介護休暇、時間単位で取得可能に 規制改革会議が意見書
日本経済新聞 2019/5/10 15:25
政府の規制改革推進会議は10日、介護休暇を時間単位で取得できるようにすべきだとの意見書をまとめた。現在は半日単位でしか休暇をとれない。会社に勤めながら介護をしている人の数は約300万人で、年間約10万人が介護を理由に仕事を辞めている。柔軟に休めるようにして仕事と介護の両立につなげる。
意見書は6月の答申に反映する。厚生労働省は実態調査を実施し、制度の改正が必要かを判断する。改正は育児・介護休業法の省令改正で対応できる。2020年にも実施する。
法律上の介護休暇は要介護状態の家族がいる労働者が年5日間、取得できる。2人以上介護している場合は年10日だ。
規制改革推進会議が半日から時間単位への変更を求める背景には、認知症患者の増加がある。認知症患者が家の外を徘徊(はいかい)したりすると、家族は急な対応を求められる場合がある。時間単位で休暇を使えれば、しばらく仕事を離れて患者を自宅に連れて帰るといった対応ができる。
介護が必要と認定を受けている人は18年4月末時点で644万人いる。このうち認知症が原因で要介護になる人は16年に18%と最も多くなった。厚労省の推計によると、認知症患者は団塊の世代が全員75歳以上になる25年に730万に増える。
厚労省の調査では介護休暇制度のある事業所(従業員5人以上)は全体の65%あるが、独自の制度で時間単位の休暇を設けている企業は16%程度にとどまる。総務省の就業構造基本調査(17年)によると、介護を理由に離職する人は年9万9100人にのぼる。