朝日デジタル 2014年9月25日
「マタニティー・ハラスメント(マタハラ)」の被害者たちが24日、厚生労働省に対し、妊娠や出産をする女性への違法な解雇や契約打ち切りをなくすよう求める要望書を出した。厚労省は、女性管理職の増加をめざす新法の指針で、こうした違法行為につながる「性別役割分担」の意識を改めるよう企業に促す方針だ。
トピックス:マタニティー・ハラスメント
妊娠や出産をきっかけに解雇されるなどの被害にあった女性たちでつくる団体「マタニティハラスメント対策ネットワーク」が要望書を出した。この団体は、代表の小酒部(おさかべ)さやかさん(37)を中心に7月にできた。小酒部さんは契約社員として働いていたが、妊娠をきっかけに退職に追い込まれた。
妊娠や出産を理由に解雇や契約打ち切りをするのは男女雇用機会均等法などで禁止されている。要望書では企業にきちんと守るよう新法に明記してもらいたいと求めた。署名サイト「Change.org」で賛同者を募ったところ19日間で8335人の署名が集まり、要望書とともにこの署名も提出した。
働く女性のうち、第1子の出産をきっかけに仕事を辞める女性は約6割にのぼる。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの2008年の調査では、「続けたかったが、両立が難しかった」(26・1%)という理由のほか、解雇されたり退職勧奨されたりした人も9%いた。小酒部さんは「女性の活躍というなら、まず安心して就業継続できる環境を」と訴える。
新法を検討する厚労省の審議会でも、24日の会合でマタハラ防止が議論された。労働組合の代表は「女性管理職の登用を進めるなら、妊娠や出産による不利益な取り扱いの禁止が最低限、必要だ」と指摘した。