• カテゴリ トピックス の最新配信
  • RSS
  • RDF
  • ATOM

トピックス - トピックスカテゴリのエントリ

 朝日DIGITAL 2018年1月25日

https://digital.asahi.com/articles/ASL1T61J2L1TULFA024.html

高橋まつりさんの遺影を前に記者会見する母幸美さん(右)と川人博弁護士=25日、東京・霞が関の厚生労働省(写真省略)

 広告大手・電通の新入社員で過労自殺した高橋まつりさんの母幸美(ゆきみ)さんと代理人の川人博弁護士は25日の記者会見で、昨年の電通の採用面接で役員らが女子学生に「(まつりさんの件で)報道されている事実が必ずしも事実だとは思っていない」と話した疑いがあることを明らかにした。電通はこうした発言はなかったと否定している。

 川人氏は、面接を受けた女子学生本人から直接聞いた「確度が高い」情報だと説明した。電通に事実関係の確認をしているという。

 電通と遺族は昨年1月、まつりさんの過労自殺について電通が遺族に謝罪し、再発防止措置を講じることなどを約束する合意書に調印した。川人氏は「合意書で認めたことと面接担当者の発言は矛盾しており、合意書に違反している」と強く批判した。

 電通広報部は朝日新聞の取材に対し、「面接で発言した事実はない。合意書違反もない」と回答した。

 川人氏によると、この女子学生の面接では、「スカートが短い」「女を武器にしている」といったセクハラと受け取られかねない面接担当者の発言もあったという。電通広報部は取材に対し、こうした発言については「事実は確認できていない」と回答した。(千葉卓朗)
  • トラックバック (0)
  • 閲覧 (370)

 チラシはここから

日時:2018年1月25日(木)18:30 〜 20:50(開場18:00 〜)
会場:エルおおさか本館7階709号室 無料

昨年12 月22 日、政府は、生活保護基準を最大5%引き下げ、年間160 億円削減する2018 年度予算案を閣議決定しました。

最貧困層(下から10%)の生活水準に合わせての引き下げは、生活保護利用世帯だけでなく市民生活全体の際限ない「引き下げスパイラル」を招き、「普通の暮らし」を破壊します。

2013 年から生活扶助基準、住宅扶助基準、冬季加算が相次いで大幅に引き下げられ、20 都道府県で違憲訴訟が争われているさなか、さらなる引き下げは絶対に許されません。

この集会に参加して、何が行われようとしているのかをともに学び、当事者・支援者の現場からの声を聴いてください!

主催:反貧困ネットワーク大阪、引き下げアカン!大阪の会(生活保護基準引き下げ違憲訴訟を支える大阪の会)、シンママ大阪応援団
後援:いのちのとりで裁判全国アクション
問い合わせ:とくたけ司法書士事務所
Tel:072(648)3575 / Fax072(648)3576(司法書士・徳武聡子)

  • トラックバック (0)
  • 閲覧 (466)

自動ドア販売・施工会社の男性社員(当時28)が4年前に自ら命を絶ったのは、連続勤務や残業などでうつ病を発症したためとして、東大阪労働基準監督署(大阪府東大阪市)が労働災害(過労自死)と認定していたことがわかった。認定後、遺族は会社側に賠償責任を問う訴訟の準備に入ったが、会社側は遺族と交渉を重ね、再発防止策や解決金の支払いなどで今月、遺族と合意した。

自ら命を絶った息子「お父さんの会社、入ってよかった」

遺族側代理人で「自死遺族支援弁護団」(大阪市)事務局長の生越(おごし)照幸弁護士によると、訴訟を経ず企業が過労死・過労自死の責任を認めて謝罪、遺族側と再発防止などで合意した事例では、電通が社員だった高橋まつりさん(当時24)の遺族と合意を交わしたケースがあるが、異例という。

 亡くなったのは、自動ドア「NABCO」の販売・施工会社「ナブコドア」(大阪市西区)の社員だった木村大輔さん=大阪府四條畷市。入社6年目の2014年1月に死亡した。

