2月ロイター企業調査:今春闘は人材確保でベア前年並み、総額は渋め
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Reuters 2020年2月18日/10:20
[東京 18日 ロイター] – 2月ロイター企業調査によると、今春闘でベア実施企業は昨年並みの割合を維持している。若手を中心とした人手不足に伴う賃金上昇などが背景にある。だが業績悪化の影響で手当や賞与も含む総額では増額を予定する企業は4割弱となっている。
同一労働同一賃金や中途採用拡大、成果型賃金導入などの一連の雇用制度改革は、生産性への寄与はまちまちながら、総じて賃金上昇要因となるとの認識が過半数を占めた。
調査は1月30日から2月12日までの期間に実施、調査票発送企業は502社、回答社数は240社程度だった。
今春闘でベアを「実施する」企業は全体の42%と、昨年1月調査と同じ割合となった。業績への懸念は強いものの、人材確保のためにベア実施を検討する企業は減らなかった。
ベアは将来的に賃金本体の増額につながるため、代わりに手当や賞与で一時的に対応する企業がこれまで多かった。だが、今年は支払い賃金総額でみても、昨年から「増加」との回答は4割と、ベア実施企業とほぼ同程度となっている。他方で「横ばい」は44%、「減少」は17%と合わせて6割超の企業では賃金上昇は実現できそうにない。
ベア実施や賃金総額増加を予定する企業からは、「若手社員の人材確保のため」(卸売)や「要員不足が深刻であり、従業員のモチベーション維持等に必要」(食品)など切実な状況にある企業も目立つ。
また「残業減少をカバーする人員増加」(建設)や、「同一労働同一賃金への対応」(卸売)「中途採用増加」(機械)など、雇用制度改革の影響による賃金増加要因もある。
しかし、多くの企業からは「業績低下で賞与が減額となる」(食品)との回答が目立つ。さらに「定年後の雇用延長による賃金減額等」(金属製品)の影響や、「退職者増加による人員減少」(化学)(輸送用機器)など、高年齢層を中心とした人員構成の変化なども理由に挙げられている。
一連の雇用制度改革で労働生産性が上がったか聞いたところ、効果が大きかったのは「成果型賃金」と「中途採用拡大」だった。逆にマイナスの影響が大きいのは「同一労働同一賃金」だった。
これら雇用制度変化の影響で、支払い賃金総額が「増加方向」に寄与するとの回答は58%と過半数を占めた。他方「減少方向に寄与」との回答は3%にとどまった。