2009年11月6日(金)午後6時半から、働き方ネット大阪第9回つどいが開催されました。今回のつどいは「働き方をどう変えるか」をテーマに、政権党となった民主党に対する注文も織り交ぜながらの進行となりました。基調講演を法政大学教授である五十嵐仁先生にお願いし、開会の挨拶を関西大学教授の森岡孝二先生が行いました。岩城穣弁護士が司会をして人気を博しているお馴染みのリレートークもあり、「私たちの手で政治を大きく変えていこう!」というアピールを全会一致で採択、最後は働き方ネット大阪の服部信一郎副会長から明るく力強い閉会の辞があり、盛りあがる中で集いは終了しました。

政府・財界によるホワイトカラーエグゼンプション導入企図を発端に始まった働き方ネット大阪のつどいですが、子供の貧困問題や過労死問題なども取り上げ、今の社会問題を市民の側から提起して解決を迫るという立場を貫き、第9回を数えるまでになりました。参加者も弁護士などの法曹界をはじめ労働組合、NPO法人など各種団体から一般の方々にいたるまで多様で、マスコミを含めこのつどいが提起する問題への関心がいかに強いかを示しているといえます。

12月3日には「社会変革の波を起こそう〜時代はまるで資本論」というテーマで第10回のつどいを予定しています。ここ2、3年小林多喜二の『蟹工船』がブームとなっていますが、三大経済学者の一人といわれるカール・マルクスの著した『資本論』も静かなブームを呼んでいます。マルクスは労働者を貧困に陥れる資本主義経済の仕組みを明らかにしました。マルクスの言う、資本家に搾取され保護のない労働環境で悲惨な状態におかれる労働者とは、労働者の3分の1が非正規雇用で、3分の1が年収200万円以下という今の日本の雇用情勢に通じるものがあります。新しく誕生した民主党政権の政策に注目しつつ、働く者の人権を勝ち取り、社会を変革する第一歩になればと考えています。

さて、今回のつどいで森岡教授は「2006年が労働者の反転攻勢の分岐点」と振り返り、経団連が導入を目論んだ「ただ働き促進法・過労死促進法」とでも言うべきホワイトカラーエグゼンプションを打ち砕いたこれまでの経過を説明しました。また、米国・財界べったりではない政策を求めるには、まだまだ民意の結集が足りないと指摘、この問題を取り上げるのに最もふさわしい学者として五十嵐教授を挙げられました。

五十嵐教授の基調講演では、「労働者が反転攻勢に転じるプロセスを構成する要素として、8月の総選挙があった。また、自民党崩壊を言い続けていた自分としては一時虚脱状態に陥った」とユーモアを交えつつ、「鳩山政権は民意を受けて対米交渉するだけ自民党政権よりはるかに期待できる」、「日本を変える力となるよう活動を続けたい」と決意を述べられました。一方、「貧しい日本の発見」というテーマでは、貧困率や人口減少、自殺の多さなどをデータで提示し、日本が直面している本当の危機について言及しました。そして、「豊かな社会でこそ企業は栄える」との概念を示し、技術立国を志すべきと指摘、環境問題、ディーセント・ワークの実現、労働組合運動をめぐる新たな展開がその要素となると説明しました。最後に、問題解決のための3つの課題として‘く機会の保障、普通に働けば普通に収入が得られる社会、2板軅験茲鯀乏欧靴覆づ正な労働時間への短縮を挙げ、課題解決のために「溜め」―ゆとりとあそびのある人間社会―や声を上げ続けることで新政権を動かすとし、長生きして喜べる社会にしていくという言葉で基調講演を終えられました。

恒例のリレートークでは、これまでどおり3人のパネリストが参加しました。派遣切りにあったTさんは生活保護をめぐる諸問題について語りました。Tさんは、まだ派遣が認められていなかった平成14年から大手自動車メーカー子会社の製造ラインで個人請負(偽装請負)という形態で勤務していましたが、平成19年期間工にならなければクビを言い渡され、平成21年には期間満了を理由に解雇されました。この間、本人の知らない間に派遣社員となっていました。労働局が実態を知りながら是正措置を何もとらなかったことにも怒りを向け、現在解雇無効を訴えて提訴しています。Tさんは生活が困窮したことから松原市の生活保護を受けています。職業訓練学校で介護職員の教育を受けていますが、交通費が出ない、布団も出してくれないうえ、毎月10万円が支給される能力開発機構に申請を行うと生活保護を打ち切られると通告され、人間らしい生活を勝ち取るため、現在生健会の協力を受けて交渉しているところです。民主党政権に対しては、自分以外に困っている人がたくさんいるので、会社が違法行為を行えないような仕組みをつくり、経営者に処罰を加えることができるような制度を構築することを訴えました。

