毎日新聞 2014年02月20日
大阪市が実施した市職員の労働組合費の給料天引き(チェックオフ)廃止と、市庁舎からの労組事務所退去要求を巡り、大阪府労働委員会は20日、市職員の労組から救済申し立てのあった計4件を、不当労働行為と認定した。チェックオフの再開を事実上命じ、事務所退去については同様の行為を繰り返さないとの誓約文を出すよう命じた。橋下徹市長就任後、府労委による不当労働行為の認定は計7件になった。
2012年3〜8月、市労働組合連合会と傘下4労組▽市役所労働組合の2グループが事務所退去について、市従業員労働組合など3労組▽市水道労働組合の2グループがチェックオフ廃止について、府労委に救済を申し立てていた。
命令などによると、橋下市長は11年12月に事務所退去を求める方針を表明、12年1月にはチェックオフを廃止する意向を示した。同年3月に大半の労組が民間ビルへ退去し、13年4月にチェックオフが廃止された。
チェックオフは、労組に代わって企業や自治体が組合費を天引きして徴収する制度。官民に広く導入され、労組の財政基盤を支える「生命線」とも言われる。その廃止について市側は「職員厚遇など不適切な労使関係の適正化が目的」などと主張したが、府労委は「チェックオフの根拠となる労働協約を改定するほどの合理的な理由がなく、組合の同意を得る努力が尽くされていない」と退けた。
また、事務所退去について府労委は「(組合側の)不利益について代替措置の協議や団体交渉にも応じていない」と判断した。
府労委は昨年3月以降、(1)市職員の政治・組合活動に関するアンケート(2)労組の事務所退去を巡る団交拒否(3)教職員に君が代の斉唱を義務付ける条例についての団交拒否−−と、橋下市政での不当労働行為を相次ぎ認定している。市は3件とも中央労働委員会に再審査を申し立てている。
市は今回の認定についても、「承服できないので、中労委に再審査を申し立てたい」とコメントした。【重石岳史、村上尊一】