高齢フリーランスの「低賃金合法化」批判 高年法改正案、衆院委で可決
https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/202003/CK2020031902000149.html
東京新聞 2020年3月19日 朝刊
企業に六十五〜七十歳の就業機会確保の努力義務を課す高年齢者雇用安定法(高年法)改正案は十八日の衆院厚生労働委員会で、賛成多数で可決した。野党からは、労働法制の保護から外れる業務委託契約を容認することにより、高齢のフリーランスや個人事業主が増え、不安定な働き方を助長すると非難する声が相次いだ。
「六十五歳までと同じ仕事をやってもらうのにもかかわらず、最低賃金以下まで給料を減らしても関係ない。『合法』となり、ブラック企業にさえならないというのは大問題だ」。野党共同会派の山井和則氏(無所属)は、業務委託契約で配管工事に従事していた六十六歳の個人事業主が過労死したことを取り上げた本紙記事を引用、改正案が成立すれば高齢者が不安定な働き方に追い込まれると訴えた。
改正案は企業の努力義務として定年の延長や廃止だけでなく、退職した社員と業務委託契約を結ぶなど、雇用によらない形で就業を支援することを容認している。立憲民主党の尾辻かな子氏は、高齢者の労災死傷事故が他の年代より多いと指摘。労働法制が適用されず、労災など救済措置の対象にもならない安全網のない働き方を選択肢に入れたことを「理解できない」と批判した。
共産党の宮本徹氏は改正案成立によって、企業が社員にそれまでと同様、業務の命令や指示をしながら契約だけは業務委託に切り替える「偽装請負」が横行すると指摘。雇用によらない働き方の導入は労使合意を条件としているが、「しっかりした労働組合がなければ歯止めにならない」と懸念を示した。 (生島章弘)
無権利労働を拡大 衆院委 高年法等改定案を可決 共産党反対
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2020-03-19/2020031901_07_1.html
しんぶん赤旗 2020年3月19日(木)
(写真)反対討論する宮本徹議員=18日、衆院厚労委
65歳以上の労働者のフリーランス化を促す高年齢者雇用安定法(高年法)等改定案が、18日の衆院厚生労働委員会で、日本共産党以外の各党の賛成多数で可決しました。共産党の宮本徹議員が反対討論しました。
同案は、65〜70歳の就業確保措置を企業の努力義務とし、その際、雇用契約からフリーランスや個人事業主としての委託契約などへの切り替えも可能とするもの。
宮本氏は、「労働時間の規制や最低賃金の保障、有給休暇、労災保険の適用がない不安定で無権利な働き方を広げる」と批判。「現に、雇用から個人請負に切り替えられ生活に窮する実態や、契約の改善を求めて声を上げれば生活が立ち行かなくなるような不利益を被る事態すら起きている。労使合意は歯止めにならないことが参考人質疑で明らかになった」と強調しました。
さらに、「65歳以下にも非雇用(雇用によらない働き方)を広げる一穴になりかねない。65〜70歳への努力義務も『雇用の確保』とすべきだ」と力を込めました。
同日の質疑では、先行して義務化された65歳までの雇用確保措置では、労働者が雇用継続を望んでも企業側の選別で拒否されたり、営業成績によって雇用か請負か選別されたりする事例があると指摘。「選別・差別を禁止する規定はない。こうしたやり方がまかり通るものになりかねない」と批判しました。