地域労組おおさか青年部の中嶌聡さんは自身の経験を踏まえ、「現場で違法行為を受ける労働者は『自分が悪い』と思う傾向にある。しかし、会社を辞めても次の会社ではまた居場所がなくなって同じことになる」、と相談に訪れた労働者に説明し、まずその意識を払拭することからたたかいを始め、団体交渉などで会社に対して反撃していくという姿勢を示しました。独自のアンケートを行い、その結果から「反撃」、「居場所」、「運動」がキーワードになることが浮かび上がったとの報告がありました。民主党政権に期待するのはリーダーシップ。労基署、生活保護がそのままきちんと機能していれば問題はない。サービス残業をなくすだけで160万人の雇用が生まれるという資料もあり、法律どおりに政策を推し進めれば評価に値すると述べました。

最後に村田浩治弁護士は、クビの切り方が従来の整理解雇とは違い、不況になりそうだからといって解雇し、まるで人が在庫調整の対象になる様相を呈していると断じました。また、首切りは正社員にも及んでおり、体調を崩した社員を解雇する「うつ社員切り」も行われていると指摘しました。また、民主党政権になって、もやいの湯浅誠さんが政権入りしているほか、職安事務所で生活保護・労働相談をワンストップで受ける態勢ができているので、昨年末の「派遣村」のような問題は起きないと思う、と述べました。しかし、民主党で派遣問題について理解している議員はゼロに近く、派遣法について民主党が懇意にしている労働組合との関係を考えると、これからの動きに注視していく必要がある。労政審のメンバーは自民党時代から変わっていないこともあり、派遣法の抜本改革が歯抜けになる懸念を示しました。とはいえ、民主党の新人議員にはこうした問題に耳を傾けて反応する傾向があり、きっちり伝えれば自民党時代とは違う結果になると期待しました。今後の我々の取り組みとしては、こうした集まりに参加することであるとし、こんな実態があることを訴えていくことであるとして締めくくりました。

 

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働き方ネット大阪第8回つどい

大不況にどう立ち向かうか
―経済・雇用の崩壊と再建の途

鴨桃代さん来る!

弁護士 谷 真介

働き方ネット大阪の第8回つどいが2009年3月25日にエルおおさかで行われました。

これまで働き方ネットでは、シプラーさんや湯浅誠さんに遠方より講演でおこし頂いたことがあるのですが、今回は東京から全国コミュニティ・ユニオン(全国ユニオン)初代会長の鴨桃代さんに来ていただき、「労働組合は不況にどう立ち向かうか」というテーマでご講演いただきました。

まず驚いたのは、連合の会長選挙までご経験され、現在全国を飛び回っておられる鴨桃代さんが、講演当日も自ら労働相談に乗り、明日も団体交渉があるとおっしゃっていたことです。「全国的な労働組合の幹部の方」というイメージを持っていた私は、今なお現場で一人一人の労働者のための活動をなされていることに感銘を受けました。鴨さんは「私にはそれしかできないんです。そうやってここまできました。」とさらっとおっしゃっていましたが、現場に足を置き続け、労働者の声を聞き続けられてきたからこそ、年越し派遣村のような大きな運動を起こすことができたのではないかと思います。

鴨さんのご講演では、鴨さん自身が中心的に取り組まれた年越し派遣村について、時間をかけて話していただきました。初めは淡々と話されていましたが段々と当時のことを思い出されて熱がこもっていかれることが分かりました。500人を超える村民がやっとたどりつき当初は救急車で何人も運ばれたこと、厚労省を解放させ床暖房のある部屋に入ったとき涙を浮かべた方もいたこと、ボランティアの方々が多数駆けつけ「命をつなぐ派遣村」になった、と。このような実態を起こしたのは一体誰の責任か。一つは規制緩和を繰り返し、雇用保険などセーフティを全く整備しない国の責任。もう一つは切り続ける企業の責任。今の派遣法では「切るな!」と言えない。法律で言えないからこそ運動で「切るな!」と言わないといけないのだ、と力強く語られました。もう一つは労働組合の責任。組合も「切るな!」と言い続け、そして切られた労働者のために具体的に行動していかなければならないとおっしゃっていました。しかし、結局たどりついたのは「派遣法の抜本改正をしなければいけない」という思いだそうです。均等待遇や派遣先みなし規定など、これをやはり変えないと社会は変わらない。派遣法抜本改正のための取り組みにこれからも力を入れたいとおっしゃっていました。