 遺族は、木村さんが当時、大型商業施設改装の担当になり、他にも20件以上現場を抱える過重労働の状態だったと主張。東大阪労基署に労災認定を求めた。

 労基署は昨年10月、深夜勤務3回を含む12日間の連続勤務があった▽その後、30日間単位の時間外労働が計100時間以上に達した――などと認め、仕事が原因となってうつ病を発症した労災と認定した。

 ナブコドアは裁判外で早期和解を図りたい意向を遺族側に伝え、今年7月に社長らが仏前で謝罪。その後、会社は「(木村さんの死は)労働時間や業務の軽減を怠り、漫然と過重労働をさせた結果」と責任を認め、長時間労働防止や職場の支援態勢作りなどに取り組むことを盛り込んだ合意書を遺族側と交わし、和解した。

 ナブコドアは取材に「労災認定を重く受け止めている。長時間労働や業務負担について、会社として十分に把握しきれていなかった」と説明。現在は従業員を大幅に増やし、管理職への研修や労働時間を把握するためのシステム構築などに取り組んでいるという。

 森岡孝二・関西大名誉教授(企業社会論)は「裁判で会社と遺族が正面から争う展開になれば、遺族は二重の苦しみを負う。過労死問題への社会の視線が厳しさを増す中、今回の(ナブコドアの)対応は迅速な措置といえ、他企業への影響も大きい。企業が日頃から社内で徹底しておくべき内容だともいえる」と話す。(阪本輝昭、荻原千明)

会社と遺族側との合意書骨子

・木村大輔さんの死は会社が漫然と過重な労働に従事させた結果であり、会社の業務と安全配慮義務違反が原因だと認める

・遺族に悲しみと精神的苦痛を負わせたことについて謝罪する

・会社は社員の労働時間をタイムカードなどの客観的記録で正確・厳格に把握する。時間外労働は月60時間を超えないように努める

・職場の支援・協力態勢を整え、社員一人に過重な負担がかからないよう軽減措置をとる

・2022年まで年1回、大輔さんの父・孝夫さんに再発防止の取り組み状況を報告する

・遺族へ解決金を支払う
  • トラックバック (0)
  • 閲覧 (537)

 厚生労働省東京労働局は26日、裁量労働制を社員に不当に適用して残業代を支払っていなかったとして、不動産大手の野村不動産の本社(東京)と、関西、名古屋、仙台、福岡の4支社に対し、同日までに是正勧告を出したことを明らかにした。宮嶋誠一社長に対し、是正を図るよう25日付で同労働局長から特別指導もした。

 同労働局によると、野村不動産は本来、裁量労働制の適用が認められない社員に対し、全社的に不当に裁量労働制を適用し、営業などの業務をさせていた。このため、違法な時間外労働が発生していたにもかかわらず、残業代を支払っていなかった社員が一部にいるとして、未払い残業代の存在を認めた。

 裁量労働制は、仕事の進め方や時間配分をある程度自分で決められる働き手に、あらかじめ決められた「みなし労働時間」に基づいて残業代込みの賃金を支払う制度。それ以上働いても追加の残業代は出ない。

 野村不動産は「対象者の労務時間について精査のうえ適切に対応する。当社では既に裁量労働制の廃止を決定しており、速やかに実施する。今回の是正勧告・指導を厳粛に受け止め、適切な労務管理に努めるとともに労務時間の短縮を目指す」とするコメントを出した。
  • トラックバック (0)
  • 閲覧 (327)

ホンダの子会社「ホンダカーズ千葉」(本社・千葉市中央区)の自動車販売店の男性店長(当時48)が昨年12月に自殺したのは、長時間労働などによるうつ病が原因として、千葉労働基準監督署が労災認定していたことがわかった。認定は今年6月16日付。遺族の代理人弁護士が19日、明らかにした。

