SankeiBiz 2013.9.5
2013年度の地域別最低賃金を決める地方審議会の答申がほぼ出そろい、新しい最低賃金の全国平均額(時給)が前年度比15円増の764円となることが4日、分かった。国の目安額を1円上回り、10年度(17円増)以来の高い引き上げ幅。賃金底上げによるデフレ脱却を目指す安倍政権の意向が強く反映された。
中央最低賃金審議会が8月上旬、引き上げ幅平均14円の目安額を提示。それを踏まえて島根県を除く各都道府県の地方審議会が4日までに改定額を答申した。
島根県も目安額(10円)に近い水準で答申する見通しで、平均額が算出された。新しい最低賃金は10月ごろから順次適用される。
13年度の改定では、全都道府県で2桁の増額を実現した。現時点で最低賃金が最も高いのは東京都の869円で、引き上げ幅は19円。最も低いのは沖縄、高知、長崎など8県の664円。
12年度の改定で5円の引き上げにとどまった山梨、和歌山、栃木3県のうち、山梨、和歌山両県は11円、栃木県は13円と、前年度を大幅に上回る引き上げとなった。賃金が低水準な地方で引き上げ幅が拡大したことで、都市部との賃金格差の縮小が期待できそうだ。
最低賃金で働いた場合の収入が生活保護の受給水準を下回る「逆転現象」が起きていた11都道府県では、北海道を除く10都府県で逆転現象が解消されることになった。
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【用語解説】地域別最低賃金
全ての労働者に適用される賃金の最低額で、都道府県別に時給で示され、毎年改定の議論が行われる。特にパートやアルバイトなど非正規の仕事で、低賃金で働く労働者への影響が大きい。中央最低賃金審議会が毎年夏、引き上げ幅の目安額を提示し、地方審議会が目安額と地域経済の実情を踏まえて実際の額を答申。地方労働局長が正式決定する。