朝日DIGITAL 2016年12月28日
http://www.asahi.com/articles/ASJDX7H9SJDXULFA027.html
写真・図版:辞任を発表する電通の石井直社長=28日午後7時20分、東京都中央区、諫山卓弥撮影(省略)
電通の記者会見での主なやりとりは次の通り。
電通社長、来年1月に辞任 過労自殺「深く責任感じる」
石井直社長 (冒頭発言)新入社員の過重労働を阻止できなかったのは慚愧(ざんき)にたえない。経営を預かる者として、重く厳粛に受け止めている。
当社は人が財産。しかし、そのことが業務の最終品質を高めるために際限なく時間を使う、そのような働き方を是とする風土を生み出す要因となっていた面があった。働き方のすべてについて見直したい。
――社内には過剰な労働時間を申告できない雰囲気があったのか。
中本祥一副社長 そういうことをずっと戒めてきたが、結果としてそういうことを強いてしまったことは否めないと感じている。
――高橋まつりさんの母が公表した手記を読んでどう思うか。
石井氏 (高橋さんの母親が)おっしゃる通りで、制度を変える以前に意識を変える必要があると、再度痛感した。
――電通の企業風土についてどう見ているのか。
ログイン前の続き石井氏 120%の成果を求め、仕事を断らない矜持(きょうじ)があったと思う。その全てが過剰だった。根本的な歯止めをかけられなかったことは経営の責任だと思っている。
――なぜ改められなかったのか。
石井氏 社員は懸命に働いて結果を出して顧客に満足してもらい、社会に貢献すると信じて働いている。それに対し、心身とのバランス(をどうとるのか)について、経営としての策が足りなかった。
――高橋さんの人権を傷つける発言はあったのか。
中本氏 あくまで仕事上の指摘や指導の一環だ。若く業務に不慣れな社員への配慮が必要だった。熟練社員なら自分なりのこなし方ができたかもしれない。
――高橋さんだからこの結果になったのか。
石井氏 業務に不慣れでも懸命に働いている人間に対し、(経験豊富な上司が)ハードルの高い仕事を与えることがよくない。総合的にみて、パワハラと言ってもやむをえないと認識している。
――電通が変わるために何が一番必要か。
石井氏 社員を中心にすべてを考える。しばしば「会社に社員が貢献する」というが、会社も社員に貢献できるような双方向の会社になりたい。
――社員手帳にある社員の心得「鬼十則」に疑問を持ったことはあるか。
石井氏 この件が起きるまではなかった。今は時代に合わない表現があったと認識している。