 男性は2015年3月、千葉市内にオープンした店の店長になったが、部下の残業を減らすために代わりに残業するなど長時間労働を続けたという。同年6月に行方がわからなくなり、2カ月後に戻ったが、ストレス性うつ状態と診断された。同年8月、無断欠勤などを理由に書面で懲戒解雇を通知され、昨年12月20日に自殺した。

 代理人弁護士によると、千葉労基署は‥垢離ープンの準備期間が短く焦りや不安を生んだ∋間外労働が80時間を超える月が2回あった13日連続や17日連続の勤務をしていたぃ灰月連続の赤字でノルマを達成できなかった――などが原因でうつ病を発症したと判断し、労災と認めたという。

 男性の妻は19日、代理人弁護士を通じて「中間管理職に負担が来てしまうことがあると思います。(会社に)重く受け止めて対処してほしい」とコメントを出した。遺族側はホンダカーズ千葉に未払いの残業代や慰謝料などを求める訴訟を千葉地裁に起こしている。

 千葉労基署は取材に「個別の事案には答えられない」、ホンダカーズ千葉の代理人弁護士は「係争中のためコメントできない」としている。

 労働問題に詳しい森岡孝二・関西大名誉教授(企業社会論)は「働き方改革が叫ばれ、残業させない風潮が広がっているが、働き手は増えず、仕事も減らず、中間管理職は負担が増えている」と指摘。そのうえで「管理監督者の労働時間を会社がしっかりと把握する必要がある」と話した。(滝口信之)

男性の妻「中管理職に負担」

長時間労働などが自殺の原因として、労災認定された「ホンダカーズ千葉」の男性店長の妻は19日、代理人弁護士を通じてコメントを出した。主な内容は以下の通り。

     ◇

 亡くなって1年が経ちますが、毎日苦しい気持ちで、前に進めていない感じがします。中間管理職に負担が来てしまうことがあると思います。上と下の間の人にしわ寄せが来る状態です。会社のあり方を考えて、重く受け止めて対処してほしいです。

 

*森岡のコメントに「管理監督者」とあるのはいわゆる名ばかり管理職のことです。
  • トラックバック (0)
  • 閲覧 (436)
 毎日新聞 2017年12月8日 東京朝刊

https://mainichi.jp/articles/20171208/ddm/012/020/064000c

 NHKの上田良一会長は7日の定例記者会見で、職員の勤務の抜本的見直しを図る「働き方改革宣言」を発表し、番組のスタジオ収録を2018年度から原則午後10時に終了することなどを具体的な取り組みとして示した。13年に記者の佐戸未和さん(当時31歳)が長時間労働で過労死したことを受けた改革で、上田会長をトップにした働き方改革推進委員会を来年1月までに設置し、取り組みを順次実施する。

 宣言では、長時間労働に頼らない組織風土作り▽業務の改革やスクラップを進め、効率的な働き方を追求−−など五つのスローガンを提示。労働時間の短縮に向け、特に撮影が長期間になる大河ドラマは19年放送の「いだてん」から、連続テレビ小説は20年度前期の作品(未定)から、原則午後9時までに収録の終了を目指す。NHKによると、現状では収録が深夜に及ぶ場合もあり「短時間に抑えられるよう見直しを進めたい」としている。

 記者については、4月から専門業務型裁量労働制を導入。勤務状況の把握、管理を進めている。大阪や福岡などの拠点局を除き、地方局の記者の泊まり勤務を段階的に廃止するほか、人工知能(AI)を活用し定型原稿やテロップを自動作成することで現場の負担を軽減するとしている。

 働き過ぎの職員に休暇を与える「健康確保休暇」の新設や、在宅勤務の拡充などの多様な働き方の支援も全職員を対象に検討する。

 上田会長は会見で「佐戸さんを失ったことは悔やんでも悔やみきれない。私を先頭に全員一丸となって、NHKで働く全ての人の健康を守りたい」と強調。NHK本体だけでなく、関連団体の勤務についても改善を進めるという。【屋代尚則】
  • トラックバック (0)
  • 閲覧 (411)