そして、私が鴨さんの講演の中で最も頷かされたのは、「連合でも、全労連でも、どんな思想信条をもつ団体でも、個人でも、10あるうちの一つでも一緒にできることがあるなら、その一つを一緒に取り組みたい。取り組めるはずです。」という言葉でした。組織的な違いがあることは理解した上で、それでもやらなければならないこと、できることをできる範囲で一緒にやりましょうというメッセージでした。肩肘はらないでできることを一緒にやろうよ!と言っていただいた気がして、この間私自身が取り組んできた街頭相談活動など、その意味についてストンと自分の腹に落ちた気がしました。この働き方ネットの取り組みも、そういう取り組みにしていければ、と思った次第です。

鴨さんの講演の後は、正社員組合の方、青年の組合活動家の方、自営業者の方のリレートークを行いました。今の大不況は労働者、自営業者問わず、全くの無権利状態に置かれている現状が語られました。鴨さんの講演の後だったからか、暗い話で終わるのではなく、現状をかえる大きな運動をつくろうという、前向きなリレートークで非常に良かったです。

働き方ネットもすでに8回のつどいを開きました。これからも、その時代のトピックを扱うなど新しいことに取り組んでいきたいと思っています。参加者も事務局員も垣根のないめずらしい集まりだと思いますので、企画する方にもぜひご参加下さい。

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働き方ネット大阪第7回つどい
貧困の連鎖が子どもを苦しめている

大阪労連副議長・働き方ネット大阪副会長
                     服  部 信一郎

2008年11月17日の毎日新聞に、「幸福度調査1位 オランダの提言」が載っている。ユニセフが07年に調査したものだ。これによると24カ国中、日本は最下位の29.8%、ほぼ3人に1人の子が「自分は孤独だ」と感じている。新聞内容は1位にあるオランダの教育を書いたものであるが、私は直感的に、日本の競争教育と構造的貧困がもたらしていると思った。

「親の働き方と子どもの貧困」をテーマに、「働き方ネット大阪・第7回つどい&2008年総会」が、11月13日(木)午後6時30分、エルおおさか南館ホールで開催され、約90名が参加した。高校生が橋下流教育論に正確に反論する発言に感動もし、そして貧困を考えさせられた。参加者からは、「北国と太陽の太陽政策が必要」「聞くに堪えられませんでした、憲法で保障されている生活権を子どもたちにも」「橋下功成りて、府民枯れる」など、自身の家庭とも重ねた感想も寄せられた。「働き方」をテーマに、ディーセントワークを呼びかける会として、意義深いつどいとして成功させることができました。
 
「自分」をもっている子もいること知って欲しい

平日の夜にもかかわらずパネル討論に参加してくれた羽曳野高校のFさんは、参加者に感動と元気を与えました。「橋下知事との意見交換会で、学力しか頭にない知事の突き放す言葉で私学の子が傷ついた、2人が泣いた、それでも言い放った知事は謝罪して欲しい。高校教育を訓練としか見ていない、中学校を出たらどうでもいいという感じで話していた。知事の頭には勝ち負けしかない、この人(知事)はいつかダメになるやろうと思った」と、知事との意見交換会の感想を述べ、最後に「流される子もいるけど、自分をもっている子もたくさんいること」を知って欲しいと発言しました。話しの前段では、私学に行けない子どもが生まれている、親に申し訳ないとアルバイトでクタクタの子、橋下知事は自己責任を押しつけるが、私たち高校生は勉強だけでなく、部活などを通して、心の成長、友情、団結を学んでいる。競走馬のように走らせておいて、知事は「落ちたら自己責任」なんて許せないとも発言。

参加者感想アンケートには、「高校生の話が聞けて元気になりました。未来に希望が持てました」「明るい未来を垣間見ました」など、貧困と悪政に押しつぶされかねない動きに、高校生が立ち向かっている姿が、大人を励ますものとなった。
 
