人手不足で中小の倒産増…人件費の高騰、負担に

Yomiuri Online 2014年08月24日

 人件費の高騰が負担となっているほか、働き手を確保できずに経営が行き詰まるケースもある。少子化で働き手が減る中、景気が上向いて大企業が非正規社員などを増やしており、中小企業にしわ寄せが来ている。

 ◆工事に遅れ

 「職人を探してあちこちに声をかけたが、全く集まらなかった」。今年5月、会社の清算を決めて全事業を停止した長野県の建設会社社長(59)はため息交じりに振り返った。

 人件費や資材費の高騰で昨年末から経営が厳しくなり、今年3月末までに完工予定だった工場建設工事が職人不足で1か月遅れ、資金が底をついた。自己破産手続きの費用さえ手元に残らず、弁護士の助言を受けながら債権者らと協議を続けている。

 社長は「消費税の増税前の駆け込み需要は、人手不足を悪化させただけだった」と恨めしげだ。

 東京都北区の中堅建設会社「岩本組」は5月、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。2012年に受注した同区の中学校の建設工事中に、人件費が急に上昇した。区役所に工事費の増額などを求めたが、認められたのはごく一部。8億円の損失を被り、経営は行き詰まった。中学校は完工が1か月遅れ、今年4月に新学期が始まっても校庭がしばらく使えなかった。

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