 NHK記者の佐戸未和さん(当時31)が4年前に過労死した問題を受け、NHKは7日、「NHKグループ働き方改革宣言」を発表した。定例の記者会見で上田良一会長は「長時間労働を改め、過労死被害を出さないという強い決意」と述べた。

過労死したNHK記者の母「我が子守れず深い後悔の念」

NHK過労死「選挙当打ちのため命落としたかと」母講演

宣言では、長時間労働に頼らない組織風土作りや、効率的な働き方の追求、ワーク・ライフ・バランスの充実などを掲げた。上田会長を含む推進委員会を来年1月までに立ち上げる。

 特に長時間労働が問題となる放送現場では、来年度からスタジオ収録は原則午後10時終了を目指す。深夜に及ぶこともある大河ドラマや連続テレビ小説は午後9時を目標とする。また、一部大都市を除く地方放送局記者の泊まり勤務の段階的な廃止を検討。定型原稿やテロップの自動作成などにAI(人工知能)やICT(情報通信技術)などの活用も進める。

 大河ドラマを巡っては、年間50回の予定だった来年放送の「西郷(せご)どん」が47回に。NHK側はこの日の会見で、「大河は50回と決まっているわけではなく、ストーリーをみて判断した。働き方改革ありきで変えたわけではない」と説明している。

 発表を受けて佐戸さんの両親は7日、「未和が働き方改革の人柱となったと思い、過労死の再発防止と改革の推進を注視していきます」などとするコメントを発表した。(滝沢文那)
  • トラックバック (0)
  • 閲覧 (229)

 国際通貨基金(IMF)は21日発表した日本の労働環境に関する提言で、後を絶たない「過労死」を問題視し、残業抑制を求めた。日本の正社員は頻繁に長時間労働を要求されるが、残業代が支給されないこともあるとし、働き過ぎで死に至ることが「KAROSHI(過労死)」と紹介。残業が減れば、夫は子育てや家事により多くの時間を割けるようになり、妻は出産を機に会社を辞めなくて済むと指摘。夫が自宅にいる時間が増えれば、妻が2人目を産もうと思うきっかけにもなると分析した。

日本の人口は2025年までに約400万人減少するとの推計を紹介。女性が働きやすく、出産しやすい社会環境をつくることが、減少傾向にある働き手の確保につながると訴えた。(ワシントン 共同)
  • トラックバック (0)
  • 閲覧 (467)

 パナソニックの子会社で介護事業を営むパナソニックエイジフリー(大阪府門真市)は来年4月から、1年以上現場勤務するパートのうち、希望者全員を正社員にする。定年まで働くことができ、賞与、退職金も支給される。深刻な人手不足に悩む介護現場で、人材をつなぎとめるねらいだ。

 同社は、全国230拠点で、有料老人ホームやデイサービスなどを展開している。介護現場の従業員約3千人のうち約1500人がパートで、原則6カ月間の有期雇用契約となっている。

 来年4月以降、勤務が1年に達したパートに希望を聞き、順次、正社員にする。

 従来型のフルタイム勤務に加え、短時間勤務を認める「時間制正社員」も新たに設け、選択できるようにする。時間制は、パートのように時給制だが、賞与分も上乗せし、厚生年金など社会保険への加入もできるようになる。子育てなど生活の実情に合わせ、途中からフルタイムに切り替えることも可能にする。

 パナソニックエイジフリーにとっては、人件費負担は増すものの、離職者を減らすことで、募集広告など、新規採用のための費用を減らすねらいもある。

 9月の全国の有効求人倍率(季節調整値)は1・52倍と人手不足が進んでいる。とりわけ介護関連は3・74倍(実数ベース)と深刻で、3年足らずで離職する割合も高い。政府は、介護職員に支払う報酬を増やす検討を始めているが、事業者どうしの人材獲得競争も激しくなっている。(岩沢志気)
  • トラックバック (0)
  • 閲覧 (516)
朝日DIGITAL 2017年11月15日

http://digital.asahi.com/articles/ASKCG4HP2KCGUTIL02D.html

写真・図版:提訴後に会見した元アイドルグループメンバーの原告女性(手前)=東京・霞が関の司法記者クラブ(省略)

