厚労省 残業無制限の見直しで議論開始 上限規制が焦点に

毎日新聞2016年9月9日 20時47分(最終更新 9月9日 20時47分)
http://mainichi.jp/articles/20160910/k00/00m/040/052000c
 
 厚生労働省は9日、長時間労働規制に関する有識者による検討会の初会合を開き、無制限の残業を事実上認めている労使協定「36(さぶろく)協定」の見直しに向けた議論を開始した。政府は働き方改革実現会議で具体的な残業時間の上限規制を打ち出す方針で、検討会では残業時間の実態を年内にもまとめる方針だ。どの程度の上限規制が示されるかが今後の焦点となる。

 労働基準法36条に基づき、週40時間を超える労働をさせる場合、労働組合と使用者で協定を締結すれば1カ月45時間、年間360時間までを限度に残業できる。この協定が36協定と呼ばれ、さらに特別条項を付ければ限度はなくなる。

 現在、36協定を締結する企業は55・2%。このうち99%は残業を月45時間までに制限しているが、過労死ラインとされる月80時間の残業が可能となる特別条項付きの36協定を結んでいる企業も全企業の4・8%を占める。

 この日の会合では、委員から「36協定が効力を発揮していない。チェック機能を果たすようにするため、できるだけシンプルな仕組みが必要だ」「企業という共同体のメンバーとして無限定に働くのが当然視されてきた」などの指摘が出た。

 検討会は今後、月1〜2回のペースで開催する。塩崎恭久厚労相は同日の記者会見で「長時間労働を解消することには労使ともに賛成のはずだ。国民的なコンセンサスを得られるように大いに議論してもらいたい」と述べた。【阿部亮介】

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