働き方改革、本格始動 厚労省、大規模な組織再編

共同通信  2016年08月26日

  安倍政権が最大のチャレンジと位置付ける「働き方改革」が9月から本格始動する。 新たな事務組織が来週にも発足し、有識者会議も9月下旬の初会合に向けて人選が大詰めだ。厚生労働省は、非正規労働者対策を担う局を新設するなど大規模な組織再編を準 備。だが態勢づくりが進む一方で、政府内の主導権争いもあり、省庁間の連携に不安を残す。

  内閣官房に事務局として設置される推進室には厚労省や内閣府、経済産業省など各省 庁から数十人が担当に充てられる見通しだ。安倍晋三首相は来年3月までの実行計画策定を指示しており、推進室が実動部隊となる。

  計画を検討する有識者らの「実現会議」は、経団連の榊原定征会長や連合の神津里季生会長ら労使代表をはじめ、正社員と非正規の不合理な待遇格差をなくす同一労働同一賃金に詳しい東大の水町勇一郎教授らの参加が見込まれる。9月から月1回ペースで議 論する。

  計画を実行に移す厚労省は働き方改革に特化した組織を来年度に新設する方針だ。現 在三つの局に分散している非正規労働者対策を、新設する「雇用環境・均等局」(仮称 )に一本化。同一労働同一賃金や長時間労働の是正、女性活躍推進を担当する。

  若者の就労支援や人材育成などを進める「人材開発局」(同)や、子ども・子育て支 援に特化した「子ども家庭局」(同)の新設も目指す。8月末に内閣人事局に要求を出し、設置に向け年末に最終調整する。

  態勢づくりは進むが、政府内では「どう連携するのか分かりにくい」との声が漏れる。厚労省の組織再編に対し、与党からは「官邸や内閣官房に雇用政策の主導権を奪われ ないための防衛策」との見方も。地方創生、1億総活躍、働き方改革と政権の看板政策は次々と変わり「組織をつくってもいつまで続くのか」と、政府関係者は冷めた受け止め方をしている。

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