写真・図版:元アイドルグループメンバーの原告女性が書いた手記(省略)

 私たちと同じような状況の人はたくさんいる。私が訴えることで、何かが変わるきっかけになってほしい――。アイドルグループ「虹色fanふぁーれ」の元メンバーの女性ら4人が14日、当時の所属芸能事務所に対し、契約の無効確認や未払い賃金支払い、芸名の継続使用などを求め、東京地裁に提訴した。関係者への取材や裁判の資料から浮かんだトップアイドルの夢を追う女性たちの過酷な環境とは。

元アイドル女性ら「2年以上ただ働き」 事務所を提訴

提訴した「虹色fanふぁーれ」の元メンバーの女性の陳述書によると、子どものころから、安室奈美恵さんのような、ソロで歌って踊れる歌手に憧れていた。中学3年のとき、「1年以内にメジャーデビュー確約」とうたう芸能事務所のオーディションに応募。「レッスン生」としてデビューを目指すようになった。

 高校進学後は、自宅から夜行バスで片道9時間かけて月4回、東京に通い、ボイストレーニングを受けた。毎回の交通費や宿泊費に加え、デビューまでのレッスン費約30万円は、いずれも自己負担した。

 高校1年の秋、事務所のスタッフから「いつデビューになるかわからないから、上京した方がいい」と言われた。悩んだが、「一度しかない人生だから」と決意し退学。単身上京した。親から仕送りを受けながら家賃を支払い、飲食店などのアルバイトで生活費を稼いだ。女性は「夢のために頑張れた」と振り返る。

 上京から半年後の2015年7月、女性7人組のアイドルグループの結成とデビューが決まり、事務所と正式に専属契約を交わすことになった。未成年だったため、契約の場には母親も同席した。その場で初めて顔を合わせた男性が、契約書を読み上げた。契約は5年間で、契約終了後も2年間は、どんな芸名でも芸能活動ができない▽報酬は月額3万8千円で、レッスン費など同額を報酬から差し引く――という内容だった。

 女性も母親も当時、契約の期間が長く、仕事をしても報酬を受け取れないことに違和感を感じたが、すでに高校を退学していたことなどを考え、サインした。女性は「契約の重さを理解していなかった。当時はデビューできるうれしさが勝ってしまった」と悔やむ。

 デビュー後は、毎週末のようにライブに出演。終演後はグッズやCDを売り、購入してくれたファンと有料の写真撮影をする「物販」に励んだ。ライブ以外でも、ファンへのメッセージ配信やツイッターの投稿、動画配信サイトを通じた動画配信を続けた。

 ファンにとっては、順調にアイドルとしての活動を続けているように映ったはずだが、内実は違った、という。

 報酬はレッスン費との相殺で支払われず、事務所から受け取れたのは自宅からライブ会場への交通費のみ。「物販」の売り上げもメンバーに配分されることは一度もなかった。動画配信では、ファンがチップをネット課金する形で提供できるが、女性らには支払われなかった。一方、配信で使う通信料や、撮影に使うカラオケボックス使用料は自己負担だった。

 女性は事務所に「物販」などの売上額や、歩合給の支給について尋ねたが、返事はなかったという。「どれくらい売れれば、給料が支給されるのか」。次第に事務所への不信感が募っていった。

 事務所を辞めることを考え始めたのは今年3月。その半年ほど前に「ヨーヨーを使った新しいアイドルユニットを作る」と指示され、通常の舞台練習とは別に週2、3回、スタジオでヨーヨーの練習を重ねた。アルバイトの時間を縮め、課題の技を深夜まで自宅でも練習したが、突然、企画の中止を告げられたという。

 女性は5月、「他の事務所に行きたい」と、マネジャーに伝えた。しかし、「契約書をよく読め、契約書に書いてあることは絶対だ」と告げられ、契約期間が残り、契約終了後も2年間は芸能活動ができないことを説明された。

