日刊ゲンダイ 2014年6月11日(水)
女性管理職登用で急増 「マウンティング女子」の恐ろしさ
20〜30年前は会社の女性社員といえば、「独身・一般職・30歳以下」で埋め尽くされていたが、今日び、女性社員のバリエーションは飛躍的に増えている。それとともに新たな問題が……。
各企業で管理職への女性登用が急ピッチで進んでいる。それ自体は結構なことだが、女性は男性より、肩書や学歴、年収といった“上下関係”に固執する傾向がある。
当然、差別意識からトラブルも頻発。地位が上がった途端に先輩を「佐藤クン」とクン付けにするなんて例は当たり前。同僚の女性社員にはもっとヒドイことをする。
OL事情に詳しいジャーナリストの佐藤留美氏がこう解説する。
「女性同士の喧嘩は、表面上、穏やかだから男性が見極めるのは難しい。とはいえ上司は、女同士の抗争がどこの誰と誰との間で起きているか把握していないと、チーム運営上問題が起きます。最近、『マウンティング女子』という言葉がハヤっていますが、このマウンティングという行為こそがそれです」
■職場の雰囲気をブチ壊し
マウンティングとは、「馬乗り」のこと。ボスザル争いの場合は、優位性を誇示するために行う行為でもある。この牽制行為に女の序列争いを当てはめ、「マウンティング女子」と名付けたのが、漫画家の瀧波ユカリ氏だ。
その瀧波氏がエッセイストの犬山紙子氏との共著で、マウンティングの実態を暴いた「女は笑顔で殴りあう」(筑摩書房)を出した。典型的なマウンティング女子のタイプが紹介されていて、そのひとつが「カウンセラー型」だ。
例えば、一般職から総合職に転換したい女性社員の相談には、「やめときな。夏休みもロクに取れないよ。いいじゃん、一般職の方が気楽で」と親身に助言しているようにみせかけ、陰では「あの子は学歴がないから、一生パン職で十分」と露骨に見下した発言をしていたりするのだ。
問題は、こうしたマウンティング女子が職場の雰囲気を壊していること。
「中年男性は、頑張ってる感じのする女性が好きで、それだけでマウンティング女子をプロジェクトリーダーに推薦したり、主任に抜擢したりしがちです。そんな彼女たちが管理職に就くと、自分の地位を誇示するため、やる気のある部下の企画をことごとく潰すことがある。ある商社では、怒った部下が彼女の不正を内部告発し、チームが空中分解したそうです。当然ながら男性の被害者も出ています」(佐藤氏=前出)
現在放送中の沢尻エリカ(28)主演の「ファースト・クラス」(フジテレビ系)が、まさにこのマウンティング女子を描いたもの。
壮絶な足の引っ張り合いで、ピラミッドの頂点以外はすべて“雑用係”だ。マウンティング女子と知らずに肩を持つと、大勢を敵に回すことになる。