森岡孝二の連続エッセイ - 第145回 東電の原発撤退を求める株主提案に8%の賛成

第145回 東電の原発撤退を求める株主提案に8%の賛成

2011/7/15 23:56

 6月下旬に電力会社の株主総会がありました。電力会社にかぎらず今年の総会で最も注目されたのは東京電力でした。

日本経済新聞によれば、総会出席者は、過去最多だった昨年の3倍近い9309人に上りました。所要時間は、午前10時開会、午後4時6分終了で、1999年の3時間42分を大幅に上回る6時間9分となり、過去最長でした。お土産のない総会にこれだけの出席者がいたというだけでも、史上最悪の核事故を起こした東電に対する個人株主の関心の高さを示しています。

その一方、例年になく大きく報道された原子力発電からの撤退を求めた株主提案への賛成は8%にとどまりました。昨年の高速増殖炉事業からの撤退を求める議案への賛成比率5.3%と比べると、前進はしていますが、10%を超えるかもと期待していた私には、残念な結果でした。

「脱原発・東電株主運動」のブログによれば、東電発表の投票結果は、賛成8%、不明棄権3%、反対89%でした。脱原発への反対が9割近くもあるとことは、東電の大株主はすべて株主提案に賛成票を投じたことを意味します。白票を投じた大株主がいるとしても、白票は、株主提案については反対と見なされるので、賛成したのと同様です。

今年3月31日現在の東電の10大株主のなかには、日本トラスティ・サービス信託銀行、第一生命保険(株)、日本生命保険、日本マスタートラスト信託銀行、三井住友銀行、みずほコーポレート銀行などがあります。これらはすべて人様から預かった資金を運用している金融機関であって、それだけ資産を確実に運用する受託者責任と、環境や安全に配慮した議決権行使が求められます。東電のように巨額の損失を生むリスクのきわめて高い株を持ち続け、そのうえ原発推進賛成の態度を取ることは、大方の出資者の支持を得られるものではありません。これは、第5位の大株主である東京都についても当てはまります。

日本の株主会社の株主総会は、世間の常識から見ればまことに奇妙です。これは東電も例外ではありません。というより東電はその点でとくべつ際立っています。株主総会に9000人以上が参加しても、投票は、前日までに書面投票や電子投票したか委任状を送った株数で決まり、総会参加者の票数が数えられることはありません。

東電株主運動のブログによれば、数人の株主から出た賛否のカウントをすることを求める動議に対して、議長は「おふたりの株主から委任状をいただいており、それは合計1,070,810個で、出席の株主の過半数を超えている」と宣明したといいます。東電からの「株主総会決議通知」は、総会翌日の昼には株主の手許に届いたともいいます。総会は開かないわけにはいかないが、結果は最初から決まっているいるというわけです。

こういう困難はありますが、また、来年の6月に東電があるかどうかも分かりませんが、脱原発の株主提案の賛成が10%を超えれば、多数の株主の声として東電取締役会も無視できません。東電がどうなろうと、他の電力会社の原発問題はこの先かなり長い期間にわたって残り続けます。株主のあいだで脱原発の流れを大きくするために何ができるか、何をすべきか、私も考えて見たいと思います。

社名
提案内容
賛成比率
東京電力
原子力発電からの撤退
8.0
関西電力
自然エネルギー発電への転換
3.9
東北電力
原子力発電の廃止
7.5
中部電力
浜岡原発の閉鎖
6.9
中国電力
原子力発電の運転停止
8.0
九州電力
プルサーマル発電の中止
9.2

(出所)「日本経済新聞」2011年7月5日
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