http://www.j-cast.com/2015/01/20225743.html?p=all
JCASTニュース 2015/1/20
大手かつら会社「アデランス」が、セクハラ被害を訴えた元従業員の女性に対し、解決金1300万円を支払ったと報じられた。しかし、加害者とされた上司の男性は、別の勤務地で働き続けているというのだ。
「これは気持ち悪いわ」「かなり悪質だろ」。セクハラ訴訟の内容が報じられると、ネット上では、こんな声が上がった。
「数字を達成できなかったら彼女になるか」
産経新聞などによると、女性は兵庫県内の店舗に勤めていたところ、2008年3月に大阪市内の店舗の店長だった男性が従業員の指導のためにやって来た。そして、男性は、この女性に対して、次のように脅す発言をしたという。
「数字を達成できなかったら彼女になるか、研修もしくは転勤だ」
男性はさらに、女性に対し、無理やりキスをしようとしたり、体を触ったりするセクハラを繰り返したという。
女性は、警察に被害届を出そうとしたが、会社の幹部からは制止されてしまった。こうしたことから、精神的に不安定になり、会社を休職するようになった。10年1月には、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断され、特別休暇扱いになった。しかし、その後に給料支給を打ち切られ、11年9月に会社を退職した。
セクハラについては、地元の労働基準監督署が労災と認定し、休業補償給付を受けているという。
女性は、セクハラでPTSDを発症し、退職しなければならなくなったとして、アデランスに対し、計約2700万円の損害賠償を求めて大阪地裁に訴訟を起こした。この訴訟は、14年11月28日付で女性と会社が和解し、男性も解決金の半額650万円を負担することになった。また、男性は在職中、女性のいる京阪神地域で働かないという内容も盛り込まれた。女性が提訴したときは、関東地方の勤務地に異動していたという。
「訴訟があったのは事実だが、コメントは控える」
このセクハラ報道に対し、ネット上では、女性が被害を訴えた後も、男性が働き続けていることに驚きの声が上がった。
「アデランスは和解金半分を支払わされた上に、まだこの人雇い続けるの??」「まだクビにもならずに、会社に在籍ってすごいな」
さらに、女性が警察に届け出ようとしたのに、会社の幹部が制止したとされたことにも、セクハラの隠ぺいではないかなどと批判の声が出た。
ファイナンシャルプランナーの中嶋よしふみさんも、ヤフー・ニュースの記事への個人コメントで、「この状況でも男性従業員が解雇されないのは驚き」としたうえで、「会社のイメージダウンは確実でしょう」と指摘した。警察への届け出を幹部が制止したとされたことについては、「これが事実ならば会社ぐるみの隠ぺいになりかねません」と憂慮した。
産経新聞の記事によると、セクハラ訴訟に詳しい弁護士は、日本では、セクハラによる慰謝料は100〜300万円ぐらいになるケースが多いと明かす。
今回の解決金1300万円は、労災認定もされていることから、休業損害額などが含まれている可能性がある。従って、慰謝料がいくらになるか報道だけでは分からないが、ブラック企業被害対策弁護団代表の佐々木亮弁護士は、ヤフー・ニュースへのコメントで、「被害者の受けた傷を考えるともっと高くなっていい」と指摘していた。
アデランスに取材すると、「訴訟があったのは事実ですが、弊社ではコメントを差し控えさせていただきます。その理由も含めて、お答えしていません」と広報IR室の担当者が答えた。