毎日新聞 2014年10月15日 22時24分
労災で勤務先を訴えて損害賠償が認められた場合、別に受領した保険金を賠償金からどう差し引くべきかが争われた訴訟で、最高裁第1小法廷(山浦善樹裁判長)は15日、審理を大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)に回付した。15人の裁判官全員による大法廷での審理は、判例変更が必要な場合などに行われる。最高裁は交通事故を巡る訴訟で過去に異なる算定方法を示しており、大法廷が今回判例を統一する可能性がある。
システムエンジニアの男性(当時25歳)が急性アルコール中毒で死亡したのは過労が原因として、両親が勤務先に賠償を求めた。
遺族が労災保険で受給した遺族補償年金と、訴訟による賠償金は、ともに男性の死亡による損害を基にしているため、二重取りにならないよう調整する必要がある。算定方法が争点となり、1審は年金は賠償額の遅延損害金(利息)から、2審は賠償額(元本)から差し引くと判断した。遺族の最終的な受領額は2審判断のほうが少なくなる。【川名壮志】