中原・大阪府教育長:パワハラ認定 知事、罷免否定

http://mainichi.jp/edu/news/20150221ddn001100002000c.html
毎日新聞 2015年02月21日 大阪朝刊

 大阪府の中原徹教育長(44)が教育委員らに威圧的発言をしたとされる問題で、府教育委員会は20日、府教委職員4人に対して中原教育長によるパワーハラスメント(パワハラ)があったと認定する第三者委員会の報告書を公表した。降格や失職、左遷を示唆する発言があったとし、4人のうち1人は体調不良で退職する原因になったと認定。「教育長の職責として不適切で、違法性を有するものがあった」と指摘した。

 中原教育長は記者会見し、謝罪する一方、「チャンスを頂けるなら続けたい」と語った。府教委は処分について「知事の判断と議会の議論を見守る」とし、松井一郎知事は「罷免の要件には当たらない」と話したが、府議会からは辞任を求める声が上がっている。

 報告書は府教委の依頼を受け、パワハラに詳しい弁護士3人が職員や中原教育長から聞き取り調査した。その結果、ある職員については、統一テスト導入を巡る議論で「あなたの不適切な態度から詰めて、知事の所に行きましょう。人を刺しに来る時は、刺され返されることを考えてやらないと。教育センターで研修してもらったらいい」と職員約40人の前で叱責したことを事実と認定した。

 この他、他の3人の職員についても▽入試採点方法の議論で、「問題ありとなったら、学校事務長に行ってもらう」と降格を示唆する発言をした▽教員評価方法の議論で、「全く理解できない。精神構造の鑑定を受けないといけませんよ」などと発言。同席者が不適切と指摘したが撤回しなかった▽教育長の英語改革の方針について指摘をすると、「誰が言っているのか」と問い詰め、仕方なく名前を挙げると今度は「仲間を売るとはどういう人間か」と2〜3時間、追及。リポートを書かせたが、「反省のチャンスを与えたことへの感謝の言葉がなく失礼」と修正させた−−との行為があったとした。

 こうした行為について、「反抗的な態度は許さないという見せしめ行為」「職務上の地位を背景に精神的苦痛を与える行為」などと指摘した。問題の発端となった立川さおり教育委員(41)に対する威圧的発言も、「パワハラと認定されても不合理といえない」とした。

 中原教育長は弁護士で2010年4月、府内の校長に着任。13年4月、松井知事が大阪府で初の民間出身の教育長に起用した。【大久保昂、寺岡俊】

 ◇報復的で悪質−−パワーハラスメントに詳しい森岡孝二・関西大名誉教授(企業社会論)の話

 通常のパワハラはノルマが達成できないことへの叱責などが多いが、今回は意にそぐわない言動をした部下への報復的行為だ。これまで見た中でも相当悪質だと言える。高い倫理観が求められる教育現場で起きたことも問題。教育長にふさわしくないのではないか。

この記事を書いた人