大阪高裁、二審も国の責任否定 大阪空襲の損害賠償訴訟

日本経済新聞 2013/1/16

 大阪大空襲など太平洋戦争中の空襲で負傷した被災者や遺族23人が、国の不作為で戦後、救済されずに放置されたとして、国に謝罪と計2億2千万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は16日、請求を退けた一審・大阪地裁判決を支持し、原告側の控訴を棄却した。

 原告は1945年に静岡、大阪、兵庫、宮崎、鹿児島の5府県で被災した60〜80代の男女で、「旧軍人・軍属や原爆被爆者らは補償されたのに、空襲被害者に補償がないのは法の下の平等に反する」と主張していた。

 坂本倫城裁判長は判決理由で「国の存亡にかかわる非常事態のもとでは、戦争損害を国民は等しく受忍しなければならなかった」と、最高裁が名古屋空襲訴訟で87年に示した「戦争損害受忍論」を引用。「軍人や原爆被爆者への補償は特殊な損害に対するもので、著しく不合理な差異とはいえない」と述べた。

 空襲被害を巡っては、東京大空襲の被災者が訴えた訴訟でも原告側が一、二審で敗訴し上告中。

 判決後、原告側弁護士は「東京の訴訟や一審では直接は触れられなかった受忍論を復活させた不当判決」と批判。原告の安野輝子さん(73)は「ここまで冷たい、突き放した判決は納得できない」と涙を浮かべた。

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