SankeiBiz 2014.10.22
損害保険ジャパン日本興亜が中小企業福祉事業団と組んで、法人向けに労務リスクを軽減するためのサービスの提供を月内に始めることが21日、分かった。過重労働やパワハラが社会問題化し、企業の労務管理に対する目が厳しくなる中、業界初の労務リスク診断を核としたサービスを入り口に、主に中小企業に向けて労災を補償する損害保険の契約を伸ばしたい考えだ。
新サービスは、中小企業福祉事業団に登録する約3100人の社会保険労務士が講師となり、企業に課せられた従業員への安全配慮義務について解説する無料セミナーのほか、4日以内に回答するリスク診断など。必要に応じて、社労士が直接相談に応じるサービスも初回のみ無料で提供する。初年度に約5万社の利用を見込んでいる。
厚生労働省によると、平成25年には約11万8千件の死傷を伴う労働災害が発生。遺族らが会社を相手取って損害賠償訴訟を起こす事例も相次いでいる。
人事異動直後の過重な業務が原因で従業員が小脳出血と水頭症を発症したとして、企業側に1億9869万円の損害賠償を命じた20年4月の大阪地裁判決など、高額の賠償・和解事例も少なくない。
11月には過労死等防止対策推進法が施行されるなど、政府も働きすぎを防ぐための取り組みを重視している。損保ジャパン日本興亜は労務管理のノウハウに乏しい中小企業が労災を補償する保険の重要性に気づくきっかけとして、新サービスの投入を決めた。