毎日新聞2016年8月27日 東京朝刊
http://mainichi.jp/articles/20160827/ddm/012/020/027000c
エステサロンで働く人で作るエステ・ユニオン(三浦かおり共同代表)と業界大手のTBCグループ(東京都新宿区・手塚圭子社長)は、求人の労働条件を明確にするため固定残業代を明示するなどした労働協約を締結した。両者が26日に記者会見し、公表した。求人時と実際の労働条件が異なるケースが多発する中、トラブル防止に向けた異例の協約締結となった。
エステ業界で固定残業代を明示せず、実際より賃金を多く見せる詐欺的求人が横行しているとし、ユニオンが組合員のいる同社と交渉していた。
締結された協約は(1)採用人数、離職人数、育児休業の取得状況などの情報を公開する(2)固定残業代を明示し、ハローワークや民間求人媒体で求人情報を同じにする(3)求人情報以下の条件で労働契約をしない−−などとする内容。
ユニオン役員の佐藤学さんは「最大手と協約を結べたことは意義がある。他社にも働きかけたい」と話した。同社の長南進亮人事総務部長は「エステが安心して働ける仕事であることをアピールしたい」と語った。
労働問題に詳しい佐々木亮弁護士は「労使が共同でブラックな求人を許さないという象徴的な意味がある。労働条件を明示できない会社に人が集まらないという流れにつながる可能性がある」と評価した。【東海林智】