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朝日デジタル 2015年7月10日
トヨタ自動車の社員だった男性(当時40)が自殺したのは過労とパワハラによるうつ病が原因だったとして、妻(44)=愛知県豊田市=が10日、国を相手取り、労災を認めなかった労働基準監督署の処分取り消しを求める訴えを名古屋地裁に起こした。
訴状によると、男性は2008年4月からトヨタ三好工場(同県みよし市)で自動車部品の生産ラインを造っていたが、リーマン・ショックの影響による人員削減に伴い、09年7月以降は「残業ゼロ」の方針で業務が過密化。上司から指導の適正な範囲を超えたパワハラがあったという。男性は同年秋から妻に「上司から罵声を浴びせられる。経験したことのないひどい叱られ方をされ、けちょんけちょんに言われる」と話し、12月にうつ病と診断され、10年1月に自殺した。
妻は遺族補償給付などを求め豊田労働基準監督署に労災認定を申請。「業務による心身の負荷が有力な原因とは言えない」として12年10月に不支給処分となった。労働保険審査会などに再審査を求めたが、棄却されたという。
夫の死後は看護師として働き、中学2年の長女(14)と2人暮らし。提訴後の会見で「将来、子どもはなぜ父が亡くなったのかと思うだろう。子どものためにも夫が一生懸命働いたことを認めてもらいたい」と訴えた。弁護人は「労基署の調査は不十分で事実が明らかになっていない」と話した。
豊田労基署を所管する愛知労働局は「訴状が届いていないので、コメントは差し控える」、トヨタ広報は「訴訟の詳細を把握する立場にないので、コメントできない」としている。