しんぶん赤旗 2014年2月6日
厚生労働省が5日発表した2013年の実質賃金指数は前年比0・5%減となりました。賃金が上がらないまま物価だけが引き上がる実態が浮き彫りになっています。
日本銀行の「大胆な金融緩和」を背景にエネルギーや食品を中心に価格が上がり消費者物価指数が上昇しています。物価上昇と裏腹に賃金が上がらないまま、安倍晋三政権が4月に消費税率の引き上げを強行すれば、家計の負担が一段と大きくなり、日本経済の底が抜けかねません。
安倍政権は企業に賃上げをよびかけていますが、衆院調査局が1月に発表した「最近の企業動向等に関する実態調査」では、企業の賃上げ判断のポイントとして「政府(経済産業省など)からの賃上げ要請」をあげた企業はわずか1・7%でした。首相の「賃上げ要請」で賃金が上がる保証はまったくありません。
物価上昇を考慮しない現金給与総額は13年こそ横ばいだったものの、1997年をピークに減少傾向が続きます。政府の10年版『労働経済白書』は「非正規雇用の増加により、平均賃金が低下」したと指摘します。13年には非正規雇用労働者は雇用者の36・6%を占めています。
「経済の好循環」実現のために政府が取り組むべきなのは、3日の衆院予算委員会で佐々木憲昭議員が求めたように、(1)低賃金・不安定な非正規雇用を増やしてきた労働者派遣法を抜本改正し、若者を使い捨てにするブラック企業を規制する(2)中小企業に対して直接支援を行いながら最低賃金を底上げする―の2点にほかなりません。(清水渡)