毎日新聞 2014年09月30日
女性の活躍を推進するための新法を検討していた労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)は30日、企業に行動計画の策定を義務付けることなどを柱とする報告書をまとめ、塩崎恭久厚労相に提出した。安倍政権は「2020年までに女性管理職を3割にする」ことを目指しているが、数値目標の義務付けは見送られ、傍聴していた女性たちからは「実効性があるのか」と不満の声も漏れた。
政府は国や自治体の取り組みとともに条文化し、開会中の臨時国会に法案を提出する方針。
報告書によると、新法では(1)採用者に占める女性比率(2)男女間の勤続年数の差(3)残業など労働時間の状況(4)管理職に占める女性比率−−を把握することを義務付ける。ただ、把握した数値を公表するかは「企業が判断する」としたため、採用者や管理職に占める女性の比率が公表されない可能性もある。従業員300人以下の中小企業については、数値の把握は努力義務とする。
企業は把握した数値から課題を分析し、目標を設定して行動計画を公表する。労働側は計画の実効性を担保するため「女性管理職3割」などの数値目標を義務付けるよう求めたが、経営者側が「それぞれの会社の事情に合わせて工夫している。数値目標が義務付けられると数字合わせになりかねない」と反発し、見送られた。
審議を傍聴した女性の労働問題に取り組んでいる「均等待遇アクション21」事務局の柚木康子さんは「男女の賃金格差への言及がないのは残念。格差の是正なくして活躍も自立もないので」と話した。【東海林智】