神戸新聞 2013/11/30
厚生労働省は、労働基準法などの法令違反の疑いがある企業に立ち入り、是正指導する労働基準監督官の採用を大幅に増やす。劣悪な労働条件や待遇が常態化する「ブラック企業」が社会問題となる中、民主党政権下の削減方針が見直されたことを追い風に、取り締まり態勢を強化する。
同監督官の2013年度募集者数は、前年度の4倍に当たる180人。14年度は200人とさらに増員する。
同省によると、募集は20年ほど前から毎年100人前後で推移していたが、民主党政権下の10年度から削減され、12年度には46人まで減少していた。
現政府は今年1月、国家公務員新規採用の大幅削減を進めてきた民主党方針の緩和を決定。監督官の社会的需要の高まりや人材確保の必要性から、採用規模を拡張した。実際の採用人数は非公表。兵庫労働局によると兵庫県内には111人が配属されている。
同省関係者は、現在放映中の女性監督官を主人公としたテレビドラマ「ダンダリン 労働基準監督官」の効果に期待する。採用担当者は「社会的意義の大きい仕事であることを知ってもらい、受験者の増加につなげたい」と話す。(石沢菜々子)