派遣労働者: 07年度は最多の384万人 賃金は10%減

毎日新聞08/12/28

厚生労働省が26日公表した07年度労働者派遣事業報告で、派遣労働者として働いた人が過去最多の約384万人(前年度比19.6%増)に上ったことが分かった。派遣事業の売り上げは19.3%増の6兆4645億円と伸びた一方、04年から集計している派遣労働者の賃金は10%近い減少で過去最低となった。労働者派遣法の改正案ではマージンの上限規制は盛り込まれなかったが、マージン規制論議も再燃しそうだ。【東海林智】

 労働者派遣を行った事業所の報告書をもとに集計。事業所数は事務や軽作業などの「一般派遣」が2万95カ所、通訳など専門職常用派遣の「特定派遣」が3万14カ所の計5万109カ所で、前年度比19.4%増だった。派遣を受ける派遣先は約127万件(47.6%増)で、特に一般派遣は119万2252件(51%増)となった。

 労働者は▽長、短期の契約を継続する派遣労働者74万1644人(14.9%増)▽日雇い派遣を含む期間が短い登録者279万5999人(19.3%増)▽特定派遣の労働者30万3192人(37.4%増)−−だった。

 一般派遣で派遣先が派遣元に払う料金(8時間換算)は平均1万4032円で、前年度比9.9%減だった。件数が増加したため派遣会社の売り上げは増加したが、派遣労働者が受け取る賃金は一般派遣が9.8%減の9534円と1万円を割り込み、特定派遣も7.9%減の1万3044円となった。料金低下分が賃金にそのまま反映した形だ。

 派遣期間は新旧二つの様式に分かれた報告だったが、日雇い派遣を区別しない旧様式で報告した事業所では、3カ月未満の短い派遣契約が93.6%(前年度81.8%)を占め、不安定な短期契約が拡大していた。また、新様式で報告した事業所(48%)では、日雇い派遣労働者(30日以内の短い契約)は4万3222人と初めて数字が出た。

 派遣労働を巡っては、日雇い派遣を中心に、大手派遣会社による違法派遣や二重派遣が問題になり、日雇い派遣最大手だったグッドウィルが廃業するなどの事態を招いた。厚労省は、日雇い派遣の原則禁止などを盛り込んだ派遣法改正案を提案しているが、マージン規制がなく、派遣先の責任も問えないことなどから見直しを求める声が出ている。

 

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