全国港湾労働組合連合会(全国港湾)が、業界団体との交渉が決裂し、ストライキに突入しました。欧米や韓国では、ストライキは日常的に行われていますが、日本では1970年代から激減してしまい、第二次大戦前よりも少なくなりました。OECD諸国だけでなく、アジア諸国の中でもストライキが激減している日本は「異常」と言えます。
労使関係では、労働組合、団体交渉、ストライキが行われることが「通常」です。ILOや日本国憲法は「ストライキ権(団体行動権)」を保障しており、全国港湾のストライキは、こうした権利を行使したものです。企業別労働組合がストライキをしない(できない)傾向が強まる中で、産業別労働組合の底力を示すものと思います(W)。
□全国港湾労働組合連合会
□日経新聞 港湾労組、22年ぶり平日スト コンテナ作業に影響
2019/4/15 23:30
全国の港湾労働者が加入する全国港湾労働組合連合会は、大幅な賃上げなどを求めて14日から48時間のストライキに入った。全国の主要な港でコンテナの積み降ろし作業ができなくなっている。平日に24時間のストライキを実施するのは1997年以来、22年ぶりとなる。現時点では国内の物流網に大きな影響は出ていない。
全国港湾労働組合連合会は今年の労使交渉で大幅な賃上げや定年延長の早期実現などを求めていた。業界団体の日本港湾協会との交渉がまとまらず、平日にまたがる異例のストライキに入った。
組合側は交渉が不調に終われば、4月から5月にかけての大型連休中もストライキを実施する可能性を示唆している。関係者の間では、ストライキが終わる16日朝以降の港湾の混乱を懸念する声が出ている。
□朝日新聞 全国港湾労連がスト突入 全国の港で積み下ろしできず
田中美保 2019年4月15日20時27分
港湾ストの影響でゲートが閉じられた名古屋港のコンテナターミナル=15日午後、愛知県飛島村
写真・図版
全国の港湾労働者でつくる全国港湾労働組合連合会(全国港湾、約1万6千人)が、14日朝から48時間のストライキに突入した。2019年春闘で賃金改善や最低賃金の引き上げなどを求めて経営側の業界団体、日本港運協会と交渉してきたが隔たりは埋まらず、平日を含めたストに踏み切った。平日のストは1997年以来22年ぶりという。
ストにより、全国の港でコンテナの積み下ろしなどの業務ができなくなっている。ただ、ストの実施が事前に通告されていたことなどから、荷主が事前に在庫調整したり、船会社が船のルートを変更したりしているとみられ、「大きな混乱の報告は入っていない」(国土交通省)という。
全国港湾は今春闘で、3月31日と4月7日の日曜にもストを実施した。現時点で妥結のメドはたっておらず、今月27日からの10連休中のストの実施も検討している。16日に記者会見して詳細を説明する。(田中美保)
□しんぶん赤旗 全国港湾、48時間スト 産業別最賃 破棄許さぬ
2019年4月16日(火)
写真
(写真)横断幕でゲートを封鎖し、ストライキを実施する港湾労働者たち=14日、横浜市
全国港湾(全国港湾労働組合連合会)は14、15の両日、使用者団体の日本港運協会(日港協)が、産業別最低賃金制度の破棄などを主張したことに抗議し、産別最賃の引き上げをはじめ春闘要求を掲げて全国の港で48時間ストライキを実施しました。
ストは3月31日から毎週日曜日に行われており、第3波となる今回は月曜日まで拡大しました。影響の大きい平日ストは1997年以来、22年ぶり。入港船舶総トン数1位の横浜港では、ふ頭ゲートを「ストライキ決行中」の横断幕で封鎖し、入港できない船舶が沖合に停泊しました。
日港協は、産別最賃が独占禁止法違反だと主張。9日に中央労働委員会から「独禁法上の問題とならない」との判断が出ても拒否し、産別最賃の破棄を求めたため、全国港湾は「働く人をないがしろにしている」と批判しています。
全国港湾は、労働協約のルールで船舶が入港を事前申請する「事前協議制度」についても、自衛隊貨物のルール無視に日港協が対処しないと抗議しています。
使用者側が要求に答えない場合、全国港湾はゴールデンウイーク期間中の9日連続ストも視野に入れています。
□毎日新聞 全国港湾が48時間スト 春闘交渉まとまらず 10連休にも実施を検討
会員限定有料記事 毎日新聞2019年4月15日 18時33分(最終更新 4月15日 18時46分)