毎日新聞 2014年12月23日 09時30分(最終更新 12月23日 09時50分)
日本電産の永守重信・会長兼社長(写真省略)
日本電産の永守重信会長兼社長は22日、毎日新聞とのインタビューに応じ、従業員の賃金水準を一律で底上げするベースアップ(ベア)について「来年4月、当然上げます」と語り、今春に続く2年連続のベア実施を明言した。安倍政権は経済の好循環実現に向けて大企業に賃上げを促しているが、2年連続ベア実施を明言したのは日本電産が初めて。
永守氏は「業績が好調な企業が率先して(ベアを)やらないといかん」と強調。具体的なベアの水準は「あと3カ月間の業績推移を見て決める」とした。
永守氏は昨秋、大手企業の中でいち早く2014年春の賃上げ交渉でのベア実施を表明。他の企業が追随する流れを作った。ただ、15年春に関しては「競争激化で同一業界内でも業績格差が広がっている。円安で苦しむ企業も多く、今回は『皆さん、一緒にやりましょう』とは言えない」との認識を示した。
ベアを含む賃上げをめぐっては、政府、経済界、労働界の代表が今月16日、政労使会議を開催。「来春の賃上げに向けて最大限努力する」ことで合意している。永守氏は安倍政権の賃上げ要請について「政府が一律に(ベアを)これだけしなさいという時代ではない」と語り、2年連続のベア実施は独自の経営判断と強調した。その上で「賃上げや職場環境改善で良い人材を集められない企業は衰退するだけ」と持論を展開した。【岡田功】