規制改革推進会議「ジョブ型正社員(勤務地限定正社員、職務限定正社員等)の雇用ルールの明確化に関する意見」(2019年5月20日)

 規制改革推進会議「ジョブ型正社員(勤務地限定正社員、職務限定正社員等)の雇用ルールの明確化に関する意見」(2019年5月20日)

 
(出所)「規制改革推進会議」ホームページ
ジョブ型正社員(勤務地限定正社員、職務限定正社員等)の雇用ルールの明確化に関する意見
 
令和元年5月20日
規制改革推進会議
 
 「多様な働き方を実現するため、正社員と非正規社員といった両極端な働き方のモデルを見直し、職種や労働時間等を限定した「多様な正社員」のモデルを確立するための施策を具体化すること」という総理指示(平成25年4月2日 日本経済再生本部)を受け、前身の規制改革会議において、ジョブ型社員1の雇用ルールについての議論を開始した。
 その後、厚労省が事例集とともに「雇用管理上の留意事項」2をまとめており、4社に1社の割合で、ジョブ型雇用の仕組みを採用している3。しかし、就業規則や人事管理上、整備すべき課題がいまだ残されている。当会議の第1次答申(平成29年5月)においては、「関係法令の整備を含む更に必要となる方策について検討を行い、必要な措置を講ずる」ことを提言した。
 ここで、主要な課題となるのは労働契約のあり方である。
 
(中略)
 
【改革の方向性】
 (1)国は、「勤務地限定正社員」、「職務限定正社員」等を導入する企業に対し、勤務地(転勤の有無を含む。)、職務、勤務時間等の労働条件について予測可能性を高められるよう、個々の労働者と事業者との間の書面(電子書面を含む)による確認を義務付け、現行の労働条件明示に関する規定について必要な法令の見直しを行うべきである。
 また、多様な正社員が、使用者と合意した労働条件によって安心して働ける様、「勤務地限定正社員」、「職務限定正社員」の雇用形態の周知と積極的な導入を促し、また、労働条件を確認する手段として、以下の検討を行うべきである。
 
 ? 労働契約の内容を書面で確認できるよう、労働契約法第4条18第2項を改正し、「勤務地限定正社員」、「職務限定正社員」等については、労働契約の締結時や変更の際に、限定の内容について、労使当事者間の書面による確認を義務化する。
 ? 労働条件に勤務地変更(転勤)の有無、転勤の場合の条件が明示されるよう、労働契約の締結に際して、労働者に書面で明示しなければならないとする労働条件の記載事項(労働基準法第15条、労働基準法施行規則第5条1項)に、「勤務地変更(転勤)の有無」、「転勤の場合の条件」を追加するとともに、労働条件の変更の際も労働者に書面で明示する。
 ? 勤務地の変更(転勤)を行うことが予定される場合は、就業規則にその旨が示されるよう、就業規則の記載事項(労働基準法第89条)に、労働者の勤務地の変更(転勤)を行うことを予定する場合には、当該事項を、また、労働者の勤務する地域を限定して使用する場合には、その限定に関する事項を、追加する。
 
 (2)無期転換ルールが周知されるよう、無期転換申込権を保有する労働者に対し、有期労働契約が更新されて5年を超える労働者を直接雇用する企業が無期転換ルールを通知することの義務化を含め、労働者に対する制度周知の在り方を検討し、必要な措置を講ずるべきである。あわせて、無期転換ルールがどの程度適用されたかを労働者や企業等へ調査するなどして、当該制度の導入効果を検証すべきである。

【参考情報】注目のニュース – 「限定型正社員」労働条件の書面確認を義務化 政府の規制改革推進会議、答申骨子を公表 (5/18)  https://hatarakikata.net/modules/hotnews/details.php?bid=738

 

 

 

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