Asu-ne第30回つどい「この”働き方”おかしくない」報告(脇田滋) (12/17)

Asu-ne第30回つどい「この”働き方”おかしくない」報告(脇田滋)

 

(W)10/30の第30回Asu-netのつどいの報告をFacebookにアップしていたものを、このブログに転載します。映像、レジュメ、資料もアップする予定でしたが、ブログのシステム再構成後に整理してアップする予定です。なお、民主法律時報2019年11月号に、当日、司会をしていただいた西川翔大弁護士の記録も同時にアップしています(https://hatarakikata.net/modules/data/details.php?bid=2451)。

2019年10月30日の「Asu-net第30回つどい」は、多くの皆さんのご協力で盛会のうちに終わりました。つどいの後の懇親会を含めて、森岡孝二さんが大切にされてきた労働関連のNPOとして数少ない「Asu-net」の役割を私自身、再確認することができました。

30日、平日の夕方にもかかわらず、色々な団体や職種、分野から幅広く、70名を超える多くの方に参加していただきました。
「雇用によらない働き方」をめぐる取り組みは、関東では進んでいて、政府での審議に関する取り組みだけでなく、ウーバーイーツでの労働組合結成などの動きもあり、注目していました。先日の労働法学会でも、その中心となっている弁護士グループの充実した報告を聴くことができました。
〈北健一さんの報告〉
北健一さんのご報告は、そうした最新の動きを含めて具体的な多くの事例を踏まえて分かりやすいもので、関西で近日上映される映画「家族を想うとき」の紹介(https://youtu.be/C0nTNWILxww)から始まるなど、時間をかけて準備されたパワーポイントに基づく、とても充実した内容でした。印象に残るのは、シェアエコノミーで個人請負が増えているという報道があるが、実際にそうなのか疑問があり、アメリカでは減少していると指摘されていること、新たな働き方というが、長時間の過酷な労働で実際は問題が多い働かせ方であること、むしろ近年は「労働法的アプローチ」を求める動きが世界で強まっているということでした。

〈現場からの報告〉
続いて、ヤマハ英語講師ユニオン、民放労連朝日放送ラジオ・スタッフユニオンから、労働法の適用をされない働き方の実情や問題が報告されました。マスコミなどではほんとんど報道されませんが、関西でこうした取り組みがあることを初めて具体的に知りました。また、ブラック企業被害対策弁護団で活躍されている清水亮宏弁護士(Asu-net理事)からは多くの相談の中で請負・委託形式で労働法不適用の働かせ方による問題が少なくないこと、逆に、保険外交員の中には雇用形式に変わったが実態は請負時代と変わらず、むしろノルマを果たさないと会社から働く人が「不足分」を請求されるという驚くべき実態が話されました。また、ウーバーイーツ・ユニオンは従来とは異なる新たな組合の作り方で注目すべきだという指摘など興味深い内容でした。

〈私の発言〉
私も、簡単なレジュメを用意して、日本でのこれまでの状況と問題点、さらに、韓国、アメリカ、ILOの動きについて発言しました。直前に何とか書き上げた「Asu-netの連続エッセイ」(上中下に分けてアップ)を要約したものです。*
*第25、26、27回〈「雇用によらない働き方」についての考察(上)(中)(下)〉→〔https://bit.ly/36c0nif〕参照。

 韓国については、特殊雇用をめぐって労災保険の適用は進んだが、労働組合活動が困難でILO提訴とその勧告があったこと、それを受けて国家人権委員会が政府、国会に労働基本権を認める立法をするように勧告したことを紹介しています。また、アメリカでは、労働者(employee)を個人請負業者(independent contractor)とする企業の使用者責任回避の「誤分類(missclassification)」が問題とされており、今年9月制定されたカリフォルニア州法(AB5)は、ABCの3要件のテストをパスしなければ、真正の個人請負業者と認められないことにする(労働者性についての立証責任転換)ことになったことを紹介しています。また、ILOは、2006年勧告で契約の形式ではなく「事実」を優先した労働者性判断の必要を定め、2018年、労働統計について、個人請負形式が増えた中で、従来の雇用者(労働者)と自営業者の2分ではない新たな分類を各国に求めていることを強調しました。とくに、韓国労働研究院が、このILOの新たな分類を意識した就業者の把握を試みていることが注目されます。*
*その中心となったチョン・フンジュンさん(労働研究院研究委員)は12月14日(龍谷大学)開催予定の日韓働き方フォーラムの第2セッション報告者です。

 そして、シンポジウムの最後に、参加者一同で次のアピールを確認しました。
アピール全文については、2019年10月30日の「Asu-net第30回つどい」参加者一同のアピール (10/30)(https://hatarakikata.net/modules/topics/details.php?bid=824)をご参照下さい。

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