貧困の連鎖が子どもを苦しめている

児童虐待とは、子供に生活上重要なものを与えないという形、すなわちネグレクトと危害を加える虐待という形で起こると言われる。ネグレクトは、子供にとって身体面、医療面、教育面、情緒面で必要不可欠なものを与えないことだが、養護教諭30年のベテラン教諭はその現状を報告してくれた。

その1.H君(小学校1年生)のネグレクト例。母子家庭、家族構成―母親・H君(7歳)・妹(2歳)・弟(0歳)、母親の勤務時間午後8時〜午前4時。H君が朝登校時は、母親が寝ているため、朝食を食べずに弟を保育所に連れて行ってから登校するため、遅刻する。その子が弟と一緒に万引きを繰り返している。

その2.Iさん(小学校2年生)の身体虐待例。父母ともに中国人、父親は日本語がしゃべれずに、職を転々としたうえ、現在失業中。母親は13時間労働を強いられ、喧嘩が絶えない。Iさんがお金を盗んだため、母親がほうきの柄でIさんを強打し、全身打撲(腫れ、皮下出血)を負わした。父親はIさんのお姉さんを、妹の面倒を見ていなかったと、ほうきの柄が折れるまで叩き、全身打撲。

別のケースで家庭訪問したとき、母親は「子どもの話しか聞いてくれない、私のはなし聞いて欲しい、しんどい事聞いて欲しい」と訴えられ、親が必死に生きている姿を見たと語った。解決に向けては、犯人捜しで終わらず、背景をしっかり捕らえ共通の話題にすることが大事ではないかと、語りました。

教育費に心を痛めるシングルマザーのMさんは、時給800円のパート。月収にして月手取り10万円〜12万円、児童扶養手当は月4.7万円。「高校生になる子は、部活の合宿などの学校経費も本人は言いにくいため、締め切りギリギリに言ってくる。家計を気にしている学生生活を送っている様子で、かわいそうな気がする」と、一生懸命に働いても低すぎる賃金に左右される家族の実情を、勇気を持って語ってくれた。

子どもが意欲をもって学校にいけるように

基調講演は小学校教諭で、現在は大教組副委員長の渡部有子さんが行った。教育現場から見える子どもの貧困としてあげた問題は、(貉匆板蹐料加(母親の夜の就労と母親の孤立)、働き過ぎで母親のうつ病が増えている、子どもの勉強でも、母親のうつ病が増えている点であった。

具体的事例で、事態の深刻さが浮かび上がった。夜8時まで小1の児童をおいて仕事している母親、子どもは寂しいから布団をかぶって寝ている。秋の運動会の開催日を春に聞いてくる親(休暇を早くから取る必要があるため)の働き方、給食が児童の唯一の食事になっている現状などを告発した。

渡部さんは、「橋下知事は学力を言うが、子どもが意欲を持って学校に行けるようにしなければならない」と強調。そのためにも、暮らしのセフティーネットや教育条件を引き上げなければならない、と問題提起した。

森岡孝二会長(関西大学教授)は開会あいさつで、「安倍晋三も、福田赳夫も、麻生太郎もみんな世襲だが、貧困も世襲化し出している」と話されたが、何としても世襲を断ち切りたい。支配する者が限界を初めからもつ者を追い詰めようとする歪んだ社会、教育問題が、テーマになった。今回のつどい、特に教育と貧困問題は地域から自他が共存できるネットワークづくり、一緒に考えることの大事さを教わった気がした。

メールで寄せられた感想のなかに、「一番の被害者である子どもたちの、あそこまでの素直な意見を聞いても心が動かない橋下の人間性を改めて疑いました」があった。

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働き方ネット大阪第5回つどい
「マクドナルドだけじゃない!不払い残業の実態を告発する」に100名の参加者

弁護士 原 野 早知子

2008年4月10日夕刻、働き方ネット大阪の第5回つどいがエルおおさか南ホールで開催された。今回は、マクドナルド「偽装管理監督者」判決を受けての緊急企画である。雨の中、約100名の参加者があり、新聞・テレビの取材もあった。不払い残業問題、長時間労働問題への社会的関心の高さがうかがわれた。

