年金 拡大試算で中小企業とパート労働者は (8/27)

年金 拡大試算で中小企業とパート労働者は
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NHK News 2019年8月27日 17時49分

今回の財政検証の「オプション試算」で示されたポイントの1つが、短時間労働者の厚生年金の適用範囲を拡大することです。

いまの制度では、正社員が501人以上いる規模の大きい企業で働く月8万8000円以上の収入を得ている従業員など、一定の要件を満たす人に厚生年金への加入が義務づけられます。

今回のオプション試算では、企業の規模や収入額などの基準を引き下げて厚生年金の対象を広げた場合、年金の給付水準が改善し制度がより安定するという試算が示されました。

このうち企業規模の要件を廃止し、収入の基準を月5万8000円以上に引き下げた場合、厚生年金の加入者が1050万人増え、将来的な所得代替率は4.3ポイントから4.9ポイント改善すると試算されました。

ただ、企業は従業員が厚生年金に加入すると保険料の半分を支払う必要があり負担が増えるほか、従業員も毎月、厚生年金の保険料を支払う必要があり、慎重な議論を求める声もあがっています。

今回の財政検証では、パートなどの短期間労働者について、厚生年金の適用範囲を拡大した場合、年金の給付水準が改善するという試算が示されました。この適用拡大について中小企業からは「負担が大きく、慎重に検討してほしい」という声が上がっています。

静岡県沼津市で仕出し弁当の製造などを行っている会社では、社員30人のうち14人が厚生年金に加入していないパート労働者です。多くの人が毎日、4時間から5時間ほど勤務しています。

いまの制度では勤務時間や収入が一定以下のパート労働者は厚生年金への加入義務はありません。今後、この制度が変わり、仮に14人のパート労働者が全員、厚生年金に加入した場合、会社側は保険料の半分を負担する必要があり、その額はあわせて年間160万円程度となる計算です。

一見勝弘社長は「働く人の年金が増えるのはいいことには違いないが、企業には非常に大きな負担だ。工夫で乗り切れるような額ではなく、雇う人の数を減らさないと対応できないのではないか。中小零細企業に一律の基準を当てはめるのは慎重であってほしい」と話していました。

またパート労働者にとっては、厚生年金に加入すれば将来受け取れる年金は増える一方で、毎月、保険料を納めなければならなくなります。このため会社で働く従業員からはさまざまな意見が出ています。

パートで働く40代の女性は、「別の仕事とのダブルワークを行って、ギリギリの状態で家計をやりくりしています。現状の収入を維持したいので、厚生年金の保険料を払うことは避けたいです」と話していました。

一方、50代の女性は「将来的に手厚い厚生年金がもらえるのなら保険料を払ってもいいです。子どもたちの世代のことを考えても、制度の改善は必要でしょう」と話していました。 

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