脇田滋の連続エッセイ - 第7回 5月1日は「労働尊重」社会実現を目指す「レイバー」の日

第7回 5月1日は「労働尊重」社会実現を目指す「レイバー」の日

2019/5/1 23:24

  今日は、5月1日、「メーデー(May Day)」です。労働者が、権利を実現し、安定した人間らしい生活ができることを目指して制定された日です。

 このメーデーの起源については諸説あるようですが、その一つは、8時間労働制導入をめぐる闘いです。1886年5月4日、アメリカ・シカゴで起きたヘイマーケット事件(Haymarket affair)がその発端となりました。5月1日、労働者が8時間制導入を求めてストライキをしていたところを、3日、警察官が襲撃して労働者4名が射殺されました。それに抗議してヘイマート広場に集まった多くの労働者たちが大規模な抗議集会を開き、警察官と激しい衝突が起きたという事件です。1889年7月、「第2インターナショナル」の創立大会で、この8時間労働制を求める闘いを記憶して「メーデー」とすることが決定され、1890年に初めて世界各国で5月1日をメーデーとして記念する行事が行われたということです。
 メーデーの歴史は、このように8時間労働制導入の闘いが起源になったとされています。そうすると、現在の日本でこそメーデーを大切なものとして記念の取り組みをすべきだと思います。なぜなら、日本語の「過労死」が「Karoshi」として世界共通語になっているように、日本の職場の現実では長時間労働が蔓延し過労死・過労自死が深刻な社会問題になっているからです。
 130年前の1日8時間労働を求める運動が、現在の日本で大きく高まる必要があると言えます。EU諸国、とくにドイツやフランスでは、今では週40時間ではなく、週35時間労働が広がっています。2003年のEU労働時間指令では、残業や休日労働を含めて1週間の「最長労働時間」を48時間と定めました。そして、勤務と勤務の間に11時間の休息を置くという、いわゆる「インターバル」制を義務づけています。インターバル制度は、1日単位の時間規制をしていない点では問題がありますが、それでも逆算すれば、1日13時間労働が上限となっていると解釈することができます。
 これに対して、日本では「働き方改革」を言いながら、昨年成立した改正法では、1日単位の時間規制がないだけでなく、週単位から年単位に時間規制を緩めています。しかも過労死が認定される長時間労働すら容認すると誤解されるような残業上限規制しか定められていません。また、新商品研究開発、自動車運転、建設業、医師などではその規制さえされず適用を除外したり猶予しています。医師にいたっては、厚労省自身が通常の2倍もの残業を認める方向を示しています。
 むしろ、改正法には、労働時間の規制を大きく緩和する「高プロ」制が導入されてしまいました。さらに、財界の要望を受けて、政府は、裁量労働制の拡大や、労働法そのものを適用しない「『雇用によらない働き方』が広がっている」としてその制度化を狙った議論がされています。これでは長時間労働を解消するどころか、事実上、長時間労働を助長し、過労死を促進する方向に進むことが危惧されます。
 今年のメーデーでは、それまで労働時間よりも賃金引上げを主要課題としてきた労働組合も、「過労死を許さない」という声を挙げることになっているのが特徴です。ところが、TVニュースを見ていると、こうしたメーデーの様子は、ごく短くしか報道されていません。新天皇の即位にかかわる報道が前面に出て番組の多くが「令和(れいわ)」時代の到来を祝うという内容一色です。本来、5月1日は、働く人の権利実現と生活の向上のための「レイバー(labor)」の日です。「労働尊重」の理念や、労働者が人間らしく働き暮らせる労働時間短縮を求める運動の歴史を思い起こし、新たな時代にふさわしい取り組みを考える日だと思います。
 
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