「教員勤務時間に上限規制を」 ネット署名

朝日DIGITAL 2017年5月12日
http://digital.asahi.com/articles/ASK5D4F30K5DUTIL00Q.html

教員だった妻の死を説明する山口俊哉さん(中央)=12日午後、東京都千代田区の文部科学省(省略)

 公立小中学校の教職員の長時間労働が問題となるなか、「勤務時間の上限規制を設けるべきだ」と求める署名がインターネット上で始まっている。1日に開始し、これまで2万筆以上が集まった。6月に松野博一文部科学相と、塩崎恭久厚生労働相に届けるという。

 署名を集めている「教職員の働き方改革推進プロジェクト」は12日、東京で記者会見を開いた。呼びかけ人の一人で石川県白山市議の山口俊哉さん(52)は昨年、公立小学校教員だった妻の聡美さん(当時51)が職員会議中にくも膜下出血で倒れ、亡くなった。

 山口さんによると、1年生の学年主任だった聡美さんは自宅にも仕事を持ち帰り、土日もたびたび出勤していた。パソコンの使用記録などを調べた結果、亡くなる前は月100時間ほどの時間外労働を繰り返すような労働環境だったと判明した。山口さんは「大変しんどかったと思う。教員の労働時間をしっかり把握してほしい」と語った。

 樋口修資(のぶもと)・明星大教授は、基本給の4%を払う代わりに、残業代が出ない教員の給与の仕組みを批判した。「廃止も含めて見直すべきだ。教員が過労の状況で、豊かな学びを保障できるのか」と述べた。

 署名は「Change.org」のサイト内のキャンペーンで受け付ける。

 昨年の文部科学省による調査では、教諭の平均勤務時間は公立小学校で平日1日あたり11時間15分、中学校は同11時間32分に上る。時間外労働の「過労死ライン」をあてはめると、小学校で17%、中学校で41%が「1カ月100時間」の基準に達していた。(根岸拓朗)

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