 辞めることを決めたメンバーは女性ら原告4人を含む計5人。9月23日、渋谷区でのライブを最後に、5人がグループを「卒業」した。マネジャーからはライブで「『就職するので辞めます』と言うように」と指示されていたが、ファンには「今までありがとう」と感謝だけを伝えた。またステージに立ちたい、芸能活動を続けたい。その一心だったという。


 今回、原告女性たちが「不当だ」と訴えるのは、活動期間の実質的な無報酬と、他の事務所への移籍や芸能活動を制限する「事務所縛り」、芸名の使用制限だ。

 これらについて、別の芸能事務所の男性は「低報酬や、移籍の制限は、芸能界、特にアイドル業界では珍しいことではない」と明かす。

 原告の女性たちが所属していたグループのように、ライブを中心に活動するアイドルは「地下アイドル」と呼ばれる。物販での売り上げに応じ、歩合制の報酬を受け取るケースが多い。

 それでも、この男性は「月に10万円受け取れればいいほうだ」という。「良い講師のレッスンは費用が高く、良い楽曲や衣装にも費用がかかる。報酬は抑えざるを得なくなるが、むしろアイドルから喜ばれることもある」

 「事務所縛り」にも、「育てたアイドルが売れたとたんに他の事務所に移籍されてしまっては困る。移籍金を支払ってもらって円満に移籍が成立する場合もある」と指摘。「タレントの不満が出ないように、ギリギリでうまくやるしかない」と強調する。

 こうした契約をアイドル側はどう捉えているのか。

 複数の事務所に所属した経験のある元アイドルは、レッスン生として入った最初の事務所では、「辞めたら3年間の活動禁止」という約束があり、無報酬でレッスン代は自腹だったという。それでも迷わずに契約書にサインした。「自分の夢のことしか考えず、やるしかなかった。今思うと、冷静さを欠いていたと思う」と振り返る。

 移籍した2カ所目の事務所は固定給だったが、交通費は自腹で、ライブが多い月は出費がかさんだ。「働けば働くほど、取り分が減ってしまった」という。アルバイトも禁止で、生活は苦しかったが「文句を言えば、『やる気がないのか』と思われる。やるしかなかった」と話した。

 ここ10年ほどで、各地にご当地アイドルや地下アイドルが急増した。ただ、一部のトップアイドルを除き、多くは学生のアルバイト代程度の報酬を受けながら、活動の合間のアルバイトや実家からの仕送りで、生計を立てている。一方で、少しでもファンを増やそうと、ファン向けのブログを書いたり、動画配信をしたり、やるべき「仕事」は増えている。

 元アイドルの20代女性は活動を続けた理由を「夢を追いかけているから、先のことまで深く考えない。有名になるためのステージを事務所が用意してくれているだけでありがたい、という感覚だった」と話した。

 芸能界の法律問題に詳しい紀藤正樹弁護士はこうした実情について、「芸能人と事務所の契約は、労働や委託、代理、派遣など態様が様々で、裁判例も少ない。強い事務所と弱い芸能人という上下関係が固定化され、ルールづくりが進んでいない」と問題視する。今回の提訴を「裁判を起こすことは勇気がいるが大事だ。次に続く人が出てくる」と評価する。

 その上で、事務所と芸能人のトラブルには労働基準法や独占禁止法、不正競争防止法も関係する、とも指摘。「昨年のSMAPの解散騒動で、芸能界の問題点にも焦点が当たり、『パンドラの箱』が開いた感がある。『事務所をやめたい』という芸能人の相談も昨年から増えた」と話し、「個人の力では解決できないので、中小企業保護と同じような発想で芸能人を守る法律が必要だ」と指摘する。(小松隆次郎)
  • トラックバック (0)
  • 閲覧 (692)
コンテンツ
サイドメニュー1
サイドメニュー2

> ご入会申込フォーム

> わかもの労働相談

訪問者記録
今日 : 162
今月 : 9585
総計 : 2492257

ページトップ