第1部は関西大学森岡孝二教授の「労働時間のコンプライアンス実態とサービス残業」と題した基調講演。森岡教授は、「日本の企業犯罪で被害人口・被害総額トップが『賃金不払残業』だ」と指摘した。そして、サービス残業に対する労働基準監督行政が近時強化される一方で、財界がその基準強化を免れるため、ホワイトカラーエグゼンプションの導入を求めている動きや、同時期に派遣労働者が急増し、正社員との格差が拡大している事実に注意しなければならないと話された。

第2部は河村学弁護士が残業代をめぐる判例の状況、特に、マクドナルド事件で問題となった「管理監督者」の基準について解説した。労基法上、残業代の支払いをしなくてよい「管理監督者」とは、経営者と一体的な立場にあるような者で、出退勤について自由裁量があり、賃金・手当などで高い地位にふさわしい待遇をうけている者である。現在の日本社会で「管理職だから残業はない」と言われている労働者の中で、この基準に真にあてはまる人はほとんどいないだろう。河村弁護士が担当する武富士の訴訟では、武富士は「原告は管理監督者だ」と言い、一方で、「賃金に残業代が含まれている」と主張。河村弁護士が「矛盾している」と反論すると、「管理監督者の主張は引っ込める」と言ってきたという。我が国の労働者をしばる「管理職に残業代はない」というテーゼはかくもいいかげんなものなのである。

続く第3部は、ハイライト―現場からの告発である。

実際に「名ばかり管理職」だったミドリ電化の木村茂さん。「社員勤務ローテーション表」には、しっかり始業・終業時間のシフトが日々規定され、およそ「出退勤の自由裁量」などない。手帳に始業・終業の時間をつけてみたところ、毎日12時間以上の労働であることが明らかになり、労基署に申告。このことがきっかけになり、ミドリ電化は3400人の労働者に合計37億円の残業代をさかのぼって支払った。

夫があまりの長時間労働で、心配のあまり労働基準オンブズマンに相談し、告発をした妻のMさん。Mさんは自分が行動する前に、夫に法律上の手続を取ることを勧めたが、夫は「周りの人に迷惑をかけられない」と応じなかった。Mさんが匿名で告発をした結果、夫の働く日本ペイントは8か月分の未払い残業代を支払い、異常な長時間労働も改善された。しかし、それでも夫が帰宅できるのは早くて午後9時という話には驚かされた。

建交労関西支部の役員法月健二さんは、大阪市西淀川区の運送会社での「偽装個人請負」の不払い残業問題を告発。この会社では、運転手の就労実態は労働者であるのに、「個人事業主」とされ、毎月支払われる金額は最低賃金を下回るほどの低額で、不足分を会社が貸し付けて、翌月の支払日に差し引くという取扱が常態化していた(働いても働いても貯金は出来ず、逆に借金がたまっていく)。「労働者」であれば、最低賃金違反も借金天引きも違法だが、「個人事業主」として法の網の目をくぐろうとしていたのである。労組を結成し、労基署へ申告した結果、運転手らが「労働者」であると労基署が認定し、会社に是正勧告を出したが、会社はこれに応じず、不払い残業代を払うどころか、組合員の賃金をカットするという嫌がらせに出ているという。まさに労働者を奴隷化する実態であった。

パネリストのリレートークに加えて、会場からも実態告発が相次いだ。

10ヶ月で860時間残業したという調理師の八石さんは、働き始めて3〜4か月で過労で倒れ、医者に行くと「うつでこのままだと死ぬ」と言われたが、なかなか職場をやめることもできなかった。22歳の八石さんは、今、「職場の仲間を放っておくことはできない」との思いで、労働組合に加入し、会社との交渉を続けている。Tシャツのプリント会社で働いていた前田さんは1ヶ月に230時間以上残業し、毎日朝の3時、4時まで働いていた。周囲では、精神疾患になる人、アルコール依存症になる人、自殺する人が出て、自身も十二指腸潰瘍になって退職したという。

信じがたいほどの話ばかりだが、これが今の日本の生の労働実態である。このような労働実態を放置して良いと正面から言える人はいないだろうし、このように命と健康をすり減らした重労働のもとで、安全に仕事ができ、また、いい仕事ができているのかも極めて疑問である。

つどいは集会アピールを採択して終わったが、不払い残業と長時間労働への取組は、非正規雇用問題と並び、現代の労働運動のまさにメインの課題であることを痛感した。今後、実態を告発し、労働監督行政の強化、労働時間規制の強化を求める運動がますます求められていると思う。その中で、八石さんのような若い人が運動に立ち上がり始めていることが印象に残った。

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