「みなし残業」の企業、求人で不適切記載 条件明示せず

朝日デジタル 2014年8月11日

 「固定残業代」を導入する企業がハローワークに出した求人のうち、約9割に不適切な記載があったことがわかった。調査した弁護士などでつくる「ブラック企業対策プロジェクト」は、長時間労働の温床になっているとして、実態を調べるよう、厚生労働省に申し入れた。

 固定残業代は、一定額の残業代をあらかじめ定める仕組み。違法ではないが、企業は、残業代が何時間分にあたるか書面に明示し、事前に決めた残業時間を超えて働かせたときは、超過した分を払わないといけない。

 調査は今年6月、ハローワークのインターネットサービスを使い、「固定残業代」や、どんなに残業しても一定時間とみなす「みなし残業」の言葉を含む全国の200の求人を抽出。9割近い179の求人で残業代の額や残業時間などが明記されていなかった。

 都内のIT企業で契約社員として働いた女性(26)は、募集時に会社が示した「月額25万円」の給与が、月100時間の残業代を含んだものだと、入社後に知らされた。実際、月に80時間近く会社で残業したうえ、残った仕事は週末に自宅でやらされたという。

 「固定残業代を除いた基本給は、都の最低賃金と同じ額。事前に分かっていれば入社しなかった」

 上司のパワーハラスメントにも悩まされ、数カ月で会社を辞めた。

 固定残業代に詳しい船沢弘行弁護士は「なし崩しに長時間働かせ、超過分の残業代を払わない例が目立つ。疑問を感じたら専門家に相談してほしい」と話す。(佐藤秀男)

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