仕事上の強いストレスが原因でうつ病などの精神的な病気に追い込まれたとして、昨年度、労災と認定された人は325人で、これまでで最も多くなったことが、厚生労働省のまとめで分かりました。
厚生労働省によりますと、過剰なノルマや職場での嫌がらせといった仕事上の強いストレスが原因で、うつ病などの精神的な病気になったとして、昨年度、労災を申請した人は1272人で、このうち325人が労災と認められました。
これは前の年より17人増加し、これまでで最も多くなりました。中には、東日本大震災で仕事中に津波の被害に遭って「PTSD」=心的外傷後ストレス障害を発症するなど、震災の影響で認定された人も20人いました。また、自殺したり自殺未遂に追い込まれた人は66人に上っています。
年代別では、最も多いのが30代で112人に上り、20代も69人と、30代以下の若い世代が全体の半数以上を占めています。
精神的な病気を発症した原因で最も多かったのが、仕事量の増加や仕事内容の変化で16%、次いで、悲惨な事故や災害の体験が15%、嫌がらせやいじめが12%などとなっています。
労働問題に詳しい関西大学の森岡孝二教授は「景気の低迷で企業の採用人数が減ったため、若い世代が十分な指導を受けないままベテランと同じ仕事が与えられ、精神的な病気に追い込まれているのではないか」と指摘しています。