キヤノン(本社・東京都大田区)の宇都宮工場での偽装請負を告発、正社員雇用などを求めていた期間労働者で作る「キヤノン非正規労働者組合」(阿久津真一委員長)とキヤノンが20日、組合員2人を関連会社で正社員として雇用することなどで和解した。偽装請負などの違法行為が認定された上で労働者が働いていた派遣先や関連会社で正社員となるのは極めて異例。
阿久津委員長は「違法な実態があっても企業の責任を問わず、非正規の権利をないがしろにする判決が相次ぐ中で、大きな成果だ」といい、キヤノンは「争いが長期化するのはお互いにとって無益であることから和解した」と話している。
阿久津委員長らは、00年ごろから、請負労働などで同工場で働いてきた。実際にはキヤノンの指揮命令を受けていた偽装請負だと告発。国会でも取り上げられ、07年には栃木労働局が偽装請負だとして是正を指導した。有期雇用で直接雇用されたが、雇い止めされた。労組は「不誠実団交や不当な解雇があった」として5人が東京都労働委員会へ救済を申し立て、東京地裁にも提訴した。今回都労委で、5人のうち2人がキヤノンの関連会社が正社員として雇用、3人は金銭解決で和解した。【東海林智】